ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:ひたちなか市の「鹿島たこ」をご賞味あれ!

2021-11-29 12:53:36 | 日記

茨城県はタコの加工量が日本一!特に、ひたちなか市内にある那珂湊水産加工団地には、

多くのタコ加工会社が立ち並び、ここから全国各地、世界各国に「蒸したこ」や「酢た

こ」といったタコの製品が届けられています。加工原料のタコの入手はその生産量の多

さから国内外からやってきます。今回ご紹介するのは入手先の一つである、茨城県の鹿

島灘で漁獲されるマダコです。ブランド名は「鹿島たこ」。お正月には大変もてはやさ

れて珍重されています。何といっても、加工団地と漁獲地が一体のエリアにありますか

ら、鮮度バツグンの原料であることです。タコ加工品としては「蒸したこ」がお薦めで

す。たいへん肉厚で歯ごたえがあり、貝やエビを食べて育っているため、甘味が豊かな

のです。ですから、コクのある味が噛めば噛むほど染み出てきます。タコを好む日本人

の食を支えているのは、タコの加工団地を有するひたちなか市なのです。

 

<蒸したこの秘密>
ひたちなか市の観光協会推奨土産品にもなっているのが「蒸したこ」。タコといえば、

一般的には茹でて食べることが多いですが、直接水に浸ける「茹でる」という工程は、

実は、茹で汁の中にタコのうま味を逃がしてしまう面もあります。それに対して、ひ

たちなか市のタコ加工会社では、茹で汁に浸けず、タコのうま味をなるべく逃さない

よう、「蒸し」の工程を主とすることで美味しいタコを製造しているのです。ひたち

なか市で作られるタコ製品の秘密は、この「蒸す」ことへのこだわりにあるのです。

 

<タコ漁について>

11月下旬から2月という冬季の非常に限られた期間しか獲れない鹿島たこ。漁場までは

約20分。沖合8~10キロメートル、水深約20m~30mが鹿島たこの漁場で、伝統の「タ

コツボ漁」で行います。1つ4~5kgのタコツボを、漁場1箇所につき60個~70個仕掛け

て、一晩から数晩、タコが入るのを待ちます。タコツボの仕掛けの目印は、水面に立つ

竹とそこに付けた旗。タコツボの回収は風が穏やかであれば、1日10箇所以上で行われ

ます。タコツボ回収は、目印の竹をたぐり寄せてから、機械と手でタコツボを引き上げ

ていきます。回収は、リレー形式。まず一人目がツボを引き上げ二人目にパス。二人目

がタコが入っているかを確認し、三人目にパス。三人目は、この作業後に再びタコツボ

をスムーズに海に入れることができるよう、ツボと縄の位置を調整しながら、ツボを船

上に並べて置いていきます。後はタコが自分で出てきたところを捕まえたり、ツボに濃

い塩水をかけて追い出して、船上の生簀に保管していきます。これはタコに傷をつけな

いための工夫です。

 

<タコの豆知識>

1.食用のタコといえば、マダコ、ミズダコ、イイダコですね。

①マダコ:日本で食べられているタコのうち8割を占めています。体長は60㎝ほどで、

     沿岸の岩場や砂場などが住み家。調理法は刺身、寿司や煮物といったものに

     加え、シーフードスパゲティなどの具にもなります。

②ミズダコ:体長3mにもなる最大のタコ。生息域は水深が100~200mの比較的深い

     場所。近年ミズダコの漁獲量が減少していっており、輸入物が増えている。

     身が柔らかいため、刺身、しゃぶしゃぶなどに適しています。

③イイダコ:タコの中では小ぶりで体長は約30cm程度。水深10mほどの砂場に潜み甲

     殻類を主食としています。茹でてから刺身や酢の物にすると美味です。

2.マダコの国内漁獲量は国内消費量の1/4ほどしかなく、3/4はモーリタニア、モロッ

  コなどのアフリカ北西部からの輸入です。国内でのタコ類の漁獲量日本一(2019年)

  は北海道で、全国シェアは断トツの66.4%、2位の兵庫県3.6%、3位青森県の3.5%

  で国内漁獲量の約74%を占めています。

3.タコは、8本の足のうち、何本の足を使って歩くのか?

  タコは、8本の足のうち、海底を歩くときに使うのは、主に後ろの二本だけなので

  す。残りの6本はというと…餌をとったり、興味のあるものに触ってみたりと、ヒ

  トの手のように使います。

4.鹿島灘で漁獲されるタコといえば,「マダコ」と「ミズダコ」です。

  ミズダコとは、茨城ではヤナギダコとミズダコを総称した呼び名で、底びき網漁で

  獲られており、日立市ではさくらダコと称して市のさかなに選定しています。

 

<タコの栄養価と効能>

タコの特徴はタウリンをたっぷり含んでいて、血圧やコレステロール値を下げるので、

高血圧や血管障害を防ぐほか、肝機能を高めてコレステロールが原因となる胆石病を

改善します。またナイアシンは食欲減退、冷え性を改善し、ビタミンEは心臓病や脳梗

塞、ガンを予防します。加えて、ビタミンB2、そして亜鉛、などのミネラル成分

が豊富です。

 

<ひたちなか市のタコ文化>

ひたちなか市はタコ加工生産で日本一ですから、タコへの思い入れは強く、街の中には

タコにまつわる施設やモニュメントが目に付きます。

1.8月8日は「タコの日」:ひたちなか市では、8月8日を「タコの日」と定めています。

   さらに、10月10日は「とと(魚)の日」で、毎月10日は「魚を食べる日」と定め

   ています。この日に訪れた際は、特にタコや魚を食べたいところです。

2.タコ日本一宣言(書籍):地元商工会議所がタコの本を出しています。その名も、

   「タコ日本一宣言 : 魚のおいしいまちづくりへの挑戦」。タコに関する様々な情

   報が詰まっている必見の一冊。市民の手で、タコの歌「愛しのキューバンボーイ」

   のCDも制作しました。

3.立ち寄りたいタコスポット

①あ印:タコ加工会社の中でもその先駆的な会社が「あ印」です。エントランスには、

    様々なタコの漁具が飾ってあり、たこ博士の像が出迎えてくれます。2 階には

    直売所があり、工場で製造している商品を購入することができます。

②那珂湊おさかな市場:年間100万人以上が訪れるひたちなか市のお魚スポット「那珂

      湊おさかな市場」。魚屋特有の威勢の良い声が響き渡り、多くの買い物客

      で賑わいます。市場には、おいしい生タコや蒸しタコ、酢タコなどが売ら

      れています。那珂湊に来たのならタコなどの魚介類は、お土産におススメ

      です。

③那珂湊漁協加工直売所・魚食楽(さくら):那珂湊おさかな市場の対岸にあります。

      ここでは漁師めしをお手頃価格で味わえます。そこで売られている「たこ

      飯」はその中の名物の1つ。さらに、ここで売られている「那珂湊焼きそ

      ば」にはタコが入っており、茹でた地ダコが売られています。

④たこ焼きフェス:毎年8月、世界の料理とコラボしたたこ焼きなど、様々なアレンジ

      たこ焼きを食べることができます。(今年は延期)

 

お薦めの一品に、「みなとの多幸めし」があります。那珂湊漁港などで水揚げの鹿島タコ

を使用した縁起のいい「たこ→多幸」のネーミングのお弁当。時間をかけじっくり煮込ん

だやわらか~いタコ足と、その煮汁で炊き込んだ県産米の蛸加薬ご飯や、那珂川鮭、地元

野菜などとの絶妙なハーモニーがいいです。

是非、このお弁当をご賞味あれ!

 

<蛇足ですけど・・・>

タコと言えば、兵庫県の明石ダコが有名ですが、真冬の荒波にその身を揉まれて育った鹿

島ダコ の方が、肉厚でしっかりとした歯ごたえがある、と言われているのですよ。

 

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茨城味自慢:鹿行の「さつまいも」には先端技術が生きている

2021-11-18 08:27:26 | 日記

「農業総産出額」という言葉をご存知でしょうか。農業総産出額とは、農家の人が

稲作や、野菜栽培、果実栽培、畜産などの農業生産によって得られた農畜産物と、

その農畜産物を原料として作られた加工農産物を販売した売上額のことです。2019

年の日本の農業総産出額は88,938憶円でした。農業の部門別の順位は、1位 野菜

21,515憶円)、2位 米(17,426憶円)、3位 果実(8,399憶円)、4位 肉用牛

7,880憶円)、5位 生乳(7,628憶円)です。

 

茨城県は農業総産出額が1位の野菜部門の中の「さつまいも(かんしょ)」の部で全

国第1位、26%のシェアを誇ります。作付面積・生産量でも、全国第2位の大産地です。

生産量が2位で、総産出額が1位ということは、生産量1位の県よりも高い付加価値の

あるさつまいもの栽培と、さつまいもの加工品の生産がなされているということにな

ります。今回は茨城県の高質な「さつまいも」を紹介します。

 

<日本のさつまいも栽培の歴史>

さつまいもの原産地は、メキシコを中心とする中央アメリカと言われており、古くか

ら南アメリカで栽培されていました。日本には、1597年に中国から宮古島に入ったの

が最初と言われています。その後、薩摩、長崎と順次、九州地方に広がっていき、江

戸時代初~中期のたび重なる飢饉によって救荒作物として注目されていきました。

そして、1735年に幕府が蘭学者の青木昆陽(甘藷(かんしょ)先生)に試験栽培を命

じ、1737年に栽培に成功し、以後関東地方でも広く栽培されるようになりました。

 

<茨城県のさつまいも栽培の歴史>

茨城県の鹿行(ろっこう)地域(鉾田市、行方市が中心)は、かつて献上品用の葉た

ばこの一大産地として知られていました。ところが2011年に葉たばこ廃作の奨励があ

ったことで、同じくこの土地に適したさつまいもに転作する農家が激増したのです。

こうして作付面積2位となったので、さつまいもの大産地としての歴史はまだ浅いの

です。さつまいも栽培では後発ですが、この地域にはアドバンテージがありました。

それはイモづくりに最高に適した気候と土地があり、ひとつの区画で複数の品種を育

てることが可能だったことです。サツマイモは品種によって、収穫後に糖度が増す速

さが異なります。これを利用し、収穫後すぐに食べ頃をむかえる品種から、寝かせる

ことで糖度を増す品種までを、リレー方式で出荷しました。つまり、品種と熟成期間

を変えながら、いつでも市場に食べ頃のサツマイモを届けられるように調整したので

す。また、PRには糖度や食感の特性といったデータ、お勧めの調理法などを記した冊

子も活用しました。

更に、サツマイモの出荷量を底上げすべく、加工品にも力を入れました。目をつけた

のは焼き芋。当時としては珍しい石焼き機をスーパーマーケットの店頭に設置し、焼

き芋の販売を開始して大成功、現在では加工品の種類は広がり、干し芋は全国シェア

90%を占める大商品となっています。こうして消費者ニーズを正しく捉え、的確な配

分で栽培することで、短期間でさつまいもの総産出額1位、そして生産量2位までに急

成長したのです。当初は転作農家の突然の激増で、余剰生産が心配でしたが現在では

引く手あまたなのです。

 

<さつまいも生産量ランキング>

さつまいもの生産量日本一(2020年)は鹿児島県でシェアは31.2%、2位茨城県

26.5%)、3位千葉県(13.1%)、4位宮崎県(113%)で4県あわせて、国内生

産量の80,5%を生産しています。鹿児島県は作付面積、生産量共に1位です。品種と

しては、芋焼酎の原料になる「黄金千貫」に加え、でんぶんの原料になる「シロユ

タカ」の栽培が盛んです。一方、茨城県は東日本の代表品種であり甘く焼き芋に向

いた「紅あずま」が主な栽培品種で、次いで甘くなめらかな「紅はるか」が栽培さ

れています。すなわち鹿児島県は「飲むためのさつまいも」で、茨城県は「食べる

ためのさつまいも」だということです。さつまいも総産出額が逆転1位の理由はこ

の用途の違いに起因していると思います。

 

<鹿行地域で栽培されるさつまいもの代表的な品種>

①紅あずま:関東で根強い人気を誇る品種。鮮やかな紅色の姿をしており、果肉は

   黄色く粉質で、繊維質が少ないのが特長。煮くずれしにくいことから煮炊き

   料理に向く。

②紅はるか:皮色が美しく、熱を加えたときの糖度が高いのが特長の品種。甘味は

   強いけれど、後味はすっきり爽やかです。焼き芋、干し芋に人気。

③紅こがね:JAなめがたしおさいのオリジナルブランド。紅あずまの選抜品種。ま

   るでスイーツのようなホクホクした食感と、口の中いっぱいに広がる豊かな

   甘みが特徴。

シルクスイート:平成24年から種苗の販売が始まった新しい品種。絹のようなな

   めらかな食感と、甘さが特徴で近年人気です。焼き芋、干し芋に人気。

 

<保存方法>

サツマイモは寒さに弱く、冷蔵庫に入れると黒ずんで痛んでしまいます。外で保存

する場合も同様ですので冬季には外に置かないようにして下さい。また、水気がつ

くと腐りやすくなりますので注意が必要です。寒さと、乾燥から保護するためにも

新聞紙に包んで、日の当たらない暗所で保存して下さい。

 

<さつまいもの豆知識>

(1)さつまいもの旬:秋のイメージがありますが、最もおいしく食べられるのは

     秋~冬にかけてです。さつまいもは収穫後、23か月ほど貯蔵すること

     で水分が抜け、甘くおいしいさつまいもに変化します。収穫されるのは

     811月頃ですが、おいしく食べられるのはその23か月後の101

     頃というわけです。スーパーで手ごろな価格で手に入るのもこの時期で

     す。

(2)さつまいもの栄養価と効能:食物繊維が豊富で、また切り口から出るヤラピ

     ンが腸の働きを促し、食物繊維との相乗効果で便秘の改善に効果的で

     す。ビタミンCやパントテン酸が多く含まれています。皮部には肉質部

     よりもカルシウムが多く含まれています。また、皮の紫色には抗酸化作

     用の高いアントシアニンが含まれています。よく洗って皮も活かしま

     しょう。

(3)選び方:皮の色が鮮やかで傷や黒ずみがなく、ヒゲ根が少ないものを選びま

     しょう。年明けから春にかけて出荷される貯蔵もののサツマイモは、デ

     ンプン質が糖化し、水分も抜けることで甘さが濃くなっています。

(4)おなら:サツマイモは食べた後にでるおならが気になりますね。実は、その

     時のおならは臭くないことを知っていましたか?サツマイモを消化する

     時に発生するガスの種類は炭酸ガスで、臭さの素になるアンモニアがほ

     とんど含まれていないのです。

 

<旬のリレーで365日おいしい鹿行産の「さつまいも」>

鹿行地域内にあるJAなめがたしおさいは、生産量・品質ともに全国トップクラスを

誇っています。ここも旬の品種をリレー形式で供給しているのが、大きな特色で

「春夏秋冬、365日しっとり甘いさつまいも」を消費者へ届ける体制を整えています。

管理環境にもこだわり、平成17年にはキュアリング定温・定湿貯蔵庫を建設。収穫

後のさつまいもを定温・定湿度条件で貯蔵することで、熟成し甘くしっとりしたさ

つまいもを、1年を通じて安定的に出荷することを可能にしました。2017年に行方

さつまいもは最高栄誉である農林水産祭天皇杯を受賞しています。高品質の証明ですね。


<鹿行産のさつまいもには、貯蔵性、甘み、しっとり感を高める先進技術が生きている>

熟成過程で行うキュアリング処理とは、温度32℃、湿度90%以上で4日間保管し、表

皮下のコルク層を増やすことで、貯蔵性をグッと高める技術です。さらに、定温・定

湿状態(温度13℃、湿度90%以上)で貯蔵しているのもポイント。研究によって、こ

の貯蔵条件こそが「さつまいもが最も消耗しにくく、長期保存できる」という結果が

出ています。また、さつまいもは貯蔵することによって、βアミラーゼ酵素の働きで

テンプンが麦芽糖に変化し、甘味としっとり感が増します。


キュアリング処理と最適な貯蔵条件により、9ヵ月間も熟成された「熟成紅こがね」は、

糖度が非常に高く、焼き芋にすると甘味がさらに増し、しっとりとした口あたり。冷

めても柔らかで、濃厚な風味を味わうことができます。

 

鹿行産のさつまいもは旬の時期に入っています。店頭で見つけて、是非、是非、ご賞味あれ!

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茨城味自慢:秋の味覚、樹上完熟の「奥久慈りんご」をご賞味あれ!

2021-11-08 08:55:53 | 日記

茨城県で最も有名なりんごの産地は県北にある大子町。ここではりんごを品種名ではなく

「奥久慈りんご」というブランド名で呼んでいます。大子町には観光りんご園が約40あり、

秋になると多くの家族たちが訪れる名所になります。私も大子町のりんご狩り体験者です

が、本当にここのりんご園で味わうりんごは、ここでしか味わうことのできない美味しさ

です。その秘密は樹上完熟にあります。「奥久慈りんご」を紹介します。

 

稲や野菜は、種をまいてから1年間で収穫できますが、りんごは樹の形をつくるだけで

4~5年を要し、1本の木が最大の収量となるまでには10年程度かかります。また、その

間に1年でも間違った管理をすると元に戻るまで数年かかります。そして、ほとんどが手

作業です。こうした地道な管理の積み重ねを1年1年続けているのが「りんご栽培」です。

 

<日本のりんご栽培の歴史>

りんごは、ヨーロッパで4000年程前から栽培されており、アダムとイブや、ウィリアムテ

ルなど、りんごに関する伝説やエピソードも多く残っているように、古くから極めて身近

な果物であったようです。そして、今のようなりんごが日本でつくられ始めたのは、まだ

130年ほど前のことです。1871(明治4)年に北海道開拓使次官がアメリカから持ち帰った

75種の苗木を、内務省勧業寮試験場が中心に全国に配布し、各地で試作が行われました。

その結果、りんごは信州や東北地方などの比較的冷涼な地域に適していることが分かり、

冷害でお米が実らない年でも立派に実をつけたことから、寒冷地での重要な作物として

普及しました。

 

<青森県でのりんご栽培の歴史>

りんごの収穫量ランキング(2020年)では、青森県が断トツ1位(60.7%)、2位長野県

(17.7%)、3位岩手県(6.2%)です。豪雪の地、青森県がりんご栽培で日本一の生産量

を長年維持し続けている背景を紹介します。実は明治時代になって、武士の失業対策のた

めに全国で果物の栽培が計画されました。そして、日本政府から上記の入手経路で得た、

さまざまな果物の苗木が都道府県に支給され、その中にあった3本の西洋りんごの苗木が

青森県りんごの始まりとされています。当時のりんごは希少価値が高く、りんごの木が

1本あれば田んぼ一反(330坪)に匹敵する収入になったそうです。

明治の世となって、自分たちの仕事がなくなってしまった津軽藩士たちは、彼らの象徴

である刀を剪定鋸や鋏に持ち替えて、生業としてりんごを栽培することを決めたのです。

しかし、本州の最北端に位置する青森県は豪雪地帯で、気象条件だけでも世界で最もりん

ごが栽培しにくい環境と思われました。寒さに凍えながら育てても、実がまったくつか

ない年もあったと言います。この不可能と思われた栽培を可能にしたのは津軽藩士たちの

「他に負けない、優れたものを作りたい」という武士としての誇りと責任感、そして津軽

人の「じょっぱり(諦めない、頑固な)魂」で、失敗を繰り返しても栽培を続けたからと

伝えられています。もし、苗木が武士にではなく農民に託されていたら、今の「りんごの

王国」はなかったかもしれないとまで言い残されているのです。侍たちのプライドをかけ

た、たゆまぬ努力と卓越した栽培技術は時代とともに引き継がれていき、現在も青森県は

生産量・栽培面積ともに日本一のりんごの県として名を馳せているのです。

 

<茨城県大子町でのりんご栽培の歴史>

大子町でのりんごの本格生産は昭和19年から始まりました。県内で全く生産のなかったりん

ごを、現在の黒田りんご園の歴代の園主たちが、方々を駆け巡り、技術を習得し栽培に成功

しました。黒田りんご園には、今でも日本で最古の陸奥(むつ)、のりんごの木があります。

現在では中心産地の大子町以外の周辺地域でも栽培されています。茨城県の生産量ランキン

グは13位(0.2%)です。茨城県は低地におけるりんご栽培の南限の地といわれていますから

これは仕方ないですね。

 

<りんご園内に実る主なりんごの品種>

りんごの品種は世界では約15,000種、日本では約1,500種類あるそうです。品種による味、

大きさ、食感など、それぞれの違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。大子町には約90

種類も栽培しているりんご園もあります。代表的なりんごの品種です。


1.シナノスイート:果汁が多く酸味が少ないため甘味良好。

2.秋映:果肉は硬く、果汁がたっぷりで、ほど良い甘酸っぱさ。

3.紅玉:アメリカ原産。生食、加工両方に適した世界的な品種。

4.奥久慈宝紅:「こうとく」と「ふじ」を掛け合わせた大子町オリジナル品種。

     蜜が入り果汁も多く。パリパリとした食感。糖度も高く、濃厚な食味を感じる。

5.ぐんま名月:蜜が入っておりしっかりとした果肉。良好な香り。

6.シナノゴールド:肉質が非常に良く、最近各地で注目されている黄色い有望品種。

7.こうとく:小玉だがたっぷり蜜が入っている。生産量が少なく稀少。

8.ふじ:蜜が入っており、甘味が強く果汁も多い。奥久慈大子の代表的なリンゴ。

全ての名前を知っていたら、あなたは「りんご博士」です!

 

<リンゴの栄養価と効能>

りんごは、「りんごが赤くなると医者が青くなる」などの言葉があるほど、古くから健康

に良い果物として知られています。りんごには、動脈硬化、糖尿病、高血圧など生活習慣

病の予防に効果がある「ペクチン(水溶性食物繊維)」や「カリウム」が多く含まれます。

ペクチンは、リンゴの果実だけでなく皮部にも多く含まれており、腸内の環境を整える作

用などがあります。また、カリウムには、体内の塩分を排出する働きがあるといわれ、高

血圧を改善する効果があります。1日1個のりんごを食べましょう!

 

<保存方法>

収穫されたりんごは、温度差のある場所を嫌うので、冷蔵庫など温度の安定している涼し

い場所に保存します。りんごからは“エチレンガス”がたくさん発生するため、他の野菜や

果物に影響しないよう、冷蔵庫に入れる場合はポリ袋などに入れ、口をしっかりしめて保

存しましょう。また、キウイフルーツや西洋梨など、収穫後に追熟させたい果物は、りん

ごと一緒にポリ袋に入れておくと、追熟がより進みます。 

 

<りんごの豆知識>

1.りんごの選び方:りんごを引っくり返して下の部分を見ると少しへこんでいます。

    へこんだ部分が、奥の方まで赤くなっているものがよく熟したりんごです。

2.リンゴは輪切りが美味い:りんごは芯や種の周辺部分の中心に栄養がつまっているため、

    輪切りが適しているそうです。(農林水産省)ぜひ輪切りで食べてください。

3.「ツル割れりんご」は美味い:りんごのツルもとに亀裂が入っているのは、見た目は悪

    いが美味しいです。健康優良児で育ったから服が破けたようなものです。

4.リンゴの蜜は甘くない:りんごの蜜自体が周囲の果肉部分よりも甘いということはあり

    ません。蜜の入ったりんごは完熟した美味しいりんごだからです。

5.リンゴは丸かじりが一番: りんごの皮にはビタミンや食物繊維が全体の30~40%が含ま

    れており、「りんごは皮ごと」という食べ方が理想的なのです。(文部科学省)

 

りんごの収穫時期は品種により異なりますので、りんご園は9月中旬から11月下旬までオー

プンしています。現地に何度も足を運んで品種の違いを楽しんでください。

 

<奥久慈りんごの美味しさの秘密>

奥久慈りんごは、樹の上でりんごを完熟させてから収穫します。これは、流通にはのらな

い貴重な「樹上完熟りんご」。観光型栽培ゆえの特長といえるでしょう。この樹上完熟を、

一戸一戸の栽培農家が徹底して管理しているので 、 完熟のりんごの美味しさを誰もが体

験できるのです。大子町には、山々のなだらかな傾斜を利用したりんご畑がたくさんあり

ます。園内に実るりんごの品種、味、大きさなど、それぞれの特徴をつかんで、手でもぎ

る楽しみを味わえる観光りんご狩りは大好評。主力の 品種は、11月に収穫する「ふじ」で

すが、開園期間を長くして、集客するために、9~10月に収穫できる品種も、りんご園ごと

に選定して栽培しています。

 

大自然の中で、もぎたての新鮮なりんごをたっぷり味わえる、大子町のリンゴ園に是非お

越しください。その美味しさは絶対に期待を裏切らないですよ!

 

 

 

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