東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

チーム仰秀の一員として

2023年12月03日 23時58分00秒 | j24全日本

お世話になっております。クルーザー班新二年古川諒真です。

同期達の文才あふれるブログに引き続きJ24全日本選手権の振り返りブログとして、全日本とその前後において自分が感じていた個人的な思いをここに素直に述べさせてもらいます。


まずはこの全日本が始まるまでに感じていた意気込みから、


僕は前回のブログでも書かせていただいた通り、途中入部としてヨット部クルーザー班の一員としてありがたくも受け入れていただき8月の下旬から練習に参加させてもらっていました。あまり詳しいことは前回のブログには書きませんでしたが、実は1Sの頃、慣れない大学生活に自分の内向的な性格から孤独に走りがちである傾向が相まって、かなり精神的に病んでしまっていました。そういう経緯もあって僕がこれから4年間を精神的に充実して過ごせるための新たなコミュニティーになってほしいという理由から、ヨットに熱中できるかどうかという不安を完全に棚に上げて、賭けとも言えるような決断で入部を決意しました。

その後は前回のブログでも書いた通り、優しい先輩、同期の皆様のおかげもあり精神的にも充実した生活を送ることができ、練習をすればするほど入部前には知る由もなかったヨットの奥深さを体感でき、ヨットに熱中せざるを得ないという9月、10月を過ごしていました。


そんな中全日本が近づくにつれ今年度の秀さんを主将とする体制の集大成としてJ24世界選手権(通称ワールド)の出場が確実となる5位以内を目標として全日本に挑み、他の社会人チームが占めるであろう上位に食い込むべく全力を尽くそうという先輩方の強い思いも練習の本気度からひしひしと伝わってきました。小網代での練習からの帰りを同期と一緒に歩いたある日曜日に、真面目な話をした時がありましたが、その時はお世話になってきた先輩方のこれらの思いを叶える手助けをするべく、特にこのレースが仰秀ラストランとなる秀さんの有終の美を飾るべく、全日本は自分たちのできる限りの全力を尽くして挑もうという話をして、これらの思いが先輩と同じく自分を含めた同期の共通認識であることも確認しました。


こうしてヨットに対するモチベーションを高めていっている最中、10月の終わりに全日本前の最終確認といった位置づけにあるといえる関東選手権が行われ、自分自身はこの関東選手権で確実に動作をミスなくできることを確認し、いい順位をとって気持ちを高めてから全日本に挑む準備としようと思っていました。そんな中第3レースで自分の不注意から事故が起きました。2上まで手堅く4位を走っていたところ最後の下レグゴール直前で落水、、落水の直前は5位の艇とギリギリまで争っていましたが自分が落ちたことで速度を落とし5位に順位を落としてしまいました。落ちる直前にジブシートを掴んでいたことが不幸中の幸いで、そのおかげで落水救助をさせてしまう必要なくそのまま後ろのエンジンをかけるところから自力で船に戻ることが出来ました、が、自分の落水のせいで順位を1つ落としたことは事実であり、そのレースの終了後先輩方は自分の全身が濡れて寒い事を心配していただきましたが、表面上には示していないだけで内心では順位を落としてしまったことに対して悔しい思い、ひいては自分に対し怒りすら抱かせてしまっていたのではないかと心から申し訳なさを感じていました。その節は各方面にご心配、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。そうして関東選手権は自分としては不甲斐ない結果として終わってしまったため、全日本では確実に基本的な動作のミスましてやこんな致命的なミスはしてはいけないという思いを確実に強めていかなければならないと自覚しました。また、関東選手権でのこのミスを取り返すべく、というか取り返せるものとは思いませんが、ブラック作業と名高い船底削り作業は一切だらけることなく真剣に働かせていただきました。



ということでようやく、このような意気込みを持った自分の今回の三日間にわたるレース中の動きとその感想を述べたいと思います。


今回の蒲郡で行われた全日本選手権では仰秀として一年生3人を含めたプレーヤー8人が出場ということで風の強さと船員の体重を考慮して一年生の3人が三日間のレースを1日ずつ交代して出場するという流れでした。レースは三日間で7レース行われたのですが、僕は1日目に出場し、1日目は風が強く1レースで終了でした。自分の出場しない2、3日目には今回の全日本で逆転優勝を飾ることとなる月光チームのオーナーである中澤さんが怪我でレースに出れないという理由で観覧艇を出していて、それに乗せていただけるということで乗せさせていただきました。その節は観覧艇の上で様々ご指導いただきありがとうございました。



1日目レースに出場した感想として


まず素直な感想としては落水という致命的なミスを全日本という大きな舞台で犯さなかったことに対する安堵を微かに感じました。が、自分の気持ちの大部分を占めていたのはそのような低レベルなことで少しでも満足している自分に対するやるせなさ、7レース中1レースしか仰秀にのって出場できなかったことやスタートまでの秒数読み、マーク、身近なブローのコールといった基礎的なコミュニケーションを取りつつも基本的に動作に徹するだけで、風の振れ、大局的なブロウ、他の艇との位置関係を考慮したコース引きは、知識、経験、自信の不足から本格的に参加することはなく、先輩方に任せる形になっており、仰秀の順位に貢献できている気があまりしなかったというある意味傲慢なもどかしさでした。ただ、関東選手権で落水したのと同じ下レグでゴール直前を走っているタイミングで友成さんに「落水だけ気をつけて」と言われたこともあり、これまでの集大成として本気で上位を狙おうとしている先輩方に無駄な心配をかけさせてしまっていることを実感して、1レースだけでさえ出させてもらうだけでもありがたいと思いながら、これからの部活は、冬は本当に辛いと聞いていますが、全日本で感じたこれらのやるせなさ、もどかしさを忘れず、この反省をバネに練習に挑み、いち早く仰秀に不可欠な存在になるべくより尽力して励まなければならないと感じました。



2、3日目レースを外から眺めた感想として


2、3日目は中澤さんのゴムボートに乗せていただきレース海面からかなり離れたところからレースを観覧していました。その時は上で書いたような反省はすっかり忘れて、ただ単純に仰秀が総合で5位以内に入る事を祈ってレースを眺めていましたが、2日間通して艇のセール番号、バウナンバーは共にかなり見えづらく、仰秀がどこを走っているかはよく分からない時間帯がかなり多くありました。ただ、上回航で仰秀の青いスピンが好順位で見えた時は心から興奮を覚え、この好順位を走っている仰秀にクルーとして乗ってその景色を眺めたいと心から思いましたが、その景色は来年以降にお預けということにしておきました。3日目は白いスピンの月光、月光DIANAが3レースともそれぞれ1、2位フィニッシュということで月光チームの圧倒的強者感をまじまじと見せつけられ、やはり社会人チームの経験、知識は確かなものであることを再確認すると共に、月光チームが仰秀の練習場所からかなり近くで練習していること、仰秀OBで現月光トリマーかつ日本セーリング連盟オリンピック強化委員長を務めている宮本さん、現月光DIANAクルーで仰秀監督を務めるマツケンさんといった大先輩がいて、繋がりがあることを考えても全日本ひいては世界を舞台に戦うためには教えを乞う機会を待っていても仕方が無いので自ら積極的に得ようとしなければならないと感じました。



全日本選手権全体を通して


このようにこれまで自分のまとまりのない複雑な思いを色々書かせて貰いましたが、1番強く感じたことは「ヨットをもっと深く知りたい」という思いでしょう。

今回の全日本は7位というワールド出場確定となる5位以内を目指すチームとしてはかなり惜しい結果に終わったのですが5位とは5点差、6位とは1点差というかなり惜しいもので、仰秀がワールドに出る可能性をかなり近くに感じた結果でした。さらにブログ投稿予定日の前日である今日、土曜日にちょうど5位以内の1チームと6位のチームに出場意思が無い可能性があることが分かり仰秀がワールドに出場する可能性が生じてきました。このことを踏まえるとなおいっそう、これまでに感じてきた反省点、やるせなさ、もどかしさを忘れずに練習に尽力し、時には社会人チームのJ24や、J24に限らず様々なヨットに乗る機会がもしあるのなら積極的にその機会を得ることでヨットに関するより広い視野及び技術や知識などをできる限り盗むというような気持ちで得て、世界を舞台に戦う上で恥のないようにヨットをより深く知らなければならないと感じました。(機会があるのならディンギーに乗りに是非葉山にも行かせていただきたいとは思っています。途中入部生であることもあり葉山には行った事すらなく、ディンギー班の先輩方には挨拶さえもできていないので。)

また、今回、蒲郡に仰秀OBの多くの初めて見る先輩方も応援にいらっしゃり、僕は伝統を引き継いだチーム仰秀の一員であり仰秀には先輩たちの思いが代々受け継がれ続けていることを自覚したと共に先輩たちが作りあげてきて、非常に恵まれたこの環境をフル活用しながら、現役である自分たちの役目として、おこがましくも先輩たちの結果を越えたいとも思いました。

ということで僕が今から書くことはワールド、ひいてはヨットレースがいかに厳しいものかを深く知らない愚か者の言うこととして聞いてほしいのですが、志は高ければ高い方がいいと信じて、これからのヨット人生、ワールド優勝という目標を掲げて、精進して参ります!


ここまでかなり長くなってしまいましたが自分の拙い文章をお読みいただきありがとうございました。


古川諒真


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