HALと言う介護用パワードスーツが実用段階になっていますが、私の世代の
メカデザイナーにとってパワードスーツといえば「宇宙の戦士」のそれです。
宮武一貴氏によって描かれた小説用挿絵は、小説本編をはるかに越えて、私達
に影響を及ぼしました。その後、多くのクリエイターがそのデザインに挑みます。
機械のパワーによってアシストされた鎧は、一種の憧れと羨望を持って男の心
をひきつけたのです。しかし、時代が下って萌え全盛となると、なぜかその魅力
は薄らいで行きました。半ばあたりまえのファッションのように軽々と画面の中
を飛び回るパワードスーツには、以前のような威容も重厚さもなくなったのです。
●パワードスーツ (前)
このパワードスーツはヒロインが乗り回す車等の中の一つとして、脇役程度に
描かれました。普通なら箱に手足をつけた位でよかったのかも知れませんが、
それではアピールしないと考え、凝った形を考えてみました。
当時から日本のアニメが海外から注目されており、外国向けも視野に入れた
ゲームでは、デザインにアニメ的要素が必要ではないかと考えたのです。
それでも時間の制約があったので、かなり妥協したギミックとなっています。
●パワードスーツ (後)
装着者の両腕は胸部の内部におさまってマニュピレーターを操作します。
足はパワードスーツの膝のあたりまでしか入らず、太ももの部分に足を曲げるだけ
の空間があります。脚を支えるメカニズムが背中まで被っており、その上の上半身
との結合部は、スリップする1/4のターンテーブルになっています。
明らかに、必要な間接数が不足しているのですが、モーションの方に任せるしか
ありませんでした。これは私の研究不足です。
これがいったいどんな評価を受けたのか、結局は判らずじまいでした。
これに限らず、私のデザインは沈黙を持って迎えられる事が多く、いつも
苦慮しているのです。
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