ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

木曽駒ヶ岳 千畳敷カール

2013-08-25 22:16:09 | 日記





 8月中旬、東京を深夜に出発した私たちは木曽駒ケ岳の千畳敷に向かって、中央自動

車道を走行。途中、いくつかのサービスエリアで休憩しながら、ロープウェイのしらび

平駅行きのバス乗り場がある菅の平に無事到着。

早朝4時というのに、駐車場はすでにほぼ満杯。夜空には星が瞬いている。バス乗り場

に乗客が列をなす中、5時になると臨時バスが次々とやって来た。しらび平駅でもロー

プウェイを待つ人々の列。

ロープウェイで約7分の千畳敷駅に降り立つと気温は14度前後。


私:千畳敷に到着だ。標高2,612mだけに涼しいね。おい、南アルプス方面に雲海が広

   がってるぞ。これは見事だ!

妻:うわ~、すごい!雲海を実際に見るのは初めて。雲の広がりの向こうに山の稜線

   が連なってきれいね~。こんな景色を見ることができるとは思わなかったわ。

私:早朝に来た甲斐があったぞ。直接、千畳敷カール方面に出て行く人はこの雲海に気

   付かないだろうな。放送で案内すればいいのに。

妻:大丈夫よ。お花畑のルートを辿れば、自然にこっちの方向を見ることになるんだか

   ら。


私たちはしばらく雲海の変化を楽しんだ後、お花畑を通る散策路に向かった。清涼な空

気の中、突き抜けるような青空と宝剣岳を筆頭とする峰々の姿が美しいコントラストを

見せる。


私:大パノラマだ。素晴らしいよ。今日はどんな花に会えるのかな?

   ワクワクしてきたぞ。

妻:ミヤマクロユリはもう咲き終わったんでしょうね。

私:見てごらん。数年に一度しか咲かないと言われているコバイケイソウが今年は当た

   り年らしいよ。白い群落がひときわ目立っているね。

妻:小さな花がびっしりと付いているのね。そばにあるバイケイソウは緑色で地味ね。

   チングルマも咲いている。あの辺のチングルマはもう秋の装いだわ。花もかわい

   いけど、筆や風車のような形で風に揺れる様子が、たまらなくイイ。ずっと見て

   いたいな。

私:アッ!ミヤマクロユリをひとつ見つけたぞ。愛する人に渡して、受け取ってもらえ

   ると結ばれるというアイヌの伝説があるよね。見つけると嬉しくなる花のひとつ

   だ。

妻:あなたはロマンチックな話が好きね。時期的に、もう咲き終わってると思っていた

   だけに、たったひとつでも会えて満足よ。


八丁坂分岐点に着き、ひと休み。宝剣岳には人が立っている。下から見ていると、今に

も落っこちそうで怖い。


私:あそこには雪が残っているよ。あれ?雪の上で何かが動いている。

   アッ!猿だ。猿の家族だよ。自然の中で、こんなにたくさんの猿を見るのは初め

   てだ。カワイイね。

妻:どんどんこちらに近づいて来るわ。子猿の数が多いね。あそこの切り立った岩によ

   じ登ろうとしている子猿はガキ大将かしら?

私:夏の間は、2,000m級の山まで食べ物を求めて登って来るってことかな。

妻:親の腰にしっかりと、しがみついている子猿の姿が微笑ましいわ。


暫く猿たちの様子を眺めたあと、再び散策路を歩き始めた。様々な高山植物に目を奪わ

れ、その都度、写真を撮るのでなかなか前に進まない。


妻:ウサギギクを見つけた。目立つ黄色だわね。ミヤマリンドウは密やかに咲いている。

私:あれはトリカブトかな?

妻:花や茎に毛がなければ、サクライウズかもね。高山植物は識別するのが難しいわ。

私:ヨツバシオガマにエゾシオガマ、モミジカラマツも見つけた。さあ、剣が池に着い

   たぞ。きれいな水だ。山が水面に映り込んでるよ。ここからの眺めは一段と素晴

   らしいな。

   ここも「天空の楽園」だね。僕たちの記念写真も撮っておかなくちゃ。

妻:そうね。あら、ウメバチソウも咲いてるわ。今日は何種類の高山植物を見たのかし

   ら。


これまで何度も千畳敷カールを訪れているが、今回ほど天候に恵まれたことはなかっ

た。ロープウェイでラクラク登った2,600mの高さから見た雲海、数年に一度と言わ

れるコバイケイソウの大群落、野生の猿たちとの出会い、宝剣岳の頂上で戯れる人を

見てハラハラしたことなどが印象に残った真夏のひとときでした。

ここへは早朝に来るべし。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

郡上と白鳥 ダブル徹夜おどり

2013-08-19 07:54:54 | 日記

郡上おどり

白鳥おどり

 2013年、夏。岐阜県郡上市で、徹夜おどりに参加。今回は郡上おどりと白鳥おどりの

両方を一晩で<ハシゴ>することにした。


私:一年ぶりの郡上だね。今日は4夜続く徹夜踊りの初日だ。駐車場確保のために明る

   いうちに来たから、踊り開始まで街を散策しようよ。

妻:午後8時から朝方の4時頃までが踊り時間ね。浴衣と下駄で準備万端よ。

私:今夜は郡上と白鳥の両方で踊るから、ペース配分を考慮しないとダメだよ。

   年齢をちゃんとわきまえようね。


 まずは、人気スポットのひとつである「やなか小径」近くでソフトクリームを食べ、

街の特産「食品サンプル」のお店を見る。日本名水百選第1号の「宗祇水」で水を飲み、

清流「吉田川」に足をつけて涼み、古い町並みが残る「職人町」や「柳町」をそぞろ歩

く。そして、「飛騨牛朴葉味噌定食」で腹ごしらえをした後、「いがわ小径」経由で踊

り会場に向かった。ここは原宿?はたまた渋谷か?と思うほどの人波である。


♪ 郡上のナ~ 八幡 出て行く時は(ア ソンレンセ) 雨も降らぬに 袖しぼる ♪


私:今年も町並みを散策してから、踊りに入るという僕の流儀が実行できたな。

   それにしても徹夜踊りの夜は相変わらず、身動きが取れないほどの混雑だね。

妻:四つ角の真ん中にある生演奏・生唄の屋台を中心に、十字型で踊りの輪ができてい

   るんだけど、場所によっては、演奏と踊りがズレていることに気付かなかった?

私:う~ん、そうかな?踊りに夢中で気付かなかったよ。

妻:さっきね、私が何か変だな?と思っていたとき、踊り保存会の一員らしき人が

   「ダメだ、戻せない!」ってつぶやいたの。輪の要所、要所に保存会の人がいて、

   踊りをリードしているんだけど、屋台から離れた場所の踊りが微妙にズレていた

   のよ。それを調整しようとしても、なかなかズレが直らなくて、そのまま1曲終わ

   ってしまったわ。

   私はいつも踊り上手な人の近くで、横目で所作を見ながら踊るのよ。できるだけ

   キレイに踊りたいでしょ。良いお手本を真似るのが最良の習得方法だと思ってい

   るの。

私:その通りだ。ただ、これほどの混雑だと、保存会の人の手がまわりきらず、屋台から

   遠くへ行けば行くほど踊りにズレが生じるのかもね。

妻:アッ、「春駒」が始まったわ。行ってくるね。

私:並んで踊ろうよ。♪ 七両三分の春駒春駒 郡上は馬どこ あの磨墨の・・・・・♪


 郡上おどりを2時間半ほど堪能した二人は東海北陸自動車道で白鳥(しろとり)に向か

いました。白鳥ICは郡上八幡ICのふたつ先。平成の合併後、郡上と白鳥はどちらも

郡上市です。


♪ アーシッチョイ シッチョイ 一にゃ ヨーホイ 石徹白のソーリャ ♪


私:オ~、やってる、やってる。白鳥おどりだよ。4年振りだから踊りを忘れてるな。

   少し様子を見て、思い出すことにしようかな?

妻:参加者は郡上おどりよりも少ないけど、かなりの人出ね。私はすぐに踊るわよ。

夫:そうかい、じゃあ、僕も行くよ。踊りながら、思い出すことにするさ。

地元の女子高生:はい、右足を蹴り出しながら右手をクルッと。はい、その調子。

私:女子高生に教えてもらえるとは嬉しいね。頑張るぞ。

妻:浴衣を着て踊る気は満々なのに、イマイチうまく踊れない人を見ると、地元の人は

   積極的に教えてくれるのよ。モテたと錯覚して鼻の下を伸ばしたら、恥ずかしい

   わよ。

私:わかってるって。もしかして、ヤキモチ焼いてる?


午前零時を過ぎ、満天の星空の下、リズミカルな下駄の音が心地よく響き渡ります。


私:保存会の人にも声をかけられたよ。先程の郡上おどりと違って、押し合いへし合い

   ではないから目が行き届くんだね。あったかく教えてもらったよ。

   この親しみ易さが最高!

妻:良かったわね。アッ!「神代」が始まった。私、この曲が一番好き。行ってくるね。


♪ ア、ドッコイサ~ノ ドッコイサ アおどり子様よ ちょいと出まして ソ~リャ ♪


私:グルグル廻る踊りだから、目まで回りそうだ。少し、休憩するぞ。他の人たちも休み

   休み踊ってるようだね。白鳥おどりの特徴は何だと思う?

妻:そうね。10曲程あるけど、マンボのようなアップテンポの曲が多く、若い人に人気が

   あるみたい。ホラ、あの子達、ノリノリで走りまわってるわ。

私:同感だ。盆マンボとでも名付けるか。踊りだけなら僕は白鳥踊りの方が好きだな。

   できれば、もっとたくさんの人に「白鳥おどり」を知って欲しいよね。

妻:輪の真ん中に勢いよく駆け回っている若者がいて、その外側の輪では、保存会の人

   が品よく優雅に踊っているでしょ。私が勝手に「お師匠さん」と呼んでいる女性

   の踊りはホントに素敵よ。あんなふうに踊ってみたいな。

   同じ曲でこの違い。これがまたイイのよね。一度、ここの踊りを体験したら、

   きっと誰でもヤミツキになると思うわよ。


二人は深夜2時過ぎまで踊り続けたが、さすがに次の日の行動を考えると、4時まで踊

ることは断念。来年も必ず来て、今度は最後まで踊るぞ~。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

姫ネコ・アメリの気まぐれツイート―その4 <屋根の上の戦い>

2013-08-11 21:08:02 | 日記


 飼い主の若夫婦の都合で、久し振りに夫の実家に預けられた私は、狙っていた冒険の

チャンスが訪れたことに興奮していました。でも、老夫婦に悟られると、首輪を付けら

れて、繋がれそうな気配がしたので、しばらくはおとなしくしていることにしました。

この家にいると、ついついダンゴムシやカナヘビそして青大将との戦いが懐かしく思い

出されます。なんとか庭に出るチャンスは来ないかと狙っていたある日のこと、思わぬ

チャンスに恵まれたのです。


お爺さん:お~い、屋根に登って瓦の点検をしてくるよ。退屈そうなアメリを連れて

      行ってみるとするか。屋根は高いから飛び降りて逃げる心配はないだろ

      うよ。マンション生活で学んでいるだろうからね。

お婆さん:気をつけてね。はしごは私がしっかりと押さえておくから大丈夫だけど、

      屋根から滑り落ちたりしないように気を付けてね。

お爺さん:わかった、わかった。心配いらないよ。


 こうして、私はお爺さんに抱かれて屋根に登りました。屋根の上から周りを見回した

とき、なぜかわからないのですが、私はこの高さから眺める景観に、懐かしさを感じた

のです。マンションではベランダにも出させてもらえないので、見えるのは空だけです。

こんなに高い場所から下を見おろしたのは初めてのことでした。


お爺さん:アメリや、ここからの眺めは懐かしく感じるのではないかい?お前に高い

      場所からの眺めを体感させようと思って、連れて来たんだよ。


 お爺さんの意図は理解できないけれど、高い場所にいることがとても居心地良くて、

郷愁のようなものを感じ、なんだか身が軽くなったような気がしたのです。

屋根の上にいるのは初めてなのに違和感もなく、屋根の傾斜も全く気になりません。

ゆったりと歩いている間、今までに感じたことのない高揚感で満たされていました。

屋根の端に着くと、眼下には前回来た時に青大将と戦った庭が見えます。

庭にいた時は「広い!」と感じたのですが、この高さから見ると小さな庭でした。


お爺さん:アメリ、ここにおいで!これからアメリの先祖の話をしてあげよう。

      理解できなくてもよく聞くんだぞ。5,000万年前にミアキスという小型

      の肉食獣がいて、森林で昆虫を食べていたそうだ。

      その中から草原に出て暮らし始めたのがイヌで、そのまま森林で暮らした

      のがアメリの先祖であるネコ族だと言われているんだ。

 ここからの眺めは遠い祖先が森林で暮らしていた記憶を蘇らせてくれるから、気持ち

が落ち着くんじゃないかい?どうだね?

私はお爺さんの手から離れて、もう一度、屋根の上を歩き始めました。そして再び屋根

の端にたどり着き、景色を眺めていた時です。遠くの空から大きくて真っ黒い影が接近

して来たのです。そして鋭い爪が目の前に迫り、私をつかもうとしました。

私はとっさに危険を感じて身を伏せました。危機一髪!身を翻した途端に、私の体は

コロコロと屋根の傾斜にそって転がり始め、このまま転がれば、屋根から落ちて地面に

叩きつけられてしまいます。

私は必死で体を立て直し、すんでのところで踏みとどまりました。私はこの時、初めて

恐怖を感じたのです。おじいさんがなにやら大声で叫んでいます。


お爺さん:大きなカラスだ。アメリ、あぶない!早く戻ってこい。カラスはまた襲って

      来るぞ。急いで戻って来~い。


 自分がすべきことは一刻も早くおじいさんのいる所へたどり着くことだと直感し、

走り出しました。その時、またもカラスが襲ってきたので、私は後ろ足で立って臨戦

態勢をとりました。私の構えに怖気づいたのか、カラスは私の目前で方向転換したの

です。

私はカラスが飛び去って行く姿をしっかりと確認してから、慎重におじいさんのもとへ

戻りました。私は意地っ張りだから、お爺さんには恐怖でこわばった顔など見せられま

せん。でも、正直なところ、しばらくは心臓の高鳴りが收まりませんでした。

この時以来、バサバサという羽音を思い出すたびにビクついてしまいます。私はカラス

という怖い鳥の存在を、この日、初めて知りました。

私の先祖たちも森の中で未知の異生物たちと戦いながら、生き抜いてきたのでしょう。

今回は先祖のことを知り、そのすさまじい生き様の一端を体験することができました。

お爺さんに抱かれて屋根から降りる時、私は少しだけ逞しくなったような気がしていま

した。

この家に来るたびに、いろんな経験をします。最近の私は、飼い主夫婦が旅行に出かけ

る日が待ち遠しくてたまりません。この家に来るチャンスが少ないのが残念です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仲良し3人組とフクロウ博士

2013-08-05 08:44:43 | 日記




仲良し3人組が大急ぎで長老の家に向かっています。長老からの呼び出しは珍しいの

で、どんな用事なのか、興味津々です。


ミミ :何の用かしら!ポン吉さん、聞いている?

ポン吉:いや、聞いていないんだ。「すぐに来なさい」とだけ言われたよ。

コン太:着いてからのお楽しみってことじゃないのかな?

ミミ :さあ、着いたわ。長老、こんにちは!みんな揃って来ましたよ。ご用は何で

     すか?

長老 :おう、待っていたぞ。ワシの大切な友人が久し振りに訪ねてきたから、君た

     ちに紹介しようと思ってな。それでは早速、紹介しよう。

     フクロウ博士、こちらにどうぞ。


 杉の木に止まっていたフクロウがス~ッと飛んできて、長老がいつも座っている丸太

の上に止まりました。頭には四角い帽子をかぶり、メガネをかけて、いかにも物知り博

士といった出で立ちです。


博士 :こんにちは。君たち3人組のことは長老から聞いているよ。君たちの友情の絆は

     とても強いんだってね。すばらしいことだ。

ポン吉:ひゃ~、びっくり!何で、何で、鳥さんなのに僕たちの言葉が話せるの?

コン太:鳥さんたちの話は長老からいっぱい聞いたけど、言葉を話せる鳥がいるなんて

     ことは全く教えてもらってないよ。

長老 :驚いたようだな。以前、君たちは「川の中にカッパがいるのに長老にはなぜ見

     えないの?」とか「雪ダルマが喋った」とか、ワシにはよく理解できない話

     をしていただろ。そこで、今日はワシがみんなを驚かす番じゃ。

     ワシは動物村のことは何でも知っているが、それ以外の世界のことは彼から

     聞いて勉強しているんじゃよ。

博士 :君たちが生まれるずっと前に、私は大怪我をして長老に助けてもらい、しばら

     くの間、この村に滞在したことがあるんだよ。その時に長老から動物村の言

     葉を教えてもらったんだ。それ以来、人間や鳥たちの世界のことを長老に伝

     えるために、時々ここへ来ているというわけさ。

ミミ :はじめまして、私はミミ。鳥さんとお話をするのは初めてだからドキドキして

     ます。

長老 :ミミは相変わらず礼儀正しいな。君たちのカッパの話は今でも信じられんが、

     ここには本人が目の前にいるから疑う余地はないだろ。みんなが知りたいこと

     を聞いてごらん。何でも答えてくれるぞ。

ミミ :何から聞こうかな?そうだ、鳥さんたちも私たちのようにお話ができるのですか?

博士 :できるよ。ただし、鳥の仲間同士だけにしか通じないけどね。

ポン吉:じゃ~、僕も聞くよ!鳥さんたちはいつもどこで暮らしているの?

博士 :この動物村の近くで1年中過ごす仲間もいるが、暖かい所でしか暮らせない鳥

     や寒い所でしか暮らせない鳥は、季節ごとに自分たちにぴったりの場所に

     移動しながら暮らしているんだよ。

ポン吉:鳥さんは自由に空を飛べるから羨ましいね。僕たちも空を飛べるかな?

博士 :それは無理だね。見てごらん、こういう翼がないと飛べないのさ。元はといえ

     ば、この翼は君たちの手にあたる部分だよ。手が空を飛べる翼に変化したんだ。

ミミ :え~っ、本当ですか?信じられない!

コン太:ところで「水の精」っていると思う?どんなものにでも姿を変えられるんだよ。

博士 :そのことは長老からも聞かれたんだけど、噂を耳にしたことはある。

     でも、実際に会ったことがないから、何とも言えないな。だけど、「花の精」

     なら本当にいるよ。私は実際に会ったからね。花が咲いている短い期間の早

     朝だけに現れるんだ。

ミミ :どんな姿なのかしら?私たちも会うことができますか?

博士 :とても小さくて、人間の子供のような姿をしているんだ。運がよければ会えるよ。

ミミ :本当ですか!会えるといいな。

博士 :ここから北の方角に、ネモフィラという青色の小さな花が丘を埋め尽くして咲

     いている場所があるんだ。近くには海があり、天気が良い日は青い空、青い

     ネモフィラの花そして青い海がひとつになって、爽やかなブルーの世界にな

     るんだ。このネモフィラの花の周りでも「花の精」たちが歌ったり、楽器を

     奏でたりしていたよ。

コン太:この村でも花はいっぱい咲くけど、花には全然興味が無いな。

ポン吉:この村に咲く花にも「花の精」は、ちゃんといるの?

博士 :ハッハッハ、もちろんいるさ。出会ったら、あまりの可愛らしさに、花のこと

     がきっと好きになると思うよ。会えるのは早朝だけだよ。それと、花が満開

     になる時期じゃないとダメだからね。

ミミ :ア~、早く「花の精」たちに会ってみたいな~。


 仲良し3人組はこのあと、フクロウ博士から動物村の外の世界について、いっぱい話

を聞きました。ミミは「花の精」のことで頭がいっぱいです。ポン吉とコン太も今まで

見向きもしなかった花に興味がわいてきました。フクロウ博士のお話はどれもこれも

3人組の好奇心をとても刺激したようです。いつの間にか、太陽は西に沈みかけていま

す。3人組は慌てて、長老とフクロウ博士にお別れの挨拶をして、家路に着きました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする