ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

春の城ケ島ハイキング

2019-04-22 07:45:55 | 日記


首都圏に住んでいる高校の同級生3人が古稀を迎えたことを契機に始めた歴史・文学
散歩。今年の初歩きはハイキングとグルメを楽しもうと城ケ島へやってきました。
集合場所は品川駅の京急改札口前です。

ノブ:京急発行の「マグロ切符」が電車、バス乗り放題、そして食事とお土産がつい
   て3,500円とかなり格安なので、この切符を使って春の城ケ島を歩こう。

ヒデ:三崎漁港は有名なんだね。帰りに魚の干物を買ってきてほしいと頼まれちゃっ
   たよ。こんなこと初めてだ。(笑)

ヤス:初めてと言えば、今回は初めて海辺を歩ける企画なのにあいにくの雨だ。
   残念だね。この雨は「城ケ島の雨」にうたれてこいということだな。

一行は品川駅から京急の電車とバスを乗り継ぎ、終点の城ケ島バス停で下車。傘をさ
しながらのハイキングになりました。

ノブ:最初の見どころは「城ケ島灯台」だ。初代の灯台は明治3年の建設で西洋式灯
   台として5番目なのだそうだ。関東大震災で崩壊して現在あるのは2代目だよ。
   この灯台から見る富士山は絶景なのだけど、あいにくの雨で見えないね。残念だ。

ヒデ:富士山はいつでも見られるから気にするな。それより、眼下の海岸に鬼の洗濯
   板見たいな岩場があるね。興味深い断層がある岩礁があるのじゃないかい。

ノブ:岩場に下りてから説明しよう。着いたぞ。軟らかい層が削られ、硬い層が残り、
   それが幾層にも連なっているから洗濯板のように見えるんだ。この城ケ島は地質、
   地層の宝庫で地質百選に選ばれていて、世界から研究者が来て、今も岩石ハンマ
   ーで「かんかん」叩いている姿を見るそうだ。地形としてはフイリッピン・プレ
   ートが北米プレートに潜り込んでいるところで、島自体も東西で岩質が異なり、
   島の中央には活断層が通っている。だから岩礁には地震の度に起きる褶曲
   (しゅうきょく)等の地質学的に貴重な露頭が多いんだ。それも1200~400万年
   前という最近の変動であることが重要で、世界から学者が集まる理由だそうだ。
   岩礁の先端に行くと、ここに持ってきた写真にある褶曲した場所があるけど、今
   日は雨で足元が危ないから行かないことにする。この写真からこの島の地殻変動
   の凄さを想像してくれ。

ヤス:ここからでも白と黒が交互の岩礁の近くに小さく曲がった褶曲らしいものが見え
   る。その写真に写された褶曲した地層を近くでゆっくりと見たいところだが、こ
   の雨では滑るから近くへ行くのはやめた方がいいね。

ヒデ:みんな見て!蛸だよ!手の平サイズの赤い蛸が波に揺られながら、足元を泳いで
   いるぞ。天気が良ければ磯遊びをしたいねと車内で話していたけど、それもこの
   雨ではできない。でもこの蛸ちゃんと会えたから、これで磯遊びができたことに
   しよう。

ノブ:ハイキングコースはあの階段を上った丘にある。丘からは、今、話した海底で堆
   積した地層(三崎層)が良く見える。黒くて硬い凝灰岩と白くて軟らかい砂岩と
   泥岩の相互層だ。波による削られ方が違うから、一つとして同じ形はないね。

3人は海辺の岩礁から丘に移動して、ハイキングコースを歩き始めました。雨ですが風が
ないので歩くのに支障はありません。設置された見晴らし台に立ち止まり、異なる岩礁
の形や太平洋の海原そして大小の船舶の往来を見ながらのハイキングは順調です。

ノブ:ハイキングコースからも見えていたけど、ここが「馬の背洞門」だ。この時間は
   干潮時なので、こうして近くまで降りて来られて良かった。

ヤス:これが「馬の背洞門」か。大きいものだね。関東大震災までは満潮時には洞門内
   を船で行き来していたと言ったね。かなり隆起したんだね。それに昔は歩けたけ
   ど、今は禁止になった洞門の上を歩いて、大海原を眺めたかったな。

ノブ:ここは関東大震災で1.4mも隆起したんだよ。この場所は昼間の磯遊び、そして
   夜になると「天の川」が撮影できる場所として有名だよ。

馬の背洞門からハイキングコースに戻った一行は「海鵜」の見える見晴らし台に着きま
した。

ヒデ:川鵜はよく見るけど、海鵜を見る機会はないな。半島の先にいるのは鵜じゃない
   かな?

ノブ:確かに海鵜だ!まだいたんだね。あの場所には冬鳥として2,000羽ほどが渡来し
   て、4月以降には本州北部、北海道以北に渡って繁殖するんだ。まだ帰らずに残
   っている海鵜を見ることができたのはラッキーだね。それと崖の断面に注目して
   くれ。関東ローム層の火山灰層だ。断層から富士山と箱根の山が繰り返し爆発し
   たことが分かるね。

ヤス:海鵜の習性の一つとして一斉に飛び立つと乱舞するんだよ。あの海鵜たち、飛ん
   でくれないかな。

一行は最後の訪問地「北原白秋記念館」へ歩を進めました。雨は降り続いています。

ノブ:ハイキングコースの終わりは「北原白秋記念館」だ。砂浜には船の帆をかたどっ
   た利根川石に「城ケ島の雨」の歌詞が刻まれた記念歌碑が見えるね。1949年に建
   てられたものだ。白秋記念館には白秋の遺作や三崎時代のノートなどが展示され
   ているから見ておこう。彼は三崎町で新婚時代を暮らしていたそうだ。

ヒデ:詩人・北原白秋と言うけど、「あめふり」「ペチカ」「ゆり籠のうた」など童謡
   作家としても有名だね。

ヤス:校歌も作っている。俺の小学校の校歌は白秋の作品だよ。

一行はハイキングを終えると最後のお楽しみ「三崎のマグロ膳」のお店に向かいました。

ノブ:青森県の大間のマグロと並んで有名な三崎マグロだけど、三崎港に水揚げされる
   マグロのことだ。遠洋からの高級マグロの集積漁港として、多種多様な高級マグ
   ロが入荷されるのがここの特徴だ。三崎は日本で初めてセリが行われた町でもあ
   るのだよ。今持っているマグロ切符では各種マグロの盛り合わせの海鮮丼と蕎麦
   のセットが堪能できるぞ。

ヒデ:マグロ膳がきた、きた。切符代に含まれた食券だから内容的には期待していなか
   ったけど、店員さんの説明を聞いたら高級なマグロが使われているのだね。
   驚いたよ。

ヤス:さすが本場の海鮮丼だ。内容も良くて美味い。マグロ切符はお得だと言っていた
   けど、今日一日使ってみてその通りだと思ったよ。

ノブ:今年もみんなで元気に歩けるように、願いを込めて乾杯しよう。乾杯!

今回は雨天でのハイキングになってしまいました。残念ながら富士山や大海原の遠景、
それと足元が滑るので鬼の洗濯岩での岩層の変化の確認や磯遊びを楽しむことはできま
せんでしたが、晴れた日では体験できない「城ケ島の雨」に本場の城ケ島で遭遇し、体
験できたのだから上等、上等としましょう。

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 さようなら!散歩道で出会った冬鳥たち

2019-04-08 07:41:05 | 日記


老夫婦の住む住宅地の周辺には手入れの行き届いた雑木林や公園として整備された大
きな沼があります。二人はそんなバードウォッティングに適した場所を目的地として、
四季折々の風情を楽しみながら散歩をしています。冬季の楽しみは何といっても探鳥
ですが、特に小さな体で渡りをする冬鳥たちとの出会いは、この時期だけの楽しみです。
もう4月に入りました。冬鳥たちの北方へ、高地への渡りが始まっています。これから
の散歩道は寂しくなります。さようなら!散歩道で出会った冬鳥たちよ。

小さな体で大海原を渡ってくる小鳥たち

(1)頭に短いツンツンヘアがかわいい「カシラダカ」
   スズメ目ホオジロ科。全長15cm。ホオジロに似ていますが、ユーラシア大陸北部
   の森林地帯に広く分布・繁殖していて、日本には冬鳥として渡来し、農耕地、河
   原、林縁などに生息しています。エサは、地上で探すことが多く、小さな草の種
   子を食べています。本州中部以南で越冬し、本州北部、北海道では渡りの時期に
   通過する旅鳥です。ホオジロと一緒にいることがあります。近年、世界的な減少
   が指摘され、2016年にはIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種に指定されま
   した。小さな群れで生活し、チッチッと小さな声で鳴き交わします。

(2)跳ねては止まって胸張って「ツグミ」
   スズメ目ヒタキ科。全長24cm。日本には10月ごろ、シベリアから大群で渡って
   くる冬鳥の代表です。日本へ着くと群れを解いて、田畑や低い山の林に散らばっ
   て生息、3月なかばごろになると再び群れて北へ帰ります。胸を張って木の枝に
   とまり、地面におりて枯葉の下の虫を探します。日本ではさえずりをしません。
   そこで冬には口をつぐんでいる、それでツグミと呼ばれるようになったといわれ
   ています。昔はツグミを捕獲して食用に供していました。

(3)白い模様が着物の「紋」に似ている「ジョウビタキ」
   スズメ目ヒタキ科。全長15cm。アジア東部から渡来。日本では積雪のない地方で
   越冬し、平地から低山の農耕地、住宅地、公園、河原などに生息します。名前の
   ジョウは「尉」で銀髪のこと。ヒタキは「火焚」で、火打石をたたく音に似た音
   を出すことからジョウビタキなのです。オスの頭部は銀色をしていて、胸から腹
   部は鮮やかなオレンジ色で顔や背中、翼は光沢のある黒色が特徴的。一方、鮮や
   かな色彩のオスに比べメスは全体的に灰色がかった褐色で、翼はワントーン濃い
   色をしています。 オス、メスともに共通するのは、翼にある白い模様です。
   「紋付き鳥」とも呼ばれています。

青森・北海道方面から南下の渡りをする小鳥たち

(1)人気No1の赤い姿で冬を告げる「ベニマシコ」
   スズメ目アトリ科ベニマシコ属唯一の種である貴重種。全長15㎝。関東近在のバ
   ードウォッチャーにとって、全身が赤いオスのベニマシコは人気No1です。名前
   のマシコとは猿の顔のように赤い鳥をさすので、ベニマシコは漢字で「紅猿子」
   と書きます。雄はお猿の顔のように全体が赤いですが、雌は地味で黄褐色をして
   います。国内では、青森県下北半島や北海道で繁殖し、冬になると関東エリアよ
   りより南に越冬のため渡って来ます。関東の越冬地ではセイタカアワダチソウの
   実やノイバラの新芽を食べるのですが、繁殖期には昆虫類を主な餌とするようです。

(2)きれいな緑や黄色は溶け込み目立たない「アオジ」
   スズメ目ホオジロ科。全長16cm。国内では東北・北海道の山地の明るい林や低木
   林などの環境で繁殖しています。冬には関東以西の積雪の無い地方の、低木の生
   えた草地、薮、葦原、林などにすみ、主に地上で草の種子を食べています。一般
   的には漂鳥ですが、冬になると海外から渡来してくることも確認されています。
   アオジが生息する環境は里山や公園など周囲を雑木林に囲まれた平地で、茂みを
   好むアオジも餌を求めて明るい林道や住宅地の庭に姿を現します。

(3)太い嘴を見ただけで噛み砕く力がありそうな「シメ」
   スズメ目アトリ科。19cmほどでヒバリくらい。日本では北海道で繁殖し、秋にな
   ると本州に渡ってきます。山地よりも平地の林の中に、1羽、または小さな群れで
   いて、大きな群れになるのは渡りの時です。「シメ」も一般的には漂鳥ですが、
   冬になると海外から渡来してくることも確認されています。冬は人家の近くにも
   姿を見せ、エサ台にもあらわれます。肥満型で小鳥の感じがしませんし、全身茶
   色系の色彩で、くちばしは太くて短め、尾の短い鳥です。このくちばしで堅い木
   の実、草の実を割って食べています。

高地・高原から里に渡りをする小鳥たち

(1)はやにえの理由が分かっていない「モズ」
   スズメ目モズ科。全長20cm。日本では全国の平地から低山地の農耕地や林緑、川
   畔林などに生息して、繁殖しています。冬には北日本のものや山地のものは、南
   方へ山里へと下ります。秋に高鳴きをしてなわばりを確保し、越冬したものは、
   2月頃から越冬した場所で繁殖します。4月中頃までにひなを育て終った親鳥は、
   高原や北へ移動しているようです。小さなからだなのに、くちばしはタカのよう
   にカギ型をしており、小鳥を捕らえたりもします。モズは生け垣などのとがった
   小枝や、有刺鉄線のトゲなどに、バッタやカエルなどの獲物を串ざしにする変わ
   った習性があることで知られ、日本ではこれを「モズのはやにえ」と呼んで有名
   です。

(2)体色に赤褐色の腹が特徴的な「アカハラ」
   スズメ目ツグミ科。全長24cm。本州の高原から北海道の山林で繁殖し、明るいひ
   らけた林の地上でミミズや昆虫のえさをとり、冬は暖かい地方の平地へ移動します。
   一般的には夏鳥ですが、冬になると海外から渡来してくることも確認されています。
   鳥はその形や色から名づけられたものが多く、アカハラも、その胸から腹への赤味
   がかったダイダイ色からの命名です。「キョッキョッ」や「ツィー」などと鳴く。

暖かくなってきました。散歩道で出会った冬鳥の小鳥たちとも暫くのお別れです。今年は
いろいろな鳥たちと出会うことができて嬉しかった。又、この場所に戻ってきて欲しいです。
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