AKB48 チームBのファンより

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『もらとりあむタマ子』。だらだらとした至福の時間を楽しんだ。(ときめき研究家)

2013-11-26 07:00:00 | ときめき研究家
前田敦子の大ファンという訳ではないが、『もしドラ』『苦役列車』『クロユリ団地』も見た。AKBグループのファーストラビットである前田敦子が、卒業後にどのような活躍をするのかは、見届けたいという思いがある。

今回の主演映画『もらとりあむタマ子』は、都内では1館のみで上映中。平日の夕方だが、50人程の入り。前3作よりはいい。男女比率は半々で、中高年の1人客が目立つ。前田敦子ファンというより、山下監督のファンか、面白そうな映画だから見に来た映画ファンの方が多かっただろう。前田敦子のファン、または元ファンにはぜひ見てもらいたいと思う。

多くの映画評などで紹介されている通り、起伏のない淡々とした映画だ。
大学を卒業したが就職もせず、甲府でスポーツ用具店を営む父親と実家で二人暮らしで、食って寝て漫画読んでゲームして、家の手伝いもせず、時に逆ギレする、どうしようもない23歳のプータローの日常を描いている。そのどうしようもないタマ子を、前田敦子は「ナチュラル」に、淡々と演じている。少なくともキラキラと輝いてはいない。でも、不思議に憎めず、愛おしく感じてしまうのはなぜだろう。

山下監督が言うように、前田敦子は作為的な「演技」はしていない。声も甲高く、台詞が聞き取りにくいこともある。そもそも主演なのに台詞が少ない。それでも、そこにいて、食って寝て漫画読んでゲームしているだけなのに、目が離せない。それが彼女の「オーラを感じさせないオーラ」なのだろうし、それを引き出して作品として定着させたのは監督の力なのだろう。
作為的な「演技」をしない前田敦子の真骨頂は、エンドロールの最後にも披露されるので、絶対に見逃してはいけない。

父親役の康すおんが好演。
私にもタマ子と同年代の娘がいるので、ほとんど父親に感情移入して見ていた。
父親は、だらだらしているタマ子に苛々しながらも、そういう娘との2人暮らしをどこか楽しんでいるのだ。タマ子も、時に逆ギレしつつも、父親のことが嫌いではなく、この生活から抜け出せない。そう、これは、親離れできない娘と、子離れできない父親の映画なのだ。

前半で父親が洗濯ものを干すシーンがあり、娘の下着も丁寧に干しているのがリアルだ。終盤にタマ子が洗濯ものを干すシーンもあるが、父親の下着を嫌そうに干す様子が対照的で楽しい。また、父親が毎朝店の看板を出すシーンが繰り返されるが、終盤でやはりタマ子が出すシーンがあり、丁寧ではないので看板が斜めになっているのも芸が細かい。

それから、食事シーンが多い映画だ。
タマ子は食って寝るだけだから当たり前かもしれないが、本当に食べてばかりいる。サンマの塩焼き、野菜の天ぷら、ゴーヤチャンプル、ロールキャベツ、それから年越し蕎麦。父親が作る日常のごはんを、大して美味しそうでもなく、ただ黙々と2人で日常的に食べる。タマ子は左利き、父親は右利きで、大皿に盛られているメインのおかずを、2人でつつきながら食べるのだ。
会話が弾むでもなく、つまらなそうに食べてはいるが、食事の前に必ず「いただきます」と言うのは気持ちがいい。

秋から夏まで、実際に1年間かけて撮影された映画は、どこにでもあるような地方都市の風景と相俟って、どこか懐かしい印象を与える。それを78分という短い時間に凝縮しており、実に贅沢な時間の使い方だ。『もしドラ』は多忙なスケジュールを縫って短期間で撮られたため、夏の甲子園予選なのに寒々しいグランドの雰囲気だったのとは大違いだ。

元アイドルの富田靖子が、父親の再婚相手の候補役として出ていた。
アイドル時代の彼女は、数々の映画やドラマに主演したが、どれもあまりヒットしなかったという印象がある。前田敦子と正反対で、演技力があり過ぎたせいで、彼女の魅力だけに頼った純粋なアイドル映画にはならなかったからかもしれない。
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