AKB48 チームBのファンより

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欅坂46『ガラスを割れ!』とカップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2018-04-11 21:44:40 | ときめき研究家
AKB48のアルバムには苦戦したが、欅坂の新曲については書きたいことが次々に浮かんでくる。私はフラットに聴いているつもりなので、やっぱり楽曲のクオリティが高いのだろうか。

『ガラスを割れ!』。
欅坂お得意のメッセージソングだ。飼い慣らされた犬にならず、ガラスを割って外に飛び出せという比喩が全編続いている歌詞だ。
『サイレントマジョリティー』や『不協和音』と比べると、この曲の特徴は大衆性だ。歌詞がわかりやすいし、サビのメロディーが非常に大衆的だ。「目の前のガラスを割れ 握りしめた拳で」という部分など、カラオケで気持ちよく歌えそうだ。「騒げ」「叫べ」「生きろ」という合いの手にはその気持ちよさを破る違和感があり、それが欅坂らしさか。
犬に喩えた歌詞と言えば、古いが小椋佳『さらば青春』を思い出す。ガラスを割る歌詞と言えば、尾崎豊『卒業』を思い出す。あるいは最近よく言われる「女性にはガラスの天井がある」という比喩。そのような、普遍的に歌われ語られてきた「閉塞感を打ち破れ」というわかりやすいテーマを歌ったメッセージソングである。曲の細部まで気が配られていて、完成度の高い曲だと思う。

『ゼンマイ仕掛けの夢』。
カップリング曲で一番気に入っているのはこの曲だ。ゆいちゃんずの2人によるデュエット曲だが、過去の2人の曲と同様フォークソング調で、親しみやすいサウンドだ。
しかし、歌詞は非常に陰鬱で救いようのない暗い青春を歌っている。大学に合格し、田舎に恋人を残して上京したが、すぐに自堕落な生活に陥り自信喪失してしまっている男。これは30数年前の私のことだ。「講義をサボりずっとアパートで寝ていた」「バイトと遊びに明け暮れ、少し悪いこともした」自分は人生の落伍者で、君にはふさわしくないからもう忘れてくれと歌っている。
「片方が上京した恋人たちはやがて別れる」という定理を『木綿のハンカチーフの呪縛』と呼んでいるが、この曲もまたその定理をテーマとしている。欅坂46は『青空が違う』で、この定例に抗って別れないカップルの歌を歌ったが、今回は定理通りに別れてしまいそうなカップルの歌だ。

それにしてもこの男は悲観的過ぎる。田舎では秀才と言われ、意気揚々と上京したが、その出鼻をくじかれたのだろう。それだけで人生全部を悲観してしまう必要はないのだが、上京前の人生と比べてあまりの格差に絶望してしまう気持ちも理解できる。それでも「君はずっと故郷で暮らして、僕より素敵な人と結婚してください」とは、悲観が過ぎて自惚れた言い草だ。彼女は彼女の人生を生きていて、どこに住もうが、誰と結婚しようがしまいが勝手のはずだ。そんなこともわからないくらい自己中心的に落ち込んでいる彼には同情の余地はない。
そんな救いようのない歌詞だが、私はこの歌が好きだ。それはフォークソング調で親しみやすい曲調によるもので、まさに音楽の力だ。『悲しくてやりきれない』というフォークソングと同じだ。「悲しくてやりきれない」と歌いながら、どこかで救いを感じているのだ。
ところで、「少し悪いこと」とは何だろうか。色々と想像して楽しめる。「少し」なので本格的な悪事つまり犯罪ではないのだろう。違法ドラッグ、振り込め詐欺、アパートで大麻の栽培とかではないだろう。賭け麻雀とか、未成年の飲酒、電車のキセル(電子化された現代では死語?)といった軽度の違法行為の類か。あとは風俗店に行くとか、大学の講義の代返とかいった道義的な「悪いこと」か。

『もう森へ帰ろうか』。
この歌も都会での挫折の歌だ。夢を追いかけて都会に来たが、ここには何もなかった。もう帰ろうと歌う。
この歌も救いがないが、清らかなメロディーがその救いのなさを中和している。否、森に帰れば何もかも忘れて昔のように幸福に暮らせると信じることで救いを見出しているのだろう。「探し求めた青い鳥は自分の家にいた」という寓話を歌にしたような楽曲だ。
ところで「手ぶらでもいい」とは、松田丈志の「北島さんを手ぶらで帰せない」という名言を意識したものだろう。

『夜明けの孤独』。
平手友梨奈のソロ曲。『山手線』の時と比べたら、格段に表情が豊かになっている。やはり場数を踏むということは大事なことだ。もう2年以上、センターとしてパフォーマンスを続けて来たのだから、歌声の端々に自信と存在感がにじみ出ている。
歌詞は、夜明けに家出した少年の歌のようだ。AKB48にも『家出の夜』という歌がある。「命の使い道を探す」というフレーズは『命の使い道』からの引用だろう。
楽曲としては地味だが、しみじみとした味わいがあり、何回も聴きたくなる。「生きるとは孤独になること」というありきたりなフレーズが心に響く。

『バスルームトラベル』。
長濱ねる、尾関梨香、小池美波の3人のユニット曲。NHKの『欅坂46SHOW』で歌っているところを見たが、振り付けも含め、可愛らしさを強調したお洒落な楽曲だ。
歌詞の内容は他愛ない。入浴中、排水溝に吸い込まれて行くという夢想、妄想を歌ったものだ。兎の穴に迷い込む『不思議の国のアリス』に着想を得たのかもしれない。
「気づいたら裸ん坊の私」というフレーズが、中高生の健全な性欲を刺激する部分。彼女たちの入浴シーンを想像してエッチな気分になっている中高生は全国に数えきれないくらいいるだろう。

『半分の記憶』。
ハードな失恋ソングだ。AKB48『細雪リグレット』とか木下百花『プライオリティー』といった楽曲に相通じるものがある。
半分の記憶とは、同じ恋愛でも僕と君では別々の見方、感じ方をしていたのだと気付いたということを表現しているのだろう。
「半分」がタイトルに付く曲と言えば、小泉今日子『半分少女』だ。まだKyon2になりきっていない頃の彼女のアナクロっぽさと爽やかさが絶妙にブレンドされた傑作。それからCoCo『はんぶん不思議』もグループアイドルの魅力をぎゅっと凝縮した佳曲。草野球が出てくる。中森明菜『1/2の神話』も『半分少女』と同様、半分大人で半分子どもだと歌っているのだが全く異なるテイストで迫力ある曲。河合奈保子『ハーフムーン・セレナーデ』は、月が似合うアイドル河合奈保子の美声を堪能できるメロディアスな名曲。素晴らしい曲ばかりだ。

『イマニミテイロ』。
けやき坂46のメンバーが歌っている曲だ。歌詞の状況がいまひとつ理解できない。大人たちに何かをやってみろと言われて、やってはみたが上手くいかず、今に見ていろという決意を歌ったもののようだ。
おそらく自己言及ソング、楽屋落ちなのだろう。けやき坂46単独のライブか何かやったのだろうか、そういうグループ内の特殊な状況を分かったファンにしか楽しめない楽曲なのだろう。こういう歌はどうしても好きになれない。長濱ねる『乗り遅れたバス』とかNMB48『理不尽ボール』とかも同じような楽曲だ。

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『ガラスを割れ!』他.初聴き感想 (ピーナッツ)
2018-04-22 11:28:07
『ガラスを割れ!』
想いの強弱,テイストの違いなんかは、あるんだけれど…やっぱ、僕は、なんちゅうか…
″相川七瀬の『夢見る少女じゃいられない』に 若干 似てるよな~″
とか、思ってしまったよ。
おそらく、ビジュアル的な印象もあるんだろうね? つまりは、2組とも、前髪バッサァー!… 顔の(目の)表情を(半分)隠しながらのパフォーマンスってこと。
でも、しかし、ゴリッゴリのガールズロック具合はさ、これ、カッコイイね~。
また、「夢見るなら愚かになれ」「がむしゃらになって」「闘うなら孤独になれ」「吠えない犬は…」、そして、「夢見る少女じゃいられない」…。
とにかく、決めドコロで(タイミングよく)投入されるキャッチーな言葉たちがさ~、もうドンズバ!なんだよね。
一般ピープル…いや、好きだと思うもん。
あと、欅の子たちが、普段から醸し出してる「ほんわか感」や、相川七瀬が、そのヤンキー気質ともにチョイ滲み出したりとかしちゃっている「すこし知的な感じ」とかも、これ、いい風に働いてる…と思ったな~。効いてるよね…。
ほんわか、ほっこり、おとなしい → ロック。チョイ知的?、ハキハキ喋り、滑舌良し → ロック。
ギャップって、大事だな…って、改めて思ったのであります、ハイ。
ところで、『ガラスを割れ!』冒頭の OH OH…の部分の上パートの声…ちょっと、クレヨンしんちゃんっぽい。
正直、その姿を消すのに、12秒ほど必要…かな、毎回。

『もう森へ帰ろうか?』
まず、「森」と表現したことが、秀逸だと思った。「故郷」でも「家」でもなく、「森」…。
そのお陰で? なんかさ、風を感じたんだよね。また、色鮮やかで、イキイキとしててさ…。とにかく、そんな世界観。
一方で、都会でのこと、景色等は、なんか、ライトグレー一色の、また、スロー映像で、時には、止まってる?って感じの世界のようでね…。
その何もない感、対比具合。
でも、これ、その超ネガティブ歌詞を透明感あるメロディー&音選択で、すべて…上書き、ひっくり返しちゃった感じなんだよね。いや、見事だわ…。
ところで、後半ラス前の「自分はどこにいる?」あたりの8小節って、僕、ドラム(バスドラム)の音…あれ、あえて入れたのだと思ったんだな。
あそこって、本来なら(いつもなら)わざと ″さら地(音の超うすい部分)″を作っておいてからの~、さて!オーラスに向かってのー、ってな感じにするやつ(パターン)だよ。なんだよ。
でも、あそこ…そうしなかったのは、あれ(バスドラムの音)を「鼓動」(心臓の音)として表現したのだ、と思った。
つまり、あそこが、「森」とともに、この曲のキモだ。この子の最も命のこもった言葉(ホンネ)だと思ったんだ、あの8小節がさ。
要するに、まだ、迷って?は…いるんだってこと。
「自分はどこにいる? 空の太陽よ 教えてくれ」…。
けっして、″負けた″わけではないんだけれど、ないん…だけど、負い目のようなものは、ある…だろうからね。そこ、ゼロではないと…思うんだよね。
(誰しもが経験する?)若き日の自問自答…。そして、現在地への不安。
ところで、この曲、実は、″あ~、なんか、ドラマ「東京ラブストーリー」の日向敏文の音作り&構成っぽいな。どこか…感じるな~″とか思いながら聴いてた。
永尾完治(カンチ/織田裕二)や 赤名リカ(鈴木保奈美)たちのことを考えたりしていたんだな、実は。
あ、そういや、コンセプトは、似てる…かな。

『半分の記憶』
本来、「半分」という言葉を使う時、それは、1人(or1つ)の中で完結させた方が、スッキリするのだと思う。
だけど、これ、この場合、『ふたつの記憶』にした方が…とかも思ったりもしたんだけど、いや! いや、いや!…と。
でも、まだ、自分の中では、正直、答え…見つかってはいない。
『半分の記憶』、『ふたつの記憶』『2つの記憶』…。う~ん。
ただ、「半分」って、すごく難しいな…って、あらためて…。あ!でも、だから、恋愛か!愛か!と。
1人(1つの)中では、ぶっちゃけ、″「納得」に向かっての道標のようなものは、ま、ある…″と思うんだ。
でも、相手がいる場合はさ、「半分」に押し込めようとした瞬間に歪みそうが出来るような気とかするんだな~。若い時は、特に…かな?
とにかく、脳内での取り引きも必要だ。
愛は感情の忘れもの。「半分」「1/2」「はんぶんこ」…。
登場人物が、1人ではない場合の「半分」起用って、けっこう難題だと思うなぁ~。
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