ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

仲良し3人組からの年末ご挨拶

2013-12-30 08:24:05 | 日記



この一年間、当ブログにお付き合いを頂き、ありがとうございました。

2012年の11作品に続き、2013年も9作品に登場した「動物村の仲良し3人組」シリ

ーズの面々が年末のご挨拶を申し上げます。


コン太:おいおい、聞いていないぞ。突然の指名は迷惑だよね~。

ポン吉:そうだ、そうだ。どうすりゃいいのか、わかんないよ。

ミミ :でも、一番多く出演させてもらったから、挨拶くらいしないと悪いわ。

コン太:そう言われてみれば、その通りだね。それじゃ~、この一年を振り返って

     印象に残ったことを思い出してみようか。

ポン吉:僕は水の精たちに会ったのが嬉しかったな。去年は「カッパの川太郎」だ

     けだったけど、今年は雪だるまに変身していた「レイニー」。

     そして滝つぼに住んでいる「ナマズの王様」。

コン太:僕は長老の家で会った「フクロウ博士」。言葉を話せる鳥なんて初めてだ。

     鳥といえば、あの巨大な卵から生まれた翼竜の赤ちゃんは、今どうして

     いるのかなあ~。それに「おさわがせ天狗」も忘れられないな。

ミミ :私は「花の精の音楽隊」。とっても可愛かったわ。また会いに行きましょうね。

ポン吉:レイニーに貸したマフラーと帽子が戻ってきて、それが天狗さんの帰り道

     を見つけてくれるなんて思わなかったから、驚いたよ。

コン太:驚くといえば、この間の「幻炎の森」。僕はてっきり山火事だと勘違いし

     ちゃった。山を真っ赤に染めるなんて、人間はすごいものを発明するん

     だね。

ミミ :フクロウ博士と花の精たちは知り合いなのかな?今度聞いてみようかな。

ポン吉:ナマズの王様とは再会を約束したから、春になればきっと会えるね。

     楽しみだな。

コン太:でも絶対に王様を笑わせてはダメだよ。地面が揺れると恐いからね。

ミミ :ひとつ、忘れてるものがあるわよ。

ポン吉:全部思い出したと思うけど、ほかに何かあったっけ?

コン太:え~っと、僕も分からない。

ミミ :ほら、私たちが人間のテレビに映し出されたことよ。忘れちゃったの?

ポン吉:そうだ!「人間の世界に近づきすぎると危険」という警告だと長老が言

     ってたな。

コン太:人間って怖いよね。夜でも森の中を監視できる機械を発明しているんだもの。

     真っ赤な森といい、人間の発明力には恐れ入ったよ。注意しようね。

ミミ :私たちの思い出話はこれくらいにして、そろそろ年末のご挨拶をしましょうよ。

ポン吉:そうだね、今年も僕たちの体験談を読んで頂いてありがとうございました。

コン太:来年は僕たちの体が一段と逞しくなるはずだから、もっと大きな冒険をするぞ。

     そして大人たちの仕事もいっぱい覚えるよ。

ミミ :私もお母さんから「たくさんお手伝いしてね」と言われているの。頼りにされ

     ているから頑張らなくっちゃ。

     それでは最後に声を揃えて、皆さまに年末のご挨拶をしましょうよ。

全員 :来年も週1回の掲載ペースのようです。私たち3人組も何度か登場すると思いま

     すので、どうぞご期待下さい。

     引き続き、ご愛読の程、よろしくお願い申し上げます。


新しい年が皆さまにとって素晴らしい年になりますように。
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七色の虹と白い虹

2013-12-21 17:36:27 | 日記

七色の虹

これも虹かな(?)


娘:今日、学校で白い虹っていうのがあると聞いたけど、本当なの?

父:「虹」というと紫から赤までの七色をした半円の輪を思い浮かべるけど、自然界には

    色のつかない虹もあるんだよ。

    「白虹」と呼ばれて、尾瀬などの高山湿原で見られるね。

娘:どうして虹は空だけに現れるの?

父:虹が見えるのは、人が太陽に背を向けたとき、その人の正面のほうに雨などの水滴

   が空に浮遊していることが条件だよ。太陽光には様々な色が混ざり合っているの

   に、通常それが白く見えるのは光の三原則。

   ほら、全部の光が重なると白くなるって学んだよね。ところが、太陽の光が水滴に

   あたると、構成しているいろいろな色の光が屈折率に応じて分散するのさ。

   それで虹が見えるわけだ。

娘:わかった。水滴がプリズムの役割を果たして光を分散させるのね。

父:そうだ。白虹が見える条件も、自分と太陽と水滴の位置関係でいえば、七色の虹と

   同じだよ。七色の虹ではなく、白い虹が見えるのは、その虹をつくりだす水滴が

   太陽の光を七色の光に分散させないためなんだ。

娘:どうして分散されないの?

父:虹をつくり出す水滴が、七色の虹ができるときよりも小さくて、光の波長とほぼ同じ

   である場合、光はその水滴に対して分散することなく、そのままの白い光で通り抜

   けて散乱するんだ。ちなみに光をつくり出す可視光線の波長は、もっとも短い紫が

   380ナノメートルから450ナノメートル。もっとも長い赤が620ナノメートルから

   750ナノメートルだから、この大きさの水滴だと通り過ぎてしまうんだね。ちなみに、

   ナノメートルとは10億分の1メートルのことだよ。

娘:ナノメートルなんて初耳だけど、具体的にはどんな時に白い虹は出やすいの?

父:七色の虹が見えるときの雨粒よりも、もっと小さい水滴が集まると霧になるよね。

   つまり、水滴の小さい霧のときに、この白虹が出やすくなるわけだ。

娘:今、思いついたんだけど、白い虹と白い雲は関係あるの?

父:雲が白く見えるのも同じ原理だよ。これらの散乱現象は、ドイツの物理学者グスタフ・

   ミー(1869-1957)が研究したことから「ミー散乱」と言われているんだ。

   氷の結晶または水滴の大きさが、可視光線の波長と同程度だと、可視光全体が等

   しく散乱されることによって白く見えるんだ。

   だから、雲は霧の塊と考えれば理解できるかな。

娘:どうして虹はいつも大きな橋のような半円を描いているの?

父:虹は太陽のまわりに丸く作られているんだ。私たちが見ることのできる虹は円の半

   分だね。それは、虹が朝や夕方近くにできるからなのさ。朝は太陽が出て、夕方

   は太陽が沈んでいくので太陽光が斜めに射すから、僕たちの目には太陽の光が半

   分しかとどいていないんだ。虹は太陽が出ている方向の反対側に見ることができ

   ると言ったね。実は、虹は円になっていて、輪になっているんだけど地面がじゃ

   まをしているんだ。すなわち、虹が半分しか見えないのは地平線があるからなん

   だよ。

娘:だから虹はかならず半円でしか見られないのね。

父:いやいや、そうじゃないね。発生条件の難しさからなかなかお目にかかれないけど、

   珍しい虹として上空に円形の虹が見られることがあるよ。だから必ず半円とは限

   らないんだ。ブロッケン現象といって山の頂上などで見られる虹も丸い虹だね。

娘:丸い虹もあるんだ。もっと珍しい形の虹もあるのかな?

父:あるんだよ。1番目は「2重になっている虹」だ。主虹となる虹にもう一つの虹である副

   虹がかかるという一度で二度美味しい虹がある。水滴の中で2回も屈折しているん

   だ。副虹は色が薄く全体的に暗めで、主虹と色の順序が逆になっているよ。

   二番目に「赤虹」といって、地球にかかる大気の層が、青い光をシャットアウトした

   ときに現れる赤い虹だ。主に夕暮れに見られるんだ。

   三番目に「幻日」と言って、ダイヤモンドダストに太陽光が反射してできる虹がある。

   主に寒い土地のよく晴れた日に見られるね。

   四番目に「環水平アーク」と言って、雲が高度約6000mに位置し、太陽の傾きが

   58度から68度くらいの時に発生する炎のような虹がある。

   五番目は「月虹」だ。月の光で生まれる幻想的な虹で、理想的な発生条件は、暴風

   雨が過ぎたあと、満月で雲に遮られていない時にみられるそうだ。

   最後は「過剰虹」だ。1つの虹なのに、七色プラスもう一度七色というように虹の繰り

   返しができていることがあるんだ。

娘:随分いろいろな形の虹があるのね。知らなかったわ。

父:いずれにしても、虹に出会うとなぜか幸せな気分になるよね。これからもよく観察して

   ごらん。

娘:は~い。
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イロハモミジの巨木とアザミの花

2013-12-16 08:07:44 | 日記




山あいの静かな里にある樹齢約300年とされる樹高12m、幹周り3.7mの大きなイロハ

モミジ。その土地の名木に指定されているこの巨木は樹形もよく、秋の紅葉シーズン

には多くの観光客が見学に来ます。

今年の色付きも素晴らしく、人々から賞賛の声があがっています。


モミジ:やれやれ、私がこのようなド派手な衣装に身を包むのは、冬を迎える準備を

     しているだけなのに、なぜ、こんなにたくさんの人間が押し寄せるのかな?

     自分としては命の輝きに満ちた新緑の時の姿が一番美しいと思っているの

     だが。

アザミ:紅葉したあなたの姿は周囲の緑の木立ちの中で、ひときわ目立つからよ。

     これだけ大きくて派手だと、道行く人々の目に止まらないはずはないわ。

モミジ:おや、どこから声がするのかと思ったら、アザミではないか。相変わらず紫色

     の花がめんこいのう。じゃがな、今は11月の下旬だぞ。春から夏に、お前さ

     んの仲間と楽しい話をしてきたけれど、この時期に咲いたりして、大丈夫な

     のか?

アザミ:私たちアザミには100種類近くもの仲間がいるのですよ。それぞれ性格や姿が

     微妙に異なり、花をつける時期も違うの。以前にモミジさんが会ったのは、

     多分、ノアザミじゃないのかな?私はノハラアザミです。はじめまして!

モミジ:ややっこしいの~。私には同じアザミにしか見えないが、寒さに強いアザミも

     いるということなんだな。

アザミ:そうなんですよ。モミジさんは随分長いこと、ここで生きておられるようですね。

モミジ:ああ、もう300年になるかのう。

アザミ:暑さや寒さに耐えながら、そんなに長く生きてきたなんて驚きですね。何か秘訣

     があるのでしょうか?

モミジ:そりゃあ、私なりの工夫があるのさ。今、私の葉は派手な色をしているが、これは

     冬支度。これから葉をどんどん落としていくのじゃ。

     私は葉のない状態で春を待つ・・そうじゃな、ウ~ン、冬眠状態に入るとでも言

     えば、わかりやすいかな?

アザミ:なるほどね。体の大きさがこんなに違うから、冬の過ごし方も違って当然なの

     ね。

モミジ:そういうことだ。

アザミ:今のあなたの姿しか私は知らないのですが、とても美しいと思いますよ。

     毎日、葉の色が変化していくのを、私はうっとりと眺めているのです。

     私には出来ないことなので、羨ましくてなりません。

モミジ:そうかい。まあ、ここにたくさんの人々が来て、この村が少しでも豊かになれ

     ば住民は喜ぶし、この地域も保全されるから、私も更に長生きできるという

     ことだな。

     小さな体のお前さんは何か役に立つことをしているのかい?

アザミ:私の葉や根には利尿、止血、解毒などの薬効があって、人間の命を守ってきた

     歴史があるんですよ。知らなかったでしょ。

モミジ:そ~か、お前たちも人間の役に立っておるんじゃな。おやおや、また次の見物客

     がやって来たぞ。今度は団体さんだ。私の大切な枝を折られるのではないかと

     心配でしょうがない。根っこの部分をあまり踏み荒らさないでくれよな。

     あまり痛めつけられると寿命が縮むでな。

アザミ:そうですね。実は結構、私も人気者なんですが、田んぼの畦から高い山まで私

     たちの仲間が広く分布していて、咲いている期間も長いので、特に大切にし

     たい花とは認識されないみたい。それが残念なんですよ。

モミジ:そうなのかい。観光客がいなくなったら、その話の続きをしようではないか。

     しばらくは人間たちにサービスしてやるとするか。

アザミ:はい、また後ほど、ゆっくりとお話しましょうね。


大きなモミジと小さなアザミは客足が途絶えるたびに、できるだけたくさんのお話をし

ました。こうして会話ができるのも、あと僅かな日々だということを、お互いにちゃんと

わかっていたからです。
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幻炎の森

2013-12-09 08:03:11 | 日記






動物村を囲む木々が紅葉の最盛期を迎えていたある日のことです。長老からフクロウ

博士が来ているから集まれとの連絡があり、仲良し3人組はいそいそと長老の家に向か

いました。


ミミ :フクロウ博士はいつも珍しい話をしてくれるから楽しみね。急いで行きましょう。

ポン吉:長老さえ知らない話が聞けるんだぜ。絶対面白いよ。

コン太:急いで来いと言っていたから、何か特別な話かもしれないね。楽しみだな。


仲良し3人組が長老の家に着くと、フクロウ博士と長老が珍しく大きな声で話していま

す。どうやら言い争いをしているようです。


ミミ :長老、フクロウ博士とはお友達でしょう。喧嘩はダメよ。

ポン吉:そうだよ。僕たちに喧嘩を見せたくて呼んだわけじゃないんだろう?

コン太:長老はいつも僕たちに仲良くしろって言っているじゃないか。

長老 :ハッハッハ、ゴメン、ゴメン。喧嘩じゃなくて、あまりにも信じられない話だ

     から、それは作り話だろうって問い詰めていたんじゃよ。

博士 :お~、仲良し3人組よ、よく来てくれた。私は事実を話しているのに、長老は

     どうしても信じてくれないんだよ。そこで君たちにも聞いてもらおうと思って、

     呼んでもらったのさ。


フクロウ博士の話は確かに信じられないものでした。ここから遠くない人間の住む山に

は、夜になると山全体が火事のように燃えているのに、人間たちがその炎の中を楽しそ

うに歩いている場所があるというのです。

火の中を歩けるなんて、とても考えられません。


博士 :私も山火事は怖いので遠くから見ただけなのだが、不思議なことに熱くないし、

     煙も出ていない。火の粉も飛んで来ないし、木が燃える時の音も匂いもしない

     んだ。だけど、森の中は本当に真っ赤なんだよ。不思議だろう?

長老 :熱くない山火事なんてあるものか、信じろという方が無理じゃよ。

コン太:そこは遠いの?本当かどうかは、行ってみればわかるんじゃないの?

ポン吉:僕も行く。人間のように僕も火事の中を歩いてみたいな。

ミミ :私は怖い。でも長老やフクロウ博士が一緒なら行けるわ。

博士 :隣の山の裏側だから遠くではないぞ。私が道案内をしよう。人間たちの様子に

     ついても私が責任を持って見張ることにするよ。


こうして全員で不思議な火の山を目指して歩き始めました。山歩きはお手の物です。

フクロウ博士の的確な案内で思ったよりも速く、目的の山にたどり着きました。

そして山の裏側に回った時、そこには信じられない光景が広がっていたのです。山全体

が真っ赤に燃え上がっているではありませんか!

恐怖で仲良し3人組はブルブルと身震いをしました。


ミミ :大変、山火事だ!早く帰って皆に知らせなくっちゃ。

長老 :ちょっと待ちなさい。フクロウ博士の言う通り、熱くないし、燃える匂いや

     パチパチという音もしていないぞ。もう少し近づいて見よう。

博士 :どうだ、作り話ではないだろ?私もここから先は怖くて近づけなかったんだ。

ポン吉:本当に静かだね。でも森の中は真っ赤に燃えている。もう少し近づくと熱く感

     じるのかも知れないよ。

コン太:僕は足が速いから偵察してくるよ。熱く感じたら直ぐに引き返すから待ってて。


暫くすると、コン太が興奮した足取りで戻って来て「火の中は熱くないぞ!」と言いまし

た。そこで、全員がコン太の後ろについて行きました。そして、恐る恐る森の中に足を踏

み入れたところ、赤い火の中は全く熱くなんかなくて、幻想的な色に染まった木々がこの

世のものとは思えないほど美しく、あかあかと照り輝いていたのです。


ミミ :まあ~きれい。これが火の中なの?信じられないな。もっと歩きましょう。

長老 :フクロウ博士よ、あなたが正しかった。だが、これは火事ではないぞ。人間は夜

     になると周りが見えなくなるので、灯りというものを発明して、夜になるとそ

     れを使っているそうだ。その灯りで紅葉した木々を照らしているのじゃな。

博士 :火事ではなかったのか。スマン、スマン。私の早とちりだったな。人間が灯りを

     使うことは私も知っておったが、紅葉した木々に灯りを照らすと、火事と見間

     違うような燃える赤色になるとは知らなかったよ。

ポン吉:灯りのことは僕たちにはわからないけど、危険なものではないようだね。

コン太:僕たちが知っている森とは全く違う景色だ。うっとりしちゃうよ。

長老 :あんまり奥には行くなよ。人間たちがこの景色を見ながら歩いているようだ。

     ばったりと出くわす前に、そろそろ退散したほうがいいぞ。

ミミ :もう帰っちゃうの?真っ赤な森って素敵だわ。もうちょっとだけイイでしょ。

ポン吉:この場所のこと、友達にも教えてあげていいかな?

コン太:僕もお父さんとお母さんに教えてあげよ~っと。

長老 :それはダメじゃ。ここは人間の住む地域で危険がいっぱいだ。

     私たちだけの秘密にしておこう。わかったな。

3人組:は~い。分かりました。約束します。


こうして、3人組は森を灯りで照らして楽しむという人間たちの不思議な行動を初めて知

ったのです。火事ではなくて本当に良かったね。
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モミジとサクラ

2013-12-02 08:08:29 | 日記





モミジ:太陽が出てきたぞ。今日はいいお天気になりそうだ。

サクラ:モミジさん、オハヨ~。だんだん夜が長くなって、冷え込みも厳しいわね。

モミジ:うん、この寒さが僕を輝かせてくれるんだ。冬になる前のほんのひとときだけど

     ね。

サクラ:そうね。ここのところ、あなたの葉っぱがどんどんきれいな色になっていくわ。

モミジ:きれいだろ。僕は秋の主役だからね。

サクラ:あら、私だって1年のうちで一番輝きを増すのは、この時期なのよ。

モミジ:そこが、どうも変なんだよな。サクラが花を咲かせるのは春だぞ。

     それなのに、どうして君は今、咲いているんだい?

サクラ:私は「四季桜」。満開になるのは11月上旬から下旬で春には控えめに咲くのよ。

     私以外にも「不断桜」「十月桜」「コブク桜」「冬桜」など、春だけではなくて、

     秋から冬にかけても花を咲かせる仲間がいるの。

モミジ:へ~ェ、そうなのか。知らなかったな。僕たちがいるこの里山には君の仲間が随

     分たくさんいるよね。

サクラ:ええ、1,200本ほどいるわ。村全体では10,000本なの。村人たちがとても大切

     にしてくれているのよ。

モミジ:そんなに?だから、秋の主役は僕のはずなのに、ちょっと違うような気がしてた

     んだよ。君たちに負けちゃってるのかな。何だか悔しいぞ。


観光客:キレイね~。紅葉と桜のコラボレーションって、他の紅葉名所では、そうそう見ら

     れるものじゃないわよね。しかも、この山にはびっくりするくらいたくさんの桜

     が咲いていて、雪山かしら?と思うほどよね。その中にある紅葉が、これまた

     きれいだこと!お互いが引き立て合って素晴らしいわ~。なんだか夢の中にい

     るみたいよ。


サクラ:ネェ、今の声、聞いた?

モミジ:聞いたよ。「お互いに引き立て合って、素晴らしい」って言ったね。

サクラ:私たちは、そういう関係らしいわ。それぞれが主役で、さらにお互いの相乗効果

     で人間たちが「夢の中にいるみたい」なんて言ってくれるのよ。

     嬉しいじゃないの。

モミジ:そういう事か。君たちと一緒にいられることに感謝すべきだったんだ。

     負けちゃってるみたいで悔しいと言ったけど、撤回するよ。

サクラ:そうね、お互いに精一杯輝いて、観光客たちにモミジとサクラの競演を心ゆく

     まで楽しんでもらいましょうよ。  

(愛知県豊田市小原地区・川見四季桜の里にて)
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