チェロ物語FINAL

虹の橋で、
そろそろ、
のんびり、

過ごします。

心ばえ

2016年10月01日 | 犬の戯言


ひたすら浅ましい快楽の世界に埋没する、

父は扠措き、

10月に入って初めての、

お散歩が続いております、

今朝の海は明るくて、

まるで夏のようでございます、





辺見庸さんは「今ここに在ることの恥」の中で言います、

人間の悦びや快楽というのは、

つきるところ、

ひとつの「落差」の感覚すなわち相対感覚だと言うのです、

雑巾を絞り尽くすように汗を出した後の、

一杯の冷たい水はこの世で一番美味いのであり、

さらに飽食のこの国では、

絶対的美味や絶対快楽がお金で買えるように錯覚されているが、

これはひどい倒錯だと指摘し、

ご自身が病に倒れ躰が動かなくなって、

おそらくいくらも給料をもらっていないだろう女性に、

やさしく風呂に入れてもらうと、

涙が出るくらい嬉しい、

こんな幸せだってあるのだなと感動されるそうです、

また汚れた自分を洗ってくれる、

人々の心ばえの良さ、

人としての基本動作の確かさにも、

感動した言われています、

どんなもっともらしい理屈を言われるよりも、

ご自身にとって、

それが至福の時間であったと言うのです、

烏滸がましいのですが、

私もつくづく生きるということは、

喜びということは、

そういう事を言うのであろうなと、

思うのでございます、





お散歩も終盤戦になってまいりました、

他人様の敷地内で見事に生っている、

この柿は美味しいのでございます、

たぶん世界のどんな珍味よりも今の私にとっては美味しいのです、

これをもぎ取って、

私に食べさせてくれようとする、

父の心ばえが、

嬉しいのであります。


注 他人様の柿の部分につきましては父の心の中の思いのみで、
  実行は致しておりません。


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