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新築工事・バルコニー防水のこと
現在工事中の新築住宅。
建築基準法的には増築扱いだが、規模や間取りから考えると別棟と考えて良い。
これまで様々な新築工事や増築工事を手がけてきました。
今回の仕事はその集大成という気持ちで取り組んでいます。
既存住宅との関係性、外観だったり間取りといった点もかなり配慮して設計しました。
また現場管理も法華寺で得た経験を活かしています。
写真はバルコニー下地部分。
バルコニーは部屋から跨いで出入りするのではなく、単に段差があるだけです。
昨今は、バルコニーに関する仕様が厳しく、二階床は根太レス構法が主流であるため、バルコニー床下地と2階床下地を同じ高さとした場合、防水のため「立ち上がり」部分が必要になります。
下の資料はJIOの防水仕様一部抜粋。
対して、バルコニーの床下地の高さを2階床下地より下げれば立上りは不要となる。
立上りは最低12㎝必要であり、バルコニー床の勾配も1/50以上となっている。
もし、バルコニー床下地と2階床下地の高さが同じであった場合、バルコニーの奥行が1mならば、立ち上がりは最低14㎝必要になる計算、しかしFRPの厚みや排水溝の勾配等の点もあり、おそらく大抵の住宅が20㎝程度の立ち上がりになっていると考えます。
同じ20㎝でも単なる段差と立ち上がりで跨ぐ必要があるのでは、大きな違いと言ってよい。
バルコニーが小規模でほとんど出入りしない場合は良いが、バルコニーへの出入りが多く、洗濯物も2階で干す場合はやはり前者の段差だけの方がよいというのが私の考え。
バルコニーの床下地を2階床下地より下げる作業そのものは設計段階でよく検討すれば難しいことはない。
ただ、おそらく一般の方はそういうことについて知らない場合が多いと思うので、おそらくバルコニーの出入りは跨がないようにしてもらいたいなどと指示することは少ないだろうし、何も言われなければ建築業者も積極的に提案はしないのかもしれない。
今回は、設計段階でよく検討し、床下地から240㎜下げでバルコニー下地を設定すれば良いと判断。
排水溝の勾配は、1/100~1/200、ドレン・排水管を2ヶ所設けるが、バルコニーの間口が広く排水溝の距離が長いため、1/100としている。
また、バルコニー床の勾配は、1/50以上とあるが1/50ピッタリで施工することはまずない、今回はもう少し勾配を急にしている。
最終的に2階床からバルコニー床までの段差は、15㎝程度となる。
15㎝程度ならば段差としてはそれほど上がり降りは苦にならないと考えています。
住宅は、間取りやデザイン、価格に注目しがちであり、細かい部分はお客様も専門家に任せるというスタンスが主流だと思いますし、それは決しておかしいことではありません。
大切なのは、お客様の専門的な細かい部分は任せるというスタンスをどう捉えるか、お客様から特に指示がなければこれでいいやは極力避けて対応したいと思っています。
今回は以前から気になっっていたバルコニーについて書かせて頂きました。
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