ブラームス晩年の室内樂、生涯最後の変奏曲、クラリネット或いはヴィオラでも演奏可、これらのキーワードから思ひ浮かぶイメージがあるだらう。ブラームスの深遠な世界を知り、永らく音楽に浸ってきた人々には何も語らずとも伝わる心情がある。 . . . 本文を読む
アヴェ・マリアは何度と無く取り上げたお気に入りのショート・ピースだ。今回の演奏はターティスなので当然ヴィオラでの演奏である。ときにはセロのやうに幅のある響きで迫ってくる演奏は、ただ甘美なだけではなく、提琴では表現できない男の色気のやうなものを感じるのだ。 . . . 本文を読む
ショパンは洋琴の次にセロを愛した作曲家のやうで、セロの為の奏鳴曲をはじめ、多くの作品を残してゐることはあまり知られてゐない。作品番号3の「華麗なるポロネーズ」をフォイアマンの歴史的な演奏で聴いてゐる。 . . . 本文を読む
涙の出そうな日本のもの悲しいメロディーをマレシャルのセロで聴くと、セピア色の戦前の世界に誘われる。この切ない詩を創ったのは、なんと、美人画の竹久夢二だ。
待てど 暮らせど こぬ人を 宵待草の やるせなさ 今宵は月も 出ぬそうな . . . 本文を読む
モーツァルトのホルン協奏曲は、休日の晴れた朝に良く似合う。梅雨空の続く中、久しぶりに陽の光を浴び、聴きたくなった。5月にはワイキキの青い空を堪能したが、30度の気温も爽やかな風の為か暑さを感じなかった。しかし、日本の夏は湿度が高く、体調管理だけでなく楽器やレコヲドの管理にも気を遣う。今日は嫁さんは子供を置いて別宅に行ってしまったので、クーラーの効いた音楽室で一日静かに音楽でも聴くことにしよう。
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メンデルスゾーンがスコットランド旅行で得たインスピレーションは後の彼の創作活動に大きな影響を残してゐるが、弦楽四重奏曲作品12も「フィンガルの洞窟」「スコットランド交響曲」などと同じ時期の作品である。この第2楽章「カンツォネッタ」は特に僕の好きな名旋律だ。これをセゴヴィアがアレンジした演奏が残されてゐる。 . . . 本文を読む
ブラームスの若い頃の室内樂はなんとも浪漫的でいい。特に弦楽器用の奏鳴曲は好きだ。ピアティゴルスキーはステレオ時代にもレコヲドを残してゐて、良い録音で素晴らしい演奏を聴くことができる。 . . . 本文を読む
ピアノを少し習った人なら一度は弾いたことのあるバッハの2声のインヴェンションだが、ピアノから遠ざかってしまった今、音楽として聴いて、実によくできた作品だと感心してゐる。また、チェンバロで聴くと2声部しかないとは思えないほど華やかに聴こえる。 . . . 本文を読む
ベートーヴェンの作品番号1番はご存知だらうか。3曲から成る洋琴三重奏曲集であることは、あまり知られてゐない。有名な「大公」「幽霊」などの番号付きの他に、七重奏曲や弦楽五重奏曲の編曲や習作を含めると全部で十数曲の洋琴三重奏曲を残してゐる。その中で、第6番は演奏頻度の少ない作品だと思ふ。このあまり知られてゐない名作を豪華な顔ぶれで聴くことができる。おそらくこの作品のCDでは最も優れたレコヲドの一つだらう。 . . . 本文を読む
シュナーベルとのアンサンブルでよく聴いてゐたプロ・アルテ弦楽四重奏團の演奏をじっくりと聴いたことはあまり記憶に残ってゐないが、17曲のハイドンの四重奏曲が手元にある。一つ取り上げて聴いてみることにした。 . . . 本文を読む
ベートーヴェン初期の管楽器と洋琴の為の五重奏曲はとても愛らしい作品である。フルトヴェングラーが維納フィルのメンバーたちと楽しそうに録音したモーツァルトのグランパルティータを想い起こす。 . . . 本文を読む
以前にエンマ・イームズとヨーゼフ・ホルマンのセロによるマスネ作曲「エレジー」をご紹介し、ホルマンのセロ独奏がマレシャルのやうだと書いたことがあったが、実のところマレシャルの演奏は聴いていなかった。このたび、入手したCDにそれが収められてゐたのだ。 . . . 本文を読む