ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:茨城の「ほうれん草」は周年で栽培されている

2024-02-19 08:00:36 | 日記

ほうれん草は、西アジアが原産地で、日本には江戸時代に伝わりました。ほうれん草は
種類があまり多くなさそうと言うイメージがありませんか。実際にはかなりの種類が存
在します。葉物野菜全般にいえることですが、ほうれん草も鮮度が命ですから、多くは
大消費地の近郊で栽培されています。点在する消費地の周りには、その土地の気候風土
に合った品種が栽培されているのです。今はハウス栽培が盛んで一年中スーパーで見か
けますので、旬が分かりにくいですが、もっとも美味しい旬の時期は冬から春にかけて
です。理由は、ほうれん草は寒さに強く、冬の寒さを乗り越えると甘みが増すからなの
です。でもこれは関東圏を中心とした話で、北海道では6月~8月が旬なのです。茨城県
はほうれん草の生産量が全国4位の産地です。2021年度の生産量は16,100トンで、全国シ
ェアは7.4%でした。水戸市、笠間市、常陸太田市などで多く栽培されています。ほうれ
ん草は、ヒユ科の一年草で、葉や茎にはビタミンAやカルシウムなどの栄養素が豊富に含
まれています。ほうれん草は、サラダや炒め物、鍋物などに使われるほか、おひたしや
スープなどにもなる万能野菜です。ほうれん草の花も食用になります。今回は栄養価が
高い万能野菜である茨城県産「ほうれん草」の紹介です。

 

<ほうれん草の品種>

現在では、東洋種と西洋種の交配種が主流ですが、それぞれに特徴があります。

1.交配種(中間種):東洋種と西洋種の特徴を受け継いだ品種で、生育が旺盛で収量が
   多く、病害にも強いです。葉の形は剣葉系と丸葉系があります。代表的な品種には、
   アトラス、豊葉ほうれん草、チェックメイトなど。
2.西洋種:ヨーロッパから伝わった品種で、葉が丸くて厚みがあり、葉柄が短いです。
   高温に弱く、夏には花が咲きやすい。葉の食感はしっかりしており、加熱調理に向
   いています。代表的な品種には、ビロフレー、ノーベルほうれん草など。
3.東洋種:日本に最初に伝わった品種で、葉に切れ込みがあり、葉柄が長いです。低温
   に強く、冬にもよく育ちます。葉の食味はやわらかく、和食に合います。代表的な
   品種には、治郎丸ほうれん草、山形赤根ほうれん草、禹城など。
4.その他の品種:特別な特徴を持つ品種で、生食や寒じめなどに適したものがあります。
   代表的な品種には、サラダほうれん草、ちぢみほうれん草(寒締めほうれん草)、
   赤茎ほうれん草、雪美菜など。

実は、ほうれん草には別の分け方もあります。

①葉が大きくて厚い「大葉ほうれん草」、②葉が小さくて薄い「小葉ほうれん草」、③葉が
縮れている「ちぢみほうれん草」などです。味の違いは、大葉ほうれん草は水分が多くてシ
ャキシャキ感があり、小葉ほうれん草は水分が少なくてコクがあり、ちぢみほうれん草は甘
みが強くてエグミが少ないとされています。旬の時期は、大葉ほうれん草は冬から春、小葉
ほうれん草は秋から冬、ちぢみほうれん草は冬になります。

ほうれん草は種類や味の違いによって、料理の仕方や食べ方も変わってくると思います。ほ
うれん草は栄養豊富で美味しい野菜なので、ぜひ色々な種類を試してみてください。

 

<世界の「ほうれん草」生産量ランキング>(2021年)

 世界のほうれん草生産量は約2983万トンでした。この内、約2983万トン(約92%)が中国
 で生産されています。2位はアメリカの約31万トン、3位はトルコの約22万トンを大きく引
 き離しています。日本は約21万3900トンで4位にランクインしています。ほうれん草の生産
 量は、1961年から2021年の間に約10倍に増加しており、そのほとんどが中国の増産による
 ものです。中国では、ほうれん草は主に冬季に栽培され、餃子や炒め物などの料理に使われ
 ます。

<国内の「ほうれん草」の生産量ランキング>(2021年)

 1位は埼玉県22,800t(10.8%)、2位は群馬県21,500t(10.2%)、3位は千葉県 18,500t
 (8.8%)、4位は茨城県17,800t(8.5%)、5位は宮崎県13,100t(6.2%) でした。
  ・・・関東圏の生産量が多いです。

 

<ほうれん草は露地栽培とハウス栽培ではどちらが多いか>

農林水産省の統計によると、2020年のほうれん草の全国の生産量は15万トンでした。そのうち、
露地ものは9.5万トン(63.3%)、ハウスものは5.5万トン (36.7%)でした。したがって、露地ものの
方がハウスものよりも約1.7倍多く生産されています。

茨城県でも同様で、露地ものとハウスものの生産量の比率は約6対4で、露地ものの方がやや多
いです。ほうれん草の生産量は季節によって大きく変動します。一般的に、露地ものは 11月~
2月にかけて旬を迎えますが、ハウスものは一年中栽培できます。

 

<ほうれん草の豆知識>

1.ほうれん草の栄養素と効果
  ①ビタミン類:鉄の吸収を助けるビタミンCのほかに、葉酸とビタミンB群など、ミネラル
     とともに働くビタミンが豊富。不足しがちな栄養素を含み、消化もよい食材なので体
     質改善にも向いています。
  ②カロテン:カロテンは抗酸化作用があると言われ、発ガン性物質の毒性を軽減して、がん
     予防に効果が期待できるほか、動脈硬化を防ぐ作用もあるとされています。またカロ
     テンとビタミンCの相乗的な効果で、肌荒れの防止、かぜ予防にも有効です。
  ③鉄:「鉄」の含有量は野菜ではトップクラス。鉄は赤血球中のヘモグロビンの合成に必要
     で、酸素を運ぶ役割をします。ほうれん草に含まれるビタミンCが、鉄の吸収を助け
     てくれます。また一緒にお肉や魚、卵などの動物性タンパク質を含む食品を食べると
     吸収率もよくなります。逆にお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨
     げるので、一緒に摂取するのは控えたほうがよいかもしれません。
  ④ほうれん草はとっても栄養価の高い野菜:なにせ100g食べるだけで1日に必要なビタミ
     ンAやビタミンC のほぼ全量を摂取できるほど。ポパイが食べるはずです。
  ⑤ほうれん草の根元の赤い部分には骨の形成に関わるマンガンが、また葉の部分にはカルシ
     ウムといった日本人に不足がちな栄養素が多く含まれています。体の基礎を作る成長
    期の子供にオススメの野菜と言えます。
2.ほうれん草にはシュウ酸というアクがあります。アクは茹でて水にさらすことで、溶け出し
   ます。アクはカルシウムと結合して体内に吸収されにくくします。そのため、ほうれん草
   を食べるときは、牛乳やチーズなどの乳製品と一緒に摂るとよいと言われています。現在
   は品種改良によってシュウ酸を少なくした、生食でも食べられる「サラダほうれん草」な
   どが人気です。
3.「寒締め」:ほうれん草は冬の露地ものが夏ものと比べて、栄養価が高く、おいしさも上回
   ります。霜にあたって甘みが増すので、収穫前にあえて冬の寒さにあてて栽培したものは
   「寒締め」と呼ばれ、甘みが強く、うま味の濃さが特徴です。
4.午後2時のほうれん草は栄養価一番:ほうれん草の葉は、下の葉ほど葉柄が長くなって、ど
   の葉にも日光が当たるように広がっています。冬の寒さに耐え、養分を蓄えているほうれ
   ん草は、冬を乗り切る活力源です。そして、「収穫するなら午後2時のほうれん草」と言
   う話があります。朝から日光を受けたほうれん草は、午後2時頃には栄養分をタップリ蓄
   え、そのころ収穫した物が栄養価も味も一番だといわれています。
5.品種によっては種まき時期が異なる:秋~冬まき、春~夏まきの品種が多いのですが、中に
   はほぼ通年種まき出来るものもあります。このため、スーパー等で季節問わず購入できる
   のです。種まき後、約一か月で出荷できます。高温期は約30日で収穫可能なため、春~秋
   の温かい時期だけで4~5回の作付けがされます。もちろん品種を変えて育成時期を調節す
   ることも可能です。私たちが一年中ほうれん草を食べられるのは、多様化した品種のおか
   げなのです。
6.他の食材との相性:ほうれん草は、魚介類・肉類・乳製品など、ほとんどの食材との相性が
   いいです。ある意味、なにとでも相性が良く栄養価満点の万能な野菜です。パスタメニュ
   ー、キッシュ、サラダ、鍋、煮もの、お浸しなど考えれば色々なメニューに使われていま
   すね。
7.ほうれん草の名の由来:ほうれん草の原産地はコーカサスからイランにかけての西アジア。
   ほうれん草の「ほうれん」とは、中国語でペルシャ(現在のイラン)のことを意味します。
   日本へは江戸時代初期に中国から伝わりましたが、その際ペルシャからシルクロードを経
   て中国に伝えられた葉菜ということでペルシャの草、すなわちほうれん草と呼ばれるよう
   になったと言われています。漢字で一番使われるのは「菠薐草」です。中国ではペルシャ
   を「菠薐」と呼んでいたことに由来します。この言葉からほうれん草に変化したようです。
   他に「法蓮草」「鳳蓮草」「赤根草」など、正しい漢字として認められたものがあります。
8.ほうれん草の花:ほうれん草は雌雄異株という雄花と雌花が別々の株につく植物です。ほう
   れん草の花期は5月から6月で、花の色は、ピンク、黄色があります。雄花は0.2ミリ
   ほどで、雌花も0,5ミリほどと小さい。花は穂状に多数つき、1つ1つの花はとても小さいた
   め肉眼では確認することができません。
9.調理に関するもの:ほうれん草は、葉先からどんどん水分が蒸発してしまうので、鮮度が命
   です。新鮮なうちに調理することがおすすめです。

 (1)ほうれん草の選び方:
     ①鮮やかな緑色をしている ②葉先がピンとしている(鮮度の目安になる)③ 葉に厚
     みがある ④葉脈が左右対称になっている(養分が行き渡っている)⑤根本が赤くな
     っている(根本が赤いほうれん草は甘みが強くておいしい)
 (2)加熱時間:ほうれん草には水溶性の栄養素が豊富に含まれているため、長時間茹でてしま
     うと大切な栄養素を損なってしまうだけでなく食感も悪くなります。1分程度でサッと
     手早く茹でるのがポイントです。お鍋にお湯を沸かしたら、まずは茎の部分のみを先に
     30秒くらい浸けてから葉の部分をお湯に入れ、数回かき混ぜて取り出します。茹でた後、
     冷水につけることで色やシャキシャキ感を保てますよ!
 (3)茹で方:茹でる時は、根元に十字に切れ目を入れると、土が落ちやすく、火の通りもよく
     なります。
 (4)レンジで茹でるメリット:レンジで茹でれば、お湯で茹でる場合に比べて、栄養素の流出
     を防げます。ほうれん草の栄養素をしっかり残して茹でたいときは、レンジで茹でるの
     がおすすめです。
 (5)フライパンで茹でるメリット:ほうれん草のアクをしっかり抜きつつ、手軽に茹でたいとき
     は、フライパンで茹でるのがおすすめです。
 (6)保存方法:水分が蒸発しやすいので、湿らせた新聞紙やキッチンペーパーに包んでビニール
     袋に入れ、冷蔵庫に立てて保存してください。長期間保存する場合は、かためにゆでてか
     ら適当な大きさに切り、ラップで包んで冷凍します。

<茨城県で栽培されている「ほうれん草の品種」について>

茨城県では露地栽培そしてハウス栽培で年間を通してほうれん草が栽培されています。当然種まき時
期や栽培環境にあった品種を使い分けているので、栽培している品種は多いです。スーパーで見かけ
るほうれん草は、常に同じに見えますが、季節により品種が違うのです。
生産量が多いのは、タキイ種苗栽培技術の品種です。秋~年内どりには「タフスカイ」や「吉兵衛」、
冬どりには「寒兵衛」や「伸兵衛」、春どりには「福兵衛」や「徳兵衛」などが植えられます。
「福兵衛」「伸兵衛」「タフスカイ」は多収性と作業性を両立したべと病抵抗性品種です。この3品種
を組み合わせることで、周年栽培を可能にしているのです。

そして、JAグループ茨城が出荷している冬季限定のほうれん草があります。葉がちりめんのように縮
れているので「ちりめんほうれんそう」や「寒締めほうれん草」とも呼ばれています。寒締め栽培とい
う、昔ながらの露地栽培で作物が寒さから身を守ろうとする力を活かした栽培方法で育てられています。
通常のほうれん草より栄養価が高く甘みが強くなり、エグミが少ないのが特徴です。

<茨城県のほうれん草栽培>
 
秋まき栽培:9月下旬から10月上旬に種まきをしたホウレン草は秋から晩秋にかけて収穫が見込めます。

1.種まき・間引きと畑の準備
   肥料をまいて、畑をたがやします。ほうれん草は酸性の土に弱いので、タネをまく前に石灰で酸
   性を弱めておきます。また、「うね」をつくって地面より少し高くしておきます。溝に2cm間隔
   でタネをまきます。本葉が2枚になったら、間引いて、株と株の間を5cmぐらいにします。
2.管理
   本葉が4枚ぐらいになったら、列と列の間をたがやして、雑草をとりのぞき、肥料をまきます。
   ほうれん草は若い葉を食べる作物で、雨や風に弱いので、ビニールハウスの中で育てることもあ
   ります。
3.収穫・調整・出荷
   葉が10枚ぐらい、高さ20cmほどに成長したら、根元を切るか、そのまま引きぬいて収穫します。
   ほうれん草は1ヵ月程度のサイクルで年間4~5回も収穫できる人気の作物です。

是非、茨城県産のほうれん草をお召し上がりあれ!

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茨城味自慢:茨城県産「春菊」は信頼の証

2024-02-05 07:36:04 | 日記

冬の鍋物料理に欠かせない存在といえば、春菊を思い浮かべる方も多いでしょう。独特の香り
とほのかな苦みが魅力の葉物野菜ですね。春菊は日本のハーブともいえる野菜で、さわやかな
香りがあります。鍋物やすき焼きに入れると臭み消しにもなり、味に深みが増すことが知られ
ています。春菊は、キク科シュンギク属の多年草の葉物野菜で、地上部の葉を収穫します。
葉物野菜といえば、害虫がつきやすいというイメージがありますが、キャベツやハクサイ、ブ
ロッコリーなどのアブラナ科の植物とは異なり、害虫がつきにくいそうです。原産地は地中海
沿岸で、比較的冷涼な気候を好みます。茨城県は春菊の生産量で全国3位の産地です。2021年度
の生産量は2,728トンで、全国シェアは8.4%でした
。茨城県の春菊は、水戸市、笠間市、常陸太
田市などで多く栽培されています
春菊の旬の時期は11月~2月とされ、冬の定番料理の鍋など
に入れる人も多いですね。春菊は収穫後の痛みが早いので、大消費地の近郊で栽培されることが
多いのです。東京に近い茨城県が産地なのは必然なのですね。ですから、春菊の産地を知って、
自分の住んでいる地域の近くの産地の春菊を味わうのが、実は一番新鮮で美味しいのです。春菊
は栄養満点な野菜なので、ぜひ旬の時期にたくさん食べて健康になりましょう。今回は茨城県産
の春菊を紹介します。

<春菊とは>

春菊は、地中海沿岸原産のハナゾノシュンギクが東アジアに伝わり、野菜用として改良されまし
た。キク科シュンギク属の植物で、若い茎葉が食用にされる野菜です。春菊は欧米では観賞用に
栽培されることが多いですが、日本では食用として栽培されています。葉に切れ込みの少ない大
葉(おおば)と、切れ込みのある中葉(ちゅうば)の二種類が主に栽培されます。香りと葉や花
の形から、関西では菊菜(きくな)とも呼ばれます。春菊は、春に黄色い花(時に白い花)を咲
かせることから、その名がつきました。春菊には、β-カロテンやカルシウムなどの栄養素が豊富
に含まれています。β-カロテンは、皮膚や粘膜の健康を保ち、抗酸化作用や視力の維持にも効果
があります。カルシウムは、骨や歯を強くし、神経の興奮を和らげる働きがあります。春菊は、
鍋料理や炒め物、天ぷらなどにして食べることができます。又、花も食用になります。春菊の収
穫時期は、春と秋冬に分かれます。春まきであれば、3~5月に種をまいて、4~6月に植え付けを
し、5~7月に収穫時期を迎えます。秋まきであれば、8~9月に種をまいて、9~10月に植え付け
をし、10~翌年1月に収穫時期を迎えます。ですから、真夏の8月、9月は端境期でハウス栽培物
がわずかに出るだけです。

<春菊の品種>

葉の大きさや切れ込みの形によって、主に大葉種、中葉種、小葉種と品種が大別されますが、野
菜としての栽培は葉が厚く味が良い中葉種が主流です。その中葉種は、伸びた葉先を摘み取りな
がら繰り返し収穫する「摘み取り種」と、葉が柔らかく、株ごと収穫する「株張り種」がありま
す。日本において、関東地方では葉の切れ込みが深い中葉種が、茎から摘み取られて出荷されま
すが、関西地方では根をつけたまま出荷されるものが多いです。

(1)大葉種:葉の切れ込みが浅く、大ぶりで丸く肉厚。香りは弱い。日本では関西から九州に
       かけての西日本で多く栽培されています。味にクセがなく柔らかい。関西地方で
       は「菊菜」とも呼ばれ、株ごと収穫することが多い。「おたふく春菊」「 菊之助」
       「大和きくな(中村系春菊)」 など
(2)中葉種:切れ込みの多い細い葉は「中葉」と呼ばれる形で、日本で最も多く栽培されてい
       ます。特に関東地方で多く見られる。葉の切れ込は大葉種と小葉種の間で、香り
       は強く、鍋料理には欠かせない素材です。。中葉種には、側枝が多く発生する株
       張り種と、主枝と側枝を継続的に摘みとっていく摘みとり種があります。関東では
       摘み取り収穫することが多く、根付きで株ごと抜き取った「株張り」は関西地方に
       多く、「菊菜」とよばれています。「きわめ中葉春菊」「菊次郎」など
(3)小葉種:葉が小さくて切れ込みが深く、耐寒性や耐暑性に優れていますが、生育が遅く、収
       量が少ないため、東北地方の一部の市場に出回るぐらいです。

<春菊の生産量ランキング> 2021年

1位は千葉県で4,238 (t)13.1%、2位は大阪府で3,735 (t)11.5%、3位は茨城県2,728 (t)8.4%、
4位は群馬県で2,523 (t)7.8%でした。上位4県で40%のシェアで生産しています。いずれも、大消費
地が近いです。輸入品の春菊はなく、冷凍物もほとんどありません。日本の食文化を代表する野菜
と言えますね。

<春菊の豆知識>

1.春菊の栄養素:

 (1)豊富なβカロテン:多くのβカロテンが含まれます。βカロテンは、体内でビタミンAに変わ
      り、皮膚や粘膜を丈夫にし、抵抗力を高める働きがあり、風邪や肌荒れの予防を助けま
      す。ほうれん草や小松菜を上回り、春菊1束(約200g) で1日に必要な量が摂取できます。
 (2)ミネラル豊富:骨を生成する上で欠かせない成分のカルシウム、マグネシウム、リン、鉄分
      などのミネラルが豊富で、特にカルシウムは牛乳と同じくらい豊富に含まれています。
 (3)春菊の独特の香り:自律神経に作用し、胃腸の働きを活発にし、胃もたれを解消するなどの
      効果があると言われています。

2.春菊の栄養の効果的な食べ方

 (1)生で食べる:春菊はアクが少ないので、葉の部分は生でサラダに入れて食べられます。また、
      葉の部分は加熱するごとに苦みが増すので、苦みが苦手な方は生のまま食べるのがおす
      すめです。
 (2)鍋で食べる:茹でることで『β-カロテン』の量が2倍になりますので、たくさん摂取したいと
      きはおすすめです。 
 (3)炒め物:「β-カロテン」は油と摂取することで吸収率がアップしますし、生のときよりもボリ
      ューム感が減りますので、たくさん食べて多くの栄養素を取り込むことができます。また、
      タンパク質と同時に摂取すると吸収率が上がるので、お魚やお肉と一緒に炒めるのが賢い
      食べ方ですよ!

3.生と茹でたもので、春菊の栄養はどう違う?:
   春菊の生と茹での栄養素を比較しました(可食部100gあたり)。ビタミンA(レチノール活性当
   量)とビタミンKは生よりも茹でたほうが多くなります。葉酸、カリウムは水に溶けるので茹でる
   と減ります。

4.関東と関西では栽培される品種が違う:
   九州・中国地方では大葉種(葉の切れ込みが浅く柔らかで、肉厚な種類。クセが少な いので食べ
   やすい)、関西や関東では中葉系(一般的に流通している香りの強いタイプ)、関東以北では小葉系と
   栽培品種にも違いがあります。関西と関東では同じ中葉系ですが、種類は異なります。関西の「菊
   菜」は葉が大きく香りは控えめで、ふんわり柔らかなのでサラダなど生で食べるのに向いています。
   関東の「春菊」は、葉が小さめで香りが菊菜より強いです。茎が何本かに分かれるので、茎を摘み
   取りながら長期間収穫できますが、だんだん春菊がかたくなってきます。販売形態も異なり、関西
   では根元から株ごと(根付きで)販売されるのに対し、関東は茎から摘み取り販売します。
   実は、春菊は品種や栽培地域で旬の時期が違うのです。

5.春菊は地域によって食べ方や好みが異なります:
   例えば、関西では春菊をあまり食べないという説があります。その理由は、春菊の苦みが関西の味
   覚に合わないということや、春菊の代わりに小松菜や水菜を使うということが挙げられます。

6.春菊を夏に見かけない理由:
   主力の中葉種の露地栽培は春まきと秋まきがありますが、8月、9月の夏季には収穫しません。例え
   ば、青森県八戸市の「阿房宮」は、ハウス栽培されていないものは10月下旬~11月上旬、新潟県の
   「延命楽」は9月下旬~11月上旬、「ヤグルマギク」は4月~6月が流通の時期となっています。その
   ため、これらの品種を求めている場合は、夏にはスーパーに売っていない可能性があります。

   夏の時期にある春菊はハウスものとなります。

7.春菊の香り:
   春菊の特徴と言えば、まずあの独特の香りです。春菊の独特の香りはαピネンやペリルアルデヒドな
   どの香り成分によるもので、せきを鎮め、痰を切る作用があります。精神を落ち着かせ、気分をリラ
   ックスさせる成分が含まれているのは有名ですが、自律神経に作用し、胃腸を活性化させるので風邪
   を引いている時に落ちがちな食欲を増進させてくれる働きもあります。

8.香りが苦手の方へ:
   なかなかあの香りが苦手…という方は、一度 50 ℃洗いをしてみて下さい。50℃にしたお湯に食材を浸
   すやり方で、春菊の場合は約 20 秒位そのままお湯につけて洗います。そうすることによって独特の香
   りが和らぎ酵素が働きだすので甘味が増し食べやすくなりますよ。

9.相性の良い食材:
   ・春菊×大豆製品…春菊の香りと大豆のコクのある味わいは相性抜群。
   ・春菊×肉…春菊の苦みと香りと肉のうまみが相性抜群。
   ・春菊×ねぎ…春菊のβカロテンとねぎの香り成分は、風邪予防に。

10.春菊の栄養は、小松菜、ほうれん草とどう違う?
    春菊、小松菜、ほうれん草の生と茹でたものの栄養を比較しました(可食部100gあたり)。生の春菊は、
    ビタミンA(レチノール活性当量)が380gと豊富で、3種の中でも最も多く含みます。ビタミンK、葉酸、
    鉄は、ほうれん草に匹敵するほど含まれています。茹でたものを比べると、春菊はビタミンKが460μgと
    3種の中で最多。ビタミンA、葉酸、カリウムを、小松菜より多く含んでいます。

11.選び方:
    春菊はピンと張っていて緑色が鮮やかなものが良いです。ツヤがありみずみずしく香りが強いものは新
    鮮な証拠です。スーパーなどでは透明の袋に入っている場合が多いですが、その場合は切り口が変色し
    ていないか確認しましょう。茎が太すぎず茎の下のほうにも葉がよくついているものがおススメです。

12.保存方法:
    春菊は劣化が早いので、早めに使い切るようにしましょう。春菊は乾燥しないよう濡れた新聞紙やキッ
    チンペーパーなどでくるみ、ビニールやポリの袋に入れ、冷蔵庫の中で立てて保存しましょう。

13.日本や中国、韓国などのアジア諸国では食用としておなじみですが、ヨーロッパでは菊の香りを食用とし
   て好まず、花を観賞するものになっていますが、最近は日本食の普及の影響でしょうか、生のままトッピ
   ングに利用する使い方が増えてきました。

14.春菊の収穫方法なぜ2つあるのか?
    品種によって2つのタイプがあります。株張り型と株立ち型です。株張り型は、株ごと収穫するタイプで、
    春まき栽培に向いています。株立ち型は、摘み取り収穫するタイプで、主枝を摘芯すると、脇芽が伸び
    てきて何度も収穫できます。株立ち型は、秋まき栽培に向いています。収穫方法の違いは、春菊の生育
    特性によるものです。春菊は、春には早く花が咲いてしまうので、株ごと収穫する方が効率的です。秋に
    は、花が咲くのが遅くなるので、摘み取り収穫する方が長期間収穫できます。

15.春菊の栽培は露地とハウス、どちらが多いか。
    春菊の生産量は、露地栽培とハウス栽培の比率は約6対4です。 露地栽培の主な産地は茨城県、千葉県、
    埼玉県など関東地方です。ハウス栽培の主な産地は北海道、青森県、岩手県など北海道・東北地方です。
    露地栽培は、春まきと秋まきができますが、高温や日照の影響でとう立ちしやすいので、秋まきが育て
    やすいです。ハウス栽培は、9月から10月に播種して、冬場の需要を見込んだ収穫が多いです。

<茨城県の春菊生産農家の誇り>

「JAなめがた」がある茨城県南東部は、霞ヶ浦と北浦という大きな湖に挟まれた温暖な地域で、水田地帯と大規模
な畑作地帯が広がっています。水はけのとても良い赤土のため、管内では60品目以上もの多彩な農作物が栽培され
ています。この中で、春菊部会の歴史は古く、30年以上前より各地域で個別に部会が結成されていたそうです。
平成元年にJAなめがたとなり合併すると、部会員は一気に396人まで増えました。多くの方が春菊と稲作両方の栽
培に携わることから、圃場は2月から5月までは稲の苗を育てるのに使われ、6月から12月には春菊栽培に使用され
ます。主に栽培されている品種は中葉種の「菊蔵」で収量が多いのはもちろんのこと、葉肉が厚くて軸に甘みがあ
り食味がよいのが特徴です。作付け面積は全体で60ヘクタール、年間出荷量はなんと500トン以上にもおよび、京
浜市場への出荷がほとんどを占めます。

茨城県の栽培は露地栽培の直まき方法とハウス栽培の移植方法の2通りがあります。ハウスでは9月上旬から種まき
が始まり、約一か月後に定植します。収穫の目安は季節にもよりますが、だいたい30日ほど経過したものが「葉の
大きさや茎の長さが均一にそろっている最高の状態」とのことです。11月から出荷がはじまり、なかでも鍋料理に
活躍する年末年始が一年で最も忙しい時期です。そのため一日を通して収穫と袋詰めの作業をフル回転で行ってい
ます。

(1)機械に頼らず、手作業で丁寧に包装
    近年機械化が進む農業ですが、JAなめかたでは春菊は収穫・調整・梱包がすべて手作業で行われています。
    「ここが一袋ずつに目をかけられる良いところでもあり、大変なところでもある」と農家さんは言います。
    毎朝収穫してきた春菊を、やわらかなシートの上で整え、丸めたシートのまま袋の中へ入れます。袋をト
    ントンと軽く揺らして春菊の足を揃え、シートを抜くと包装の完成です。長さが揃っていないと、輸送時
    の振動で葉先が傷んでしまう恐れがあるため、厳しい選別を行います。JAなめがたでは一箱に20袋詰めで
    出荷されます。

(2)安全安心・高品質への工夫
    茨城県銘柄産地の広域指定(行方市、潮来市)の交付を受けています。交付基準は非常に厳しく、該当品目
    の売り上げが年1億円以上、高品質で東京卸売市場の平均単価を概ね上回っていることなど細かな条件を満
    たすことが必要です。そのため、JAなめがたでは様々な取組みを行っています。目揃え会で意識の共有をは
    かるとともに、土壌分析に取り組んだり、有機質を利用した「土づくり」に力を入れています。また平成22
    年からはGAP(農業生産工程管理)にも取り組んでいます。

(3)搬送にも信頼を
    流通の場では消費者まで一貫して鮮度を保ったまま届けるコールドチェーン、多様なニーズに対応するため
    の直接販売店の集配センターへ輸送する直送依頼対応、市場用の特別注文への細かな対応をおこない、市場
    での信頼を得ています。

茨城県産の春菊は信頼の証、是非、茨城県産の春菊をご賞味あれ!

 

 

 

 

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