「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

『(改訂保存版)東日本大震災津波詳細地図』

2015-06-26 23:48:37 | 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
土曜、日曜と、沼津市社会福祉協議会から、
沼津市の災害ボランティア・コーディネーター養成講座の講師を頼まれている。

沼津市は、静岡県東部にある人口約20万人の都市だが、
地震防災&津波防災を考える上では、日本でもっともシビアな場所の一つ。
特に三浦(注:「さんうら」と読む。沼津市の沿岸部のうち静浦・内浦・西浦の総称)地区は、
駿河湾の最も奥まった場所に位置しており、津波のメカニズム上の必然なのだが、
波高の高い津波に襲われることが必至な場所。

昨年に引き続いてのボランティア・コーディネーター養成講座であるが、
今回は、国内の防災ボランティア系の一大イベント「静岡図上訓練」でもお世話になっている、
ADRAジャパンのW氏をゲストに招いての2日続けてのセミナーという訳で、
「旅の坊主」としても大変楽しみにしている。

プログラムの中に、「伊豆半島への支援のあり方を考える」というものを予定している。
沼津市の置かれている地理的条件から、己が被災地になると共に、
伊豆半島の入り口に位置しているということから、三島市や御殿場市等々と連携を取りつつ、
伊豆半島内市町への支援の送り込み機能を果たさねばならない。
そのような役割イメージを持たせるのも、重要なテーマとなる。

そのために、ということで、毎度のことながら準備が直前となってしまっているのだが、
東京駅近くの八重洲ブックセンターで伊豆半島全域の地図を購入。
(ちなみにこれから貼り合わせ作業。)

その際、目にとまったのが、標題の本。
(原口強・岩松暉著、古今書院、初版は2011年刊、改訂保存版は2013年刊)

ソフトカバー版の『東日本大震災津波詳細地図』(上下2分冊)は、現地踏査に入る際の必携書。
ボロボロになるまで書き込みをしなくては、というものであるが、まだまだ活かし方が浅い。
恥ずかしながら、箱入り・ハードカバーの保存版が出ていたことを知らず。
12000円+税と、決して安い買い物ではないが、躊躇することなく購入を決定した。

まえがきに曰く、
「本書は津波による浸水域を詳細かつ正確に把握することを目的とし、
青森県下北半島尻屋崎から千葉県房総半島館山市布良までの海岸線沿いの浸水範囲を示したもの」とある。

この種の、時間もお金も人手もかかる地味で基礎的な作業は、
「旅の坊主」のようないい加減な人間には決して出来るものではない。
ただその分、この種の作業に対して、心からの敬意を示すことは決して忘れてはならない、と、
いつも己に言い聞かせているところ。

明日、明後日のセミナーには、直接的には役に立たないが、
でも、この種のホンモノの学者・研究者がいてこその、地域防災論議なのだ、だという話は、
しっかりと伝えておきたい、と思っている。


コメントを投稿