東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

J24全日本のご報告と新主将挨拶

2019年10月02日 17時47分17秒 | レース反省

こんばんは

 

3年クルーザー班新主将、ヘルムスマンの春日です。

 

先日行われたJ/24全日本選手権のご報告と、新主将挨拶をさせていただきます。

 

以下、リザルトとご報告です。

8-5-(9)-5-8-8  34点 総合8位

 

 

なんだか自分の気持ちをとめどなく書き連ねるものになってしまいましたが、ご容赦ください。

 

結果だけ見れば、このレースで自分たちは、「負けた」。

目標として掲げていた5位には遠く届かず、アニオル以来の再戦となる神戸大の沢口さんにも敗れ、8位という結果になってしまいました。

 

しかし、振り返ってみれば、最終結果から伺える以上に成果を感じたレースでした。そして、今までに経験したどんなレガッタよりも、自分たちはこの大会を楽しんでいたと思います。

 

1日目、2日目はトラブルなく終わった第2,第4レースでは月光、だぼはぜ、シエスタ、FOXの4強に次ぐ5位でフィニッシュすることができ、2日目終了時点では仰秀史上全日本最高位タイの6位につけていました。一つ上のMARIL(九大OBチーム)に勝てば全日本史上最高位更新の5位。

第2レースではFOX(実はスナイプ番長白石さんも乗っていました)に半艇身差まで迫りました。

 

走りでは負けておらず、4強以外には走り勝つ場面も多くありました。

コースも中野が2年生とは思えないコース引きを見せ、レグごとに少しずつ順位を上げてくれました。

バウマンの落合はスタートで積極的に後ろを引っ張ってくれ、最終レースでは月光やだぼはぜを抑える完璧なスタートを見せてくれました。

フォアデッキの動作も、2日目からは安定しており、後ろを走りに集中させてくれました。1年生はそつなく動作をこなしてくれていたし、雰囲気を盛り上げてくれていた。足立は動作をするだけでなく、全体を俯瞰して足りていない部分をカバーしてくれていた。

 

6位にジャンプアップした2日目の夜、このチームならきっと明日も勝てると思いつつ眠りに落ちたのを覚えています。スタート、コース、スピード、動作のどれも負けていないし、順位は右肩上がり。

 

しかし、そう簡単にはうまくいかなかった。

 

最終日第一レースではU旗掲揚で慎重になりすぎたのかスタートに失敗し、予報に反して吹き上がった風にセッティング、体重が対応出来ておらずボートスピードもアドバンテージを失っていました。台風後の不安定な風に翻弄され、挽回できないまま8位。

 

それでも、最終レースに向けみんな前を向いていました。

「最後に良いレースをして帰ろう!」そう言い合ってスタート前のルーティンをこなしていきます。

 

そして最終レース。

アウター寄りの中央で待ち、落合の合図で15秒前に加速してフルスピードでスタートラインをきる。他の艇より半艇身以上バウを出した完璧なスタートでした。ボートスピードもよく、下に優勝争いをする月光、シエスタ、だぼはぜを抱えながらもリードを保っていました。

 

やっと、みんなの気持ちに応えられる。

信じてついてきてくれた下級生、そして何より3年間お世話になった磯野さんをやっと勝たせてあげることができる。

この1年間、ディンギー班が飛躍する一方で、クルーザー班はなかなか成果が出せずにいました。ANIORU’S CUPでは優勝を逃し、フリートレースでは最下位が定位置。どれも走り負けていることが多く、自分がもっと走れれば、と悔しい思いをしていました。経験者として鳴り物入りでヘルムになったにも関わらず、全く成果が出せない自分を、クルーのみんなは励ましてくれ、常に前向きでいてくれました。

仰秀史上最高位を取ることで、最後の最後にやっと少しは応えられるかな。

スピードに集中しながら、ぼんやりとこんなことを考えていました。

 

でも、少年漫画みたいに上手くはいきませんね。

月光、シエスタが後ろを切っていったあと、しばらくしてからタックしてポートで上マークに寄せます。このままいけば1上トップもあるんじゃないか?武居さんを磯野さんと一緒に引退させてしまおう。(月光チームが仰秀に負けたら引退と言われていたそうです笑)そんな声が前から聞こえました。

しかし、上マークに近づいていくと右海面の艇がありえない伸び方をしており、次々と前を切っていきました。しかも、競り合っていたチームは全て右海面。月光、シエスタ、だぼはぜより先に上マークを回航したものの、ライバル艇はずっと先に見えました。

1下までに3艇にも抜かれてしまい、その後巻き返そうと全力を尽くしましたが、順位を上げられず8位。

総合順位も8位となりました。

 

結局、このレガッタでも結果を残すことは出来ませんでした。

 

終わってからしばらくたちますが、もっとこうすればよかったんじゃないかと何度も思い出してしまいます。もしあそこで回航をもっとシャープにできていたら、もしあそこでもっと走れていたら。もし風がこんなに振れなければ。勝負事にたらればはないのですが。

 

でも、このレースからは数字以上のものを持ち帰れたと思います。

このレースを糧に、前を向いて必ず次の1年につなげていきます。

 

 

 

そして今週から、自分が磯野さんから主将を受け継ぎます。

今の自分が考えていることを残しておこうと思います。

 

まず、誤解を恐れずに言えば、部活は無理してまでやるものではないと思っています。仕事でやってるわけでさえないんだし。

では何のためにやるのかと言うと、楽しくて、そしてわくわくするから。

自分はこの「わくわくする」という感覚を大事にしたいと思っています。

もちろんこれは、刹那的に楽しければいいというものではありません。人は、何か大きなもの、誰もまだやっていないことに挑戦するとき、その過程にすら「わくわく」します。そしてもちろん、勝てないと楽しくありません。

一見回り道に見えますが、メンバーが心からわくわくしているとき、必ず結果もついてくると信じています。 

そのための手段として、二艇での練習、j/24以外での活動(Y30など)、スポンサーなども視野に入ってくると思います。

また個人的にディンギー班とももっと連携出来ればと思っています。

 

全員が一年後に最高の結果だと感じられるために、どうすればいいのか。

まずは今日からメンバー全員と一人ずつ、ご飯でも食べながらゆっくり話してみようと思います。ちょっとしたことですが、この1年間を考えると意外に大事なことなんじゃないかなと思っています。

真面目なことも、くだらないことも色々と話せたら最高ですね。

 

最後になりましたが、1年間多くの方にお世話になりました。

ご支援いただいているLBの皆様、何でも話せる同期、いつも抜けている自分を支えてくれる後輩、貴重なアドバイスをくださる月光をはじめとする社会人チームの皆様(来年こそは引退させてみせます!笑)、お忙しい中教えに来てくださる若手LBの方々、QOLと笑顔を提供してくれるマネージャー。そして、自分たちを引っ張ってくれた磯野さん。

 

1年間本当にありがとうございました!!

今年度もどうかよろしくお願いします。

 

 

クルーザー班新主将

春日健志


バウマンによるJ24全日本選手権ふりかえり

2019年10月02日 07時50分29秒 | レース反省

第一レースの始まりは慌ただしいものでした。頼りないエンジンをつけて西福岡マリーナを出航、能古島の西側を抜けて本部船付近にたどり着くや否や、予告信号が揚げられました。落ち着いて海面状況や見通しを調べる暇もなくクラス旗が降ろされ、私にとって初めての全日本選手権が始まりました。

おはようございます。クルーザー班2年の落合です。
スナイプから仰秀へ移籍しておよそ四ヶ月、私はバウマンとして割かし自信と楽しみを胸に抱いてこの大会を迎えました。全日本という規模は初めてでしたし、レース自体、小網代のフリートレースに二三回出たくらいでしたので、来たるべき難しさはあまり予想できていませんでした。入部当初に興味を持っていたクルーザー班が人手不足だと聞いて移籍してから、同期の中野に多くを教わりながらフォアデッキの練習をしました。少なくとも夏合宿に入る頃からはバウマンに専念し、比較的強風の日も多い中、小網代の住民となって練習に励みました。ヨットレースにおいて最重要点と言うべきスタートを主導するバウマンとして全日本の舞台に臨めたことは、とても貴重で、何より楽しい経験でした。

今大会のスタートを振り返る上で欠かせないのは、スタート練習にほとんどを費やした夏合宿中の一日です。走りだけでは日本トップレベルのチームにもひどく負けはしなくなっていた仰秀にとって、スタートが最大の課題であることは明らかでした。普段は一日の終わりに小一時間ほどしていただけだったスタート練習に、あえて一日の初めから終わりまでを使う試みによって、私たちは(といっても主に私とヘルムスマンの春日さんですが)、「オンタイム、フルスピード、有利エンド(或いは狙った位置)」を兼ね備えたスタートを実現するための大まかな方程式を得ることができました。
その成果は、まず大会1日目、第二レースにおいて現れました。出た位置こそ狙い通りとはいかなかったものの、風下にスペースを確保した上で、どの船よりもバウを出してスタートしました。感覚としては特別攻めたつもりはなかったのですが、自分たちのいつものパターンをなぞった結果、とても気持ちよくスタートできました。「これが第一線で出るということか」と思いました。
大会最終レースとなった3日目、第二レース、本船下あたりをアビームで走りながら待ち、周囲に合わせて並びます。大半の船は本船付近にかたまり、ライン中央に仰秀、下には昨年王者のだぼはぜが見えました。20秒前、たぼはぜとの間に十分なスペースがあることを確かめ、加速。直前のベアによる加速もあって、周囲から頭一つ出た位置でラインを切りました。
このときの景色を私は忘れません。月光、Siesta、だぼはぜ等の並み居る強敵が遅れて見え、眼前には完全にフレッシュな海面。その後も、並走するだぼはぜや、ふと振り返ると後方でタックしている月光の姿、上マーク回航後にクルーたちの一挙手一投足を観察できるほど間近にいるSiestaなど、それまでの自分たちの認識からすればにわかには信じがたい光景を目にしました。皮肉な事に、一番信じがたいかったのは、トップ艇団にいると思ってアプローチした上マークを神戸大など右海面に突っ込んだ船が先に回航していく様だった訳ですが。
いくら重要とは言えスタートだけでレースの全てが決まるのではないのはもちろんのことです。その事を、私達は忘れていた節もあったかもしれません。それでも、そうは言っても、まさに引退しようとする四年の磯野さんをして「完璧」と言わしめるスタートを実現できたことは、バウマンとしての冥利に尽きます。

この大会をこれから一年の糧にしようと思う時、二点、収穫があったと考えられます。一つは、的を絞った練習がいかに大きな効果を持つかを知れたことです。臆病がらずに攻めるスタートを続けられたのは、間違いなくスタートのみを猛特訓した一日あってのことです。(後から考えると、実は三日とも一度ずつリコールしているのですが、ゼネリコとノーレースで実質一回だけでしたし、リコールによって順位が落ちたとは感じなかったので、攻めたことの功が上回ったと言ってよいでしょう)。そのような一事に特化した練習をするためにも、早く全員が自分のポジションの動作に習熟することが大切でしょう。
二つには、大会の後、皆が口々に「楽しいレガッタだった」と言っていたのを聞いて思うことですが、常に前向きな、積極的な空気をチーム全体で保つのが大切だということです。大会前に練習に加わった1年生が活気を与えてくれたおかげで、チームの雰囲気が一層明るく開かれたものになりました。その雰囲気を保てたからこそ、最終成績以上に「充実した、楽しいレガッタだった」と感じられたのだと思います。きっとそういう心持ちが、海上での各々の積極的な行動とチーム内の密な連携を可能にするのだろうと思います。

個人的にも非常に楽しく充実していた今回の全日本選手権。あれだけ中身のあるレースができたのは、1年の板坂、維摩の集中、470から助っ人に来てくれた足立の協力、中野の熱意、春日さんの研鑽、磯野さんの気合と気配り、そして1年マネージャーみおとかほの下支えによるものでした。素晴らしい時間をありがとうございました。
これからは磯野さんからトリマーを引き継ぐ予定です。ボートスピードを担う重責ですから、今まで以上に気合を入れて臨みたいと思います。


クルーザー班2年 落合輝