ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:茨城の「大葉」の魅力は香りが爽やかで、味がまろやか

2023-08-28 08:03:52 | 日記

大葉は青じその葉の部分だけを指す呼び名で、食用として販売される場合の呼称ですね。

大葉は日本各地で栽培されていますので、どの地方でも店頭に行けばほぼ一年中並んで

います。大葉は独特の香りとさっぱりとした味が特徴で、刺身や天ぷら、サラダなどに

使われます。そして、大葉にはビタミンAやビタミンC、ビタミンKなどの栄養素が豊富

に含まれています。大葉の生産は愛知県が日本一で、全国シェアは50%以上です。愛知

県では昭和30年以降から大葉の栽培がさかんになりました。特に、愛知県の豊橋市が日

本一の産地となっています。続いて2位は茨城県、3位は大分県、4位は高地県、5位は宮

崎県となっています。大葉は比較的温暖の地域の方が育ちやすい野菜であることがわか

りますね。最近ではベトナムからも大葉が輸入されています。ベトナムでは日本に輸出

するための厳しい審査をパスした大葉だけを輸出しています。 ベトナム産の大葉は美味

しいということで、今後もベトナム産の大葉を見る機会が増えるかもしれませんね。茨

城県で大葉が生産される理由は、温暖で日照時間が十分に確保されるという気候条件に

あります。そんな茨城で大葉を育てる生産者のひとりである、茨城県北浦みつば連合出

荷組合の大葉部長・浅野悦朗氏によると、茨城県の大葉の魅力は「香りが爽やかで、味

がまろやか」ということです。水耕ではなく土で育てることで、大地のミネラルが行き

渡った肉厚の大葉になります。そしてもうひとつ、有用微生物群を発酵熟成させた有機

肥料です。微生物の力で土自体を活性化し、野菜本来の味を凝縮させているのです。茨

城県の大葉は、日本屈指の野菜王国から生まれた逸品なのです。

 

<青じそと赤じそ>

しそはシソ科シソ属の植物の総称です。この内、赤じそは強い苦みや渋みがあり、その

まま食べることは少なく、乾燥させたり漬けたりして使われます。 赤じそには青じそと

同様の栄養素に加えて、アントシアニンという抗酸化作用のある成分が含まれています。

一方、青じそは赤じその変種が固定化したものです。大葉の他にも花や実なども含まれ

ます。青じそはジュースやドレッシングなどに細かくした状態で使われることもあります。

 

<しその生産量ランキング>(2020年)

青じそ、赤じそを含めた、しそ全体の生産量です。1位は愛知県 3,720t  45.80%2位静岡

729t  9.00%3位宮崎県616t  7.60%4位大分県、5位群馬県、6位茨城県281t  3.50%でした。

 

<大葉の生産量ランキング>(2020年)

大葉の生産に限っても、愛知県の全国シェアはなんと50%以上!ぶっちぎりの第一位です。

2位は茨城県、3位は大分県、4位は高地県、5位は宮崎県となっていますが、愛知県以外の

県の生産量は大きな違いはありません。2位~5位は5%前後のシェアで毎年入れ代わってい

る状況です。

 

<しその品種>

食卓で薬味として使われる青じそが、赤じその変種であることは前述の通りですが、しそ

には多くの品種や栽培品種があります。具体的には、「ちりめん紫蘇」、「ちりめん青じそ」、

「赤紫蘇」、「青じそ」、「まだら紫蘇」、「片面紫蘇」といった品種があります。それぞ

れの品種は、葉の表と裏の色、縮れの有無といった違いで分類されます。この中で、青じそ

と赤じそが食用として利用されています。茨城県の大葉は、行方市を中心として周年栽培が

行われていますが、そこでは、外観品質に優れる新品種「ひたちあおば」が栽培されていま

す。在来系統と比べて、葉形や鋸歯の形状が良く、外観品質に優れています。

 

<大葉の豆知識>

1.なぜ葉の部分だけ「大葉」という名称で呼ばれているのでしょうか?

   「大葉」は青じその葉のことです。諸説ありますが、しそはその葉以外にも芽や実も食

  用として使われます。香味野菜として青じその葉を売る時に「しそ」だとどの部位か

  分かりにくいため、「大葉」という名で売られるようになったと言われています。

2.しそは体を温める

  薬膳では身体を温める“熱性・温性”と身体を冷やす“寒性・涼性”という考え方があって、

  しそは温性。そのため冷たいお刺身なんかと合わせることで、体内で調和がとれるの

  だそうです。

3.大葉は大切な薬味

  β-カロテンなどの栄養素も豊富で、メインとなる料理の栄養素を補ってくれます。

  “薬味とはよく言ったもので、本当に薬のような効果があるのです。これを自然と成

  り立たせた和食ってすごいですね。

4.しその特徴

  「つま」として日本料理を引き立てる名バイプレーヤーです。青じそ(大葉)や赤

  じそは何といっても色鮮やかです。まさに眼で食べる日本食の真骨頂といえるかも

  しれません。赤じそは、梅干などの色づけに使うほか、葉を乾燥させて香辛料の七

  味唐辛子に配合されることもあります。青じそは魚の臭みを抑える効果があり、魚

  の紫蘇巻きなどによく利用されます。また、防腐・殺菌効果もあり、刺身のつまと

  してよく使用されます。その爽やかな香りから、ドレッシングやドリンクに応用さ

  れています。

5.大葉の栄養素と効能

  しそは、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素を多く含み、特にβカロテンを野菜の

  中でも最も多く含んだ食材の特徴を持ちます。

  ①β-カロテン:体内でビタミンAに変換され、免疫力を高めたり、目や皮膚の健康を

    保ちます。β-カロテンは油に溶けやすいため、油で炒めたり揚げたりすると吸

    収率が高まります。

  ②ビタミンB群:ビタミンB1B2B6などのビタミンB群もまんべんなく含んでいま

    す。エネルギー代謝や神経系の機能をサポートする効果があります。ビタミンB

    群は水溶性のため、生で食べるか無水調理すると流出を防げます。

  ③ビタミンE:抗酸化作用が高く、細胞の老化を防いだり、血行を良くする効果があり

    ます。ビタミンEも油に溶けやすいため、油と一緒に摂取するとよいでしょう。

  ④食物繊維:水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれています。食物繊維は、便秘

    の解消や腸内環境の改善に効果的です。また、水に溶ける水溶性食物繊維も含ん

    でいるため、コレステロール値や血糖値の調整にも役立ちます。

  ⑤ペリルアルデヒド:大葉の香り成分として知られるペリルアルデヒドは、強い抗菌

    ・防腐作用や殺菌作用があり、食中毒の予防に役立ちます。 また、食欲増進効果

    や発汗解熱作用、抗炎症作用や整腸作用も期待できます。そのほかにも、大葉に

    はα-リノレン酸や鉄分などの有用な成分も含まれています。しかし、食べ過ぎる

    と胃腸の不調や妊娠中の流産などの副作用が起こる可能性もありますので、適度

    な量を心がけましょう。大葉は栄養豊富な食材ですが、そのまま食べるだけでな

    く、おにぎりや冷や汁、串焼きなど様々な料理に使うことができます。

6.しそは日本が誇る和のハーブ

  しそは「紫蘇」と書くように、本来は赤じそのことをしそと呼びました。赤じそは梅

  干しや紅ショウガなどの色付けに欠かせないものです。変種の青じそは、さわやかな

  香りとさっぱりとした味わいから、薬味や刺身のつまとして多く利用されます。香り

  の成分に、腐敗防止作用があるためです。しその花芽は「花穂じそ」、赤しその芽は

  「紫芽」、青シソの芽は「青芽」と呼ばれ、刺身のつまや彩りに使われます。

7.大葉の選び方

  葉先までピンとしていて、葉や切り口が変色していないものを選びましょう。色は緑

  色が濃く、みずみずしいものがおすすめです。

8.大葉の保存方法

  鮮度をキープするために、濡らしたキッチンペーパーや新聞紙に包んでからポリ袋に

  入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。乾燥させないようキッチンペーパーを取り

  替えれば、12週間保存可能です。冷凍する際は、さっと水洗いし水気を拭き取り、

  千切りやざく切りにして冷凍用ジッパー袋に入れて保存しましょう。凍ったまま薬味

  として利用できるため便利ですよ。1ヶ月ほど持つので、長期保存したい場合は冷凍

  するのがおすすめです。

9.大葉の千切り:千切りにする時は、軸を切り、数枚重ねて、くるくると丸めてから

  切ると、切りやすいですよ。水にさらすとくっついてしまうため、乾いたまま切る

  のが大葉の調理の鉄則です。

10.青じそ・赤じその旬

   青じそは主な産地ではハウス栽培が主力で、通年安定して出荷されているので、

   いつでも新鮮なものがスーパーで手に入ります。旬がわかりにくいですが、本来

   の旬は7月〜10月です。青じそが通年市場に出回るのに対し、赤じその旬は初夏。

   収穫自体は夏の間中おこなえますが、赤じその需要は梅干しを漬けこむ時期に限

   られます。そのため、市場に出回るのは6月~8月だけです。

11.しその加工品

   漬物、佃煮、梅干し、ゆかり、ふりかけ、ジュース。

12.しその仲間

   エゴマは、しその変種です。昔は今ほどエゴマがメジャーではなかった名残りで、

   エゴマの種子から抽出した油の「えごま油」が、「しそ油」という名前で売られ

   ていることもあります。

 

<茨城県の大葉栽培>

大葉の4大生産地は、愛知県、茨城県、高知県、大分県です。温暖で、日照時間が十分に

確保される地域が中心です。茨城県内で大葉を一番多く生産しているのは行方市です。

行方市は、その条件にぴたりと当てはまっています。行方市での大葉栽培は、昭和40年代、

市西部の北浦地区を中心にスタートしました。当時の大葉は高級品で、料亭などを対象

に木箱に入れて出荷していたといいます。それから生産者たちのたゆまぬ努力と研究によ

り、大葉は徐々に大衆にも広がりました。今、食卓に当たり前のように大葉が並ぶのは、

そんな生産者たちのおかげです。行方市の大葉は「香りが爽やかで、味がまろやか」と評

判で飲食店などに出荷されています。行方市の茨城県北浦みつば連合出荷組合の大葉部で

は部員15名が大葉を生産しています。ここで育てているのは「ひたちあおば」という形が

良く、病気に強い品種。更に水耕ではなく土で育てることで、大地のミネラルが行き渡っ

た肉厚の大葉になります。そしてもうひとつ、注力するのがEMという有用微生物群を発酵

熟成させた有機肥料。微生物の力で土自体を活性化し、野菜本来の味を凝縮させるのだと

いいます。だから組合で育てる大葉のブランド名は「EMそだち」。香りが爽やかで、味が

まろやかだけでなく、形が良く、葉がしっかりしているもので揃えられるように努力を続

けています。美味しく、香り豊かで、安心、安全な大葉を作るために、生産者たちは今日

も働きます。

 (ハウス栽培)

ハウスの中をボイラーで一定温度に保つことで、通年高品質の大葉が収穫できます。横幅が

広く歪みのない形が、飲食店などに出荷する大葉の条件。乳酸菌、酵母、光合成細菌などを

米ぬかなどで増殖、発酵熟成させる有機肥料で土で育てるため、葉に栄養が行き渡り、しっ

かりと肉厚になるのです。

(大葉の収穫)

成長の早い大葉。茎の最上段にある2枚の葉を摘んだら、夏場で2日、冬場では5日で、もう

次の葉が収穫できます。ですから、収穫し続けなければ、成長しすぎてしまい、売り物にな

らなくなってしまうのです。EMを使った土作りやハウスの温度管理、除草などももちろん重

要ですが、大葉栽培作業の大変さは収穫にあるといえます。

生産者の大葉の収穫の手際はあまりにも見事です。1秒間におよそ4枚。「いーち」と数える

その間に、パッパッパッパッと4枚の大葉を摘む。しかもただ摘んでいるだけではありません。

摘みながら形の悪いもの、葉の欠けているものは捨てているのです。改めてプロの仕事の見

事さに感服です。収穫は目にも止まらぬ速さ。それでもハウス全体の収穫は大仕事です。

 

<大葉が主役のレシピ>

1.ごはんが進む 大葉のキムチ風漬け

 キムチ風の辛味の効いた漬けだれで漬け込みます。ごはんにのせると箸が進みます。

 コチュジャンの甘辛い味付けとごま油の風味がとてもおいしいですよ。刻んで入れ

 たニラもとてもよいアクセントになります。冷奴などにのせていただくのもおすす

 めです。

2.鶏ひき肉と大葉のしいたけシュウマイ

  しいたけと鶏ひき肉の旨みにさわやかな大葉の風味がよく合います。梅干しを肉

  だねに加えているので、後味もさっぱり!お酒のおつまみにもごはんのおかずに

  もおすすめの一品です。

3.豆腐の大葉肉巻きおろしポン酢ソース

  あっさりとした味わいでも食べ応え抜群な、豆腐の大葉肉巻き。豚肩ロースと大

  葉で豆腐を巻いたら、あとは電子レンジで加熱するだけ!豚肉の旨みと大葉の風

  味がアクセントになっていてどんどん箸がすすみます。おろしポン酢をかけてい

  ただきます。

4.ホクホク歯ごたえがたまらない!長芋のしそ巻き

  長芋のさっくりホクホクとした歯ごたえがたまらない簡単おつまみ。拍子木切り

  にした長芋に大葉を巻き、こんがり焼いて醤油を回しかけます。柚子胡椒を添え

  ればさらに風味豊かな仕上がりに。

5.大葉のチーズチヂミ

  あまった大葉を一度で消費できるのが「大葉のチーズチヂミ」。大葉をたっぷり

  使ってチヂミを作ります。大葉のさわやかな香りとチーズの旨味が相性抜群のひ

  と品です。チヂミの表面に大葉をのせて、見た目も華やかです。

 

しそは、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素を多く含み、特にβカロテンを野菜の中

でも最も多く含んだ食材の特徴を持ちます。肉厚で瑞々しく、香りが爽やかで、味がま

ろやかな、茨城県行方市が誇る大葉を是非ご賞味あれ!

 

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茨城味自慢:天然物も、養殖物も、甲乙つけがたい茨城あわび!

2023-08-14 08:02:36 | 日記

 

 

茨城県の大洗以北(常磐沖)で獲れる天然あわびは、北海道・東北地方を中心に生息し、 茨城県

が分布の南限であるエゾあわびです。10m以浅の岩礁域にすんでおり、海藻を餌としています。

天然の海では、ふ化から約5年で11cmになります。水揚げサイズは11cm以上に限られ、その漁期

は6~9月です。あわびの魅力はやはり歯ごたえと旨味。そして、加熱により味わいが深まる奥深さ

があります。天然あわびは高価ですが、茨城県にはリーズナルブルにあわびを味わえる養殖あわび

「一口あわび」があります。一口あわびを出荷サイズに育てるまでの期間は約4年。天然かけ流し

の海水を使い、天然のワカメやアラメなどの海藻をたっぷりとあたえ、限りなく自然に近い環境で

じっくりと育てるからこそ、肝も含めて天然同等の味わいです。今回は茨城県の天然あわびと養殖

あわびの紹介です。

 

<あわびの種類>

あわびの仲間は、世界中に80種、日本には10種が分布しています。日本で呼ばれる「あわび」とは、

下記の4種類の総称で、この内、主に流通している活アワビは、クロあわびとエゾあわびの2種類です。

 

(1)クロあわび:味の良さからあわびの王様と呼ばれる最高級あわびです。近年減少しているそ

    うです。マダカあわび、メガイあわびに比べて殻はやや細く足裏は緑がかった黒で、殻長

    は約20センチです。太平洋側では房総半島から九州にかけて、日本海側では奥尻島以南、

    九州まで分布しています。

(2)エゾアワビ:北海道・東北地方を中心に常磐沖を南限として分布しています。クロあわびの

    北方系亜種とされ、水温が高い海域で育てるとクロあわびとの見分けが困難なほど似ると

    言われます。食味もクロあわびに似ています。環境順応力が高く、養殖あわびの主役の品

    種です。価格はクロあわびに比べて安いですが、それでも高価です。

(3)マダカあわび:幻のアワビと言われています。その理由は、素潜り漁ではまず無理な、水深

    20mより深い岩の周辺にすんでいるので、漁獲されることなく市場にあまり出回らないか

    らです。北アメリカ産のアカネあわびとともにもっとも大きくなり、殻長は25cmを超えま

    す。肉は比較的やわらかく、房総半島以南の太平洋側と日本海西部沿岸、九州に分布して

    います。

(4)メガイあわび:赤あわびとも呼ばれ、市場評価ではクロあわびに対し2~3ランクも評価が低

    いです。殻はなだらかで殻長は20センチぐらい。煮あわび、蒸しあわびに向いています。

    房総半島以南の太平洋側と日本海沿岸、九州に分布しています。

 

<天然あわびの漁獲量ランキング>

世界の漁獲量:1位はオーストラリアで、主な種類はアカあわびやウスヒラあわび。2位は日本です。

       エゾあわび、メガイあわび、トコブシなど、3位はニュージーランドで、ヘリトリあ

       わび とトコブシ。(漁獲量ではトコブシもアワビ類に入ります)

国内の漁獲量:1位は岩手県(17.5%)、2位千葉県(10.4%)、3位三重県(7.5%)この3県あ

       わせて、国内漁獲量の約35%を漁獲しています。(2019年)尚、茨城県は10位以下

       です。(養殖は含みません)

 

<養殖あわびの生産量比較>

あわびの養殖は2000 年頃から急激に増加し始め,特に中国,韓 国での生産量が多いです。理由は日

本で開発された種苗生産技術が 中国や韓国の養殖産業の基盤となったこと,世界中であわびの天然

資源量が減少し、商品価値が高いアワビの養殖が 注目され生産量の増大につながったと考えられます。

 

海外統計:2013年の生産量では、中国が断トツ1位で110,380トン、2位は韓国で7,479 ト ン。この

     2カ国 の生産量は他の国と比べて桁が違っています。今も変わっていないと思います。

     養殖されている主な種類は、両国ともエゾあわびで、養殖されたコンブやワカメを 餌 と

     して利用しています。3位はチリです。

国内統計:日本では養殖に取り組んで20年以上になりますが、コスト面で伸び悩み、生産量は数ト

     ン以下で統計データもないのが現状です。しかし、近年は大手異業種や新規事業者の養

     殖成功のニュースが報じられています。将来はかなり拡大するでしょう。

 

<アワビの豆知識>

1.あわびの生息域:北海道南部から九州までの、潮間帯から水深50m程度までの岩礁域に生息
   しています。潮間帯(ちょうかんたい)とは、潮が満ち引きをする範囲のことですので、
   かなり運が良ければ、潮が引いた間に岩の下を覗けばアワビがいるかもしれません。
   (でも、ほとんどが獲ったら密漁ですよ!)あわびは主にカジメ、アラメを食べ、特に切
   れて海底を漂う「寄り藻」が重要な餌となります。産卵期は11~1月で、ふ化後、数日間
   の浮遊生活を経て岩盤の亀裂や転石に着底します。生後4~5年で漁獲サイズ(殻の長径
   が11cm以上)になります。

2. 栄養価:あわびには、旨味成分であるグルタミン酸が多く含まれ、肉厚の身は甘みが強く
   コリコリとした食感が特徴です。採れたての新鮮なあわびは、刺身や踊り焼きなどで味わ
   うことが出来ます。あわびは、低脂肪・高たんぱく・低コレステロール・低カロリーな食
   材で、海藻をたくさん食べて育つため、銅、亜鉛、鉄分、マグネシウム、カリウムなどの
   ミネラル類が豊富なほか、コラーゲン、タウリン、ビタミンA・B・Cなどの栄養素がたく
   さん凝縮されています。

3. あわびは巻き貝です:あわびは巻いた部分が少なく、形は楕円形で殻口が広いですが巻き
   貝の仲間です。10~20cm程度の物が一般的でとても高級な食材とされています。あわび
   のエサとなっているのは、コンブ、ワカメなどの海草で、キモは海草のかたまりになって
   います。あわびのオス、メスの見分けはキモの色で判別します。オスは茶系、メスは緑系
   と、全く違った色をしています。味の方は、双方共そんなに違いはありません。

4. 磯のあわびの片思い:これは自分が相手を思うほど、相手が自分を思っていないことを言
   います。あわびは自分の殻が扁平なために、貝殻が片方にしかないように思われ、もどか
   しい片思いを連想させます。あわび貝の「片重い」と「片思い」を掛けたしゃれ言葉の意
   味もあります。

5.「のし」のルーツ:アワビは伊勢神宮へ「のしアワビ」という、紐状に乾燥させて加工され
   た状態で奉納されます。その奉納品である「のしアワビ」を、大昔の人がお祝い事の時に
   贈っていた習慣が変形して、現在の「のし」になったそうです。

6. アワビの選び方:アワビは殻に対して身が大きく、肉厚で丸々太り、ひだが小さめのもの。
    殻が薄くて、持つと重みのあるものを選びましょう。

7.アワビの保存方法:アワビは海水程度の塩水(濃度2〜3%)をたっぷり含ませた新聞紙や
   キッチンペーパーで包み、保存容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
   アワビを冷凍保存する場合は、生きているうちに身を殻から外し、身と肝を分けます。そ
   れぞれよく洗って、1個ずつラップに包んで冷凍保存袋に入れて冷蔵庫に入れて保存しま
   す。

8.アワビの加工品:アワビは刺身や水貝、酒蒸し、ステーキなどいろいろな料理に使えます
   が、干しアワビ、熨斗鮑、煮貝、塩辛などの加工品も美味です。

9.アワビの仲間:トコブシ。あまりアワビとしては扱われていませんが、立派なアワビの仲間
   です。トコブシはアワビの代用として親しまれており、アワビよりもリーズナブルな価格
   で流通していましたが、近年価格が上昇してきています。

10.アワビの値段:2021年から2022年のアワビの価格相場はアワビの種類や大きさにもより

    ますが、1キロ約7000円程になっています。価格はアワビの種類、大きさ、産地によっ
    て幅が大きく、最高級の国産黒アワビでは大きさにより1個の貝で2~3万円するものも
    存在します。一方中国産や韓国産のアワビで大きさが小さいものであれば、1個の貝で
    300円から500円程と非常に安い値段で購入する事が出来ます。スーパーなどでは中国
    産や韓国産のアワビが1,000円程で販売されているのを目にすることもありますが、
    アワビの種類までは記載されていないことが多いです。市場でも購入する事が出来、市
    場では小さなものから大きなものまで、様々なサイズ、種類のアワビが並び価格は500
    円から30,000円と幅がありますが、スーパーで購入できるものよりも、値は張るが大
    きいものが欲しい場合には市場での購入がおすすめです。しかし、黒アワビの大きなも
    のは高級料亭などに直接卸されることが多く、一般にはあまり流通しません。

 

<茨城県産天然あわびは稚貝の放流で資源管理>

茨城の海は、親潮と黒潮が交わり、栄養分が豊富なことが特徴です。磯場にはあわびの食物となる

アラメやカジメなどの大型の海藻が繁茂していて、あわびにとっては絶好の環境。そこにはエゾあ

わびが、北茨城市から大洗町までの水深5mほどの岩礁域に生息しています。茨城県では資源維持の

ため、県が茨城県栽培漁業センターに委託して稚貝を生産し、3cm以上(2才)になった種苗を漁業

者が漁場に放流し、稚貝の保護、漁獲量の制限や操業時間の制限など資源管理をしながら漁獲して

います。天然物は約5年、人工種苗は放流後約3年をかけて漁獲可能サイズ(11cm)にまで成長さ

せて、一つ一つ大切に漁獲されます。県内では、大津、川尻、久慈町、久慈浜丸小、磯崎、那珂湊、

大洗町の7つの漁協で水揚げがあります。6~9月にかけて(近年は特別採捕許可を受け10月も漁獲

あり)、素潜りまたは潜水器を用いた潜水漁業によって漁獲されます。那珂湊採鮑組合では、水揚

げサイズを12cmと組合独自で制定し、より大きなあわびを出荷しています。放流貝の漁獲回収率は

20%~50%で、貝殻の色は天然貝と放流貝は違うのですが、見かけ・肉質とも天然のものと変わり

ませんので、共に天然あわびとして漁獲し、出荷しています。

 

<茨城県産養殖あわび>

「丸のまま一口で、アワビを食べる贅沢」を味わえるのが、茨城県の養殖あわび「一口あわび」です。

約7cmまで育てたものをブランド化し、リーズナブルな価格で通年出荷しています。品種はエゾあわ

びです。エサはワカメやアラメなどの海藻に加え、昆布を与えることで美味しさが向上させています。

一口あわびの魅力は何といっても身の柔らかさ。適度な歯ごたえと旨みに満ちています。コリコリと

した食感が楽しめる刺身はもちろん、網焼きやバター焼きで旨みを堪能するのもおすすめです。磯崎

漁業協同組合の一口アワビ養殖施設で育てられています。
 

「一口あわびが食べられるお店」

(1)潮騒の宿 丸徳旅館(いばらきの地魚取扱店)

(2)磯崎(漁協):一般的なアワビのサイズ(約12cm)だと5000円以上しますが、一口アワビ(約7cm)

          は税込756円。おススメは「磯崎漁協のあわびめし」
 

<素潜りの天然アワビ漁>

 朝7時。那珂湊採鮑組合の組合員たちが集まり、波の高さ、風の強さなどを見て漁に出るかを決めま

す。組合員は全員男性。年間で20日ぐらいの漁です。海底までの深さが3.5mくらいが漁場。8kgの重り

と、あわびを入れる網を腰に巻き、ナザシ(あわびを岩からはがす金属製の道具)と尺号(しゃくごう:

12cmの尺がついた物差し)を持ち、マスクとシュノーケルを装着して、瞬く間に海へ。船から数十メー

トル先の狙った場所まで泳いで行きます。「あわびは、日の射さない岩場の影、海藻の中、岩の穴の中

などにいることが多いから、そういう場所をよく探す。見つけたら、岩とあわびの間にナザシを入れて、

はがしていくんだ」。潜り続けること数回、約2時間。「終わりにすっぺ~!」の一声で、続々と海人

たちが漁船に戻ってきます。各々の手には山のようなあわびが。大漁です。漁獲したあわびは1隻の漁

船に集められ、帰路につきます。

 

<茨城県栽培漁業センターとは>

センターは、鹿島港北端にある約2万6千平米の広大な敷地で、時間あたり最大900トンの海水を取水し

て種苗を大量生産する栽培漁業の拠点施設です。ここで栽培漁業の対象として種苗生産に取り組んでい

るのは、ヒラメ、マコガレイ、ソイ類、鹿島灘はまぐり、アワビの5種。このうち、種苗の生産技術が

確立し、安定した放流効果が得られているのがヒラメとアワビで、那珂湊の大切な水産資源となって

います。あわびは、3.5cmの大きさで30万個放流する目標で種苗が生産されています。放流サイズに育

てるのに約2年かかり、放流後、天然の海で漁獲サイズの11センチまで育つのにさらに3年以上かかりま

す。「地区ごとで差はありますが、茨城で漁獲されるアワビのうち、約半分がセンターで生産したもの

だということがわかっています。センターで育ったアワビは配合飼料の影響で、殻の一部が鮮やかな緑

色になるので、色で天然貝と放流貝を見分けられます。あわびは年輪を重ねるように成長するので、緑

色の部分は放流した後も残る」のだそうです。センターで生産されるヒラメとアワビは、栽培漁業を牽

引するツートップとして、茨城の漁業に欠かせない存在となっています。

 

 魚介類の生活史のうち、初期の一部の成長を人の手で補い、その後の成長は自然の海の力に任せるの

が栽培漁業。加えて、海の力で成長する間も、漁師さんをはじめとした関係者により、ヒラメは30㎝以

上、アワビは11cm以上など、それぞれ種類ごとに決められた大きさに成長するまでは徹底して漁獲をし

ないよう管理され、大切に育てられます。さらに、地区ごとで、種苗を生き残りが良くなるような場所

や方法で放流したり、独自に厳しい漁獲サイズを設けたりという取組みも行われているそうです。この

ように、茨城の海の恵みを将来にわたり享受し続けるため、関係者の技術と努力により、茨城の漁業は

つくり育てられているのです。
 

是非、茨城のあわびをご賞味あれ!

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