ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:茨城県の水戸納豆がどうして有名になったのか?

2024-07-29 07:09:32 | 日記

茨城県の名産品として「納豆」を思い出す方は、「水戸納豆」という固有名詞まで連想されるのでは
ないでしょうか。それほどに、茨城県の納豆は、水戸納豆として全国に知られています。水戸納豆の
特徴は、小粒で柔らかく、糸引きがよく、わらの香りがすることです。これが、水戸納豆が有名にな
った理由ですが、実は、歴史や地域の特性、製品へのこだわりなどの下支えが背景にあるのです。
水戸納豆の名前が知られるようになったのは意外に新しく明治になってからです。かつて、納豆が江
戸に出回っていたことを本で知った水戸の笹沼清左右衛門(現在の水戸天狗納豆の始祖)が、納豆を
水戸の名物にしようと製造に乗り出したのがきっかけでした。清左右衛門の納豆が本当に世に出るよ
うになったのは、明治20年代に鉄道が敷設されてからです。最初は水戸駅前の広場で売られていまし
たが、やがて駅のホームで、今でいうアイドル少年たちがお土産として売るようになると、汽車の窓
から奪い合うほどの人気が出たということです。
今回は水戸納豆の歴史と背景、そして、納豆雑学も紹介します。

<納豆とは>

納豆とは、煮る・蒸すなどして柔らかくした大豆を納豆菌によって発酵させた発酵食品です。一般的
に「糸引き納豆」と呼ばれるもので、日本の伝統食品の一つです。納豆はたんぱく質、脂質、カルシ
ウム、鉄などの栄養素を含み、納豆菌が作り出すナットウキナーゼやビタミンK2などの特有の成分も
あります。納豆はご飯と一緒に食べるのが一般的ですが、ほかの食材と合わせても美味しくいただけ
ます。納豆には独特の匂いと粘りがあり、好き嫌いが分かれることもあります。

<納豆のいわれ>

納豆の歴史は古く、縄文時代の終わり頃には既に納豆のようなものが食べられていたとも言われてい
ます。納豆の名前の由来には諸説ありますが、お寺の納所で作られた豆や、神様に納めた豆などから
「納豆」という説があります。納豆は日本だけでなく、中国やアジア、アフリカの一部の国々でも作
られていますが、日本の糸引き納豆とは異なり、調味料や保存食として使われることが多いようです。

<納豆の生産量ランキング>

納豆の生産量は、関東地方が全国の約70%を占めています。茨城県は納豆の最大の生産地で、全国の
約4分の1を生産しています。千葉県と埼玉県も納豆の生産量が多いです。

1位は茨城県で29,000 t( 25.0%)、2位は千葉県で18,000 t(15.5 %)、3位は埼玉県で | 14,000 t( 12.1 %)、
4位は群馬県で10,000t( 8.6 %)、5位が栃木県で9,000t(7.8%)、

その他が33,000t(28.5%)となっています。

<納豆の消費量ランキング>

(1)都道府県別ランキング:納豆の消費量は、都道府県や都市によってかなり違います。総務省統
     計局の「家計調査」によると、2020年の納豆の消費量ランキングでは、1位は長野県で、
     一世帯当たり約7パック、2位は福島県で約23.6パック、3位は栃木県で約23.4パック
     ・・・茨城県は5位で約22.1パックを消費しました。納豆の消費量は、東北や関東、九州
     地方で多く、近畿や中国、四国地方で少ない傾向があります。

(2)都市別消費量ランキング:人口あたりの消費量(kg) は1位が東京で23,000t(1.7㎏)、2位は大阪
     で6,000 t|(1.3kg)、3位は名古屋で5,000 t(1.4kg)、4位は札幌で4,000t(1.8kg)、5位は福岡
     で3,000t( 1.2kg)、でした。納豆の消費量は、東京が全国の約20%を占めています。人口あた
     りの消費量は、札幌が最も高く、納豆の好きな人が多い。福岡は人口あたりの消費量が最
     も低く、納豆の嗜好が弱いことがわかります。

 

<納豆の豆知識>

1.大豆が納豆になるには納豆菌の存在が必要です。納豆菌は枯れ草菌の一種で、土の中や稲藁、空
   気中などどこにでも存在しています。稲藁1本には約1,000万個の納豆菌が胞子の状態で付着し
   ていますから、稲藁の中で大豆が偶然発酵した可能性も非常に高かったのです。古くから納豆
   が食べられていた理由もここにありそうです。

2.納豆は大きく分けると三種類になります。
  (1)甘納豆:お菓子で、豆を砂糖で煮詰めたものです。
  (2)糸引き納豆:いつもご飯と一緒に食べているお馴染みの納豆です。
     ①丸大豆納豆:大豆を丸ごと煮て納豆菌で発酵させたもので、一番ポピュラーな納豆です。
       大豆の大きさによって、大粒納豆、小粒納豆、極小粒納豆などに分けられます。また、
       黒大豆や青大豆を使った納豆もあります。
     ②ひきわり納豆:大豆を炒って荒く挽き、表皮を取り除いてから煮て納豆菌で発酵させた
       ものです。青森、秋田、岩手などで江戸時代以前から作られていました。ひきわり納
       豆は、大豆の皮がないので、糸引きが強くなります。
     ③五斗納豆:山形県米沢地方の郷土食で、雪割り納豆とも呼ばれます。ひきわり納豆に、
       麹や塩を混ぜて樽に仕込み熟成させたものです。発酵・熟成して いるので独特の香
       りとうまみがあります。
     ④干し納豆;糸引き納豆を乾燥させたもので、干すことにより納豆の旨味や栄養が凝縮さ
       れ、一般的な納豆とはまた違った味わいを楽しむことができます。
 (3)寺納豆:別名、塩辛納豆とも呼ばれ、大豆と小麦と麹菌(味噌やお酒を作る菌と同じ)を一
     緒に塩水に漬け込んで熟成させるので、作るのに数カ月から1年かかります。出来上がると
     黒褐色の半分乾燥したものになります。糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩味と旨味
     が調和した独特の風味があります。

3.世界の納豆

納豆は外国でも作られています。中国の「タチオ」は日本の寺町納豆や塩辛納豆に近いもので、塩気
の効いた味。その他、アジア諸国にはさまざまな大豆の加工品があり、タイは「トアナウ」、ミャン
マーでは「ペーポー」、アフリカでは「ダワダワ」と呼ばれています。しかし、それらは日本で食べ
られているような、ネバネバ納豆ではありません。主に調味料や保存食にして食べられているようで
す。ネパールの「キネマ」やインドの「バーリュ」などは、味や香りが日本の糸ひき納豆に近いよう
です。

4.納豆の粘り・ねばねば

納豆の最大の特徴といえば「ネバネバ」と「香り」です。ネバネバは納豆菌が大豆のたんぱく質を分
解してできたグルタミン酸とフラクタンという物質からできており、グルタミン酸は昆布などに含ま
れるうま味の成分の一つです。香りは納豆菌が作り出すピラジン類、短鎖分岐鎖脂肪酸、ジアセチル
などの化合物が主な成分です。

5.納豆の匂い

納豆のにおいは納豆菌が作りだすものです。納豆菌は大豆の成分を分解しながら増殖し、独特の粘り
やにおいを作り出します。においの主成分はピラジン類、短鎖分岐鎖脂肪酸およびジアセチルです。
製造後も日が経つにつれて少しずつ発酵が進みますので、においは徐々に強くなります。

6.容器の秘密

納豆の発酵は、納豆菌を接種させた大豆を容器に詰めてから始まります。容器は保温性が高く、酸素
を取り入れるために底に凹凸や蓋に小さな穴があいているものが多く使われます。発酵室で温度管理
をしながら約20時間発酵させると、納豆特有の粘りがでてきます。発酵が終わると熟成の段階に移り、
冷蔵庫内に置いて発酵で増えた納豆菌を休眠させていきます。

7.納豆のネバネバは酢水で洗い流せる 

  スポンジを使って水洗いはNGです。スポンジの中にネバネバが入り込みます。「ネバネバ成分は
  水溶性のため、『ぬるま湯に1~2分漬けておいて、流水で洗い流す』、『漬ける時間がない場合
  は、そのままぬるま湯で流し洗いする』ことですぐに汚れを落とすことができます。また、酢が
  ネバネバ成分を切る役割をしますので、ネバネバが付いた容器に酢を入れて、水を加えて酢水に
  して、つけておくと洗いやすいです。
  ちなみに、手で洗うのにどうしても抵抗がある方の場合は、(ゴミが増えてしまいますが)キッ
  チンペーパーなどを使用して流水で洗うと良いと思います。

8.納豆に含まれる様々な栄養素や成分

納豆は日本の伝統食品の一つです。主な栄養成分は、たんぱく質、脂質、カルシウム、鉄など大豆とほ
ぼ同じ栄養を含んでいますが、脂質代謝に欠かせないビタミンB2を大豆に比べ多く含んでいるのが特徴
です。納豆特有の成分として特に注目されているのがナットウキナーゼです。これは大豆を納豆菌で発
酵させることによって生まれる酵素で大豆には含まれていません。ナットウキナーゼは血管のつまりの
原因である血栓を分解する作用があると言われています。ほかにも納豆菌が作り出す成分としてはビタ
ミンK2があります。ビタミンK2はカルシウムを体内に取り込むために無くてはならない栄養素です。
このように「大豆」にはない栄養素も含有する納豆は手軽に食事に取り入れる事ができる優れた食品な
のです。

<大豆が納豆になるまで>

納豆は大豆が発酵してできたもの。この発酵を促すのに欠かせないのが納豆菌です。高圧力の釜で蒸煮
されふっくら柔らかくなった大豆の表面に納豆菌を接種させます。これを熱いうちに容器に詰め、発酵
室の中で温度管理をしながら発酵させていきます。室温40度の発酵室でおおよそ20時間発酵させる過程
で、納豆特有の粘りがでてきます。発酵が終わると熟成の段階に移ります。冷蔵庫内に置いて、発酵で
増えた納豆菌を休眠させていきます。納豆の出来は、発酵から熟成までの温度管理にかかっているとい
っても過言ではありません。

<水戸納豆が有名になった理由>

(1)茨城県は、水戸藩の時代から台風による水害を防ぐために、早生大豆を栽培するようになりまし
   た。早生大豆は小粒で納豆に適していました
(2)明治時代に水戸駅が開業し、水戸納豆が駅のお土産として、少年たちが販売するようになり、一
   気に知名度が広がりました。

(3)茨城県は専業農家の比率が高く、農本主義が徹底していました。納豆は農家の主食や保存食とし
   て重宝されました

(4)茨城県の納豆は、パック納豆だけでなく、わらに包まれた「わらつと納豆」も生産されています。
   わらつと納豆は、稲わらの中で直接大豆を発酵させる伝統的な製法で、わらの香りが染み込んで
   うま味が強いのです

茨城県の納豆は、歴史や地域の特性、製品へのこだわりが下支えとなり、有名になりました。農学者桜
井武雄氏によると、茨城県は専業農家の比率は60%と全国平均35%と比べて非常に高く、耕地面積が平
均1~2町歩という中監農家の率が高く、農産物では陸稲、サツマイモ、家畜はトリ、ブタが全国1、2位
など農本主義が徹底していたことも「水戸納豆」を有名とした下地となっていると分析されています。

<茨城県の納豆誕生秘話>

水戸藩は、那珂川の氾濫に備えて、台風が来る前に収穫できる早生(わせ)大豆づくりを奨励しました。
しかし、早生大豆は、台風の後に収穫する大豆に比べて粒が小さく、豆腐や味噌などの加工には向きま
せんでした。そこで、小さい大豆でもおいしく作れる加工品として注目したのが、清左右衛門の納豆づ
くりだったのです。県内では一般的だった小粒の納豆。明治時代に常磐線が開通し、旅行者から小粒な
納豆は米に絡みやすく、「豆がちっちゃくて、うまい!」と大評判に。お土産としても広まり、その名
が全国に知られるようになりました。

<茨城県の小粒大豆とは>

茨城県の小粒大豆の代表といえば、茨城県の育成品種「納豆小粒」(なっとうしょうりゅう)。茨城で生
産されていた小粒大豆から、納豆への加工に適した品種を選抜し、改良が重ねられ「納豆小粒」が誕生
しました。小粒で米に絡みやすく、糸引きが良く、独特の口当たりと風味豊かなのが特長です。

<水戸納豆ができるまで> (画像参照)

1.大豆の選別:原料の大豆を選別機にかけ、石などの異物や割れた大豆、形の悪い大豆を取り除きます。
2.洗浄:大豆の皮に付着している土や細かいゴミなどを洗浄します。
3.浸漬:大豆にきれいな水を吸わせます。気温や大豆の種類により浸漬時間を調整します。
4.蒸煮:豆を高圧の圧力釜で蒸しあげます。
5.納豆菌植菌:納豆菌を煮豆に噴霧して煮豆の表面に付着させます。雑菌の混入を防ぐために、煮豆の
        温度が70~90度くらいで植菌します。
6.発酵容器充填:発泡スチロール、紙カップ、などの発酵容器に移します。雑菌の混入を防ぐため、煮
         豆が熱いうちに充填を終わらせるよう注意します。
7.発酵:発酵室で16~24時間発酵させます。納豆のネバネバはここで生まれます。
8.熟成:発酵で増えた納豆菌を休眠させます。熟成は、通常5度以下の低温で行います。
9.包装・出荷:できた納豆を包装して出荷します。

  手間ひまをかけて、美味しい納豆が完成します。

<水戸納豆の紹介>

納豆といえば中粒以上が主流だった当時、「小粒で粘りが強く、風味豊かでご飯にからみやすい」水戸納豆
は旅行者達に大ヒットしました。水戸納豆には、老舗の「天狗納豆」や「総本舗水戸納豆」など、様々なメ
ーカーや商品があります。それぞれに独自の製法や味わいがあり、お土産にもおすすめです。

(1)水戸元祖 天狗納豆(天狗納豆株式会社)

①「極小粒わら納豆」:白髭の天狗が目印!創業明治43年の老舗の味。昔ながらの製法で作るわら納豆。
           わら納豆は、わらが納豆の水分を適度に吸収するため旨味が凝縮!粘りが強く、大
           豆に程よい歯ごたえがあります。

②「黒豆わら納豆」:黒豆特有の適度な歯ごたえと本格的な味わい。程よい歯ごたえのある黒豆のわら納豆。
          そのまま食べれば、黒豆特有の濃厚な風味と食感を味わえます。付属の「たれ」に
          「わさび」を添えると絶品の美味しさ!

(2)総本舗 水戸納豆(水戸納豆製造株式会社)

①「経木納豆」:経木(きょうぎ)とは、木材を薄くスライスしたもの。納豆を松の経木に包むことで自然
        な湿度を保ち、乾燥やべたつきを防ぎます。国産大豆を使い、昭和4年の創業以来変わらな
        い製法で作られています。

②「雪あかり」:宮城県産大豆ミヤギシロメを使用した白い納豆。名前の通り、豆の表面にうっすら霜が降
        りたような白い納豆。豆は通常の水戸納豆よりも少し大きめサイズで、食感の良さを楽し
        めます。

(3)だるま納豆(だるま食品株式会社)

①「わら納豆」:昔ながらのパッケージのわら納豆は茨城土産にぴったり。創業当時から販売しているわら
        納豆。極小粒大豆を使用した、本場水戸の「わらつと納豆」です。「わらつと」とは稲わ
        らを束ねて中にものを包むようにしたもののこと。わらの香りが納豆の風味をいっそう引
        き立てます。

②「だるま国産小粒」:大豆もタレも茨城県産。地元で愛される毎日のおいしさ。納豆の加工に適した品種
        として選抜・改良が重ねられた、小粒大豆「納豆小粒」を使用した納豆。地元茨城でも親
        しまれている納豆です。

(4)トーコーフーズ

①「豆殿」:希少な在来種の黒小粒大豆を使用した黒豆納豆。茨城県で100年続く納豆専門店が、試行錯誤の
      末に作り出したこだわりの納豆。素朴な甘みと旨みを味わえます。付属の「たれ」と「わさび」
      でそのままおいしく食べられます。

②「そぼろ納豆」:納豆と大根を秘伝のタレに漬け込んだ伝統の味。納豆と切り干し大根を合わせて醤油など
         に漬けこんだ「そぼろ納豆」は茨城県で昔から食べられてきた郷土料理です。素朴な風味
         とパリパリとした歯触りが癖になります。

納豆は、ご飯や味噌汁と一緒に食べるのが一般的ですが、他にも色々な食べ方があります。例えば、納豆をパ
スタやピザにトッピングしたり、納豆を使ったお菓子やドリンクなどもあります⁴。納豆は、自分の好みに合わ
せてアレンジして楽しむことができます。

是非、水戸納豆をご賞味あれ!

 

 

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