ここ数年、カリフラワーが、栄養価が低い他の食材や炭水化物の代替食材として注目
されています。味にクセがなく栄養価が高いことから、多くのレストランやダイエッ
ト素材として食品会社が採用しているのです。カリフラワーの国内生産地は、茨城県、
徳島県、愛知県、熊本県など広域に散らばっています。カリフラワーが一年中店頭で
流通しているのは産地や収穫時期を変えながら出荷されているからです。でも、カリ
フラワーの最も美味しい旬の時期は11月~3月の寒い時期ですから、お店に大量に出
回るのは晩秋の頃からになりますね。残念ながら、近縁種のブロッコリーとの流通量
比較では冷蔵技術の発達により1:6と食卓の人気度では大きく負けていますが、近年で
はジワリ、ジワリと確実に盛り返しています。ここでは国内生産量1位が自慢の茨城産
カリフラワーを紹介します。
<カリフラワーの生産地概要>
カリフラワーの東京都中央卸売市場の取扱量の旬は茨城県が4月~6月、長野県が7月~
9月、埼玉県が11月~12月、新潟県が10月~11月、熊本県が12月で、年間を通して独占
的シェアを持つ県はありません。ですから県別の年間生産高ランキングでも1位/茨城
県:(11.9%)、2位/徳島県:(11.1%)、3位/愛知県:(10.2%)、4位/熊本県:
(10.2%)、5位/埼玉県:(8.7%)と分散しています。各県が横並びの生産量ですが、
2019年度は茨城県が1位でした。対して近縁種のブロッコリーの生産量は1位北海道
(15.8%)、2位愛知県(9.5%)、3位香川県(9.1%)です。こちらも分散していますから、
共に国内のどの県でも栽培されている定番の野菜ということになります。
<カリフラワーとは?>
カリフラワーは、地中海沿岸が原産地とされ、野生種のケールから分化したブロッコ
リーが、突然変異により白化したものといわれています。冷涼多湿の気候を好みます
が、耐暑・耐寒性はあまりありません。食用とするのは、茎の先にある花蕾(からい)
と呼ばれる部分です。カリフラワーという名前には「キャベツの花」の意味がありま
すが、その名のとおり蕾(つぼみ)が発達せずに肥大して花球となった野菜です。日
本には明治初期に渡来しましたが、食用としても観賞用としても当時は普及せず、第
2次世界大戦後に進駐軍向けに栽培が行われ、日本での洋食文化が広まった昭和30年代
後半から需要が高まり、昭和50年代後半には11万t生産されていました。しかし、昭和
50年代以降にブロッコリーが急速に普及する一方で、カリフラワーの生産量は減少に
転じました。ブロッコリーには緑色の他、花蕾が紫色のものがありますが、カリフラ
ワーはさらに色の種類が多く、よく店頭で並んでいる白色の他に、オレンジ、パープル、
黄緑色などがあります。
<カリフラワーの栄養素>
注目のニョッキやピザ、ハッシュドポテト、米料理、フライドチキンなど、体にいいと
は言えないけれど魅惑的なメニューも、カリフラワーを使うことで炭水化物の少ない、
健康的なものに大変身します。しかも、カリフラワーは実は栄養素が豊富な野菜です。
特にカリフラワーに含まれるビタミンCは壊れにくいのが特徴で、茎には房の約2倍
のビタミンCが含まれるので、丸ごと食べるのがおすすめです。ビタミンCは風邪の予
防効果、美肌効果、そして脳を落ち着かせる働きがあります。また、疲労回復に効果
的な「ビタミンB1」や血液をサラサラにする「イソチオシアネート」も含まれていま
す。更に「カリウム」はむくみや冷え性の改善効果がありますし、その他に「食物繊維」、
「タンパク質」「鉄分」など健康維持に必須なアイテムがいっぱいです。ですからカリ
フラワーを代替品に使うことが注目されているのですね。ジワリと生産量が増加してい
る要因です。
<カリフラワーの見極め方と保存方法>
選ぶときのポイントは、まずしっかりと締まりがあり、硬いものを選ぶことです。持っ
た時にずっしりと重みがあり、変色していないか、軸の切り口がみずみずしいかを見て
みましょう。あまり日持ちしませんので早めに使い切りましょう。茹でる際はレモン汁
や酢を少量加えるとより白く茹で上がります。薄くスライスして、油で炒めて塩コショ
ウで食べるのもおすすめです。
保存の方法は茎に水分を補いながら冷蔵保存します。カリフラワーはブロッコリー同様、
あまり保存のきかない野菜の一つです。花蕾が開いてしまうと味も栄養も半減するので、
できるだけ早く食べてしまいたいもの。茎に湿らせたキッチンペーパーを巻き、ポリ袋
に入れて冷蔵庫の野菜室へ入れますが保存は3~4日。長期の場合は茹でて密閉容器に
入れ冷凍保存する方が安心です。
<カリフラワーの豆知識>
1.茹で方のポイント:カリフラワーって茹でるとパサパサになりませんか?小麦粉と
オリーブオイルを少量加えたお湯で、小房に分けたカリフラワーを茹でると、ぱさ
つかず美味しく食べられます。しかも、ゆで時間を短縮できるのでビタミンCの損
失が少なくなるのです。試してみてくださいね。
2.最近人気なのが「ロマネスコ」:うずまき状の形がサンゴショウのようなことから
サンゴショウカリフラワーとも言います。「カリフラワーとブロッコリーの交配種」
とか「いや、両方の起源となる野生種だ」とかの説があります。味的には固くしま
ったブロッコリーのような感じでもありますが、コリコリした食感はカリフラワー
に近いです。欧州ではごく一般的な野菜ですが、日本ではまだまだ新顔野菜で生産
量も少ないです。でも、近頃はスーパーでも目にするようになってきました。こう
いった食材も積極的に食べてみると食卓に変化が出て話題の一つになると思います。
3.新鮮なカリフラワーは、生でも食べられます。薄切りにしてマリネにしたり、ドレッ
シングをかけるだけでも美味しいです。また、酢漬けにするのもおすすめです。
4.注目のカリフラワーダイエット:カリフラワーは低糖質食品です。茹でたカリフラ
ワー100gでの糖質量は1.9gと低く、たっぷり食べても太りにくい食材です。また、
美容効果の高い栄養素が豊富に含まれていることも見逃せません。
最近は白だけでなくいろんなカラー・バリエーションの品種がでていますし、茹でる、
蒸す、焼くなどどんな方法でも美味しく食べることができ、鮮度がよければ生でサラ
ダにすることも可能です。見ても、食べても、良しの茨城県産カリフラワーを是非ご
賞味ください。