散歩の行き帰り、ちょっと前まで、陶然とするような甘い香りを漂わせておりました。
蜜柑の花、、、
この花を見るたびに、「君よ知るや南の国」って歌いたくなります。
幸いなことに、我が家のアプローチや、岬の町のあちこちに蜜柑の農園がありまして、歌いすぎて喉が枯れてしまいました。。。なんてことはないですよね。
ですから、2012年にも同じタイトルで記事をアップしております。
Connais-tu le pais?
この時の蜜柑の花はこの辺で一番ありふれた、温州。
そして、今日のはレモンの花。
でも、咲いてしまえば同じですね~

我が背子に我が恋ふらくは
奥山の 馬酔木の花の今盛りなり
万葉集 10-1903
貴方のことを想っている私の心は
(人知れぬ)奥山で咲いている馬酔木のように花 真っ盛りなんです
万葉集の表現の一つの素晴らしさが素直さだとすれば、この詩、まさにその通りですよね。
ところで、下世話な話、馬酔木って、いつも迷ってしまいます。このコンピュータの辞書。アセビだと片仮名にしか変換してくれない。でもアシビだと馬酔木って変換してくれるのです。ところが、アセビが今風の読み方らしいのですね。ウィキペディアでもアセビ(馬酔木)って出て来ますし。
私としては、あせびのはなのいまさかりなり なんて読み方はちょっと違和感があるし。
もう一つ、おまけで
磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど
見すべき君が在りと言はなくに
大伯皇女
万葉集 2-166
磯の上に咲いている馬酔木の枝を折ってみたけど
見せたい貴方はもう(この世には)居ないのですね
大伯皇女の弟の大津皇子が謀反の罪で処刑されたのを悲しんで作られた詩なのですね。謀反人の弟のこと、彼の魂が夢の中に訪ねて来てくれたよなんて誰も口にしないのです。
赤とんぼ 羽根を取ったら 唐辛子
というのがあって、これは芭蕉の弟子の其角の句であるって説があるのですね。
おまけに、これに対して、芭蕉が、トンボの羽を毟って、殺したら俳諧の精神にもとるって、
唐辛子 羽をつけたら 赤とんぼ
と直したそうです。
真偽のほどは、チェックしていませんので分かりませんし、私はチェックしないでしょうけど。
ところで、あのねのねのデビュー作が
赤とんぼ 赤とんぼの 羽根を取ったら アブラムシ
アブラムシ アブラムシの 足を取ったら 柿の種
ってのは、よく知られていますよね。
これの全部はご存知ですか?
赤とんぼ 赤とんぼの 羽根を取ったら アブラムシ
アブラムシ アブラムシの 足を取ったら 柿の種
柿の種 柿の種に 足を付けたら アブラムシ
アブラムシ アブラムシに 羽根を付けたら 赤とんぼ
あのねのね あのねのねの あのねを取ったら のね
のね のねに あのねを付けたら あのねのね
あのねのね あのねのねを あんねに変えたら あんねが無ぇ
あんねが無ぇ あんねがなければ できちゃった
できちゃった できちゃったのは 赤ん坊
赤ん坊 赤ん坊に 羽根を付けたら 赤とんぼ
蛇の足
赤いトンボが全部、アカネ(アカトンボ)の仲間とは限りません。
トンボのことは分かりませんので、これがアカネの仲間かどうかは不明。
コノシメトンボの雄かな~って気はしますけど。
ところで、赤とんぼがトウガラシや、柿の種なら
こちらは、なんになるのでしょうか?
塩辛?
まさか

うぐひすの鳴きつる声にさそはれて
花のもとにぞ我は来にける
大江千里
ベッドの中で、ぐ~~っと上体をそらして、八割がとこ目が覚めました。でも後の二割は、ぬくぬくベッドの中でもう少し寝ていたいってダダをこねておりました。
窓からは、鶯が「お茶しようよ」って声をかけてくれています。
しかたありませんね、起き出して、リビングへ。
ベランダの外は、桜が八分。
八分咲きが満開と言うのだそうで、「私が春爛漫よ」って自慢げに微笑んでいました。
私の背後霊さんは木花咲耶姫と固く信じている私としては、背後霊さんが姿を現してくださったなんてことですので、あだやおろそかには、、、、ただただひたすら、平身低頭、心から歓迎の意を表しておりました。
どこかのお坊さんは
願はくは花の下にて春死なん
そのきさらぎの望月のころ
山家集
西行
って、詠んでいますけど、今日は三月三十日、旧暦で言えばニ月の三十日ですね。
この歌に関してはこちらもご参照あれ。
今の代表的な桜である染井吉野は江戸末期から明治初期に広まったもの。西行の時代の桜と言えば山桜ですね。諸説がありますし、それ以上に変種が多いのですけど、山桜はソメイヨシノよりも早く咲く(我が家でも今年はソメイヨシノの開花よりも五日ほど早く散ってしまっていました)ので、きさらぎ(二月)望月(満月=十五日)に満開って言うこともあったのでしょうね。ちなみに西行はこの言葉通り二月十六日に死んでいます。
昔は如月が今以上に桜の花のイメージがあったのでしょうね。
「きらさぎの二十日あまり、南殿の桜の宴せさせたまふ」
源氏物語の花宴の冒頭ですね。(これについてはあまり書きたくありません。なんせ読者の中には、これを研究された方もいらっしゃいますし、変なことを書いて大笑いされると、面白くないのでね)
ついでに、蛇の足、、、、
今は、花と言えば桜を指すって、皆疑いも持ちませんけど、上代は必ずしもそうでなく、梅であることも多かったんですね。
一つだけ、とても残念なこと。
昨夜来、雨が降っており、ベランダのテーブルや椅子は濡れてしまっています。
今でも、お茶しようよって盛んに誘いを掛けてくれている、鶯とお話をしながらベランダでお茶を楽しむってことができなくなっておりますことですね。

そして、蛇の足といえば、ついに昨日恐れていることが起こりました。
チビ太の散歩の帰りに、ついに見ちゃったんです。
例の、「口にしてはいけない、あの怖い存在」 長い虫さんでした。
チビ太の恋人のブログには、もう一週間ほどまえに、「見た」って書かれていたんです。一メートルほどのものだったそうですけど、今回の私のケースではたぶん六十センチくらいかな。でも、凶悪な種類でした。。。。
これまた、春のもつ一面ですね。それも同時に受け入れなければいけないのでしょうけど、
嫌なもんは嫌だ!
昨日から10度近くも下がるって言われていましたが、今朝の4時には室温はまだ17度近く、暖かい朝でした。6時ごろ少し下がりましたが、外では鶯の初鳴き(トップの彼とは関係ありません) 途中の省略もなく、「ほーほけきょ、けきょけきょけきょ」って、綺麗に鳴いておりましたよ。
小雨が降っておりましたので、チビ太に「雨だよ」って言いましたけど、「春雨じゃ」って朝帰り(どこへ??)されました。
春雨にしっぽり濡るる鶯の
羽風に匂う梅が香や
~~~~
小鳥でさえも一筋に
ねぐら定めぬ
気は一つ
私や鶯
主は梅
春雨
蛇の足
「小鳥でさえも一筋に ねぐら定めぬ」っていうのは、小鳥でも塒を定めないから、私も(あなたも)ってことじゃないですからね、、、
「気は一つ」は「私や鶯主は梅」にかかるのですから。ちなみに、梅はだんなで、鶯が遊女。
今日から三月。転げ落ちる時間の早さには、爺はついていけそうもありませぬ。
シルバー川柳のその2です
外来を3日休むと重病説
重病説ならまだいいほうですよ。
私の場合、ブログを一日休むと、「死んだ」って噂が流れてしまう。
その後、世の中に出て行くのがちょっと恥ずかしいんですよ。
今日も、危うく、ブログを休むところでした。。。
こんなんで、いつもの「生存証明」
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
室生犀星
小景異情ーその二 (の一部ね)
そろそろ家に帰らなきゃいけないけど、、、
遠いんだよね~
大変なんだよ
こんな風に体を丸めたら、
宅急便の箱に入らないかな~