マリア・イヴォーギュンがクライスラーの「愛の喜び」を歌っているのがあるが、これは唖然とさせられる。まるで楽器のやうに声を操り、コロコロと転がしたり跳躍したりと、最後まで耳が離せない。 . . . 本文を読む
アメリータ・ガリ=クルチというコロラテューラ・ソプラノ歌手がコッペリアのワルツを歌うレコヲドがある。現代の歌手では聴くことのできない可憐な高域、ころがるやうな音階、決して声を張り上げないベルカント。僕は声楽に通じているわけではない。けれども、こういう歌い方が完全になくなったのには何か理由があるはずで、そのことが僕には気に掛かる。 . . . 本文を読む