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葉室麟著 「山月庵茶会記」

2024年06月23日 14時05分06秒 | 読書記

図書館から借りていた、葉室麟著「山月庵茶会記(さんげつあんちゃかいき)」(講談社)を、読み終えた。
本書は、伊予来島水軍の勇将黒島興正を藩祖とする、九州豊後鶴ヶ江に六万石を領するという架空の小藩「黒島藩」を舞台にした長編時代小説「黒島藩シリーズ」の第3弾の作品である。

▢目次
(一)~(二十六)

▢主な登場人物
柏木靫負(かしわぎゆきえ、孤雲、52歳)・藤尾(亡妻)、卯之助、
柏木精三郎(黒島藩奥祐筆、34歳)・千佳(33歳)・市太郎(12歳)・春(9歳)、
白根又兵衛(黒島藩屋祐筆頭、千佳の父親)、
浮島(元黒島藩江戸藩邸奥女中頭
土屋左太夫(黒島藩家老)、和久藤内(黒島藩勘定組頭)、佐々小十郎(小普請組)、溝渕半四郎
駒井石見守(黒島藩前家老)・駒井久右衛門・駒井省吾(明慶)
篠沢民部(椿斎)・波津、
丹波承安(黒島藩藩主の一門)・丹波正之進、
松平乗邑(前老中)、

▢あらすじ等
かつて黒島藩勘定奉行として辣腕を奮っていた柏木靫負、16年前、政争に敗れ、千利休の流れを汲む高名な茶人(孤雲)となって江戸から国に帰ってきた。その目的は、派閥抗争の最中に、自害した妻藤尾の真相を探ること。孤狼の心を胸に秘め、山裾の庵山月庵で、客人を招きながら情報を分析していく筋立て。
次第に、藩の大事に関わっていたことが明らかになっていくが、茶室という狭い空間で、刀を用いぬ茶人の戦は、静かではあるが、鋭く、熱い。
著者の、色、匂い、情景、の描写も冴え渡っている。
 「藤尾、結構な点前であったぞ」
 縁側の又兵衛が、靫負のつぶやきを聞いて振り向いた。
 「誰と話しておるのだ」
 靫負は笑いながら・・・、
 「馬鹿者め・・・」
 と愉快そうに言葉を継いだ。
 又兵衛は言われた意味がわからず、目を白黒させたが・・・、
 「すまぬ・・・」
 と、厳かに言った。
 青空を白い雲が流れていく。
で、終わっている。




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2 コメント

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茶道 (アナザン・スター)
2024-06-23 14:21:28
正しく、茶道の極意ですわ。

お茶室へは、刀を持って入れぬそうですね。
入口があの狭さとは・・・
存じませんでした。

日本の伝統の清らかさ・極意を感じる読み物です。

有難うございます。
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アナザン・スターさん、こんにちは (takezii)
2024-06-23 15:08:37
茶道、茶室、茶会等にまるで縁の無い爺さんですが、亭主役、正客、作法、情景等の描写、受け答えから心を見通す力・・、深いものだなと感じます。
登場人物それぞれに、「実は・・」が有り、過去の事件の真相にも、「実は・・・」が有り、全てが明らかになり、心穏やかになる柏木靫負、
亡妻藤尾と共に余生を送ることが出来そう・・・、という物語ですね。
コメントいただき有難うございます。
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