陰陰滅滅と、辛気臭いばかりでは、
あまり、よくないのでしょうが、
崖を、じっとじっと、眺めておりますと、
どうも、心落ち着かなくは、なるのです。
昔、父は、その父から、今回崩れた山の、
その遥か向こうの山が、崩れてこないのか、
と問われたことが、あるそうでございます。
そのころの父は「何をおっしゃる羽鷺さん」的な、
軽薄なる、対応をしたのですが、
ようやく、今ごろになって、
親父は偉かった、と思っているのです。
それにしても、何時崩れて来るのかどうか、
全く、分からないような所で、
とどきどきしながら、暮らしていくのも、
合理的でもないし、理屈に合わない気も、してくるのです。
どうしようもなく、辛気臭い話です。
ただ、「とかくこの世は住みにくい」のですし、
高層マンションに住んだとしても、
なにか、事が起これば、所詮、五十歩百歩で、
全く、同じ状況になって、しまうのです。
要は、人間の存在そのものが、辛気臭いのであって、
辛気臭くなければ、人間ではない、と思うのです。
うじうじ、と考えながら、
ぐずぐず、生きるのが、人間であるのです。
病院に、出掛けます。