ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

仲良し3人組とガマ仙人

2015-05-25 08:12:14 | 日記



動物村の仲良し3人組がいつものように村の広場で遊んでいる時のことです。雑木林
の中から貫禄のあるカエルが出てきて、キョロキョロと当たりを見回しています。

ミミ : あれはガマガエルさんじゃないかしら?

ポン吉: ちょっと行ってみようよ。

コン太: こんにちは!何かを探しているの?

ガマ仙人: ここは動物村かな?

ミミ : ええ、動物村ですよ。

ガマ仙人: おお、そうか。ようやく着いたようじゃな。ワシはガマ仙人じゃ。

コン太: ガマ仙人?自分のことを仙人って言うのは、ちょっと変だよ。

ガマ仙人: 何を言うか。ワシはその辺にいるガマとは違うぞ。普通のガマは前足の指が
       4本、後ろ足の指が5本じゃが、修業を積むと後ろ足の指が1本増えて、6本
       足になるんじゃ。いわゆる四六のガマじゃな。
       中でもワシは、その長老でガマ仙人と呼ばれている特別なガマじゃぞ。

ポン吉: ふ~ん。長老ね~。この村にも長老がいるよ。

ガマ仙人: おお、その長老に呼ばれたので、ツクバノ山から大急ぎでやって来たのじゃ。

ミミ : 長老のお友だちなのね。ねえ、ガマ仙人さん、ツクバノ山ってどんな所なの?

その時、大きな葉っぱを二枚背負って息を切らしながら、長老が走ってきました。かなり
急いでいる様子です。

ポン吉: 長老!何事ですか?

長老 : 大変じゃ。大変じゃ。猿のエン坊の妹が岩場から足を滑らせて、大怪我をした
     らしい。頼りになる援軍を頼んでおるが、果たして彼が来てくれるかどうか、
     いささか不安じゃ。とにかく、手当をしなくてはならん。君たちも是非、手伝って
     くれ。

3人組: それは大変だ。急ごう!

ガマ仙人: お~い、長老、長老。ワシが目に入らぬのか?足元を見てくれ、ガマ仙人
       じゃよ。お主に呼ばれたような気がしたから、息せき切って、やって来たぞ。

長老 : これは、これはガマ仙人。私の願いが届いたのですね。エン坊から聞いた怪
     我の様子では血止めが必要らしいので、ツクバノ山に向かって、「ガマ仙人よ、
     来てください!」と祈ったのです。
     もうここに到着しているとは、さすがガマ仙人ですな。ありがたい。

ガマ仙人: 事情は今、聞いたぞ。急いで、その娘のところに行くとしよう。案内してくれ。

コン太: ガマ仙人さん、僕の背中に乗ってください。皆で走って行きましょう。

ポン吉: 長老。その大きな二枚の葉っぱは何に使うの?

長老 : 後でわかるよ。

3人組と長老とガマ仙人はエン坊の妹が大泣きしている岩場にやって来ました。長老
はケガの状態を確認した後、傷口を押さえながら、そばでオロオロしている3人組と
エン坊に指示を出しました。

長老 : 地面に穴を掘り、この大きな葉を敷き詰めて水が漏れない窪地を作りなさい。
     そこに、もう一枚の葉っぱをうまく使って水を運んで入れ、簡単な池を作るの
     じゃ。葉っぱで水を運ぶのは大変じゃが、何とか頑張ってやってくれ。

ミミ : 池づくりは穴掘り名人の私と手先の器用なエン坊さんでやるわ。ポン吉さんと
    コン太さんは水汲みをお願いね。

エン坊: 僕たちは水が漏れないように葉っぱを敷き詰めるから、君たちは水汲みを頼む。

ポン吉: 任してくれ。川から水を運んでくるよ。

コン太: アッ、そうだ!この岩場の裏側の窪地には、いつもきれいな水が溜まっている
     はずだぞ。あそこから持ってこよう。川から運んでくるよりもずっと早く、水を貯め
     ることができると思うよ。

みんなの協力により、葉っぱで作った池に水が貯まりました。ポン吉もコン太も汗ビッ
ショリです。エン坊は妹のキキに声をかけて励まし、ミミもキキの手を握りしめています。

長老 : さあ、ここからはガマ仙人の出番じゃ。君たちはガマ仙人の背中に回ってくれ。

ガマ仙人: さすが長老じゃな。ワシの能力を良く覚えておった。それじゃ~、始めるぞ!

長老 : みんな、よく聞くんだ。ガマ仙人が水面に映った自分の顔を見ると、背中から
     油がタラリタラ~リと出てくる。それを手で集めて、キキの血が出ている箇所
     に塗るんじゃ。痛がらないようにそっと置くように塗るんじゃぞ。
     そうすれば塗った所から少しずつ血が止まってくるはずじゃ。

暫くすると、水面をジ~ッと眺めていたガマ仙人の背中から黄色っぽい油が滲み出て
来ました。それを傷口に何度も塗ると不思議なことに血が止まり始めたのです。
キキも泣き止み、落ち着いてきた様子です。みんなホッと胸をなでおろしました。

ガマ仙人: 動物村の団結力は見事じゃ。そこの3人組よ、今日はお手柄だったな。これ
       からも村のために頑張れよ。

長老 : ガマ仙人、今日はありがとう。これからツクバノ山に戻るのは大変じゃろう。今日
     はこの村に泊まってくれ。久し振りの再会じゃから、ゆっくりと話をしようではない
     か。キキの容態を見るかたわらで、ツクバノ山の話を聞かせてくれぬか?

ミミ : だったら、私たちも一緒に話を聞かせてください。お願いします。

こうしてガマ仙人は動物村で一夜を過ごすことになりました。3人組もそれぞれ両親の許
可を得て、長老の家に泊まることになったのです。エン坊もキキの付き添いとして加わり
ました。はてさて、ガマ仙人はどんな話をしてくれるのでしょうか。3人組が目を輝かせて
話に耳を傾ける姿が見に浮かんできますね。
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ダメ親父の「シマッタ!シマッタ!」

2015-05-18 08:03:37 | 日記


1.大型ショッピングセンターにて・・・「シマッタ!」

  夫:トイレに行ってくる。

  妻:じゃあ、私は二階の本屋さんで待っているわ。

  夫:(トイレから出てくると、出口の先に妻が立っている) あれ!どうしたの?

  妻:あなたこそ、バッグはどうしたの?トイレに置いてきたでしょう。お財布と免許証
     が入っているんだから、早く戻って。無くなる前に早く!

  夫:アッ、いけない!マズイ! (大慌てでトイレに駆け戻る)
     ア~、良かった、ちゃんとあったよ。助かった~。

  妻:まったく、あなたったら私の予想通りに行動するのね。ショルダーバッグを肩から
     かけずに、手で持ってトイレに入っていく姿を見て、あの調子じゃ、置き忘れてき
     そうだな・・って思ったのよ。だから、本屋に行かずにここで待っていたの。
     ズバリ、予感的中ね。私が二階の本屋に行き、トイレのあとで、あなたがのんび
     り歩いて来ていたら、きっと、その間にカバンは無くなっていたでしょうね。危な
     い、危ない、しっかりしてちょうだいね。

  夫:シマッタ、シマッタ。完璧に行動パターンを読まれた挙句、その通りになるなんて情
     けない。恥ずかしいったらありゃしない。その読み、恐れ入りました。

2.イベント会場の駐車場にて・・・「閉まった!」

  夫:予想外の渋滞だったね。なんとか駐車スペースが見つかって良かったよ。

  妻:ギリギリの時間だから、急いで会場へ行きましょう。

  夫:急ぐ時ほど忘れ物に注意だぞ。カメラは持ったね。車内に忘れ物は無い。
     ウン!指差し確認したから大丈夫だ。ドアを閉めるぞ。ガチャン。
     さあ、行こう!イベントの開始時間には何とか間に合いそうだな。

  妻:車のキーをちょうだい。落とすといけないから、私のカバンのチャック付きのポケッ
     トに入れておくわ。

  夫:分かった。それじゃ、ウッ・・・ポケットに無い、無い。もしかして車の中かな?あれ、
     座席の上にキーがある。そうか、忘れ物のチェックで車の中を覗き込んだ時に、
     胸のポケットからキーが落ちたのに気付かずに、勢いよくドアを閉めたんだ。
     その衝撃でキーのロック機能が作動したのかな~。ア~ァ、車のキーを車内に残
     したまま、ロックしちゃったよ。どうしよう?

  妻:全くドジなんだから。合鍵は家に置いてきちゃったわ。保険屋さんを呼んで開けて
     もらうしかないわね。

  夫:仕方がない。君は先に行ってくれ。僕は保険屋さんに連絡して、ロードサービスが
     来るまで、ここで待つことにする。前売り券を購入して楽しみにしていたイベントな
     のに、こんなことになるとはナ~、トホホ・・・

3.車を追い越して・・・「シマッタ!」

  夫:オッ、対向車線の車がライトをチカチカさせたぞ。近くでスピード違反のネズミ捕り
     をしているのかもしれないな。スピードを抑えて走ろう。

  妻:ホラ、あそこで取り締まりをやっているわ。スピードに気を付けてね。

  夫:了解。あっ、あそこが違反者の引き込み場所だ。ここを過ぎればもう大丈夫。飛行
     場の駐車場から出迎えゲートまでは結構距離があるから、急ぐとしよう。

  妻:余裕を持って出てきているから、急がなくても大丈夫よ。前を走っている乗用車は
     8ナンバーよ。覆面パトカーかもしれないわ。

  夫:何か言ったかい?前の車はのんびり走っているから、追い越すぞ。ソレッ。

  妻:ちょっと~、やめて!

  警官:(ウ~ウ~ウ~)前の車、左の路肩に寄って止まりなさい。

  妻:あなた、何をキョロキョロしているの?スピード違反で捕まったのよ。急いで路肩に
     寄って停めて。覆面パトカーかもしれないって、注意したのに無視するからこんな
     ことになるのよ。パトカーを追い越してスピード違反で捕まるなんて信じられない
     わ。時間もお金も大損よ。

  夫:シマッタ!ネズミ捕りの現場を過ぎたので、すっかり安心してしまったよ。君の言
     葉にもっと注意すれば良かったな。スピード違反で取り締まられてシマッタ!

  妻:もう、どこまでドジなんだろ。どうしてくれるのよ、マッタク。
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ワタつながりの散歩道

2015-05-11 08:00:27 | 日記





いつもの散歩に出かけた老夫婦。数あるルートの中から、今日はブルーベリーの摘み
取り畑方面を選びました。

妻 :ほら、ブルーベリーの花がたくさん咲いているわ。摘み取りは6月中旬からのようね。

夫 :待ち遠しいな。アレッ、この看板は何だろう?

妻 :ローマ字と数字が書いてあるけど、住所かしら?矢印の方へ行ってみましょうよ。

矢印に従って進むと、先程と同じ看板がありましたが、どう見ても個人のお宅です。

夫 :ネェ、ここに「営業中」って書いてある。どうやら、お店みたいだよ。

妻 :入口のガラス戸が開いているから入ってみましょうよ。ごめんくださ~い。

夫 :誰もいないけど、女性物の洋服が陳列してあるね。

店主:いらっしゃいませ。庭でお花を摘んでいたものですから、お店に誰もいなくて、驚か
    れたでしょ。ゴメンナサイ。ここにある洋服は草木染めのインド綿を現地で縫製した
    ものです。私が直接、インドへ行って仕入れてきました。

妻 :ご自分で買い付けて来られたのですか?

店主:はい、そうです。通気性が良いので、蒸し暑い日本での夏服としても最適だと思い
    ます。もう一つ、インド綿の魅力は柔らかく、フワッとしてサラリとした風合いが魅力
    だと思っています。

妻 :草木染めって、洗った時の色落ちが気になりませんか?

店主:確かに多少は色落ちしますが、徐々に馴染んで味わい深い色合いになっていくの
    が魅力のひとつだと思います。インド以外の外国の小物も置いてありますから、
    ゆっくりとご覧になってください。

夫 :袋物や小さな木製品や飾りタイルまであるよ。東京の原宿あたりに、このお店を出
    したら、お客さんがいっぱい来そうだな。

商売をするには、いささか不向きな場所にあるオシャレなお店を後にして、近くにある神
社を参拝しました。帰路はキジのペアが悠然と歩く野原を抜け、落花生畑のある農道に
出ると、かなり広い土地を二人の中年女性がクワを使って、耕している姿が目に入りま
した。すると突然、女性の一人が手を休めて、私たちに声をかけて来られたのです。

女性:こんにちは!お散歩ですか?

妻 :そうですけど、お二人は、ここを耕して何を植えるのですか?

女性:ワタのタネです。私たちは日本産のワタを守る活動をしています。外国産のワタに
    押されて今や、和棉はタネを入手することさえ困難になってきているのです。

妻 :どうして、そんなことになったのですか?

女性:日本のワタは外国産のものに比べて繊維が短いので、機械での大量生産には向
    かないんです。それに、衣類そのものがほとんど輸入品になってしまいましたし
    ね。

夫 :あ~、そういうことですか。

女性:ワタは5月にタネを蒔き、秋に収穫します。お米と同じですね。外国産のワタの実は
    空を向いて開くのですが、和棉は地面を向きます。長雨から実を守るためでしょう
    か、日本の風土に適合した品種だと言えますね。

妻 :そういえば以前、近所の歴史民俗資料館で鉢植えの棉を見たけど、白いフワフワの
    ところは下を向いていたような気がする。あれは和棉だったのね。

女性:もう少し説明すると、外国産のワタには害虫がつきやすくて消毒が不可欠ですが、
    和棉にはあまり害虫がつかないのです。それに外国産の棉の7割は遺伝子組み
    換えをされていると聞いています。食べ物の安全性に心を砕く日本人は増えたよ
    うですが、肌に直接触れる衣類やお布団の安全にまで気を配る人はそんなに多
    くはないのです。

夫 :僕なんかは、ワタ畑というと奴隷制度があった時代のアメリカを舞台にした「ルーツ」
    という映画を思い出すな。真っ白なワタ畑のシーンが印象に残っているよ。

女性:私たちは今、毎年タネを蒔き、次の世代のタネを収穫し続けることによって、和棉の
    存在を絶やさないように頑張っているという状態です。今日は二人で土を耕してい
    ますが、他にも仲間がいるのです。

夫 :この広さなら機械で耕すほうが良いのではありませんか?

女性:機械だと土が深く掘られすぎるうえに、たくさんの土が風で飛ばされてしまいます。
    15cmほどの深さを耕せば十分なので、人力にこだわっています。もちろん、化学
    肥料は使わず、無農薬で育てます。とにかく、瀕死の状態になってしまった和棉
    の伝統を絶やしたくないと思っているのです。

妻 :こんな場所で、水やりはどうするのですか?

女性:ワタは乾燥に強いから、水やりはほとんど必要ありません。私は糸を手で紡ぐ作業
    が大好きなんです。ゆっくりと糸紡ぎをしていると、気持ちが穏やかになりますね。

妻 :糸紡ぎが幸せなひとときを紡ぎ出すってことですね。私も体験してみたいな。

夫 :ちょうど今、「明治日本の近代化産業遺産群の世界遺産への登録」が脚光を浴びて
    いる中、こうして和棉の話を伺うと、なんだか複雑な気持ちになってしまうね。

妻 :ネェ、ほんの少しだけでも土の掘り起こしを手伝いましょうよ。

夫 :そうだね。家庭菜園で培った体力と技術でお手伝いしよう!

女性:ホントですか?こんな出会いもあるんですね。嬉しいです。

二人はクワを借りて、草の根っこだらけの土を掘り起こし始めましたが、年齢を考え、
ちょっと長めのひと畝だけを耕して作業を終了せていただきました。
インド綿のお店に立ち寄ったあと、和棉の存在を知るという流れで、何だか不思議なワタ
つながりとなった12,000歩の散歩でした。
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青い丘

2015-05-04 08:13:01 | 日記





青・・ 青・・ 青・・
目に映り込むのは どこまでも爽やかなブルー
丘も 空も 海も ぜ~んぶ 青

空と丘との境界を示すのは 稜線に列を成す人の姿
あの場所まで行けば 青空に手が届くかもしれない
そんな気持ちを抱かせる この景色

さあ 頂上まで行ってみよう
ゆるやかな坂を歩きながら
あるときは周囲を見回し 
あるときは足元の一輪一輪を見つめる

ネェ 君たちの葉は 花より高く伸びないんだね
主役の花を目立たせる演出をしているの?
だとしたら 君たちの努力は実っているよ
僕の目には ブルーだけが飛び込んでくるから

本当に美しいね 清々しいね
僕の心も 君たちと同じ青色に染まりそうだ

アッ 空に月が うっすらと浮かんでいる
こうして下から見上げると
君たちは海の中に咲いている花のように見えるね
そして あの月は クラゲ

フフッ 君たちがあんまり青いから
思わず海の底に潜った感覚になっちゃったよ
まるで夢の世界にいるみたいだ

ネモフィラさんたち 今日は ありがとう
来年も また会いに来るよ
次はどんな夢を見させてくれるのかな?
じゃあ またね!
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