ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:どっこい生きている陸稲米

2021-06-24 08:19:34 | 日記

 

陸稲(おかぼ/りくとう)米をご存知ですか?稲作といえば水稲(すいとう)と呼ばれる

水田でコメ作りをするイメージだと思いますが、実は陸稲という畑でコメ作りをする方法

があります。これが陸稲米です。水稲では苗作り、水張り、田植えと複雑な作業が必要で

すが、陸稲は畑に種まきの溝を掘り、種を播き覆土するだけですから簡単です。しかし、

こんなに大きなメリットがあっても、国内では水稲耕作のコメの収穫量3000に対して、陸

稲耕作は1という収穫量の差があります。当然作付面積も比例して差があります。どんな

品種の稲も、どちらの耕作方法でもおコメはできますが、現在は品種改良が進んで耕作方

法に合った稲を使い分けています。現在、国内で本格的に陸稲耕作しているのは茨城県

(国内シェア70%以上)と栃木県ぐらいで、レアな耕作方法になってしまいましたが、こ

だわりのコメ作りとして今でも行われています。

 

<世界のコメ作り>

水稲耕作は川の水と雨量が豊富な日本に適しています。しかし、海外に目を向けるとアジ

ア・アフリカを中心に、雨水に頼ってイネを栽培する天水田(てんすいでん)耕作が多く

存在しています。その総面積は、日本の作付面積の約14倍。例えばタイの水田の85%が天

水田です。これらの地域では干ばつが起きると、イネの収量が日本の平均収穫量の1/4程度

に留まってしまいます。又、洪水によって畑地になる洪水常発稲耕作もあります。陸稲耕

作は水稲耕作に比べて収穫量は少ないですが、干ばつの環境に強く、病気にも強いと言わ

れています。世界の中には陸稲耕作しかできない水の乏しい国が多くあります。世界全体

では、水稲が稲作全体の 56.9% を占め、同じく天水田稲が30.9%、陸稲が 9.4%、および

洪水常発地稲が 2.8%の報告があります。

 

<国内で水稲栽培が主流となった背景>

岡山県にある「朝寝鼻(あさねばな)貝塚」から縄文時代中期の稲の細胞化石が発見された

ことから、稲作は今から約6000年前からあったと推定されています。また、青森県田舎館村

にある「垂柳(たれやなぎ)遺跡」からは、日本最古の陸稲の祖先の炭化米が出土し、これ

が陸稲づくりの始まりといわれています。現在の国内は水稲耕作が主流ですが、その理由は、

①水稲に適した稲の品種改良が進み、耕作する治水技術も向上した。②水が豊富で、干ばつ

の心配が少ない。③稲の生長が早く、大きく、そして収穫量も多い。④機械化で省力化が進

んだ。⑤陸稲米より美味しい。これに対して、陸稲が衰退した背景は、①国内のコメ余り現

象が最大の要因(水稲のコメだけで賄える)です。他には、②畑は水はけが良くバランスの

とれた土壌など、栽培に適した畑には制約がある。③畑に直接種籾をまいて育てるので、手

間がかからないが、稲の生長は遅く収穫量も少ない。④雑草の除草作業が重労働。⑤連作障

害がある。➅同じ耕作面積なら稲より麦の方が高収入とか?

こんな背景から、昔はどの県でもやっていた陸稲耕作はどんどん姿を消していきました。

 

<水稲に向いた稲そして陸稲に向いた稲>

水稲と陸稲は、栽培される稲の種類がそれぞれ異なります。

(1)水稲:日常的によく食べられている「うるち米」を中心に作られている

      代表的な品種:「コシヒカリ」「あきたこまち」「ゆめぴりか」「ササニシキ」

(2)陸稲:粘り気のある「もち米」が中心。お餅、赤飯の他に、あられ、おかきなど、

      米菓の原料としても利用されています。

代表的な品種:「トヨハタモチ」「ゆめのはたもち」「ひたちはたもち」

     ※もち米は水稲耕作でも収穫されています。こちらの方が耕作面積は大きい。

 

<陸稲耕作がもち米に適している理由>

陸稲でもうるち米ともち米の両方を栽培できますが、うるち米の稲を陸稲で栽培するとパサ

パサしたコメであまり美味しくないそうです。それに反して、もち米は水稲栽培よりも、陸

稲栽培の方がおいしいそうです。他にも、うるち米ができるイネの花粉がくっつくと、ふつ

うのうるち米が実ってしまいます。そうすると、もち米としての品質が落ちてしまいます。

そのため、もち米を作るときは、他のうるち米品種の花粉が混ざらないように一部の地域に

集団で大規模に栽培することになります。水稲栽培が主流の国内では陸稲栽培は肩身が狭い

です。これも衰退の要因でしょうね。

 

<うるち米ともち米の違い>

うるち米ともち米はデンプンの組成と性質が異なっています。うるち米は透明な粒ですが、

もち米は不透明な白色をしています。デンプンの組成はうるち米の場合は直鎖のアミロース

を15~20%含み、残りはアミロペクチンですが、もち米はすべてアミロペクチンです。尚、

栄養学的にはあまり差がないそうです。

 

<ネリカ米を覚えていられるでしょうか>

過酷なアフリカの環境で育つ強いアフリカ稲と豊産性を特徴としたアジア稲を交配させて、

アフリカの食糧難を乗り越えるために生み出された救世主な品種で、 New rice for Africaか

らNERICA、通称ネリカ米と呼ばれます。日本が多くの開発資金を拠出し、技術者も派遣し

て育種した陸稲米です。日本の一般的に食べるお米の倍以上のサイズです。 長細いですが、

インディカ種とは若干違う外見です(インディカより太い) 日本のお米のように甘みがあ

ります。 インディカ米のようなパサッとした感じではないですが、麦ごはんのようなパフ

っとした食感があるのが特徴です。現在は水稲向けのネリカ米も育種され普及しています。

先日、アフリカの子供たちがネリカ米の収穫を手伝う体験学習の様子が放映されました。

※インディカ米は生産量が世界の80%を占めるもっともポピュラーなお米。日本のお米は

 ジャポニカ種、日本ではほぼ100%を占めるものの、世界でのシェアは15%ほど。

 

国内では茨城県だけと言っても過言ではない陸稲耕作によるコメ作りを取り上げました。こ

の陸稲米に向いた品種改良技術がネリカ米を誕生させました。水稲耕作ができない傾斜地で

も耕作ができるのが強みです。大きく地球環境が変化している現在、復権する機会が出てく

るのではないかと思います。応援してくださいね。

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茨城味自慢:坂東市の「レタス」をご賞味あれ!

2021-06-14 08:08:41 | 日記

レタスの生育には涼しい気候が適しており、夏は長野県などの高冷地、春の3~5月、秋の9月~11月

は茨城県を中心とした平野部、冬は四国や九州などの暖地というように、季節ごとに栽培に適した産

地へ日本一の生産量が移り変わることをご存知でしたか。レタスといえば、高原野菜の長野県だとす

ぐに思い浮かぶ方が多いでしょうね。確かに年間を通した生産量日本一は長野県なのですが、春と秋

の2回収穫できる茨城県が、この2つの季節では日本一なのです。四季を通じても茨城県は長野県に次

いで全国2位の生産地です。

 

県内での圧倒的な作付面積を誇るレタスの産地は南西部に位置する坂東市です。利根川が流れ、南が

千葉県・野田市に接するこの地は、猿島大地と呼ばれる平坦な土地で、年間を通して比較的温暖な気

候です。レタス栽培を行っている地域は、比較的土地が高いことで水がたまりにくく、適度な水分を

保てることがレタス栽培に適しているといいます。昭和33年に利根川に芽吹大橋ができ、こんにゃく

や葉たばこの栽培が多かったのが、レタスを筆頭にねぎやトマトなど、野菜の生産農家が格段に増え

ました。首都圏へ新鮮なうちに届けることができるのに最適な立地となった坂東市のレタスは、橋の

登場とは切っても切れない関係にあるのです。

 

レタスといえば玉レタスが一般的ですが、地中海沿岸から西アジアを原産地とするレタスは、もとも

とは丸く結球しておらず、サニーレタスのような葉レタスでした。玉レタスは江戸時代末期に欧米か

ら渡来したといわれ、本格的な栽培が始まったのは明治時代以降のこと。現在のようにサラダの主役

として定着したのは第二次世界大戦以降です。レタスの和名の「ちしゃ」は「乳草(ちさ)」からき

ているといわれています。ヘタの切り口から出る白い乳液が名前の由来になっているのです。

 

<県内屈指のレタス産地が生む自信作>

生産過程では有機質豊富な専用肥料を使い、健全土づくりにこだわり、高い品質を追求。さらに、栽

培の管理・記録を徹底しているので、安心して食べられます。収穫直後に5℃前後まで冷やし、鮮度

を保ったまま出荷するのも、こだわりのひとつ。こうした日頃の努力が認められ、品質や安全性など、

厳しい基準をクリアした産地にあたえられる「茨城県青果物銘柄産地」の指定を受けています。丹精

込めて作られたレタスが今年も美味しい。

 

<レタスの豆知識>

1.レタスは、セルトレイに種を撒き、育った苗を畑に植えて、およそ40日~90日で収穫となります。

  レタスはデリケートな植物で、特に畑に根が張るまでの期間は非常に弱く、天候に左右されやす

  いのです。レタスには丸い形をした「玉レタス」と、丸くならない「葉レタス」があります。

   また、さまざまな改良が行われ、たくさんの品種が出回っています。

2.レタスの栄養素

全体の約95%が水分ですが、ビタミンC、E、カロテン、カリウム、カルシウム、食物繊維などをバラ

ンスよく含みます。レタスはサラダなどでそのまま食べられますので、栄養分を損なうことなく摂取

することができます。

新鮮なレタスの茎の部分をカットしてみると乳白色の液体が出てきます。この液体はサポニン様物質

というもので、食欲を増進し肝臓や腎臓の働きを高めます。サポニンに含まれるラクツカリウムには、

鎮静・催眠効果があると言われイライラを鎮め、リラックス効果を高めるので、ストレスがたまって

いる人におすすめです。

3.選び方のポイント、調理のコツ、保存方法

①レタスの選び方

直売所やスーパー等でレタスを購入する際に、ぜひ知っておきたい、おいしいレタスの選び方は

「ある程度重みのあるもので、切り口が大きすぎないものが良い。切り口の大きさの目安は100円玉

くらいですね。」とレタス農家の方の言葉です。

②調理のポイント

レタスは鉄の包丁で切ると切り口が茶色くなり苦味も強くなるので、変色を防ぐには必ず手でちぎ

って使いましょう。手でちぎると断面が粗くなり、ドレッシングが絡みやすくなります。そして、

切った後、しばらく冷水につけます。水気を切って冷蔵庫に入れておくと、しゃきっとした食感で

見た目もよくなります。また水気をしっかりと切ることで、ドレッシングが絡みやすくなります。

更に、レタスはカルシウムを多く含みます。油とともに食べることでカロテンやビタミンEの吸収

率がアップするので、加熱調理もおすすめです。しんなりしてかさが減ることで、食物繊維もた

っぷり摂れます。

4.保存方法

レタスは全体を洗うと中から腐りやすいので、外側から葉をはがして使います。保存するときは

乾燥を防ぐために、ラップで包むかビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。

 

広大な畑で育ったレタスは、品質・おいしさ・新鮮さともに満点。甘くて、みずみずしく、歯ざわ

りが良いと好評です。欧米では、サラダなど生食での利用が多いが、中国では加熱調理が多く、

沖縄でも味噌汁の具材として使われることもあるそうだ。

生食のサラダも美味しいが、加熱することによって独特の苦味が弱まると共に旨味が増すらしい。

加熱しすぎると溶けてしまうため、サッと火を通して、独特のシャキシャキ感を味わうのがレタス

通だ。坂東市では玉レタス以外にも、葉レタス類も栽培されています。

 

新鮮なレタスをほうばるときのパリパリッとした食感は、どんな野菜にも勝るとも劣らない、おい

しい音を供してくれます。是非、坂東市のレタスを食卓へ!

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茨城味自慢:鹿行(ろっこう)のみず菜をご賞味あれ!

2021-06-03 08:20:37 | 日記

鍋やサラダに欠かせないシャキシャキ食感のみず菜は、京菜とも呼ばれ京都の野菜のイメージ

が強いですが、生産地としては茨城県がシェア50パーセント近くを占めるぶっちぎりの日本一

なのです(2位は福岡県、7.5%)。その名の通り、栽培にはキレイな清流を必要とするみず菜は、

県内の鹿行地区という、霞ヶ浦と北浦に挟まれた水の豊かな地域を中心に栽培されています。

鹿行のみず菜は食感がやわらかく、クセがほとんどないのが特徴。皆さんが毎日食べているサラ

ダのみず菜も、きっと茨城県産ですよ。

 

<名バイプレイヤー「みず菜」>

京野菜として古くから鍋や漬け物、おばんざいの定番野菜として関西地方で親しまれてきたみず

菜は、2000年代に入ってからみず菜サラダブームに乗って一気に全国に広まりました。英語でも

「mizuna」と呼ばれる日本独特の野菜です。シャキシャキとした他の野菜にはない歯ごたえに、

アクのない味、また純白の茎に切れ込みの深い葉は見た目にも美しく料理をひきたててくれます。

小さい物はサラダ用として、また大きなものは一株で3〜4キロにもなり、鍋に重宝します。保存

があまり利かないので、収穫してすぐに食べられる家庭菜園としてはおすすめです。栽培期間は

短く、プランターや小さな容器でも栽培できるのでぜひ挑戦してみましょう。

 

<みず菜の栽培>

茨城県では1990年代に鹿行地域で栽培が始まりました。当時は冬のみの露地栽培が主でしたが、

ハウスを導入し周年栽培を可能にしました。のちに大手食品メーカーのサラダCMの影響もあり、

みず菜ブームを巻き起こして一躍大生産地となりました。今でも生産地として不動の地位を築い

ています。この地域のみず菜は早獲りを徹底しており、収穫したみず菜は保冷庫で鮮度を保った

まま、その日のうちに市場へ届けられます。

 

<みず菜の豆知識>

(1)美肌成分がすごい!
「β-カロテン」:β-カロテンには皮膚の粘膜形成を助け、乾燥を増長させる“肌の角質化”を

         セーブする働きがある。

「ビタミンC」:ビタミンCは肌のハリや弾力を保つコラーゲンの生成を促し、さらに、メラ

        ニンの生成を抑制する美白効果まで期待できる。

「鉄分」:鉄分や葉酸も豊富です。しかも水菜には鉄分の吸収率を高めるビタミンCも豊富に

     含まれているので、さらに効率的に鉄分を摂取することができる。

「ポリフェノール」:酵素を活性化して肌の新陳代謝を活発にするポリフェノールも含まれている。

(2)選び方

葉の緑色が鮮やかで先までピンとまっすぐなものを選ぶこと。水耕栽培は、株が小さく味も薄い

です。露地栽培は、茎がしっかりとしていて全体に量感があり、風味も強いです。いずれの栽培

も、茎に傷などのない白くつややかなものが良いです。

(3)保存方法

葉先を乾燥させないように、新聞紙に包んでからビニール袋に入れ、野菜室で2~3日間保存で

きます。それでも、みず菜は育ちすぎると苦くなる野菜ですよ。

(4)雑学情報

①サラダなど生食にする場合は、きざんでから軽く塩もみしてみましょう。少ししんなりして、

  食感がよくなります。

②「壬生(みぶ)菜」をご存知ですか?みず菜から分かれた品種(みず菜の突然変異で葉が丸い

  もの)で、現在ではミブナとして種も確立しています。京都の壬生付近が原産です。地元の

  人はもちろん観光客にも人気のある漬物「千枚漬け」にも添えられています。みず菜よりも

  クセがあり、葉は軟らかいです。浅漬けにおすすめです。

(5)水菜にはいくつか品種がある。よくスーパーで見かける水菜は「サラダ水菜」と呼ばれ、

   生で食べやすく改良された若獲りする早生種だ。一方、昔からある在来種は「千筋京水菜」

   とも呼ばれる大株の晩生種。生だと苦みがあるため加熱調理や漬物向けだ。そのほか、軸が

   紫色の「赤水菜」や葉が紫色の「紫水菜」といったものもある。年中食べられる水菜だが、

   実や野菜に珍しく冬が旬。店頭に水菜がたくさん並べばいよいよ冬本番と思ってよいだろう。

<鹿行のみず菜を使った料理>

みず菜の料理といえばクセもなくさまざまな料理に彩りを添える万能野菜です。しかし、定番の鍋

料理やサラダ以外の食べ方はあまり知られていないのが現状です。そこで、鹿行ではみず菜のピザ

やスムージーなどのオリジナルレシピの開発に取り組んでいます。大手レシピサイトcookpadにて

公開されていますので、ぜひ御覧ください。

 

<水菜のオススメの調理法は?>


「火を通しすぎないこと」:水菜に含まれるビタミンCは熱に弱いので、炒めたり煮たりするとき

    はできるだけ短時間で仕上げるようにしましょう。また、熱をいっさい通さずに、ドレッ

    シングをかけてそのままサラダ感覚で食べるのもおすすめです。β-カロテンは油と一緒に

    摂取すると吸収率が高まるので、オイルを含むドレッシングと相性が良いです。

「スープまで飲めるように調理する」:水菜に含まれているビタミンCは水に溶け出す水溶性です。

    鍋やスープに水菜を入れた場合は、具だけでなく汁まで飲むと良いでしょう。ただし、塩分

    の摂りすぎにならないようにしてください。

「酸っぱいものと混ぜる」:鉄分は、レモンなどの柑橘類や梅干しに含まれるクエン酸と一緒に摂取

    すると吸収率が高まります。レモン、オイル、お醤油をミックスしたドレッシングをかけたり、

    つぶした梅干とあえてみたりしてもおいしい。

 

早獲りでみずみずしさと食感が命の水菜、直売所で購入するものはやはり一味違いますよ。是非、鹿行

の新鮮なみず菜をご賞味あれ!

 

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