ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:霞ヶ浦・北浦の「ざざえび」は今が旬だ!

2021-10-27 08:08:12 | 日記

 

漁業大国日本においては、「海老を食べる」といえば多くの場合、クルマエビや伊勢

エビ、ブラックタイガーなど、いわゆる「海の海老」をイメージする方が多いでしょうね。

でも、内陸部の人たちの中には「川エビ」と呼ばれる、テナガエビの仲間(より小型で

腕が短いスジエビも含む)が、最初に思い浮かぶ方も多く、川エビの食文化は今も健在です。

茨城県ではこうした川エビの食文化を満たすために、川エビを海エビと共に、重要な

水産資源として漁獲しています。ここでは内水面漁業として漁獲される、霞ヶ浦・北浦

の「テナガエビ(ざざえび)」の美味しさを紹介します。テナガエビは、居酒屋メニュ

ーで出てくる「川エビの唐揚げ」というと馴染みがあるかも知れませんね。

 

食材としての川エビ類は小ぶりであるがゆえ、唐揚げやかき揚げ、釜揚げなどにして殻

ごとサクサクとやるのが主な食べ方になりますが、これが実に美味いのです。川エビの

漁獲量ランキングは、茨城県が全国シェア62%で断トツの1位です。2位の青森県(6%)、

3位の千葉県(3%)の3県あわせて、国内漁獲量の71%を占めます(2019年)。

尚、洋食で使われる「テナガエビ」は基本的にヨーロッパアカザエビ(海産)の別称な

ので要注意。イタリアンでいうスカンピ、フレンチで言うラングスティーヌです。です

から、塩焼きやエビフライといった殻をむく工程が必要となる調理は「海のエビ」の大

型海産エビ軍が一手に担うわけです。

 

<霞ヶ浦・北浦のエビ漁>

霞ヶ浦・北浦の特徴は、漁獲高が1位のワカサギ、2位のテナガエビ(エビ類)をはじめ、

白魚、鯉、ゴロ(ハゼ類の総称)などが主体の漁場であることです。現在の漁獲量はピ

ーク時から大幅に減少はしてはいますが、今でも全国で上位を占める淡水魚の一大産地

です。漁師達は、ワカサギやテナガエビ、白魚などを動力船の後方につなげた網で曳く、

「トロール漁」という漁法で漁獲しています。狙う魚種に合わせて、曳く層や網の目合

いなどを使い分けて、取り決めにより船首に青色灯、船中央に白色灯を点灯して操業し

ています。尚、テナガエビに関しては横曳き網といった底びき網、小型定置網などでも

漁獲しています。

テナガエビの話ではありませんが、昔の霞ヶ浦ではワカサギ漁や白魚漁は風力を利用し

た帆びき網漁業により漁獲されていました。この帆引き船による漁獲光景は霞ヶ浦の風

物詩(現在でも観光用として運行中)でしたが、昭和42年以降は漁獲効率の良いトロー

ル漁に転換が進み、現在に至っています。

 

<「鮮度」と「資源」を守る!>

テナガエビの産卵時期は5月下旬~9月頃で、オスは成長に伴い手が長くなることから、

名前が付きました。体長は10㎝程度です。食性は、雑食性でユスリカの幼虫やイトミミ

ズ、プランクトン等を食べています。霞ヶ浦・北浦の漁師達は「トロール漁」について、

これまでよりさらに厳格なルールを定めることで、魚やエビの命ともいえる「鮮度」と、

「資源(霞ヶ浦北浦に生息する魚介類)」を持続的に利用しつつ、買い手のニーズに合わ

せた漁業を行っていこうと、平成22年(2010年)に「霞ヶ浦地区トロール部会」を設立し

ました。こうして漁獲された「テナガエビ」は、霞ヶ浦北浦で佃煮や釜揚げなどの原料

として利用され、そのほとんどが地元で消費される重要な水産資源です。
 

<万能食材、テナガエビの稚エビ「ざざえび」>

テナガエビの稚エビ(体長5㎝~10㎝)を地元では「ざざえび」と呼んでいます。夏に

生まれた稚エビを秋に獲るものです。実は霞ヶ浦・北浦のテナガエビ漁とはこの「ざ

ざえび」漁が中心なのです。ですから、テナガエビ漁=ざざえび漁と言ってもいいくら

いなのです。ざざえび漁は9月上旬から10月下旬にかけて行われ、期間中漁師たちは、

深夜2時30分頃から出港し、午前6時頃に帰港します。漁師の起床は2時、就寝は8時頃

だと言います。1時間ほど網を曳いてから網をあげ、これを1日に3~4回繰り返します。

平均水深が4メートルと浅い霞ヶ浦で、湖底近くにいるエビを狙いながら、泥や砂が混

じらないように「湖底に網が着かないギリギリのところ」を曳くには、高度な操船技

術が必要です。ざざえび漁で最も大変な仕事といえるのが、選別作業。水を張った大

きなタルに、漁獲したエビ等を1箱ずつ入れ、手作業でエビの大小とエビ以外の魚とを

選別していきます。水揚げ直後のざざえびは無色透明でとてもきれい。釜揚げにする

とほんのり桜色に染まります。これこそが香り際立つ万能食材!「ざざえび」です。

 

<テナガエビの豆知識>

1.日本在来種のテナガエビの養殖に高知県の養殖業者が、世界で初めて成功。
   養殖に成功したのは、四万十川に生息するミナミテナガエビ。テナガエビの近縁

   種で、高知県では高級食材です。養殖の大きな課題は「共食い」でした。エビの

   大きさで選別して、水槽を分け、隠れ家をたくさん作ることで、共食いが激減し

   たそうです。現在は量産化にも成功し、地元の味として人気です。

2.エビを加熱すると赤くなるのはなぜ?

   エビの殻と身に含まれる、アスタキサンチンという赤い色素によるものです。生き

  ている状態の時は、本来の鮮やかな赤色は隠されています。しかし加熱することで、

  含まれているタンパク質が熱によって変化し、アスタキサンチンの赤色が現れるよう

  になるのです。ちなみに、アスタキサンチンは「自然界で最強の抗酸化物質」といわ

  れています。

3.テナガエビは釣って、飼って、食べて良し!

   釣って、飼って面白く、食べても美味しいテナガエビ。なかなか3つも楽しみがある

        対象魚はありませんね。テナガエビは都市部の河川でも気軽に楽しめるターゲット

  です。家族で、晩ごはんのおかずを採りにテナガエビ釣りに出かけましょう。

4.テナガエビの栄養価:高たんぱく&低脂肪の優れたナチュラルフードで、エビ類全

   般に含まれる栄養素となる、ビタミンB群、ビタミンE、葉酸といったビタミンをは

  じめ、リンやカルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウムなどのミネラル

  が豊富に含まれています。特筆すべき栄養成分として、テナガエビは他のエビ類と

  比べて、EPA、DHA、カルシウムが、ずば抜けて多く含まれていることです。

 

ざざえびは、調理法によって様々な食感や風味を楽しめるのが魅力。釜揚げや佃煮、素

揚げ、かき揚げはもちろんのこと、揚げ物をそばやうどんに入れても良し、洋食、中華

料理のアクセントに使っても良しで、出番の多い食材です。特に揚げたては風味が濃厚

で大変美味です。道の駅での一番の売れ筋商品は「ざざえびの釜揚げ」です。

地元に来ないと食べることは難しいですが、近年は通販で入手できます。

ぜひ、皆様も「ざざえび」の味わいをご堪能あれ!

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茨城味自慢:北限の八郷で栽培された「富有柿」をご賞味あれ!

2021-10-18 08:23:35 | 日記

  

 

「柿が赤くなると医者が青くなる」という昔の諺もあるほど、柿は古来より日本人に

身近な果物であり、高い栄養価も認められていました。特に甘柿は日本固有種で、日

本からヨーロッパ等へ伝わったため、学名にも「kaki」の名が使われるなど、まさに

日本が世界に誇る国果です。柿は北海道以外で広く栽培されています。茨城県の石岡

市(旧八郷地区)は、筑波山などの山々に囲まれた盆地と温暖な気候に恵まれ、果樹栽

培が盛んな地区ですが、ここが低地での柿栽培の北限、リンゴ栽培の南限といわれて

います。柿の生産量ランキング(2020年)では1位が和歌山県(18.8%)、2位奈良県

(13.6%)、3位福岡県(7.6%)そして茨城県はランキング外で14位(1.5%)でした。

これは栽培地として北限の位置にありますから仕方のないことです。それだけに北限

と言われる地域で、柿栽培に挑んでいる柿農家さんの「柿」を紹介したいのです。

実はこの地で実った富有柿は皇室へ献上されている優れものなのですよ。

 

<柿の起源と栽培地>

縄文時代や弥生時代の遺跡から柿の種の化石が発掘されています。奈良時代には柿が

流通していたとされ、祭祀に使われたり、冬場の大事な糖分補給源として食されてい

たようです。当然ながら当時は「渋柿」。人々は渋柿を熟し柿や干し柿にして食して

いました。甘柿の登場は鎌倉時代で、渋柿の突然変異種として見つかりました。特に

江戸時代に入って甘柿の品種改良が集中的になされ、渋柿と合わせて1,000以上の品

種が生まれたそうです。

柿(Diospyros kaki (神様がくれた食べ物))はカキノキ科カキ属に属し、東アジア原産

の果樹で、中国、日本、韓国に多くの在来品種があります。柿はもともと熱 帯・亜熱

帯原産の植物で、耐寒性はリンゴより弱く、北海道ではほとんど栽培されていません。

柿の収穫量は果樹の中では、温州ミカン、リンゴ、日本梨に次いで四番目です。

 

<渋柿と甘柿の違い>

柿は未成熟な時に実を動物に食べられないように渋みで防御しています。ですからジュ

ルジュルまで熟せば、逆に食べてほしいから渋柿も甘くなります。甘柿とはこの渋みの

元が完熟する前に機能しなくなった渋み消失の突然変異種なのです。現在、栽培されて

いる柿は「甘柿」と「渋柿」に大別されます。柿の渋みのもとは水溶性タンニンです。

これが口の中で溶けると渋く感じます。甘柿も幼果のときには渋みがありますが、収穫

時になるとタンニンが「水溶性」から「不溶性」へ変化するため、渋みがなくなり甘い

のです。また、渋柿はアルコールや炭酸ガスを使って処理(渋抜き)することで、タン

ニンが「不溶性」に変化して甘くなります。干し柿の場合は皮をむいて呼吸をさせない

ことで不溶性にしています。

 

<柿の品種別生産量ランキング>

1位富有柿、柿全体の約25%。2位が平核無(ひらたねなし/渋柿)で約17%。地方により

「庄内柿」「紀の川柿」「おけさ柿」などと呼び名が変わります。渋抜きは炭酸ガス使用。

3位は「刀根早生(とねわせ/渋柿)」で約15%。4位が甲州百目(こうしゅうひゃくめ/

不完全渋柿)で生産量はグンと下がって約6%。「蜂屋柿」「富士柿」「代白柿」「江戸」

など、その土地の名前が付けられています。5位は「松本早生富有(まつもとわせふゆう/

甘柿)」。以下「市田(いちだ/渋柿)」、「早生系次郎(わせけいじろう/甘柿)」、

「次郎(じろう/甘柿)」と続きます。また、よく耳にする「あんぽ柿」は、「蜂屋柿」

「平核無」などの渋柿を硫黄で燻蒸して乾燥させる独特の方法でつくられた福島県発祥

の干し柿です。

皆さんはこれらの品種名の内、いくつぐらいの名をご存知でしたか?

 

<柿の人気ブランドは甘柿の「富有」ですが、それに続くのは渋柿ブランド柿>

生産量1位は甘柿の富有ですが、2位、3位、4位は渋柿ブランドで、5位に甘柿が入ります。

柿の甘さは、渋柿にありですね。渋柿ブランド品種の多さが、その需要を物語っています。

渋抜きをした渋柿の糖度は、驚きの50度前後で甘柿の糖度(15度~16度)を軽くしのぐの

です。多くの渋柿は、渋柿のエグ味、渋味を除いてからの出荷となり、手間がかかります

が、それを上回る甘さと美味しさが渋柿の魅力なのです。

 

<柿の豆知識>

1.柿は熟成が進む果物なので、かたいと感じたら「追熟」させましょう。柿のヘタを上

  にしてポリ袋に入れて常温保存すると、柿自身が放出するエチレンガスが袋に充満し、

  効率的に追熟が進みます。

2.甘さが均等になる柿の切り方:柿はへたの反対側と種の周りの甘味が強いので、へた

   の周りを大きめに切って、縦切りにすると、甘さを均等に分配できます。

3.富有柿発祥の地:岐阜県瑞穂市が誕生の地。市指定天然記念物「富有柿の原木」が現

   存しています。果肉の食感が良く糖度が高いことから「甘柿の王様」と呼ばれます。

   収穫時期は、11月上旬12月上旬の約1ヶ月です(食べごろは11月下旬)。

4.柿の栄養素と効能:栄養満点の柿ですが、特にビタミンA、ビタミンCが豊富で高血

   圧や成人病の予防、風邪の予防にもなり二日酔いにも効果があります。抗酸化物質

   のポリフェノールは赤ワインの10倍、お茶の30倍です。でも、身体を冷やす性質も

   あるので食べ過ぎにはご注意を。

5.不溶性タンニンは、熱を加えるとまた、可溶性に戻るようです。「渋戻り」と言われて

  います。ですので、ジャムを作る際は、完全甘柿の品種を使うと良いです。

6.柿の葉の力:柿の葉には、アレルギーの反応を抑えるアストラガリンというポリフェノ

   ールの一種を含んでいます。花粉が飛散する前から柿の葉茶を飲んでおけば、予防効

   果が期待できます。

 

<北限の地、八郷町での柿栽培>

岐阜県生まれの富有柿は、九州より気温の高い地域では赤くならず、岐阜より気温の低い地

域では渋が残るのが特徴と言われていますが、八郷町ではその定説に挑戦して富有柿を昭和

初期には栽培を開始。昭和44年からは毎年皇室に献上しています。これが八郷柿農家の自慢

なのです。八郷では甘ガキとしては「富有」、「次郎」、「西村早生」、「伊豆」が、また、

渋ガキとしては「平核無(ひらたねなし)」、「刀根早生」が多く栽培されています。

 

①元気な結果枝(けっかし)を残す:柿の生産で重要なのが剪定。「柿の枝は、桃や梨など

  と違って、枝に花芽があってもその枝に花がつくとは限りません。その花芽から次の枝

  を伸ばして花を咲かせ、結実することもあります。枝を「結果母枝(けっかぼし)」とい

  うのですが、この結果母枝の見極めが非常に重要です。実がなる枝(結果枝)を切って

  しまいかねないので、非常に気を使う工程ですね」だそうです。結果枝を残せるような

  選定は、長年培った目と経験がなければできない工程なのです。また、毎年3月ごろに、

  主に醗酵鶏糞、油かす、骨粉などをブレンドした有機質肥料を惜しげもなくどっさりと

  施すそうです。「この作を惜しむと、実のヘタの部分に穴があく「ヘタすき」の実にな

  ってしまうのです。柿はほとんど追肥を行いませんから、必要なときに十分に与えます」

  だそうです。

②摘蕾(てきらい)の工程:「花が付いたら蕾のうちにそれを取る「摘蕾(てきらい)」という

  作業があります。柿の木は1枝に4~6個のつぼみが付きますが、これを2個くらい残して

  摘蕾していきます。最終的には1つの実を残すわけですが、この摘蕾が柿の良し悪しを

  決めるので、慎重に行いますね。」おいしい柿はこの摘蕾がポイントです。


八郷の柿農家のこだわりは「完熟出荷」。どの農家も最低でも4品種、多い農家では12品種

ぐらいの柿を栽培しています。完熟出荷の理由は北限ゆえにエグ味、渋味をなくすための

選択でしょうね。そして、多品種は収穫期間を長くするためだと思います。農家さんの言う

完熟とは柔らかくすることではなく、甘さ、歯ごたえがその品種にとってベストの状態にな

ったところを見極めて収穫するということです。柿の中が色づく「西村柿」という品種は、

収穫後ひとつひとつに裏から光を当てて完熟しているかを確かめてから出荷するそうです。

八郷の富有柿は「果肉が硬くて甘い!」と評判ですので、歯ごたえのある、おいしい柿を、

お探しの方は、ぜひ一度ご賞味ください!

 

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茨城味自慢:茨城県は「落花生」の生産量が第2位

2021-10-07 07:56:11 | 日記

落花生は豆類なので枝に実っていると思っている方もいるでしょうね。実は土の中で

できています。落花生は花が咲くと、咲いた花の茎の根元から、「子房柄」という先

の尖った茎のようなものが出てきます。これが土に刺ささっていき、その先端が土の

中で育って、落花生となります。落花生は南アメリカ原産の植物で、江戸時代に日本

に到来、さやのままのものを「落花生」や「南京豆」と呼び、中の実だけをピーナッ

ツと呼んでいます。これからが収穫の最盛期、その収穫作業を見聞してきた茨城県産

の「落花生」を紹介します。

<茨城県は作付面積全国2位の生産地>

日本で消費される落花生の内、90%以上が輸入もの(ほとんどが中国)です。国内落

花生の生産量は10%にも至りませんが、その中で、国内生産量1位は千葉県がシェア

83%で断トツ。千葉県でも特に北総地域の八街市、千葉市が生産の中心地区。落花生

といえば千葉県というイメージが強いのは当然ですね。生産量2位は隣接する茨城県の

中南部地域の牛久市、阿見町、地元の龍ケ崎市で10%ほどが栽培されています。です

から、千葉県と茨城県の県境をまたいだ地域だけで9割を超しています。落花生向き

の土壌なのですね。

 

<落花生の世界>

①落花生の生産量世界一は中国で、世界シェアは35.9%、2位インド13.8%、3位ナイ

 ジェリア9.1%、3ヶ国あわせて、世界の生産量の約59%を生産しています。日本は

 67位0.03%です。(2019年)日本が落花生輸入国であるのは当然ですね。

②落花生の品種系統には、バージニア、スパニッシュ及びバレンシアの3タイプがあり

 ますが、商品として扱う際は、実の大きさにより大粒種と小粒種に大別しています。

 大粒種はさやの中に大きめの実が2個入っています。そして、煎り莢(いりざや)落

 花生、煎り豆、バター・ピーナッツや一部の豆菓子等に加工されています。実の原型

 を留めたまま食べているのは殆どがバージニア系統で、この系統が大粒種です。

③世界の落花生の需要は、FAO統計で落花生が油糧作物に区分されているように、そ

 の多くは搾油(さくゆ、食用油(ピーナッツオイル))に向けられており、栽培品種

 は殆どが小粒種です。さやには小振りな実が3~4個入っています。小粒種は搾油以外

 にも、菓子・調理用食品、豆菓子の原料として原形を留めない形で使われます。

④日本での落花生の消費形態は、バターピー ナツ(さやをとって油で揚げたもの)とし

 ての消費が4割であり、さやつきでの流通量は 全体の2割ですが、国産品については

 さやつきが5割を占めています。

⑤日本では、輸入品はさやをとった「ピーナ ツ」(むきみ)、そして、国産品はさやつ

 きの「落花生」と、市場の棲み分けが行なわれており、国産品は輸入品より高い価格

 で取り引きされています 。

 

<国産落花生の主な品種>

日本での落花生の育種研究は、生産量1位の千葉県農業総合研究センター育種研究所が中

心で、現在品種登録されている落花生の大部分がここから生み出されています。そして

生産されているのは全て大粒種です。

(1)千葉半立:煎りさや用の最高級ブランド。煎って食べるとおいしい落花生

    その美味しさから、最も多く作られている品種。昔よりも粒が大きくなり、食べ

    応えがあります。乾燥し、煎ったときの風味がとても良いのが特徴です。

(2)中手豊(なかてゆたか):煎りさや用。プランター栽培におすすめ!

    粒がやや大きく、さっぱりとした甘みが特徴。香りも良く、ゆでることでさらに

    甘みと香りが増します。プランター栽培でも育てやすいです。

(3)郷の香:ゆで落花生用。栽培期間が短い!ゆでるとおいしい落花生

    栽培期間が70日前後ととても短く、育てやすい品種。収穫量も多い。煎るより

    40分ほど塩ゆでをしてから食べると、香りが増し、実もやわらかくなります。

(4) Qなっつ:煎りさや用。発芽率が高くて失敗しにくい新しい品種(2018年)

    病害虫に強く、真っ白でとてもきれいな実をたくさん付けます。また天日干し

    をすると甘さが増し、その甘さは落花生の中でもダントツ1位です。

(5)おおまさり:ゆで落花生用。大粒で食べ応えありのジャンボ落花生

    落花生の中でも、特に種が2倍ほど大きく、食べ応えのある品種。脂肪分が少な

    く、ゆでるとふっくらとやわらかくなり、甘味と食感を楽しめます。

 

<落花生の栽培風景>

さや付き落花生は、収穫し、乾燥し、焙煎して完成するとてもシンプルな商品です。一般

的に落花生は、種まきからおよそ130日で収穫時期を迎えます。種まきは5月中旬から下旬。

種を蒔いて7日~10日で発芽します。40日ぐらい経つと小さな黄色い花が咲いてきます。

開花後1週間ぐらいすると花の基部から子房柄が地表に向かって伸び始め、さらに4~5日す

ると先端が地中に侵入し、やがて先端が肥大を始めてさやの実(豆)になります。花が咲い

てから85~90日程度で収穫です。収穫期は10月中旬で、収穫後にピーナッツの実が上を向く

ようにして、畑で1週間乾燥させる「地干し」をします。その後、「ボッチ」と呼ばれる野

積み(雨はらせんで流れ落ちる)で、さやの実の水分が10%程度になるまでの約1ヵ月間放置

します。乾燥が終わるとボッチを崩し、茎葉まるごとピーナッツ用の脱きょう機にかけ、さや

と実を分離します。実は天日乾燥で2週間かけてじっくり乾燥させます。手間と時間はかかる

が、程よい食感になり甘みが増すのです。落花生には種類がありますから、旬が違ったり、気

候や環境によっても時差があったりします。最も収穫時期が早いのは、9月初旬頃。遅いものだ

と11月頃になる種類もあります。

 

<落花生の豆知識>

1.落花生の栄養価と効能:脂肪分やタンパク質を多く含み、美容と健康を整える

   ミネラル類やビタミン類も多く、とくにビタミンEは老化防止の働きをします。

   落花生の 脂肪分はオレイン酸という脂肪分で悪玉コレステロールを減らす働き

   が有ります。健康や美容のために日常的に食べる方も多いでしょうが、健康や

   美容に役立てるなら、無塩で油不使用のものがおすすめです。

2.美味しい食べ方

(1)掘りたてを塩ゆでにして食べます:掘りたての落花生を水洗いし、25cm程度の

    鍋に水をいれ大匙3~4杯程度の塩を いれて水のままから落花生と共にゆで

    ます。40分程するとゆで上がり、お湯を切 ってさませば食べられます。

(2)煎って食べます:さやのまま中火で油をひかず塩を少し加えてフライパンで約

    30分程転がせば煎り 上がります。落花生の香りがしてきたら食べ頃です。

(3)味噌ピーナッツができます:油をひいたフライパンを温め、ムキ実を入れて煎り

    ます。15~20分すると豆は煎り上がります。次に油 を少しひいたなべに味噌

    と砂糖を入れ弱火でよく混ぜ合わせます。そして先に煎った豆をいれて味噌

    出来上りです。

(4)落花生の煮豆ができます:1晩以上水に漬けた豆を水きりし、別の鍋に水を入れ、

    醤油、砂糖、味醂等を加えて 一緒に弱火で煮込みます。水気が なくなったら

    出来上りです。

(5)バター・ピーナッツができます:豆を90度C程度のお湯につけます。すると豆に

    付いた渋皮がむけま す。渋皮のむけた豆は十分に水をきっておきます。次にテ

    ンプラ鍋に油を入れ 180度C程度に加熱し、その中に豆を入れてフライします。

    7~8分程できつね 色になります。そしたら豆を取り出し、塩、マーガリン等

    をくるめば出来上り。

3.落花生の等級:落花生には、品種だけではなく等級もあります。同じ品種でも等級

   で価格や用途が大きく異なります。実の太さによって太い順に一等から五等まで

   に分類されます。実が太く大きい一等~二等は味もしっかりしているため、さや

   付き落花生や塩味つき落花生など実の原型を残した加工品に利用されることが多

   いです。分かりやすいよう「特選」と表記して販売しているお店もあります。等

   級が下がるほど実は細くなり、価格は安くなります。小さめの実のカリカリとし

   た食感を生かしてバターピーナッツに加工したり、ピーナッツオイルなどの形が

   変わる商品に加工されることが多いです。

4.落花生の選び方:

(見た目で選ぶ)新鮮でおいしい落花生は、実が大きすぎないで、さやの網目がはっき

   りしています。

(用途に合わせて選ぶ)落花生を自分好みの味にしたいなら、調理法や味付けを自由に

   調整できる生タイプがよいです。自分でローストすると芳しい香りも楽しめて、

   調理の過程から落花生を味わいつくせます。料理に使うなら、手軽な素煎り落花

   生がおすすめです。落花生の素朴な味わいを料理に活かせます。

 

<茨城県産の落花生>

地元の龍ケ崎市の各畑を歩いて見ていると、収穫時期に大きな違いがありますので、複

数品種を栽培していることがわかります。伺った範囲では千葉半立が多かったです。

しかし、どの品種も一般の市場流通にのって広く出回るということはなく、その多くが

加工品に回るのですが、地元の産直所では手に入れることができます。私の散歩道には

お茶と4品種の落花生を自家栽培している「澤田茶園」、そして、落花生専門のお店

「いしじま」があります。このお店のお奨めは有機農法栽培で収穫したさや煎りの商品

名「源太豆」(千葉半立)です。



皆さんもこちらに来る機会があれば是非ご購入下さい。

待っていま~す!

 

    

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