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ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:地元の人にも愛され続けている「ほしいも」

2024-12-23 07:34:01 | 日記

茨城県はほしいもの生産量が、他県を圧倒して全国の約9割を占めています。茨城県のほしいも
の特長は「おみやげにぴったりの特産品」だけではなく、茨城県民に日常的に広く食されている
「地元民に愛される食品」であることなのです。そのため、サービスエリアからスーパーまで、
さまざまな場所でいつでも購入することができます。

県内の主要生産地は太平洋沿岸のひたちなか市、東海村、那珂市です。この地は、火山灰由来の
水はけの良い黒ボク土壌で、ミネラルを含んだ潮風が吹きます。そして、冬季に長い晴天が続く、
湿度は低いなど、さつまいもの栽培に恵まれた環境なのです。こうした環境で育ったさつまいも
を、無添加で蒸して切って乾燥させたものが「ほしいも」です。甘さや食感、色合いなどにこだ
わった品種も多く、熟練の技術で加工されています。茨城県の干し芋は、自然の甘さとねっとり
とした食感が特徴で、健康や美容にも良いですから、ぜひ食していただきたいです。実は過去に
県内でも生産地トップの「ひたちなか市のほしいも」について紹介していますが、今回は視野を
広げて、「茨城県のほしいも」すなわち「日本のほしいも」の視点から紹介します。

<ほしいもは日本が発祥の食品>

さつまいもを乾燥させただけの、ほしいものような食品は、世界にはないそうです。しかし、さ
つまいもを砂糖やシロップで煮たり、焼いたり、揚げたりした食品は、アジアやアフリカ、南米
などで広く食べられています。例えば、中国では「紅薯乾」というさつまいもの乾燥品がありま
すが、これはほしいもとは違って、砂糖や香料で味付けされています。ですから、ほしいもは日
本独自の食文化と言えるでしょう。

<さつまいもがほしいもに最適である理由>

(1)さつまいもはデンプンを多く含む食物で、蒸すとデンプンが糖に変わって甘みが増します。
   干すとさらに水分が減って甘みが凝縮されます。
(2)さつまいもには食物繊維が豊富に含まれており、干すことで食物繊維の含有量が約5倍に
   なります。食物繊維は血糖値の上昇を抑えたり、便秘の予防に効果的です。
(3)さつまいもにはカリウムやマグネシウムなどのミネラルや、ビタミンB1やビタミンEなどの
   ビタミンも多く含まれています。これらの栄養素は干すことで失われにくく、干し芋にも
   しっかりと残ります。

  このように、さつまいもはほしいもにすることで、甘みや栄養価が高まる食材なのです。

<さつまいもの生産量国内ランキング>2022年

1位は鹿児島県で210,000t(29.5%)、2位は茨城県で194,300t(27.3%)、3位は千葉県で88,800t(12.5%)、
4位は宮崎県77,900t(11.0%)です。この4県で8割のシェアです。

鹿児島県のさつまいもは、ほとんどがでん粉(こないしん)や焼酎の原料(黄金千貫、紅さつま)と
して使われています。茨城県では、生食用のさつまいもが多く、干し芋(紅はるか、玉豊)や大学イ
モ(紅はるか、シルクスイート)などの加工品も有名です。千葉県では、紅はるか、紅あずまなどの
品種が主流で、茨城県と同様に生食や加工用に出荷されています。

<ほしいもの味は、さつまいもの品種によって異なる>

一般的には、ねっとり系の品種は甘味が強く、ほくほく系の品種は素朴な味わいが特徴です。そして、
しっとり系の品種は、さっぱりとした上品な風味があります。

1.ねっとり系の品種

    (1)紅はるか:スイートポテトのような甘さとねっとりした食感が特徴です。干し芋にすると黄
         金色になり、見た目も美しいです。茨城県の主力品種です。
 (2) 安納芋:甘くクリーミーな食感で、焼き芋にも適しています。干し芋にすると蜜のような味
         わいになります。
 (3)泉13号:干し芋専用に作られた品種で、ハチミツのようなコクのある強い甘みと濃黄の飴色
         が特徴です。

2.ほくほく系の品種

    (1)玉豊:干し芋の定番品種で、ややねっとりした歯ごたえと素朴な甘さがあります。昔懐かしい
        味わいで、根強い人気があります。この品種も多く生産されている。
 (2) ほしこがね:新品種で、形が良く、しつこくない上品な甘さとさつまいも本来の風味がありま
          す。
 (3)ほしキラリ:干し芋専用に作られた品種で、黄色みと充分な甘み、上品な風味をもっています。
          後味がすっきりとしていて、食べやすさが好評です。

3.しっとり系の品種

    (1)シルクスイート:シルク(絹)のような滑らかな舌触りを特徴とする品種です。水分を多く含
            んでおり、しっとりとしています。甘味は控えめですが、上品でクセのない
            味わいがあります。この品種も多く栽培されています。
 (2)ほしあかね:オレンジ色の品種で、カロテンを多く含んでいます。鮮やかな色としっとりした
          食感が特徴です。

ほしいもの味は、さつまいもの品種だけでなく、干し方や加工方法によっても変わります。自分の好み
に合った干し芋を見つけるためには、いろいろな種類の干し芋を食べ比べてみるのがいいですね。

<茨城県のほしいも生産の歴史>

ほしいも発祥の地は静岡県で、その後茨城県の那珂湊・阿字ヶ浦(現ひたちなか市)に

伝わったのは今から約110年前と言われています。現ひたちなか市でほしいも生産が拡大したのは、
「冬に強い海風が吹く」といった気候条件に加え、当時、財政破綻の瀬戸際にあった村の立て直しを図
るために、ほしいも製造を柱に村をあげて研究を重ねたといった歴史があります。ひたちなか市に令和
に元号が変わって、創建された新宮「ほしいも神社」があります。「ホシイモノ(欲しいもの)は総て
手に入る」という思いを込めた新しい神社です。茨城県でのほしいも製造は、1908年頃那珂湊(現ひた
ちなか市)湊町のせんべい屋・湯浅藤七と、那珂湊に近い阿字ヶ浦(現ひたちなか市)の小池吉兵衛の
二人の人物により始まり、そのほしいも栽培・加工方法により、茨城のほしいも製造が広まりました。
阿字ヶ浦(現ひたちなか市)にある堀出神社(ほりでじんじゃ)には、小池吉兵衛の胸像もまつられています。
ほしいもの歴史は「ほしいも学校」のホームページをご参照。

<ほしいもの豆知識>

1.栄養価と効能
   ほしいもは100%サツマイモを原料とした自然食品です。サツマイモにはビタミンE・ビタミンB群
   ・カリウム・食物繊維・鉄など体に良いものがたくさん含まれています。中でも食物繊維やカリウ
   ムが多く含まれています。カリウムには体のむくみの解消やナトリウムのとり過ぎによる高血圧を
   防いでくれる働きがあり、食物繊維には血糖値の急な上昇を防いだり、コレステロールの吸収を抑
   制してくれたり腸内環境を整えてくれる効果があるといわれています。

   ほしいもは干すことによって、いも類に多く含まれるビタミンB2が少なくなってしまいますが、成
   分が凝縮されるので他の調理の仕方より栄養価が高くなります。

2.ほしいもが、文化庁の「100年フード」に選出されました!
   茨城の誇るスーパーフードであるほしいもが、2022年4月に文化庁より世代を超えて受け継がれた
   食文化として「100年フード」に選出されました。ほしいもは、明治・大正期に生まれた近代部門で
   茨城県より唯一選ばれました。

3.食べ頃はいつ?
   ほしいもの原料となるさつまいもは、9~10月に収穫し、熟成させる事で甘くなります。茨城県では
   9月~10月になると、どこの畑でもさつまいもの収穫が始まります。ですから、旬は秋と思われます
   が、実は「さつまいもは掘りたてより、熟成させた方が甘くなる」という事はあまり知られていない
   事実です。ですから、「ほしいもは、年明けからが美味い」のです。

4.アレルギー等様々な理由で食生活を制限されている方にお勧め!
   小麦粉や乳製品をはじめとしたアレルギーに悩まれる方、また、アレルギーがなくても、添加物や砂
   糖(特に白砂糖)を避けた食生活を心がける方にお勧めです。さつまいもを蒸して干したほしいも、
   さつまいもを焼いた焼き芋は、製造工程で共に砂糖や添加物が一切使用していません。また、原料と
   なるさつまいもの品質のこだわり、栽培期間中、農薬や化学肥料を一切使用しない有機栽培に取り組
   んでいます。そんな干し芋や焼き芋は、グルテンフリー・ギルトフリーなスイーツなのです。

5.ほしいもの別名
   ①乾燥芋:茨城県の高齢者は、ほしいものことを「乾燥芋」とよく呼んでいます。その他に②「甘藷
   蒸し切り干し」③「甘藷切り干し」など。甘藷(かんしょ)とは、さつまいもの別名。「甘い芋」を意味
   しています。それを蒸して・切って・干すのがほしいも。このことから、こんな別名でも呼ばれています。

6.ほしいもの家庭での作り方(野菜だより 2021年3月号より)

   ほしいもに向くのは、1本250~350gのさつまいも。掘りたてではおいしくできないので、必ず追熟させ
   たものを使って作るのが最大のポイント。

(1)洗って鍋に入れる
    よく洗ってから蒸し器に入れる。火の通りを均一にするため、重ねないように並べる。

(2)じっくりと蒸す
    フタをして強火にかけ湯気が立ったら、湯気が立つほどの火加減に弱め、1時間から2時間、じっくりと
    蒸す。
(3)竹串で確認する
    竹串を刺して蒸し加減をチェック。中心部までスーっと入れば蒸上がり。蒸しすぎにも注意。干し芋づく
    りは「蒸す」「切る」「干す」のシンプルな工程ですが、それぞれにコツがあります。さつまいもを加熱
    すると、65〜75度で、デンプンが麦芽糖に変わり、さらに甘くおいしくなります。1時間半から2時間かけ
    て、じっくりと蒸し上げることで甘さが引き出されるので、強火で一気に蒸すのは避けましょう。さつま
    いもの中心部が72度を保つように蒸すのが良いです。
(4)熱いうちに皮をむく
    熱いので軍手やフキンで持ちながら割り箸、バターナイフなどでむく。茶色い甘皮も取ると、きれいな色
    に仕上がる。熱いうちに手早くむくと、ツルンときれいにむける。
(5)少し冷めてから切る
    熱いうちに切ると崩れやすいので、少し冷めてから1㎝ほどの厚さに切る。縦に切るほか、輪切りも食べや
    すいので試してみたい。皮をむくのは熱いうちに、切るのは少し冷めてから行うときれいに仕上がります。
(6)崩さないように並べる
    乾燥ネットやザルに並べる。やわらかくて崩れやすいので、重ねたまま。ふわっと持って、一枚ずつていね
    いに置いていく。
(7)1週間ほど天日で干す
    日中、日当たりと風通しの良い場所で一週間ほど干す。夜は室内に取り込むか、夜露が当たらない場所に入
    れる。蒸したてのさつまいもは水分が67~68%。干すことで甘味と栄養が凝縮されます。

2日に1度くらい表裏を返しながら 1週間ほど干してください。水分が22%前後になり、保存の利くおいしい干し芋に
なります。干しすぎると食感がかたくなりますので、様子を見ながら、干し上がりは、2つに折っても割れない状態
を目指してください。

自家製だからこそお好みの仕上がりでおいしさを楽しんでください。お好きな干し具合で冷蔵・冷凍保存もできます
ので、毎日、食べながらお好みの状態を見つけるのも楽しいですね。

7.干し芋の糖分とカビの明確な見分け方
   サツマイモが乾燥していく工程で表面の糖分が結晶化する場合は、なんの問題は無く、表面に出来る白色の結晶
   は、デコボコ等が殆ど無い状態です。一方、「カビ」は「胞子」ですので、表面が小さなドーム状になっていた
   り、「綿(ワタ)」のような状態であったり、丸状では無い場合も多いです。また、白いカビの中心部分が緑色
   になっている場合も有り、表面を軽く臭うと明らかに「カビ臭い」場合が多いです。

8.茨城県が「ほしいもの日(1月10日)」を制定しました!
   1月10日を「ほしいもの日」とした理由は、①1月10日の「一」と「十」の漢字を重ねると、「干」という文字に
   なること。②10日の読み「とおか」は、ほしいも生産にとって重要な工程である原料いもの糖化(とうか)につ
   ながること。③1月10日からの時期がほしいもの最もおいしい時期になること。「ほしいもの日」には、茨城県産
   のおいしいほしいもを食べてみてはいかがでしょうか?

9.こだわりの三ツ星生産者
   ほしいもの生産農家や集荷販売業者、農業関係機関から構成される「ひたちなか・東海・那珂ほしいも協議会」で
   は、消費者に信頼されるほしいもづくりを目指し、「ほ しいも三ツ星生産者」認証制度を開始。生産履歴の記帳、
   衛生加工の実践、適正品質表示の3項目を満たした生産者を審査認定しています。

<ほしいも農家:紅はるかの収穫からほしいもの完成まで>

 茨城県で最も生産量が多いのは「紅はるか」、次いで、玉豊、シルクスイートです。

(1)11月初旬のサツマイモ畑。霜が降りる前に収穫していきます。サツマイモのツルを草刈り機で刈るところからスター
   ト。草刈り機でツルを刈ると、ツルがスグしんなりして芋が掘りやすくなるから。さらに刈ったツルは、放置してお
   くと自然に帰るので土壌にもやさしいのです。
(2)ユンボを使って、サツマイモを掘り起こしていきます。機械化が必要な作業。
(3)収穫:収穫したサツマイモは、土のついたままコンテナへ保管します。土のついたままにする理由は、洗ってしまう
   と痛みが早くなるからです。
(4)1ヶ月以上、倉庫の中で寝かせます(12℃~15℃。)寝かせることによって、サツマイモのデンプンが糖に変わり、
   ねっとりとした甘いお芋になります。
(5)寝かせが終ると、サツマイモの土を洗い落としていきます。最後は水道水を使って、落としきれなかった土をしっかり
   除去。キレイになるまで丁寧に洗っていきます。
(6)洗ったサツマイモを乾かします。ここから、「ほしいもづくり」のスタートです。
(7)蒸す:蒸す時間や温度は農家さんによってそれぞれ。早朝からゆっくりと時間をかけて蒸し上げます。
(8)皮をむく:蒸したての熱々のさつまいもをナイフを使って皮をむいていきます。
(9)スライス:皮をむいたさつまいもをピアノ線を張ったつき台で優しくスライスします。
(10)並べる:スライスしたさつまいもを一枚ずつ丁寧に網棚に並べます。
(11)干す:天日干し。近年では、乾燥機を用いて乾燥する農家さんも。
(12)完成:十分に乾燥したら黄金に光るほしいもの完成です!

ほしいもは栄養価が高く、食物繊維やビタミンCなどが豊富に含まれています。ほしいもを食べて、健康的な食生活を楽しん
でくださいね。

 

本ブログは今回の投稿が最終稿です。

長い間、お付き合いを頂きありがとうございました。

皆さまのご多幸を祈念いたします。


茨城味自慢:茨城県のブランド大根「剣優」そして「牛久河童大根」

2024-12-02 06:54:21 | 日記

茨城県の青首大根は、日本トップクラスの生産量と高い品質そして安全性を誇る野菜で、県の
主幹農産物として、生産従事者が多い作物です。この青首大根は生産されている大根類の品種
の中で9割を占めていますから、どこのスーパーにも通年で並んでいて、食卓になくてはなら
ない作物ですね。「青首大根」とは、宮重大根という江戸時代から栽培されていた品種をベー
スにして、病気に強く作りやすい一代雑種として開発されたものですが、各地方の気候風土や
消費者動向に合わせた品種改良が更になされてきました。今、多く栽培されている青首大根の
品種には、春まき専用の「春のほまれ」や「春のめぐみ」、暑さに強い「夏祭」や「春夏らん
まん」、秋から冬にかけての旬の季節に収穫できる「秋の彩」や「秋の夢」、おでんや切り干
しに適した「味福」や「打木源助」などがあります。それぞれの品種には、肉質や甘味、耐寒
性や耐病性などの特徴がありますので、用途や好みに合わせて選ぶことができます。こうした
品種の種は苗種メーカーから買えますから生産量としては一番多いです。でもこの他に、各地
方独自で長年、その土地の風土に合わせて改良に取り組んで、ブランド化した品種も一定の地
位を築いています。茨城県の場合は「牛久河童大根」が代表格です。この大根についてはすで
に、このブログで紹介済みですが、実はどうしても紹介したい品種の大根がもう一つあります。
大根の名前は「剣優(つるぎゆう)」です。今回はこの剣優大根を紹介します。実はこの2品
種は立ち位置が違う大根なのです。比較しながら紹介します。他に、大根の雑学情報も併せて
の紹介です。

<大根の生産量ランキング> 2021年

1位は千葉県    147,500t(11.8%)、2位は北海道 143,200t   (11.4%)、3位は青森県
114,400t  (9.1%)、4位は鹿児島県 92,500t (7.4%)・・・7位茨城県 55,400t (4.4%)

大根は運搬が容易ですから、一極集中があってもおかしくありませんが、国内でまんべんなく生
産されているのがわかりますね。

<大根の品種>

大根の品種はたくさんありますが、一般的には以下の3つの分類に分けられます。
1.白い大根:青首大根や三浦大根、桜島大根などが代表的です。特に青首大根は日本で最も多
            く栽培されている種類です。
2.赤い大根:紅芯大根やレディーサラダなどがあります。果肉が赤色やピンク色をしています。
       辛みが少なく、生で食べるのに向いています。
3.辛味大根:ねずみ大根や親田辛味大根などがあります。小さくて細長い形をしています。
       辛みが強く、漬物や炒め物に使われます。

これらの分類を更に細分化すると、全国的名声でいえば、青首大根の中には「宮重大根」「練馬
大根」「耐病総太り」などがあります。又、赤い大根には「くれない総太り」や「紅芯大根」な
どがあります。そして、辛味大根には「亀戸大根」や「山田ねずみ大根」などがあります。
大根の品種は、栽培地や収穫時期、形や色、味や食感などによって異なりますから、品種として
はとても多いのです。

<大根の豆知識>

1.大根は世界に誇る日本を代表する野菜
   大根の原産地は地中海説、中国説などがありますが、弥生時代にはすでに栽培され、日本独
   自の野菜として発展してきました。江戸時代には、すでに「大根」の名で漬物や切り干し大
   根など保存食としても重宝がられ、明治後期には今の量の3倍もの量が食べられていました。
   当時は薬も少なかったので、栄養価の高い食べる薬としての需要が高かったのです。こうし
   た背景が、現在も大根の堅調な消費の継続を支えているのでしょう。一方、海外では大根を
   食べる習慣が少なく、大根の生産量と消費量は日本が世界トップで、日本産がシェア90%で、
   そのほとんどが国内で消費されている野菜なのです。
   大根が生産量・消費量が世界一である理由がわかりますね。

2.大根が日本全土でまんべんなく生産されている理由
   大根は栽培の歴史が古く、日本全国でそれぞれの土壌、気候に適応した多くの品種があります。
  ①大根は煮物や漬物など、日本の食文化に欠かせない食材で、栄養価も高く、食べる薬とされて
   きた背景がありました。
  ②大根は育つ環境を選ばないことで、全国どこでも栽培が可能であり、消費量も多いため安定し
   て稼ぐことができる野菜です。このため、ランキングに記したように日本全土で栽培されてい
   ます。

3.海外での大根の呼び名は?
   大根は英名でradish(ラディシュ)。赤カブを思い出す方もいると思いますが、海外では大根の
   ことです。尚、英名でカブはturnip(ターニップ)です。日本の大根を英名で呼ぶと、japanese
   white radush(ジャパニーズ ホワイト ラディシュ)又はDaikon(ダイコン)で伝わることが
   多いそうです。

4.日本に輸入されている海外の大根
   グローバルな時代ですから、海外から輸入されている大根もあるのです。

 (1)冷凍だいこん:中国から主に業務用のだいこんおろし用として周年で輸入されています。
 (2)乾燥だいこん:中国から切り干しだいこんの原料として、周年で輸入されています。
 (3)ハツカダイコン:西洋大根とも呼ばれる小型の大根で、色は赤や白、紫などがある。主な品種は
            コメット、レッドフォーシング、サクサなど。
 (4)赤大根:皮が赤い大根で、主にサラダや漬物に使われる。中国やヨーロッパなどから輸入されて
        います。

5.側根が等間隔に並んでいるものが美味しい大根
   収穫した大根を見ると、側面に小さなくぼみが縦に並んでいて、そこから細く短い根(側根)が生
   えています。側根が等間隔に並んでいるものは、生育が順調で美味しい大根の証。有機肥料でゆっ
   くり育ったダイコンは等間隔に1列に並びます。逆に、側根の間隔が狭い/広い部分があるものは、
   その間の生育条件が悪かった証拠です。

6.大根の栄養素と効能
   大根は寒さに強くて保存性に優れています。部位によって味や食感が異なり、料理によって使い分
   けることができます。又、大根には消化酵素や辛味成分が含まれており、胃腸の働きを助けたり、
   炎症を鎮めたりする効果があります。また、大根の葉は緑黄色野菜として栄養価が高く、捨てずに
   食べることがおすすめです。大根は、春の七草のひとつ「すずしろ」としても知られています。す
   ずしろは、大根の根の部分ではなく、葉の部分を食べるものです。春の七草は、正月の暴飲暴食で
   疲れた胃腸を癒すという意味がありますが、すずしろには消化酵素が含まれており、その効能にぴ
   ったりです。

7.絶対王者「青首大根」の誕生
   青首大根にはいろいろな品種がありますが、これらの多くは「宮重」という青首大根がルーツとさ
   れています。宮重は江戸時代から栽培されていた青首大根で、昭和20年代までは広く普及していま
   した。しかし、病気に弱いなどの問題があり、より作りやすい白首大根にシェアを奪われて宮重の
   生産量は減少していきます。ところが昭和49年に登場した「耐病総太り」という一代雑種(F1)に
   よって、青首大根の時代が復活します。耐病総太りは、宮重大根の弱点であった病気への抵抗力や
   ス入りなどの問題を改良した品種です。栽培がしやすく、宮重大根の長所であるなめらかな肉質や
   甘味も兼ね備えていることから、急速にシェアを拡大しました。その後も宮重系統の品種が多数育
   成され、今では大根といえば青首大根というほど定着しています。

8.もともと添え物は3種類に分けられていた
   最近は刺身の添え物をすべてまとめて「つま」と呼ぶことが多いが、日本料理の世界ではその形・
   役割などで3種類に分類されていました。大根などによくみられる細切りは、3寸(10cm前後)の
   長さで食べやすくそろえ、鋭く細く切って刺身の横に縦長にそびえ立たせてあった。まるで剣のよ
   うに直立して盛られた姿から、細切り野菜は「けん(剣)」と呼ばれます。今でも料亭などではた
   まに見かけるそうですが、細切り野菜を本来の「けん盛り」することはほぼなくなっているようで
   す。スーパーでパック詰めする際に潰れてしまうし、盛り付けに技術が必要なので、すたれてしま
   ったのでしょう。剣優はこのけん盛りができる大根であることから名づけられたそうです。

<茨城県の大根にまつわる豆知識>

1.茨城県を代表する郷土料理:「柚子大根」について
   農林水産省が次代に残したい「うちの郷土料理」にも選抜されている柚子大根は、大根と柚子をお
   酢に漬けた料理です。柚子は温暖な気候を好むので、主に四国地方や関東地方で栽培されています。
   柚子大根は茨城県の郷土料理で、特に冬に美味しく食べられます。柚子大根の作り方は簡単で、大
   根を切って塩もみしてから、柚子の皮と果汁、砂糖、お酢を加えて漬けるだけです。柚子大根は、
   生で大根を食べる効果とお酢の効果が健康にとても良く、保存も効くのでオススメの食べ方です。
   大根にはカルシウムやビタミンE、鉄分などの栄養素が豊富に含まれており、免疫力を高めたり、
   貧血を予防したりする効果があります。 柚子にはビタミンCやクエン酸が多く含まれており、風邪
   の予防や疲労回復に効果的です。柚子大根は冷蔵庫で約3日間日持ちします。 余分な水分は雑菌の
   繁殖を促すので、大根の水分をよく拭き取ってから漬けることが大切です。また、使用する容器は
   密閉できるものがオススメです。柚子大根はご飯のお供やおつまみにぴったりの一品なのです。柚
   子の爽やかな香りと甘酸っぱい味が食欲をそそります。柚子大根を買うなら、インターネットで通
   販するのが便利です。柚子大根は、茨城県の他、関東の幅広いエリアで作られています。また、柚
   子の生産が盛んな、四国の高知、徳島そして九州の大分も産地です。
   その時は、茨城県の柚子大根を選んでくださいね。

2.茨城県の大根の特長は、以下のようにまとめられます。
  (1)茨城県は、平坦で広大な耕地を有し、温暖な気候と豊富な水資源に恵まれています。これらの
     条件は、大根の栽培に適しており、品質の高い大根を安定的に生産することができます。
  (2)生産される大根は生食に適し、瑞々しくシャキシャキとした食感と柔らかな肉質が特徴です。
  (3)大根の需要に応えるために、出荷量や出荷期間の拡大にも努めています。茨城県の大根は、秋冬
     から春まで長期間出荷されており、国内外での需要が増加しているかんしょの生産拡大や、アジ
     アを中心に輸出されているメロンとの共同出荷などの施策を実施しています
  (4)茨城県の大根は安全・安心でおいしいダイコンを出荷するために、優良品種の選定や病害虫防除、
     生産履歴記帳、GAP認証などの取り組みを行っています。
  (5)茨城県の大根は品種が豊富で、形や色、味に個性があります。紹介している牛久 河童大根は大き
     くて重たく、肉質がやわらかいのが特徴です。剣優は辛みが少なくて甘みが強いのが特徴です。

以上のように、茨城県は、大根の生産に適した自然環境と、品種改良や栽培技術の向上、出荷量や出荷期間
の拡大などの取り組みに積極的です。一時は大根の生産量が全国1位を保持していた時期もありました。

<茨城県のブランド大根:「剣優」と「牛久河童大根」>

1.剣優はたい肥を施して栽培され、水分を含んだ瑞々しく、太くて大きい大根です。

(1)剣優大根は青首大根の改良品種です。青首大根と桜島大根を交配して作られた品種で、植物用万田酵素
   を与えながら通常の2倍の栽培期間で成長させたものです。剣優大根は青首大根よりも大きくて、辛味
   が少なく、甘くてみずみずしいと言われています。堆肥にこだわった栽培が最大の特長です。
(2)刺身に添える大根の細切りは、本来は「けん(剣)」と呼ばれ、剣優はその名の通り、剣のように直立
   して盛り付けられることができます。剣優の名前は、大根の形が日本刀に似ていること、けん盛りがで
   きる大根であることから名付けられたそうです。これも特長です。
(3)茨城県行方市で多く栽培されています。用途としては、まっすぐと大きく育つのが特徴で、浅漬け加工
   に適した品種として知られています。栄養価は一般的な青首大根と同じくらいで、ビタミンCやカリウ
   ムなどが豊富に含まれています。
(4)剣優は冬から春にかけてが旬の時期で、おでんや煮物、サラダなどにおすすめです。

2.牛久河童大根は肌つやが白い、きれいな大根です。

(1)牛久河童大根は、茨城県の青果物銘柄産地に指定されている大根の品種です。大根の品種別では茨城県で
   一番多く生産されている品種かもしれません。形が長くて細く、特に、皮が薄くて白いのが特徴です。味
   は甘くてジューシーで、サラダや漬物に向いています。生食用にふさわしい食味と食感にこだわり、市場
   から高い評価を受けているブランド野菜です。
(2)牛久河童大根の主な生産地域は、茨城県の南部に位置する牛久市です。この地域は、台畑地帯であり、ス
   イカの裏作として大根の栽培が始まりました。現在では、JA竜ケ崎大根生産部会によって、42ヘクター
   ルの面積で栽培されています。
(3)青首大根の改良品種ではありません。栽培の工夫もありますが、JA水郷つくば大根生産部会では、防除基
   準を定めて減農薬に努め、規格・品質にこだわった 牛久河童大根を出荷しています。また、収穫後の保存
   状態が品質に大きく影響するため、日光になるべく当てないように気を付けています。これが白く、きれ
   いな大根の牛久河童大根を生んでいます。
(4)昭和61年から牛久市で栽培される牛久河童大根は「河童のキューちゃん」をトレードマークに「うしく河
   童大根」として出荷されています。生食に適し、瑞々しくシャキシャキとした食感と柔らかな肉質が特徴
   です。

<剣優の栽培>

剣優を栽培している農家さんは、栽培方法のこだわりは「たい肥」ですと言っています。作物の状態を見極めそ
の時に欠乏しているであろう微量要素を予測して補給します。ここが美味しい大根づくりには欠かせないポイン
トなのだそうです。

(栽培カレンダー)

作業        春どり                  秋冬どり
種まき   4月上旬~5月上旬         8月下旬~9月中旬
間引き   本葉2枚の頃、5~6枚の頃   本葉2枚の頃、5~6枚の頃
追肥       本葉5~6枚の頃             本葉5~6枚の頃
収穫       6月上旬~7月上旬         10月下旬~12月上旬

<「剣優」大根を使用している商品>

①ゆずだいこん ② 毎日食べよう♪冬 7種の野菜  ③ゆずなま酢 ④プチカップ やっパリだいこん

<剣優を使ったレシピ>

剣優大根は、白首の長形品種で、肉質がやわらかくて甘みがあります。

1.たくあん: 干し大根を米ぬか、塩、赤とうがらし、果物の皮などで漬けると、手作りのたくあんができ
       ます。漬ける時間は10日~1か月間です。
2.大根サラダ: 大根をピーラーで剥いて細切りにし、マヨネーズと梅ドレッシングで和えると、さっぱり
        としたサラダになります。パプリカを散らすと彩りも良くなります。
3.みぞれ鍋: 大根を輪切りにして煮て、お鍋にふんわりと大根おろしを乗せると、みぞれ鍋(雪鍋)にな
       ります。ブリや豚肉などお好みの具材を入れて、だしと醤油で味付けします。
4.大根の味噌汁: 大根を繊維にそって切って、おだしと味噌で煮ると、あっさりとしたお味噌汁になりま
         す。油揚げやゆずの千切りを加えるとコクと風味が増します。

他にも、ふろふき大根やすじ肉と大根の甘辛煮など、剣優大根を使ったおいしい料理はたくさんあります。

 

茨城県の剣優大根を是非ご賞味あれ!


茨城郷土料理自慢:5回目は「番外編」

2024-11-18 06:54:01 | 日記

 

農林水産省が次世代に継承したい「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」として
各都道府県から約30品目が選抜され、全国計1,365品目がデータベース化されて紹介されま
した。茨城県からは30品目が選抜されています。この30品目をこれまでに県内5地域(県北、
県央、県南、県西、鹿行)に分類して紹介してきましたが、茨城県の郷土料理がこの30品目
で収まるはずもなく、選抜漏れした郷土料理が各地区にまだまだ多くあります。
今回は「番外編」として、この選抜漏れした中から、私見で選りすぐりの郷土料理を紹介し
ます。

 

1.古河の鮒甘露煮

  古河市の名産品・鮒甘露煮は文化庁主催「2023年度「100年フード」に認定された逸品
  です。県内食品の認定は4件目で「伝統部門~江戸時代から続く郷土の料理」の部門から
  は初です。100年フードは、世代を超えて地域で受け継がれてきた食文化の継承を目的に、
  文化庁が2021年度から公募で認定しています。県内では「ほしいも」「牛久ワイン」
  「栗菓子文化」が認定されています。「ほしいも」は農林水産省の選抜30品目にも入っ
  ていますが、この「鮒甘露煮」は選抜から漏れました。なぜなのでしょうね!
  古河は江戸時代日光街道の宿場町で、現在の渡良瀬遊水地で捕れた鮒を煮付けにしてい
  ましたが、そこから加工して旅人をもてなすように工夫したのが甘露煮の起源とされて
  います。一度素焼きしてから煮詰める伝統的な製法で骨まで柔らかいのが特徴です。加
  盟店文化庁認定のロゴマーク包装紙や100歳を超えた市民に贈呈するなどのPR活動をし
  ています。是非、ご賞味あれ!

2.アンコウ鍋

  あんこう料理として「あんこうの共酢和え」が選抜されました。でもあんこう料理には
  他に、「あんこう鍋」「あんこうどぶ汁」「あん肝」など多様な料理があります。共酢
  和えは共酢(あんこうの肝を合わせた酢味噌。肝のことを「とも」ともいうことが由来)
  につけて食べる料理ですが、どぶ汁はあんこうと野菜から出る水分だけで煮込む、野趣
  溢れる濃厚な風味の料理です。そして、あん肝は蒸した肝を、さっぱりとしたポン酢で
  食べます。ここで紹介したいのはアンコウ鍋です。どぶ汁がベースになっているため、
  北茨城市のあんこう鍋は味噌仕立てです。どぶ汁同様のあん肝が溶け込んだ濃厚なスー
  プ、あんこうの七つ道具、そして季節の野菜や豆腐などもふんだんに入った鍋で、各地
  の鍋グランプリで金賞を受賞するなど、全国に認められている逸品です。他の地方では
  塩や醤油ベースのあんこう鍋もあります。「東のあんこう、西のふぐ」と並び称される
  美味食材「あんこう」。茨城県内各地で底びき網漁船によって漁獲されており、特に平
  潟、大津、久慈、那珂湊漁港で多く水揚げされています。常磐沖で獲れるあんこうは
  「常磐もの」として市場で高い評価を受けています。7月から8月の禁漁期を除いて一年
  中水揚げされ、一番の旬は水温が下がって肝が肥大化する冬場の11月から3月頃。肥大
  化した肝には脂がのって、味わいも深まります。今では「大洗のあんこう鍋」は多くの
  人が知る郷土料理として定着しており、これも選んで頂きたかったな。

3.奥久慈の「しゃも料理」

  奥久慈しゃもには「育ちのよさは味に出る」という言葉がしっくりきます。奥久慈大子
  町の大自然の中、穀物や青菜などを与えられ、充分な運動をしつつ、悠々と育つのです。
  ブロイラーは飼育期間約50日前後で3キログラムまで成長。一方、奥久慈しゃもは、オ
  スの場合、120日で2.6キログラム、メスにいたっては150日で2.1キログラム程度なので
  す。 地鶏と呼ばれるものは、全国に百種類以上いますが、ブロイラーとのかけ合わせが
  ほとんど。しかも飼育期間も大抵80日以内で100日を超えるものは奥久慈しゃもや比内
  鶏など数えるほどしかいません。 もともと、しゃもは、気性が荒く、群れで飼うのは難
  しい種ですが、肉、卵ともに味が優れていることから、茨城県養鶏試験場が改良して、
  奥久慈しゃもが誕生しました。肉質は低脂肪で歯ごたえ抜群。ブロイラーの水っぽい弾
  力のない肉と違い、締りがあり、深い味わいが特徴です。奥久慈しゃもは、名古屋コー
  チンやロードアイランドレッドとの交配によって生まれた品種で、肉質が緻密でしっか
  りとしており、ジューシーで香りが良いのが特徴です。また、脂肪分が少なく、歯ごた
  えがあるため、非常に高い評価を受けています。奥久慈地域は自然豊かで、寒暖の差が
  大きい気候がしゃもの飼育に適しています。茨城県ではしゃも鍋やしゃも焼き、親子丼
  など、さまざまなしゃも料理が楽しめます。特にしゃも鍋は、しゃもの旨味を最大限に
  引き出す料理として人気があります。選抜してほしい逸品です。

4.常陸牛のステーキ

  常陸牛の歴史は、天保3年(1832年)にまで遡ります。江戸時代末期の水戸藩主徳川斉昭
  は、牛馬を放牧するために「桜野牧」を作りました。「桜野牧」で飼われていた黒牛が、
  常陸牛のはじまりと言われているのです。そして、時代を重ねて、昭和51年7月に茨城
  県産牛銘柄確立推進協議会が発足し、本県の優秀な黒毛和種を『常陸牛』と命名、昭和52
  年には現在の茨城県常陸牛振興協会が設立されました。この協会は「常陸牛」に定義を定
  めました。

  定義:「常陸牛とは,指定生産者が茨城県内で最も長く飼育した黒毛和牛の内,(社)日本
     食肉格付協会の枝肉取引規格が歩留A等級又はB等級かつ肉質等級が5等級と4等級
     のもので,茨城県常陸牛振興協会が認定したものとする」

  常陸牛は、厳選された飼料と飼育環境で約30ヶ月間丁寧に育てられた黒毛和種です。肉質等
  級がA・Bの4と5等級にランク付けされており、脂肪と筋繊維がバランス良く混ざった極上の
  霜降り肉が特徴です。そして食感としては柔らかさと風味が自慢です。特に雌牛の肉質が柔
  らかく、口の中でとろけるような食感とジューシーで甘みのある味わいが評価されています。
  これらの要素が組み合わさり、常陸牛のステーキは高い評価を受け、全国的に有名になって
  います。選抜されなかった理由が分からない。

5.納豆餅

  納豆餅は、茨城県以外でも岩手県、山形県、新潟県、京都府などで食べられている納豆を用い
  た餅料理です。どの地域でも正月の祝い料理や地域の人々が集まる祝いの場でふるまわれるこ
  とが多いです。納豆餅の作り方は地域によって異なりますが、茨城県では、「餅に納豆を絡め
  て食べる」のが一般的です。納豆は、年末に作られ、正月に食べる風習が残っている地域もあ
  ります。納豆餅が生まれた背景には、納豆の保存性と栄養価の高さが関係しています。納豆は
  発酵食品であり、保存がきくため、冬の間の貴重なタンパク源として利用されてきました。
  また、餅も保存がきくため、これらを組み合わせた納豆餅は、冬の間の栄養補給に適した料理
  として発展してきました。納豆餅は、地域ごとに異なる風味や作り方があり、茨城県の食文化
  を象徴する逸品です。茨城県だけの品目ではないのですが、選ばれてもいいと思うのです。

6.しらす丼

  茨城県沖は、親潮と黒潮がぶつかる好漁場であり、プランクトンが豊富なため、しらすの漁獲
  量が多いです。「しらす」は主に「カタクチイワシ」や「マイワシ」などイワシ類の稚魚です。
  育つにしたがって、鱗ができて、イワシの形に変わっていきます。獲れた時は半透明なのに茹
  でると白くなるから白子(しらす)と言われています。茨城県では好漁場から、新鮮なしらす
  が手に入りやすく、地元の食材として親しまれています。茨城県では、漁師たちが自信を持っ
  て一網で獲ったしらすを低温で維持管理し、新鮮な状態で水揚げしています。このような漁業
  の伝統が、しらす丼の普及に寄与しています。特に、茨城県大洗町の名物「生シラス」は、す
  ぐに鮮度が劣化し、漁当日に食べなければならない産地ならでは味わいです。大洗ではごはん
  の上に生しらすをたっぷりと山のように乗せた「生しらす丼」の形で提供されていることが多
  いです。茨城県の漁港や市場では、新鮮なしらすを使った料理が観光客に人気です。
  これも選んでほしかったです。

今回は農林水産省が次世代に継承したい「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」で、選
抜漏れした郷土料理の中からその一部を紹介しました。まだまだオラが茨城県には隠れた郷土料理
がいっぱいあります。これからは私の知らない郷土料理を掘り起こして、6品目程度にまとまった
ら紹介します。

茨城県に遊びに来た時は是非ご賞味あれ!

 

 


茨城郷土料理自慢:4回目は「県西地区・鹿行地区の郷土料理編」

2024-11-04 07:21:47 | 日記

 

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたのは、登録申請した内容が評価されたということです。
その内容は「一つ目は日本人が抱く自然を尊重した精神を体現した食であり、二つ目は特定の調理法
や具体的なメニューがあるわけではなく、和食全体を巡る日本の文化」となっています。
和食には4つの特長があって、

1.多彩で新鮮な食材とその持ち味の尊重:海、山、里と多様な食材と、素材の味わいを活かす調理
     技術や調理道具も発達している。
2.栄養バランスに優れた県好意的な食生活:一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な
  栄養バランス、「うま味」を生かした動物性油脂の少ない食生活。
3.自然の美しさや季節の移ろい表現:食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現する。季節
  の花や葉などで料理を飾りつけ、季節に合った調度品や器を利用する。
4.正月などの年中行事と密接な関わり:自然の恵みである「食」を分け合い、家族や地域の絆を深
  めている。

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等により
   他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。
(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
(3)家庭・地域で作られ、継承されている
(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、歴史的
   に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある
(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか
(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである
(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の提供が
   あるか

   ※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。
   ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺身こん
        にゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」「赤餅」
        (9品目)
2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ納豆」
       「かぼちゃのいとこ煮」(6品目)

3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉れんこん」
       「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」「れんこんの
        きんぴら」(8品目)

4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)
5.鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いもがらの
        炒め煮/いもがらの五目煮」(5品目)

茨城県は30品目が紹介されています。茨城県の食文化は、地域ごとの気候風土にあわせて、多様な進
化を遂げてきました。茨城県は地域的特徴に分けると、県北地区、県央地区、県南地区、県西地区、
鹿行地区(ろっこうちく)の5つに大別されています。今回は第4回目で最終回です。この5地区を代
表する郷土料理について公表されているデータベースの記述を横に置きながら、取り上げられた郷土
料理は納得できるものなのかどうか、私見で評価してみたいと思います。
最終回は「県西地区・鹿行地区の郷土料理編」です。

1.県西地区の代表として取り上げられた郷土料理

  <茨城県西地区とはどんなところか>

  筑波山の西側に続く広大な平野部。中央を鬼怒川が流れ、肥沃な土地と豊富な水資源に恵まれた県
  内有数の農業地帯でもあります。観光資源としては、国の重要伝統的建造物群保存地区になってい
  る真壁の町並みやひなまつりをはじめ、ユネスコ無形文化遺産にも登録された結城紬や結城の街の
  見世蔵、日光街道の宿場町として栄えた古河宿など、古き良き町並みを活用したものが目立ちます。
  また、国の名勝に指定されている磯部桜川公園の山桜やユネスコ「メリナ・メルクーリ国際賞」を
  受賞した古河公方公園(古河総合公園)のピンク色に染まる桃林など美しい景勝地も見どころの一つ
  です。交通手段としては、JR水戸線、JR宇都宮線、関東鉄道常総線の沿線では公共交通機関の利用
  が可能ですが、その他の地域は自動車での移動がおすすめです。

<県西地区の郷土料理>

  県西地区から登録されたのは「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」の2品目
  だけです。なぜなのでしょうかね。

(1)しもつかれ/すみつかれ

   独特の風味や見た目から、非常に好みが分かれる郷土料理ですが、ていねいに下ごしらえをして
   生臭さをおさえ、食べやすくする工夫がなされています。今でも近所で「しもつかれ」をやりと
   りする地域があります。大鍋で大量につくるからこそ味が出る料理といわれ、家庭ごとの味があ
   ります。「しもつかれ」は、正月の残りのサケの頭に、節分でまいた豆の残り、そして根菜など
   を酒粕で煮こんだ県の西部地域に伝わる郷土料理です。正月からの残り物を大事に使い、また、
   冬場の栄養摂取や保存性に優れた先人の知恵がつまった料理といえます。「鬼おろし」と呼ばれ
   る竹製の鋭利な刃がついたおろし器で粗くすり下ろした大根と人参、短冊切りにした油揚げを、
   大豆およびサケの頭とともに、酒粕、だし汁で煮こんでいく。鬼おろしは、竹製のため素材に熱
   が伝わりづらく、さらに一般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、野菜の余分な水分
   が出ず、食べるときにしっかり食感を感じることができます。サケの頭がない場合は、サケの切
   り身でもよく、食べ方もさまざまで、ごはんにかけたり、茶請けとしても食べます。また酒の肴
   として、こたつに入りながら凍った「しもつかれ」を熱燗と一緒に楽しむ地域もあり、先人の知
   恵が詰まった料理なので登録に納得です。

(2)すだれ麩(ふ)のごま酢和え

   茨城県結城市でつくられている郷土料理です。結城市がある西部地域は、1年を通じて晴天の日が
   多く、また利根川や鬼怒川の恩恵を受け、古くから農耕が盛んであり、米や麦、大豆、そばなどさ
   まざまな食材がつくられています。結城城があった北部は、城下町として栄え、寺院なども多く建
   てられました。そこで食べられる精進料理に使われた食材の一つが、すだれ麩です。小麦の保存も
   兼ねてつくられたといい、江戸時代後期にはすでに食べられており、当時の貴重な食材であったと
   いう。他の県にもすだれ麩はありますが、結城市のすだれ麩は、小麦粉から取り出したグルテンに、
   再び小麦粉を加えてよく練ったものを薄くのばして全体に塩をまぶします。それをゆでた後、竹で
   つくったすだれに広げて天日干しにします。保存性が高い麩としては焼き麩があるが、結城市のす
   だれ麩は、生麩に塩をまぶし、加熱して乾燥させることでより高い保存性を実現しています。全て
   手づくりでつくられており、現在でもその生産量は限られたものであることから、結城市のみで食
   べられているそうで、煮物やお吸い物などにも使われるようです。

 

2.鹿行地区の代表として取り上げられた郷土料理

<茨城鹿行地区とはどんなところか>

  茨城県の鹿行(ろっこう)地区は、県の南東部に位置し、鹿島郡の「鹿」と行方郡の「行」から名付
  けられました。この地域は、太平洋(鹿島灘)と霞ヶ浦に挟まれた場所で、水郷筑波国定公園の一部
  として美しい自然環境に恵まれています。この地域は、農業が盛んで特にメロンの生産が有名です。
  また、鹿島臨海工業地帯があり、鉄鋼や石油化学などの産業も発展しています。観光地としては、鹿
  島神宮や霞ヶ浦、北浦などがあり、サーフィンや釣りなどのレジャーも楽しめます。さらに、Jリーグ
  の鹿島アントラーズのホームタウンでもあり、サッカーが盛んな地域です。

<鹿行地区の郷土料理>

  登録されたのは5品目です。この地域は、霞ヶ浦や北浦、太平洋に囲まれた豊かな自然環境に恵まれて
  おり、特産品や郷土料理が豊富ですので登録された品目も多いです。

(1)はまぐりごはん

   茨城県大洗岬から千葉県犬吠埼にいたる海域の鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる潮目であるため、豊
   富な海の幸に恵まれます。鹿島灘の砂地が続く沿岸部では春ごろになると、産卵前の大ぶりなハマグ
   リがとれます。時に10cmを超えるハマグリがとれ、市場では「鹿島灘はまぐり」の名前で高値で取引
   されています。今でこそ希少となったハマグリですが、昔は大洗や鹿行地域の沿岸部でよく採られて
   いたため、茨城県では身近な食材でした。とれたハマグリを新鮮なまま刺身や網焼きで味わうものか
   ら、味噌汁に入れたり、酒蒸しにするなど、さまざまな調理方法で親しまれてきたのです。「はまぐ
   りごはん」もはまぐり料理の定番料理として、家庭でもよく食べられてきました。作り方はハマグリ
   を食べやすい大きさに切り、千切りにした人参、しいたけとともに油で手早く炒め味付けをします。
   炒めすぎると身がかたくなりすぎてしまうので注意が必要。米に炒めた時に残った煮汁と水を入れて
   炊き上げ、最後に具を混ぜ込んでいただく。ハマグリのぷりぷりとした食感と、旨味を存分に味わえ
   ます。大好物で個人的理由から登録に納得です。

(2)ござい漬け

   茨城県大洗から千葉県犬吠埼の間で広がる鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる好漁場。戦前戦後の昭和
   時代は、秋になるとイワシが大量に獲れ、家々に配られました。たくさん獲れるイワシを11月ごろか
   ら塩漬けにし、発酵してきたところで大根と一緒に漬け込んだ「ごさい漬け」は冬の郷土料理として
   長く愛されており、庶民の重要なタンパク源でもあったのです。かつては家庭ごとの味があり、盛ん
   につくられていましたが、近年では、その手間の多さや温暖化で昔ながらの製法ではできない等の理
   由から、ごさい漬けを作る家庭も減ってきています。また、いわしの水揚げの減少と、形が崩れて見
   栄えが悪くなることから、現在はサンマで作られるようになりました。作り方はサンマの頭と腹わた
   をとり、腹を何度も流水中で洗い、しっかり血と脂を洗い流したら、4等分から5等分にぶつ切りにす
   る。2週間から1ヶ月、塩をまぶして樽に漬け込み、その後、そのサンマを再び水で洗い、血と脂を流
   す。一口大の半月切りにした大根とサンマ、赤唐辛子、柚子の果汁と皮、塩の順に繰り返し入れて漬
   けます。冷暗所もしくは冷蔵庫で保存をし、途中水をとり除きながら、2週間後に食べられるようにな
   ります。そのままでも食べられますが、完成した「ござい漬け」を一度水で洗って塩気を抜き、醤油
   を少量たらして食べるのも好まれているという。手間のかかる料理が今日まで伝承されてきました。
   登録に納得です。

(3)海藻よせ

   海藻よせは、茨城県鹿嶋から千葉県・銚子に至る鹿島灘沿岸で食べられている郷土料理です。鹿島灘は、
   親潮と黒潮がぶつかる潮目であるため、さまざまな海の幸に恵まれていて、日本一の水揚げ量を誇る銚
   子港では、魚のほかにも海藻も豊富にとれます。その中の一つが、「海藻よせ」のメイン食材となる、
   コトジツノマタやツノマタです。コトジツノマタは、潮間帯の岩上に付着する、高さ20cm程度の海藻で、
   規則正しく、二又に分枝しながら成長していく。その枝のかたちが琴の弦を支える琴柱に似ていること
   から、この名がついたといわれます。火にかけるととろみが出て、冷ますと凝固する特性を生かし、古
   くは石けんや接着剤として使われていたという。年末になると、銚子から商人が正月用にコトジツノマ
   タを売りにきたことから、おせち料理に「海藻よせ」がつくられるようになったそうです。作り方は、
   コトジツノマタをしっかり洗って汚れを落とした後、沸騰したお湯に入れ、とろみが出るまで煮る。と
   ろみが出てきたら、型に流し、冷やしてかたまったら食べやすい大きさにカットしていただく。磯の香
   りを存分に楽しめるさっぱりとした味わいなので、醤油に加えて、カツオ節やねぎ、唐辛子をのせて食
   べます。また、「海藻よせ」のアレンジとして、細かく刻んだ人参やごぼうを一緒にかためることで、
   食べた時の風味や食感の違いを楽しむこともできます。地元の環境に合わせた郷土料理で登録に納得です。

(4)みつめのぼたもち

   みつめのぼたもちとは、第1子の赤ちゃんが生まれて3日後に食べる大きなぼたもちのことをいうそうです。
   かつて、食糧を満足に得ることが難しかった時代、子育てのために栄養が必要な出産直後の母親のために、
   栄養豊富なもち米や小豆を使った大きなぼたもちを食べさせたことがはじまりだという説があります。滋
   養食代わりにしっかり食べ、出産の疲労回復や母乳がよく出ますようにという想いが込められているほか、
   親戚や近所に赤ちゃんが生まれたことを知らせる意味もあり、重箱に詰めたものを挨拶しながら配って回
   る習わしがあったといわれています。江戸時代には多くの地域でこの風習があったとされますが、現在で
   は茨城県(鹿嶋市、神栖市、水戸市など)のほか、千葉県(銚子市、市原市など)や神奈川県、愛知県などの一
   部の地域に限られています。最近では家庭ではつくらなくなり、和菓子店での購入や、ネット注文するこ
   とが多いそうです。食べ方は、もち米、うるち米を炊き上げて蒸らした後、重箱につぶさず、丸めず、そ
   のまま敷き詰め、上からあんこをのせる。食べるときは、食べやすい大きさにカットする。重箱に入れず、
   一般的なサイズよりも大きなぼたもちを3つ用意することもあります。「みつめのぼたもち」は、とにかく
   “大きい”ことが重要で、米どころの茨城県らしい郷土料理なので納得です。

(5)いもがらの炒め煮/いもがらの五目煮

   いもがらは、里芋などの葉柄の芋茎と呼ばれる部分を乾燥させたもの。呼び名は各県によってさまざまあり、
   芋茎のことを「ずいき」と呼ぶことから、「ほしずいき」と呼ばれたり、または「割菜(わりな)」とも呼
   ぶ地域もあります。いもがらは乾燥もののため、保存食としてつくられており、通年の常備菜にも活用され
   てきました。茨城県は、古来より農業が営まれ、昔からさまざまな野菜が収穫されてきました。そうしたな
   か、豊富にとれる野菜を飽きずに美味しく食べるため、多くの料理のバリエーションや「いもがら」や「凍
   みこんにゃく」、「干しいも」などの長持ちさせるための保存食が多くあります。いもがらは料理に使うと
   きには水で戻してから使います。乾燥したいもがらは水で戻すとふっくらとした食感になり味が良く染み、
   煮物やきんぴら、酢の物などに良く合います。人参、れんこん、こんにゃく、油揚げと合わせて、たっぷり
   の煮汁で時間をかけて煮ることで、材料に味が染み込み美味しくいただけます。いもがらは味はないが、煮
   物や味噌汁などに入れることによって味が染みこみ美味しくなるので、さまざまな料理に合わせることがで
   きます。また、食物繊維が豊富で、食べるとシャキシャキとした歯ごたえが楽しめます。
   これも登録に納得ですね。

次世代に大切に伝えたい「うちの郷土料理」の茨城県版に登録された30品目の品目とその内容を紹介してきました。
これでこのシリーズの紹介を終了しますが、私には今回の選抜に漏れた品目の中に「この料理も茨城県の郷土料理
だ!」と自信を持って言える品目があります。選抜に漏れた理由は分かりませんが、私個人が推薦する「追加の茨
城県の郷土料理5品目」を次回に5回目として紹介します。私が今は知らない郷土料理がまだまだあると思います
よ。調べてまとまったら、更に追加で紹介しましょう。

機会があれば茨城県の郷土料理を是非ご賞味あれ!


茨城郷土料理自慢:3回目は「県南地区の郷土料理編」

2024-10-14 06:56:00 | 日記

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたのは、登録申請した内容が評価されたという
ことですよね。その内容は「一つ目は日本人が抱く自然を尊重した精神を体現した食であり、
二つ目は特定の調理法や具体的なメニューがあるわけではなく、和食全体を巡る日本の文化」
となっています。和食には4つの特長があって、

1.多彩で新鮮な食材とその持ち味の尊重:海、山、里と多様な食材と、素材の味わいを活
  かす調理技術や調理道具も発達している。

2.栄養バランスに優れた県好意的な食生活:一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは
  理想的な栄養バランス、「うま味」を生かした動物性油脂の少ない食生活。

3.自然の美しさや季節の移ろい表現:食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現す
  る。季節の花や葉などで料理を飾りつけ、季節に合った調度品や器を利用する。

4.正月などの年中行事と密接な関わり:自然の恵みである「食」を分け合い、家族や地域
  の絆を深めている。

農林水産省では、2023年でユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎える中、第4次食
育推進基本計画(令和3年3月食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化を次
世代に継承していくための活動に力を注いでいます。

その活動の中の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固有
の多様な食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理~次
世代に伝えたい大切な味~」を令和元年に開設しました。そして、毎年都道府県別に郷土料
理として認定した品目をデータベース化して発信してきました。そして、令和4年に20都府
県579品の追加掲載をしました。これにより掲載品目数は1,365となり、全47都道府県の郷土
料理が勢ぞろいしました。各地域で選定された郷土料理のいわれや歴史、そしてレシピ等に
とどまらず、郷土料理を生んだ地域の背景等についてもデータベース化して広く情報発信を
しています。「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業での商品化、郷土料
理の調査などに是非、ご活用ください」と言うのが狙いです。このデータベースを覗いてみ
ましたが、各地域の郷土料理がかなり広い視点で捉えられており、読み物としても大変面白
いです。各都道府県から30品目前後が選抜されて登録されています。茨城県では30品目が登
録されました。
今回はこの選定が納得できるものなのかどうか、私見で納得度の評価してみたいと思います。
今回は3回目で「県南地区の郷土料理編」で8品目です。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等
   により他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。

(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある

(3)家庭・地域で作られ、継承されている

(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、
   歴史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある

(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか

(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである

(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の
   提供があるか

 

※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。

    ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

 

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺
        身こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」
       「赤餅」 (9品目)

2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ
        納豆」「かぼちゃのいとこ煮」 (6品目)

3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉れん
        こん」「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」
       「れんこんのきんぴら」 (8品目)

4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)

5,鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いも
        がらの炒め煮/いもがらの五目煮」 (5品目)

 ※県全域など地域表示のない品目もありますので、この割り振りは私見が入っています。

 

<今回紹介する茨城県南地区とはどんなところか>

茨城県内で最も人口が多い地域で、約100万人が暮らしています。この地域は東京の都心に近
いことからベッドタウンとして発展し、筑波研究学園都市の存在もあり、人口が増加してい
ます。また、つくばエクスプレス沿線や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などの交通イン
フラも整備されており、近代都市としてのさまざまな特色を持つエリアとなっています。
しかし、ドカンと霞ヶ浦を包含しており、昔から霞ヶ浦を糧として生活している人も多いので
す。霞ヶ浦の帆引き船は今では観光用になっていますが夏の風物詩です。

<県南地区の郷土料理の特長>

国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦と利根川に囲まれた穀倉地帯でもあり、稲作の歴史も長いで
す。また、霞ヶ浦の湖畔での「れんこん栽培」も盛んです。土浦市は、れんこんの作付面積
・生産量ともに日本一。土浦のれんこんは、肉厚で繊維質が細かいのが特徴で、1年を通して
出荷されています。この地区の郷土料理はこの霞ヶ浦と深く関わっているものが多いのです。

 

県南地区の郷土料理として選定されたのは8品目でした。早速、一品目毎に納得度の評価に
入ります。

 

1.「ワカサギとれんこんの酢漬け」

霞ヶ浦の特産品です. この料理は、ワカサギとれんこんを使って作られます。豊富な水と肥沃
な湿地帯に恵まれた霞ヶ浦周辺では、古くかられんこんの栽培が始まり、いまでは国内生産
量日本一の産地として知られています。ワカサギは骨が柔らかく、丸ごと食べられるため、
手軽に調理できることから多くの人に親しまれています。この料理は、酢を使って味付けされ
るため日持ちが良く、さわやかな風味を楽しめます. 食べ方は、ワカサギのうろこを取り、塩
水で洗って水気を切り、片栗粉をまぶして油で揚げ、れんこんは薄切りにして甘酢に漬け込む
という手順です。現在では、南蛮酢(甘酢、醤油、唐辛子)を使って「南蛮漬け」としても食
べられています. この料理は、夏から冬にかけて収穫されるワカサギとれんこんを使って作られ、
地域の伝統的な味を次世代に伝える大切な料理となっています。レンコンそしてワカサギは共
に霞ヶ浦があって存在しています。地場特産品として、登録に納得です。

 

2.「がりがりなます」

目の粗いおろし器でおろした大根とにんじんを和えた酢の物です。白と赤の色合いが目にもおめ
でたい紅白なますは、お正月にはなくてはならない一品です。その最大の特徴は調理器具にあり
ます。「がりがりなます」の名の通り、大根を「鬼おろし」という器具を使用して、“ガリガリ”
と粗くすりおろしていく。「鬼おろし」とは、竹製の鋭利な刃がついたおろし器のこと。その歯
が鬼の歯を連想させることからその名がつきました。この地域では、鬼おろしを保有している家
庭も少なくないです(我が家も使っている)。竹製のため素材に熱が伝わりづらく、さらには一
般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、素材の水分や食感を残しておろすことができ
ます。レシピを試してみる際は、材料は、「だいこん、にんじん、フナ(酢漬け)」で、「だい
こんとにんじんは、鬼おろしでおろし、フナの酢漬けを加え、合わせ酢(酢、砂糖、塩)と混ぜ
合わせる」のが基本です。小骨など気になる場合はコイやタコを使用してつくられることもあり
ます。つくりたてを食べると素材の味を楽しめるが、味が馴染んでからも美味しくいただけます。
実は「がりがりなます」は、県内全域で食べられていますが、酢漬けの魚は霞ヶ浦産のフナが基
本ですので、この地域の郷土料理としました。登録に納得です。

 

3.「たがね餅」

たがねとは、浸水した生米をつき、かためたもので、「しとぎ」の古語といわれています。しと
ぎとは、米粉ともち米を楕円形にした餅のことで、神前などのお供えものとしても使われます。
そんなたがね餅は古くから茨城県で親しまれてきた餅料理のひとつです。茨城県では、たがね餅
は多くの家庭で手作りされます。材料はもち米とうるち米、塩、青のり、白ゴマ、片栗粉だ。
まず、もち米を洗って一晩浸水し、うるち米は洗って1時間ほど浸水させておく。浸水させたもち
米とうるち米を合わせて水きりをしたら、蒸し器で1時間ほど蒸しあげる。蒸しあがったら餅つき
機でつく。そこに塩や青のり、白ゴマなどを混ぜる。なまこ型に整え、打ち粉として片栗粉をま
ぶす。なまこ型とは楕円形のかまぼこのような形のことです。1時間ほど置いて硬くならないうち
に1cmほどの厚さに切って、焼いたり、揚げたりして食べます。「たがね餅」はもち米とうるち米
を合わせて作る餅です。たがね餅は主に正月に食べられ、茨城県内では、正月が近くなるとスーパ
ーや道の駅など県内の多くの店には、たがね餅が並べられます。もともと、もち米は赤飯やおこわ
などハレの日に食べられることが多く、もち米とうるち米を合わせたたがね餅もハレの日に食べら
れることが多いのが特徴です。これも登録に納得です。

 

4.「小倉れんこん」

「小倉れんこん」は、れんこんと小豆を一緒に煮込んで作る料理で、特に「紫峰色(しほういろ)」
にするのがポイントです。この「紫峰」は、茨城県の名峰・筑波山の別称で、朝夕に陽を受けて山
肌が赤く染まることから名付けられました。作り方は、れんこんの穴に小豆を詰めて鍋でゆっくり
煮込む方法です。砂糖と塩を加えて味付けし、冷ましてから食べると美味しくいただけます。 お正
月には特に欠かせない料理とされています。茨城県は、出荷量および作付面積ともに全国一位で、
国内50%以上のシェアを誇るれんこんの産地です。霞ヶ浦周辺は、豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれ、
れんこん栽培が盛んに行われています。特産のレンコン料理です。登録に納得です

 

5.「うなぎの帆引き煮」

主な伝承地域は利根川、霞ヶ浦周辺です。うなぎといえば贅沢な食材ですが、かつてはこの地域では
よくうなぎが取れたため、茨城県ではうなぎ料理は一般的によく食べらました。このとき余ったうな
ぎを冷凍しておき、急な来客などがあったときに凍ったままのうなぎを手早く、豪勢な料理にできる
ようにと考えられたのが「うなぎの帆引き煮」です。“帆引き”とは、霞ヶ浦で漁業をおこなっていた
巨大で真っ白な帆が特徴的な“帆引き船”を指します。現在では、機械トロール船による漁になってい
ます。その巨大で真っ白な帆が特徴的な帆引き船を模した笹の葉をあしらったため「うなぎの帆引き
煮」と呼ばれるようになりました。現在、帆引き船は、春から秋にかけて観光用に運用されています。
食べ方は鍋に酒を入れ、煮立ったところにうなぎを入れ、ひと煮立ちさせたら醤油、砂糖を入れてふ
っくらと仕上げる。煮汁が煮つまってきたら、うなぎを取り出してさらに煮つめ、煮汁をうなぎにか
けていただく。多めの酒で煮ると、よりふっくらと仕上がる。大きめの笹を用意し、帆引き船に見立
てて飾ってから食べる。ごはんにのせてうな丼として食べても良い。また、山椒などの薬味を加えて
食べることもある。尚、霞ヶ浦のうなぎは川を下らず、海に出ない珍しいうなぎで、6月から10月ご
ろまでが旬とされています。登録に納得です。

 

6.「鯉の唐揚げ」

主な伝承地域 南部地域、霞ヶ浦・行方市・土浦市です。鯉の唐揚げが郷土料理として親しまれていま
す。この料理は、骨までそのまま食べられるため、子どもたちにも大人気で、学校給食のメニューにも
取り入れられています。鯉は、立身出世のたとえに使われる縁起物としても知られており、滋養に富む
魚として結納などの祝いの席や妊婦に食べさせる風習もありました。鯉の唐揚げは、コイの切り身に片
栗粉をまぶして揚げることで作られ、その風味は地域ごとにさまざまです。 作り方は、コイの切り身に
片栗粉をまぶし、油で揚げるだけ。唐揚げ用のたれにくぐらせて食べることもあります。コイ料理で重
要なのは、生臭さをしっかりとること。何度も水を取り替えながら洗うことで生臭さが消える。この時、
お湯を使ってしまうと風味を変えてしまうので、必ず水でおこなうことが大切です。また、コイを捌く
ところからはじめる場合は、鮮度が重要なので生きたコイを使うこと。そして、内臓を傷つけないよう
にすることがポイントです。胆汁や未消化の餌が身についてしまうと、臭みが染みついたり、変色して
しまうため、細心の注意を払っておこなう必要があるのです。霞ヶ浦におけるコイの養殖は、1年から
3年かけて育て上げる。1年目のコイは小骨が口に当たりづらいため、「鯉のあらい」という刺身料理に
使われることが多い。また、2歳から3歳のメスは卵を持っているので、「鯉の甘露煮」といった料理に
向いている。色々なサイズのコイを手に入れることができるからこそ、その他にも「鯉こく」や「鯉の
うま煮」などのコイ料理が浸透していったと考えられる。現在、子どもから大人まで人気があるコイ料
理の一つが「鯉の唐揚げ」です。登録に納得です。

 

7.「ピーナッツ味噌/落花生味噌」

「ピーナッツ味噌」は、茨城県で古くから伝わる郷土料理です。この料理は、規格外の落花生を活用す
るために農家の人々が考案したもので、いまでも多くの家庭で好みの味付けで作られ、常備食品として
親しまれています。炒った落花生に甘い味噌が絡んでいるため、ごはんに乗せたり、おやつやお酒のつ
まみとして楽しむことができます。落花生味噌は、落花生を味噌や砂糖で味付けしたもので、カロリー
は1人前(約23g)およそ73kcalほどだ。落花生に含まれる脂肪酸は血中脂質のバランスを正常に保つ効
果が期待できる。そのほか、ビタミンE や薄皮に含まれるレスベラトロールは抗酸化作用があり、身体
にとって有害な活性酸素を除去してくれると注目されている食材だ。そんな落花生を落花生味噌にする
ことで、ごはんのおともや、お茶うけ、酒のつまみにといろいろな食べ方を楽しむことができるのです。
さらに日持ちができるので、落花生味噌にして保存する家庭も多い。落花生の旬は基本的に9月下旬~
10月といわれていますが、落花生味噌は落花生を加工したものなので、茨城県の家庭では通年食べられ
ている。日常的に食べられている郷土料理なので、学校給食の献立にも使われたりもする。落花生味噌
は茨城県民の生活には欠かせないものとされているのです。これも登録に納得です。

 

8.「れんこんのきんぴら」

茨城県の霞ケ浦湖畔ではれんこんの栽培がさかんで、国内1位の生産量を誇ります。そんな茨城県の特産
品であるれんこんは、加熱しても食感が損なわれにくく油との相性もよいため、きんぴらにふさわしい
食材です。地元産の食材を有効活用するために、茨城県でれんこんのきんぴらが食べられるようになっ
たのも自然な流れですね。れんこんのきんぴらは、レンコンとにんじんを炒めて、醤油やみりん、砂糖
で味付けするシンプルなレシピが一般的です。薄い輪切りにして炒めるのが一般的ですが、茨城県では
太めに切って調理します。輪切りではなく繊維に沿って縦切りにすることも多く、よりシャキシャキと
した食感を楽しめるのが魅力です。副菜や弁当のおかずに重宝するれんこんのきんぴらは、常備菜の定
番です。日本人なら知らない人はいないといえるほど有名な料理ですが、れんこんの名産地・茨城県の
郷土料理ということを知っていましたか。材料はレンコン、ごぼう、人参、鷹の爪、油、酒、醤油、砂
糖など。準備としてはレンコンは皮をむいて酢水につけてアクを抜き、短冊に切ります。鷹の爪は種を
取り輪切りにします。調理は 鍋に油を熱し、鷹の爪とレンコンを炒め、酒、醤油、砂糖を加えて炒めま
す。今でも日常的に食べられているレンコンのきんぴらは登録に納得です。

 

是非、茨城県の郷土料理に感心を持ってご賞味あれ!