ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:育て方が違う「奥久慈しゃも」を御賞味あれ!

2022-11-28 07:10:29 | 日記

常陸牛と並ぶブランド力を誇るのが「奥久慈しゃも」。銀座の有名焼き鳥店「バードランド」

で採用されて一躍人気となりました。この奥久慈しゃも、「久慈」なので岩手県久慈市産かと

勘違いされているかたも多いのですが、正真正銘、茨城県の名産品なのです。

漢字で書くと「軍鶏」と書くとおり、しゃもは闘鶏で使われるほど闘争本能の強い鶏です。そ

のため,肉質の締まりが良く,美味しさが凝縮され、ブロイラーなどの普通の鶏肉では味わえ

ない野趣あふれる旨味と歯応えを楽しめます。特に奥久慈しゃもは低脂肪でヘルシーなのに加

え、肉の旨味が濃く,都内の料理人から指定買いされるほど美味しいと評判です。じっくりと

時間をかけて育てた、とびっきりの美味しさがつまっています。今回は茨城県が誇る「奥久慈

しゃも」を紹介します。

 

<日本3大地鶏とは>

農林水産省では「地鶏」とは、日本の在来種の血を半分以上継いでいる鶏と定義されています。

現在全国に38種が認定され、 飼育内容まで厳密に管理されています。この中で、日本を代表す

る3大地鶏と称されるのは、茨城県の「奥久慈しゃも」、秋田県の「比内地鶏」、愛知県の「名

古屋コーチン」、鹿児島県エリアの「薩摩地鶏」あたりです。

 

<食用しゃもの定義>

しゃもは、闘鶏用、観賞用、または食肉用の鶏の一品種です。江戸期にタイからの輸入種と伝え

られていますが、日本国内で独自の改良育種を施され、1941年には日本特有の畜養動物として、

国の天然記念物に指定されています。また、日本農林規格においては、鶏の在来種という扱いに

なっています。しゃも(軍鶏)という名前は、もともと鶏のオスを戦わせる競技である闘鶏専用

の品種であり、オスの闘争心が非常に強いことが由来です。見た目の特徴としては、三枚冠もし

くは胡桃冠で首が長く、頑強な体躯を持っています。羽色は赤笹、白、黒などさまざまで、身体

の大きさによって大型種、中型種、小型種に細分化されます。元々闘鶏用だったため、闘鶏で勝

てないオスは食用に回されていました。このとき食べられていたのは軍鶏鍋というものであり、

こちらの料理によって軍鶏肉の美味しさが認められ、他の地鶏と軍鶏を掛け合わせた“シャモオト

シ”という品種も、軍鶏鍋に使用されるようになりました。闘鶏用の軍鶏には肉が硬いという特徴

があり、通常の鶏が持つ肉質の柔らかさを得るために、通常の鶏と軍鶏の交配は盛んに行われてい

ます。例えば、地鶏として認められている品種で、軍鶏の血が入っているものには、主に以下が挙

げられます。


・青森ロックシャモ・川俣シャモ・やさとしゃも・奥久慈シャモ・栃木しゃも・タマシャモ・彩の

 国地鶏タマシャモ など

 つまり、しゃもは地鶏が成立するための鶏の一品種であり、しゃもの名を冠している地鶏も多い

 ことから、地鶏というカテゴリーの中の1つと捉えることもできるということです。

 

<しゃも肉の味の特徴>

大きな特徴といえば、やはり強い旨みが挙げられます。脂分は少なめでサッパリとしていますが、

濃厚な味わいが出るため、スープで楽しむ料理や、野菜をふんだんに使用する料理との相性は抜

群です。また、肉に締まりがあり、コリコリとした小気味良い食感が楽しめるのも魅力です。ち

なみに、江戸時代に流行した軍鶏鍋は、農家などが副業で飼育していた食肉用のシャモオトシ

であり、意外と現在の地鶏肉に近かったのではないかと言われています。

 

<奥久慈しゃもの豆知識>

1.「軍鶏」闘うニワトリ・しゃも

しゃもは、江戸時代にシャム(現在のタイ)から輸入されたニワトリの品種で、原産地名が名前の

由来です。しゃもは、闘鶏用ニワトリであるため、気性が荒く、群れで飼うのは難しい種ですが、

肉・卵ともに味がよいため、そこで闘争心を抑え、繁殖力があるよう茨城県養鶏試験場で改良を加

え、できたのが「奥久慈しゃも」なのです。肉質は低脂肪で歯ごたえがあり、ブロイラーの水っぽ

い歯ごたえのない肉とは違い、煮て良し焼いて良しです。「肉の味を最高に、産卵率・育成率を高

く」という目標を掲げて誕生した奥久慈しゃもは、この地域特有の血統を持つ地鶏です。

2.こんなところにこだわっています。   

奥久慈しゃものこだわりは飼料です!飼料はすべて「奥久慈しゃも生産組合」で管理され、安定し

た品質の鶏肉をみなさんにお届けしています。飼料はおいしさを追求して研究を重ねられているほ

か、近年では地元のお米も転嫁され、さらに安全・安心なお肉の生産を目指しています。

3.昔のしゃもの味が残っている

「脂肪分が少なく緻密でしっかりとした歯ごたえ、ジューシーで深いコクのある味わい」奥久慈し

ゃもの肉質を評する言葉は一貫しています。一般的な鶏(ブロイラー)と比べ、脂質は約40%、カ

ロリーは約80%と、低脂質、低カロリーは数字にも表れており、その肉質の良さから多くの料理人

の方々に選ばれています。また、奥久慈しゃもはブロイラーと掛け合わされていないことから、

「昔のしゃもの味が残っている」という、日本を代表する地鶏の最高傑作のひとつと評価されてい

ます。

4.オスとメスでは肉質が異なる

オスとメスでも肉質は大きく異なります。大子の割烹料理店・弥満喜のHPには「オスは、奥久慈し

ゃもの特徴のひとつである歯ごたえが、一層しっかりとしています。それに比べメスは、もっちり

とした適度な弾力が魅力です。試行錯誤した結果、弥満喜の料理にはメスの肉の方が合うとわかり、

いまはメスのみを使用しています。また肉は生の新鮮なものにこだわり、冷凍ものは使用しません」

とかなりのこだわりが記述されていました。

 

<食用しゃもの生産地>

東京都・茨城県・千葉県・青森県・秋田県・高知県のみが、しゃもの正式な産地とされています。こ

の内、茨城県は常に上位3位の生産量をキープしています。「しゃも」として認定されるのには厳密な

査定をクリアしなければならないので、自ずと生産地は限られてくるようです。

 

< 「奥久慈しゃも」ってどんな鶏>

奥久慈しゃもを生産している茨城県の奥久慈地方とは関東平野の外縁にあたり、阿武隈・八溝の2つの

山系に囲まれた山間地域です。自然豊かで清澄な環境ですが、斜面が多く大規模な農耕には適さない

土地柄という地理的な理由もあり、古くからしゃもの飼育が行われてきました。昭和50年代に入り、

大子町の有志により、茨城県畜産センターの技術協力のもと新たな鶏の品種の育種が始まりました。

気性が荒く、長期間の飼育が困難といわれるしゃもの中から、少しでも群れ飼育が可能なやさしい性

格のしゃもを選び出し、その中から食味の良さを引き出したオス系を選抜し、一方では、肉付きが良

く味に定評がある名古屋コーチンと、生産性の高いロードアイランドレッドを掛け合わせたメス系の

交配種を作って、オス系と交配させる研究が進められました。その結果、闘争心を弱めて群れで飼え

るようになり、この奥久慈地域で飼育されるようになりました。この交配は前例がなく飼育方法は手

探りで始まりましたが、生産組合が飼育研究を重ね、独自の生産方法が確立されました。こうして誕

生した地鶏が「奥久慈しゃも」なのです。

<育て方が違う>

寒暖の差が大きい奥久慈大子で、1㎡あたり10羽以下のゆったりした飼育密度で、気性の激しいしゃも

の野性味を上手にコントロールし、ストレスをかけずに育てています。飼料には動物性タンパク質を使

用せず、穀物や青菜を中心に、ヨモギなどの滋養成分や海藻由来の天然ミネラル等を配合した低カロリ

ーの専用飼料を与えています。ブロイラーは飼育期間約50日で3kgほどに育ちますが、奥久慈しゃもは

オス120日で2.6kg・メス150日で2.1kgと比べ物にならないほど手間暇かけ、充分な運動をさせながらゆ

っくりと育てています。地鶏と呼ばれるものは全国に100種以上いますが、ブロイラーとのかけあわせ

のものが多く、飼育期間もほとんどが80日以内で、100日を越えるものは奥久慈しゃもや比内鶏など数

えるほどです。生産者が手間を惜しまず、良質で立派なしゃもをつくるために重ねてきた工夫が、現在

の奥久慈しゃもの評価につながっています。

 

<鶏としては日本で初めて、「地理的表示(GI)保護制度」に登録されました>

昭和60年(1985年)には本格的に生産、販売が開始され、生産量も徐々に安定し、料理人を中心に高い

評価を得るようになり、昭和63年(1988年)には、「全国特殊鶏(地鶏)味の品評会」で全国10種の地

鶏の中で、第1位に選ばれました。現在でもその評価は衰えることなく、レストラン等を格付けするミシ

ュランガイド東京でも、食材として高く評価されています。平成30年(2018年)には、鶏としては日本

で初めて、「地理的表示(GI)保護制度」に登録されて、日本を代表する地鶏となりました。

※地域には,伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が,品質等の特性に結びついてい

 る産品が多く存在しています。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し,保護する制度

 が「地理的表示保護制度」です。

 

奥久慈の大子町には、『奥久慈しゃも』を味わうことができる飲食店が多数あります。大子町内の飲食店

・旅館等が奥久慈しゃも料理で地元をあげて盛り上げようと発足した「大子よかっぺ倶楽部」。育ちのよ

さは味に出る。を合言葉に、鍋や親子丼など多彩なしゃも料理を提供しています。是非、観光で大子町へ

お越しいただきたいですね。また、グルメ探訪スタンプラリーやイベントでのよかっぺ倶楽部の出店など

もありますので要チェックです。「奥久慈しゃも」のその特徴を活かすには、「すき焼き」のように濃い

だしで煮炊きするのがいちばんです。

 

これからの季節ですね。「奥久慈しゃも」の美味しさを、ぜひ家族そろって味わってください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茨城味自慢:県北だけで生産されている花豆「常陸大黒」をご賞味あれ!

2022-11-14 07:07:20 | 日記

花豆って、ご存知ですよね!煮豆や甘納豆に使われている大粒で食べごたえのある豆

のことです。正式名称は「ベニバナインゲン」。原産地は中南米です。名前の通りキ

レイな花を咲かせることから、日本には江戸時代に観賞用として伝わり、大正以降に

食用として本格栽培されるようになりました。花豆は冷涼地帯で良く着果することか

ら、北海道が9割を占める生産地で、他に、長野、群馬、山梨など。花豆の普及種は

種皮色が紫に黒い斑紋の「紫花豆」、そして種皮色が白い「花豆白在来」の2種類で

す。茨城県では主に自家消費用として、この2種を県北山間地帯で細々と栽培してい

ましたが、平成14年に茨城県の農業総合センター生物工学研究所が黒色の花豆の育種

に成功しました。花豆で黒一色の品種は国内初であり、しかも、黒一色の豆類の中で

は、国内最大級の大きさを誇ることがわかりました。これを「常陸(ひたち)大黒」

の名で新品種登録したのです。花は8月~9月ですが、豆の収穫期は11月です。

今回は県北の中山間地域の農家の皆さんによって心をこめて生産されているブランド

名「常陸大黒」の花豆を紹介します。

 

<花豆(ベニバナインゲン)とは>

花の色は鮮やかな濃い紅色(緋色)か白色の2種。大きな花を長く咲かせるので「花

豆」とよばれます。豆(種子)はインゲンマメよりも肉厚で大きい。豆の色は、緋色

花品種からは「紫花豆」、白花品種からは「花豆白在来」ができます。常陸大黒は緋

色花品種でありながら豆の色は「黒い」唯一の品種です。花豆は諸外国でも煮物、焼

き物、サラダなどさまざまな料理に広く使われています。日本では食用としての利用

は完熟した豆を用いるのが一般的ですが、若いサヤはサヤインゲンと同様に野菜とし

て用いられます。モロッコインゲン(軽井沢インゲン)の名で市販されていますね。

料理としては、煮豆、あんこ、ポタージュスープなど、そして、加工品としても煮豆

缶詰、甘納豆、どら焼き、ロールケーキなど幅広く使われます。

 

<「常陸大黒」の栄養素と効能>

光沢のある美しい黒色が特徴の「常陸大黒」。この黒い色はアントシアニン色素によ

るもので、黒大豆の約3倍もの量が含まれています。アントシアニンはポリフェノー

ルの一種で、血液をサラサラにする効果や、老化の原因とされている活性酸素の抑制、

皮膚の弾力性を保つタンパク質やみずみずしい肌を保つのに不可欠なコラーゲンを安

定させる効果があると言われているほか、眼精疲労の予防や改善、および視力の維持

にも効果があるとされています。

 

<花豆の豆知識>

1.インゲンマメは謎多き植物

  豆科の1年草で1,000を超える品種が存在しています。例えば一口に「サヤインゲ

  ン」と言っても、平べったいタイプやつるを伸ばす、伸ばさないタイプなど、さ

  まざまです。他に変わりものとしては深紅の花を咲かせる花豆や、痩せ細ったナ

  スみたいな紫インゲンなどがあります。インゲンマメは、食用とされている豆類

  (えんどう、そら豆など)の中にあって、世界で最も生産量が多い品種です。しか

  しながら、野生種や原種と思われるものが発見されていないので、その出自には

  謎が多いのです。

2.花豆は有毒植物である

   インゲンマメ科は身近にある有毒植物としても知られています。インゲンマメ

  豆は基本的に有毒で、絶対に生で食べてはいけない。この毒は生で食べれば食べ

  るほど危険であり、生の豆であれば4,5粒を食べただけで間違いなく中毒になる

  と言います。加熱が不十分あったばかりに集団食中毒が起こる例が各国で報告さ

  れています。花豆にも同様に毒性のあるレクチンの一種フィトヘマグルチニン

  (PHA)を含むため、調理の際はよく火を通す必要があるのです。

3.花豆の栄養価と効能

  花豆は前記したアントシアニン色素以外にも、糖質の代謝を助けエネルギーをつ

  くり出し疲労回復に役立つビタミンB1を特に多く含み、細胞の新陳代謝を促進

  し、皮ふや粘膜の機能維持や成長に役立つビタミンB2、また、皮ふや粘膜の健

  康維持をサポートしたり、脳神経を正常に働かせるのに役立つナイアシンやビタ

  ミンB6、動脈硬化を予防しストレスをやわらげる働きのあるパントテン酸そし

  て、貧血を予防し、細胞の生まれ変わりや、新しい赤血球をつくり出すために欠

  かせないビタミンである葉酸を含みます。さらに、抗酸化ビタミンであるビタミ

  ンEを含みますので活性酸素の発生や酸化力を抑え、動脈硬化、皮膚や血管の老

  化を防ぎ、免疫力を高めてくれます。また、骨や歯を構成するのに必要なミネラ

  ルであるカルシウムやリン、マグネシウムなども含みます。カリウムも多く含ま

  れますので疲労回復や利尿作用、高血圧の予防に役立ちます。又、花豆は食物繊

  維が豊富な豆類の中でもトップクラスに豊富です。ですから、食べ過ぎるとお腹

  をくだしますので注意が必要です。それでも、花豆は良質なタンパク質や食物繊

  維も含む優れた栄養価の高い食べ物なのです。

4.「常陸大黒」の調理

  煮豆にする際は豆を3日ほど水に浸しておく下準備、そして、煮たときにでるア

  クをよく取ることが大切。炊きすぎると皮が割れてしまうデリケートな素材です

  が、苦労がある分その味わいは絶品です。日本一大きな黒豆、そして、くりのよ

  うなホクホクとした食感、味わいは上品です。和菓子だけでなく、洋菓子にもよ

  くマッチします。調理事例は後で記述します。

5.花豆の保存方法

  保存方法・・・直射日光を避け常温で保存・冷蔵・冷凍

  保存期間の目安(賞味期限)・・・開封したものは冷凍が良い、1ヶ月位は保存可能

 

<「常陸大黒」誕生秘話>

常陸大黒が誕生したのは、昭和63年に「花豆白在来」と他の「在来種」を同時に栽培したとこ

ろ、自然交雑が起こり、平成5年に収穫した豆の中に黒一色の個体を発見したことに始まり

ます。そこでまず、黒い豆だけを選んで栽培しましたが、 収穫した豆は、黒一色にならず

白い豆やまだらな豆が できました。そこで、なるべく他の花豆 の花粉がかからないように

しながら、黒くて形の良い 豆をつける株を選んで栽培しました。この操作を5 回・5年ほど

くり返した結果、黒一色の性質を固定化することに成功しました。大黒の名の示すとおり、

一粒の重さが約2gと大粒で、光沢のある美しい黒色が特徴です。また、デンプン質系の豆

で上品な味わいをもち、和菓子だけでなく洋菓子にもよく合います。常陸大黒は、茨城県

の特産品となっており、他県では生産されていません。本県には、これまで花豆の生産組

織や商品はありませんでしたが、「常陸大黒」の育種をきっかけに、多くの関係者による

普及活動によって、平成20年度には茨城県の県北地帯を中心にいくつかの生産組織ができ

本格的な栽培が始まり、今では「ようかん」や「どら焼き」の和菓子や洋菓子も含め、菓

子類30品の商品開発がなされて販売を進めています。

 

<種子そして栽培地域のこだわり>

常陸大黒の種子は、専用の畑で採種し、純度を保ったまま生産者に届けられています。花

豆の性質として夏場の気温が高すぎると、花が落下しやすく結実しません。ですから涼し

い北海道や長野県の高原地で栽培されていました。常陸大黒は茨城県の地で育つように誕

生させたオリジナル新品種ですから、県北の山間地域に適合して栽培ができるのです。現

在、「北茨城市」 、「高萩市」、「日立市」、「常陸太田市」、「大子町」、「常陸大宮

市」、「城里町」の農家で栽培されています。現在他県への流出が制限されており、この

地域だけの特産品として注目を集めています。

 

<「常陸大黒」の栽培>

常陸大黒は6月下旬からポットで育て、7月上旬に畑に移植します。ツル性の豆なので、栽

培はキュウリ用の高さ2m近いU字管を使った支柱で栽培します。8月から9月にかけて、

スイートピーに似た鮮やかな赤い花が次々に咲きます。この時期は地域の方々の目を潤し

ています。花が終わると一つのさやに3~5個の豆ができます。11月に収穫したさやを天日

乾燥してからパキッとむくと、中から真っ黒な美しい豆が!これをひとつひとつ手作業で

選別し、出荷します。土壌病害に弱く、気温が30℃を越えるとさやがつきにくい、そして

水を嫌うなど、栽培にはかなりの手間暇がかかります。

 

<常陸大黒の美味しい食べ方>

(1)常陸大黒の甘煮(普通の鍋使用の場合)

「材料」・常陸大黒(生豆)100g・上白糖(グラニュー糖)300g・0.3%重曹水(水500ml

     +重曹1.5g)※吸水の際、重曹水の方が水のみよりも皮破れが少ない

「作り方」

  1. 生豆をやさしく洗う。
  2. 厚手の深鍋に生豆を入れ、生豆が浸るよう生豆の5倍程度の0.3%重曹水を入れ48時間
    以上吸水させる(吸水が十分だと豆がふくらみ、重量で生豆の2.2倍程度になる)。
    ※夏場は腐敗防止のため、冷蔵庫内で吸水させてください。
  3. 吸水させた豆を傷つけないようにそっと取り出し、たっぷりの水を入れた鍋で豆が軟
    らかくなるまで極弱火で豆を動かさないよう最低1時間~1時間30分位じっくり煮る。
  4. 豆が軟らかくなったら火を止めて1時間以上蒸らす。
  5. 豆が出ない程度に煮汁を静かに捨てる。
  6. 分量の砂糖を3回分に分け、1回目の砂糖を入れておとしぶた(クッキングペーパー等)
    をして弱火で10分程度煮て火を止めて冷ます。これを3回繰り返し、仕上げる。
  7. 煮豆は煮汁と一緒に保管する。

(2)常陸大黒の赤ワイン煮

「材料」・常陸大黒300g・赤ワイン400g・グラニュー糖450g・吸水時の水 適量・重曹

     水の0.3%・オレンジ・レモンのスライス 各1枚

「作り方」

  1. 常陸大黒を洗い、鍋に入れて、豆の重さに対して6倍の水に浸けて約2日戻す。
  2. 鍋の水をかえて、強火にかけ、沸騰してきたら中火にして、アクが出てきたら丁寧
    に取り除く。
  3. 2のお湯を捨て、もう一度重曹入りのたっぷりの水で約2時間とろ火でじっくりと煮
    る。煮ている間は、お湯が豆を覆う水量を必ず保つ。
  4. 鍋に赤ワイン、グラニュー糖1/3、オレンジとレモンを入れて中火にかけ、ひと煮立
    ちしてきたら、常陸大黒を入れて煮る。沸騰してきたら火を止めて冷まし、この作業
    を2回繰り返し、仕上げる。この時に赤ワインで常陸大黒を覆えない場合は、豆の煮
    汁を足して、必ず豆を水で覆う状態を保つ。

 

煮豆にするのも実は一苦労で三日三晩新鮮な水につけ、丸一日かけて煮込んで常陸大黒豆
の煮豆が完成します。下準備も大変、この大きな花豆の皮を破らずに、美味しく炊くには
時間と技と忍耐が必要なのです。ですから、昔の人はこの花豆がうまく炊けないと娘は嫁
に行けないと言われていたそうです。

 

この地域でしか生産されておらず、なかなか手にして味わうことができない「常陸大黒」
ですが、ぜひ調理して食べてみてください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする