940話)南の水を北に運ぶ

水資源は中国の南部に集中し、人口、経済、耕地などは圧倒的に北部が大きいとなると、どうするか? 中国が計画した切り札が、南の水を北に運ぶ、というものです。長江水系の水を黄河を越して北へ運ぼうというものです。南水北調と呼ばれます。

3ルートが計画されました。長江と黄河は河口は離れていますけど、源流付近は近いのです。支流同士をつないで、長江の水を黄河に流そうというのが西ルートで、高山の永久凍土地帯を通す必要があるなど、工事の難度が高くて、まだ計画段階だと思います。図では黄色い線で3つの候補が示されています。

東ルートは隋の煬帝の大運河を利用するもので、工事は比較的容易だと言われていました。2013年には正式通水も行われたようですが、水の価格が高いものにつき、その面の調節が急がれているようです。天津や山東省には水が行きますが、北京には行きません。図では緑の線で示されているものです。

北京に行くのは中ルートと呼ばれるもので、長江の支流・漢水の丹江口ダムを嵩上げし、そこから水路で北京と天津まで水を運ぶのです。総延長は1432kmもあるそうです。その主要部分が完成し、2014年には通水が始まることを昨年末に日本の新聞も報道しました。図では紫の線で表されています。

長いですねえ。複雑に折れ曲がっていますねえ。丹江口ダムを起点にGoogleMapで追跡しようとしたんですけど、途中でわからなくなって、あきらめたことがあります。

このような巨大プロジェクトは運用が始まるまではそのメリットだけに注目が集まります。そして実際に動き出すと、たくさんの問題がでてくることが少なくありません。南水北調はいったいどのような結果をもたらすでしょうか?
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