ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:茨城沖の外洋で育つ天然の「スズキ」をご賞味あれ!

2023-10-30 07:06:05 | 日記

 

スズキは一般には夏が旬の魚とされ、梅雨ごろから脂がのって美味しくなります。特に5月~10月

の旬の時期は、まるまると太り脂たっぷりで、特に美味しいです。茨城県沿岸では、スズキの漁獲

量は年によって大きく変動します。その理由は、スズキの漁獲量は、汽水域で成育した稚魚の加入

量に影響されると考えられており、茨城県内では汽水湖である涸沼(ひぬま)が重要な成育場とな

っています。涸沼で多くの稚魚が成長した年は、その後の漁期においても高い漁獲量が期待できま

す。例えば、2016年級群は32億尾と近年で最も多い加入量を示しました。その結果、2018年から

2020年の漁期においても高い漁獲量が記録されました。逆に、稚魚の加入量が少なかった年は、そ

の後の漁期においても低い漁獲量となります。2010年級群は4億尾と近年で最も少ない加入量を示

しました。その結果、2012年から2014年の漁期においても低い漁獲量となりました。以上のこと

から、茨城沖のスズキの漁獲量が多い時期とは、涸沼で多くの稚魚が成育した2~4年後の5月~10月

と言えるでしょう。もちろん、他の要因や地域差もありますが、これは茨城県内の目安となってい

ます。スズキは古事記にも登場する、古くから日本人の食を支えてくれている魚です。

今回は常磐沖の外洋で育つ出世魚「スズキ」を紹介します。

 

<涸沼でのスズキ稚魚の生活史>

涸沼は茨城県の南部にある汽水湖で、スズキの良好な成育場です。スズキは春に海から涸沼に来遊し、

秋まで約5ヶ月間にわたり涸沼内で生活します。スズキ稚魚は、来遊時には全長30mm程度で、主に

イサザアミを摂餌します。6~7月に全長が100mm程度に達すると、イサザアミから魚食性に転換する

個体が現れます。この時期にはイサザアミの現存量が減少する傾向があります。スズキ稚魚は、海に

戻るまでに200mm前後に成長し、河口に滞留します。涸沼のスズキ稚魚の生残率は、放流場所や年度

によって異なりますが、平均して約10%程度と推定されています。涸沼の汽水環境は、スズキ稚魚の

成育場として極めて重要な役割を果たしているのです。

 

<スズキという魚>

スズキという名前の由来には諸説ありますが、「すすいだように身が白い」ことからそう名付けられ

たとされています。実はスズキとは日本近海で見られる3種類の魚の総称なのです。見た目や生息域

に違いがあります。どの種のスズキも体長80cm程度にまで成長します。甲殻類や小魚を捕食する肉

食性の魚で、夏は浅場で生活していますが、冬になると深場に移動します。

(1)マルスズキ

関東でスズキといえばこの魚ですね。北海道南部から九州にかけて広く分布しています。冬に外洋で

産卵および越冬し、春から秋にかけて内湾や河川に侵入するといった大きな規則的な季節性回遊を行

います。浸透圧調整が上手な魚で海と川を行き来することができます。

(2)ヒラスズキ

体高が高いこと、目が大きい事で簡単に見分けることができます。生息範囲は狭く、主に外洋に面し

た地域に生息しています。例えば関東では房総・三浦・伊豆半島が生息地域。沿岸に固執する魚で河

口域に顔を出すことはありますが、川を遡上することはありません。水揚げが極端に少なく、市場に

出回る事はまれです。


(3)外来種・タイリクスズキ

中国からタイリクスズキの種苗(稚魚)を大量に輸入し始めたのは1989年頃のことです。以後、養殖

されているタイリクスズキの逃げ出しや遺棄が多発したことにより、現在では四国や瀬戸内などを中

心に、釣りあげられることがあるほどに定着してしまっています。特徴は体側に黒い斑点があること

です。

 

天然もののスズキは首都圏近郊でも漁獲が多く、とくに東京湾奥の栄養豊富な干潟でたっぷり餌を食

べた、船橋の「幻の瞬〆スズキ」はブランド魚として有名です。

 

<スズキの漁獲量ランキング>

1位は千葉県1,353t、22.9%(船橋市、富津市、習志野市)、2位兵庫県478t、8.1%、(姫路市、淡路市、

神戸市)、3位愛知県425t、7.2%、(南知多町、西尾市、蒲郡市)・・・茨城県は10位以下 (2019年)。

日本のスズキ漁獲量は減少しており、15年前に比し6割ほどにまで減少しています。

 

<実は養殖が盛ん>

天然資源のスズキが減少しているため、養殖が盛んにおこなわれています。養殖されているのは、成長

が早い「タイリクスズキ」です。在来スズキとタイリクスズキは見た目の姿も味も変わらないのですが、

タイリクスズキは体側に「斑点」がありますので識別できます。

養殖は主に海面養殖という方法で育てられます。 海面養殖とは、海上に浮かべたネットやケージに魚を

入れて飼育することです。 海面養殖は水温や水質の変化に強いスズキに適しており、全国各地で行われ

ています。養殖が盛んなのは1位北海道、2位広島県、3位佐賀県です。料理人さんの中には「天然のマ

ルスズキと養殖のタイリクスズキとでは味の差はない。だから、品質が安定している養殖物を使う」と

いう方も多く、養殖物の需要は堅調です。尚、種苗は国内で生産された人工種苗が使われ始めてはいま

すが、大半は中国の東北3省(遼寧、河北、山東)から輸入して養殖しています。

 

<スズキの豆知識>

1.スズキは漢字で書くと「鱸」:魚ヘンに「盧(ならぶ)」で「鱸」と書きます。「盧(ならぶ)」

   とはエラの並び方に特徴があるということに由来します。

2.スズキは、魚の中でもっとも大きなグループであるスズキ目の名を持つ、日本を代表する食用魚

   です。このスズキ目の魚は、なんと約1万種類。魚類の中でも最も進化した種と言われており、

   ヒレやトゲがとても発達しています。特にスズキは最大1m、重さ10㎏以上にもなる大型魚で、

   釣り人の間では「シーバス」という愛称の人気者です。なだらかなシルエット、シャープに伸

   びたヒレ、黒と銀色の美しい容姿から「鯛に次ぐ美魚」と呼ばれる事もあります。

3.スズキは成長するにつれて呼び名が変わる出世魚。関東圏では1歳魚の頃は「セイゴ(25㎝ぐらい)」、

   2~3歳(40㎝ぐらい)で「フッコ」、4歳以上で一番大きくなったものを「スズキ(60㎝以上)」

   と呼びます。ちなみに出世魚とは、成長するに従い呼び名が変わる魚、というだけでは不正解で、

   それに加えて、昔からめでたい席に使われてきた魚を、出世魚と呼ぶそうです。出世魚と呼ばれ

   るのは、このスズキ、ブリ、そしてボラの3種類です。

4.栄養価と効果:

   スズキは高タンパク、低脂肪の典型的な白身魚です。良質なタンパク質には、体力向上、代謝活

   動の促進、免疫力を向上させる働きがあります。脂質は100gあたり4.2gと少な目ですが、高血

   圧を予防したり、LDL(悪玉)コレステロールを低下させる一価不飽和脂肪酸オレイン酸が100g

   あたり620mg含まれます。また、量は多くありませんが、血液サラサラ、抗血栓作用、認知症の

   予防改善効果があるオメガ3系のEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)も

   しっかり含まれています。ビタミン類ではビタミンA(レチノール)とビタミンB6が比較的多く

   含まれます。レチノールには目の健康を支える作用、粘膜や肌の健康を保つ作用、生殖作用の維

   持、免疫力向上、感染症を予防する作用があります。ビタミンB6はアミノ酸代謝の補酵素として

   重要で、健康な皮膚、髪、歯をつくり、免疫機能を正常に保つ働きがあります。ミネラル類では

   カリウムが100gあたり370mgと多く、カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を尿ととも

   に排泄してくれるので、高血圧の予防改善に役立ちます。

5.個人的におススメなのは、産卵期前の冬に水揚げされる最大級の大きさの「腹太(ハラブト)」と呼ば

  れる個体です。この個体は脂乗りが良く、真子や白子も楽しめます。

6.選び方

   全体に身がしまっていてハリがあるもの、エラが鮮やかでうろこが落ちておらず、目が透明なも

   のを選びましょう。尾の付け根がふっくらしているものは味がよいとされています。切り身の場

   合は皮の色が濃く、身にハリがあり血合いの色が鮮やかなものを選びましょう。

7.調理のポイント

   脂肪分が少なく、弾力のある白身は刺身に向いています。中でもスズキの「あらい」ですね。

   「あらい」とは、薄切りにした身を氷水にさらして急速に冷やすことで、身を引き締めてコリ

   コリとした感触を楽しめるようにした刺身のことです。淡白な味わいでさっぱり食べられるた

   め、夏バテで食欲が無いときにもぴったり!また、タラなどの白身魚と同じようにムニエル、

   蒸し物、焼き物と様々な料理にも合います。くせのある香りが苦手な場合は、香草やスパイス

   などを使うとよいでしょう。

8.旬と保存の方法

   旬は6〜8月。夏の白身魚として知られますが、西日本では秋から冬に産卵のためにやってく

   るスズキを「腹太」と呼び、子持ちで脂がのり美味とされています。切り身の場合、保存の際

   は表面の水分を拭き取り、ラップに包んでジッパー付きのビニール袋に入れます。一尾の場合

   は、内臓やエラをとる下処理をしてから同様に保存しましょう。冷蔵で2~3日、冷凍で1ヶ月

   を目安に使い切りましょう。解凍する時は、冷蔵庫で半日ぐらいかけてゆっくりと解凍し、出

   てきた水分は拭き取ってから調理すると調味料のなじみが良くなります。

9.船橋の瞬〆スズキ

   「瞬〆」とは、海光物産が船橋漁港で行っている技の名称で、獲れたばかりのスズキの頭と尾に

   包丁を入れ、尾の部分から背骨にかけて「エアーガン」で空気を入れ、神経を一気に抜き去る技

   法です。包丁を入れて血抜き処理をしたあとに、背骨の中の神経も抜くことで、「全身に血が回

   って鮮度が落ちるのを防ぎ、抜群の食感とうまみを引きだすのです!」とのこと。

10.スズキのエラ洗い

    スズキはルアーに掛かると「エラ洗い」という口を大きく開けて頭を振りながら水面に出ると

    いう行動をする。スズキのエラはカミソリのように鋭く、釣り針を外すときは気をつけろとい

    う意味で使われます。

 

<スズキの味わい>

スズキは透明感のある白身をしていて、淡白ながらも独特の風味があります。火を通しても硬く締まら

ないので、様々な調理法で楽しむことができます。先に述べた通りマルスズキとタイリクスズキは似た

ような味わいをしていますが、ヒラスズキに関しては味と身質に違いがあります。ヒラスズキは同じ白

身でも血合いが少なく、しっかりした歯ごたえを感じられるのが特徴です。また、汽水域にも生息する

マルスズキやタイリクスズキと異なり、ヒラスズキは海水に生息しているため、川魚特有の生臭さがあ

りません。上品な旨味の中に甘みがあり、タイに似た味わいとも言われています。

 

<スズキのさばき方>

シーバス・ゲームを楽しんだら、釣れた個体はぜひ家に持ち帰って調理しましょう。スズキを美味しく

いただくために、まずは綺麗にさばくことが大切です。手順としては初めにウロコを引いて頭を落とし、

尻から包丁を入れたら内臓を取り除きます。次に血合いに切れ目を入れて水で洗い流し、しっかり水気

を拭きます。胸ビレと腹ビレ、カマを切り落としたら、腹から中骨に沿って刃先を入れます。背側も同

様に中骨に沿って切れ目を入れ、尾の付け根を持って片身をはがします。裏面も同じように片身をはが

し、腹骨をすけば3枚おろしの完成です。

 

<スズキの美味しい食べ方>

スズキは夏から秋にかけて旬を迎える白身魚で、淡白な味わいが特徴です。どんな調理法や味付けにも

合うので、さまざまな料理に使えます。例えば、シンプルに塩焼きにしたり、バターで焼いてオレンジ

ソースをかけたり、トマトやバジルと一緒にポワレにしたり、お刺身や炙りにしたりなど、お好みの方

法で楽しめます。

 

<天然スズキの漁法>

日本での好漁場としては東京湾、伊勢湾、瀬戸内海(大阪湾を含む)、有明海(アリアケスズキ)など

の内湾が有名で、漁獲量も多い。しかし、茨城沖には湾はなく、外洋という環境が漁場です。こうした

環境に適しているのが刺し網漁で一番多い。そして、巻き網漁や延縄漁でも漁獲されています。尚、湾

内環境では定置網漁での漁獲量も多いのですが、外洋環境である千葉県から福島県までの茨城県を中心

とした沿岸には定置網は日立港沖に1か所あるだけです。

 

<冬でも脂がのる天然物の茨城県産のスズキ>

茨城県産のスズキは荒波の外洋で育ったスズキだということが最大の特徴です。スズキが本当に高級魚

として輝くのは夏だけ(夏の釣り漁で水揚げされた、生きた状態で流通する魚は高価)なのです。です

から、スズキの旬といえば夏のイメージが強いかもしれません。しかし、茨城産は例外ですよ。イワシ

を始めとした豊富なエサに恵まれるおかげで、夏はもちろん冬でも脂がのっています。茨城県産のスズ

キの出荷は、2.0㎏を超える大きさからです。これも特徴なのです。淡白ながらも、独特のコクがあり、

一度味わうとクセになること間違いなし。刺身はもちろん、すり身やソテーなど和洋中のさまざまな料

理に活躍します。秋でもおいしく、しかも高級魚になる夏よりもうんと安く買えます。この秋の時期だ

からこそ、安くておいしくて、栄養豊富で低カロリーである茨城県産のスズキを見かけたら、ぜひとも

お買い求めください。

 

太平洋という外洋で育った、茨城沖のスズキを是非ご賞味あれ!

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茨城味自慢:地区ごとに「ブランドかぼちゃ」がある、かぼちゃの名産地

2023-10-09 07:27:57 | 日記

日本で栽培されているかぼちゃの種類は、「日本かぼちゃ」「西洋かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」

の3種類ですが、現在では、食生活の洋風化に伴い、甘みが強く、粉質でほくほくした味わいが

ある西洋かぼちゃが生産量の90%以上を占めています。茨城県の主力品種は「えびすかぼちゃ」

と「みやこかぼちゃ」ですが、種類は「西洋かぼちゃ」になります。これらの3種のかぼちゃは

全く異なった種類なので、お互いの間で普通には交雑はしません。しかし、日本かぼちゃと西洋

かぼちゃ、あるいはぺポかぼちゃとの間では、品種の組みあわせによっては雑種ができる場合が

稀にあります。種類間でも交雑があるぐらいですから、各種類の中にある品種間では交雑が起こ

り得ます。ですから、ブランドかぼちゃとして育成し、品質を維持して、継続的に栽培を続ける

ためには、この「交雑」をさせない栽培が品質管理に欠かせません。日本のかぼちゃづくりはこ

れに挑戦し続けています。このため、これはという固定ブランド品種ができたら、慎重に交雑を

避けるように栽培をします。その結果、日本には地域ごとに個性豊かなブランドかぼちゃが誕生

して市場に出回っています。かぼちゃとは地域より狭い、地区の努力の成果が色濃くでている作

物なのです。茨城県内にはこうした努力で生まれたブランドかぼちゃが地区ごとにあります。

今回は茨城県が誇る個性豊かな「地区限定ブランドかぼちゃ」を紹介します。

 

<かぼちゃの種類と品種>

かぼちゃには3種類27品種があります。一般的な緑色のかぼちゃからオレンジ色や黄色のかぼちゃ、

丸いかぼちゃから細長いかぼちゃやひょうたんのようなかぼちゃなど見た目も様々ですが、味や食

感もそれぞれです。種類とその中の品種の一部を記します。

(1)日本かぼちゃ「7品種」:1800年代に西洋かぼちゃが導入されるまでは日本で一般的に食べら

    れていました。ホクホクとした食感の西洋かぼちゃと比べると食感はねっとりしていますが、

    味はあっさりとているのが特徴です。西洋かぼちゃに比べて煮崩れしないものが多いので、

    じっくり煮る煮物などには最適です。

  ①「菊座かぼちゃ」:粘性の強い日本かぼちゃの代表です。最大の特徴はその見た目、横に切っ

     て上から見ると菊のように見えます。

  ②「鶴首かぼちゃ」:名前の通り鶴の首のような見た目のかぼちゃ。古くから愛知県で伝統野菜

     として親しまれています。

  ③「小菊かぼちゃ」:手のひらサイズのかぼちゃ。菊座かぼちゃのように菊に見えることが名前

     の由来となっています。

  ④「黒皮かぼちゃ」:希少価値の高い、日本料理の最高級食材として人気の高い品種です。栽培

     の歴史は古く、民謡にも「日向かぼちゃ」で愛唱されるなど、宮崎県を代表する野菜です。

(2)西洋かぼちゃ「14品種」:強い甘みが特徴です。その甘みは日本のかぼちゃの倍とも言われて

    います。栄養価も高くカロテンなども豊富に含んでいます。食感はホクホクとしたものが多

    い。形もバラエティに富んでいて、小さくて可愛らしいものや細長いかぼちゃ、更にはひょ

    うたんのような形のかぼちゃまで見た目も楽しいものが多いです。

  ①「黒皮栗かぼちゃ」:外見から見た総称。品種としては「みやこかぼちゃ」「えびすかぼちゃ」

    「くりゆたか」「九重栗かぼちゃ」等たくさんあります。特に1980年代にタキイ種苗(株)

    が発表した「えびすかぼちゃ」は、日本のかぼちゃ生産量の9割を占める品種で、茨城県でも

    主力品種です。1kg程度の大きさで横幅のある丸形、果肉は濃黄色で肉質がやや粘着性のある

    粉質でホクホクとしたところが特徴的です。「かぼちゃ=えびすかぼちゃ」と認知されています。

  ②「赤皮栗かぼちゃ」:外見から見た総称。身は赤肉で大きさが1kg前後、皮が薄くて玉ねぎのよ

    うな形をしているのが特徴です。オレンジ色の果肉は食感がややねっとりとしています。石川

    県金沢の加賀野菜である、「打木赤皮甘栗」という品種が有名です。

  ③「坊っちゃんかぼちゃ」:手のひらサイズのかぼちゃ。これでしっかり一人前の大きさです。小

    さいサイズのかぼちゃは、他にもプッチーニやおもちゃかぼちゃ等があります。

  ④「ロロンかぼちゃ」:ラグビー型のユニークな形が特徴的なかぼちゃです。2009年に登場しまし

    た。食感や外見が注目され徐々に人気が高まっています。

  ⑤「長かぼちゃ」:ヘチマのような形状のかぼちゃです。様々な種類があり、飛騨高山の「宿儺南

    瓜」、ナント種苗の「甘龍(かんりゅう)」、松永種苗の「ごっちゃん長かぼちゃ」、石川県能登

    の「弥栄(いやさか)」など豊富な種類があります。

(3)ぺポかぼちゃ「6品種」:ハロウィーンで良く飾られているオレンジ色のかぼちゃが「アトランテ

    ィックジャイアント」です。主に肥料用に栽培されていることが多いです。身をほぐすと糸状に

    なる種類のかぼちゃ「そうめんかぼちゃ」そして「ズッキーニ」もここに入ります。

 

<かぼちゃの生産量>

1.世界のかぼちゃ生産量ランキング

   1位中国838万t(36.6%)、2位ウクライナ135万t(5.9%)、3位ロシア120万t(5.2%)・・・

   日本は27位(17万t)です。(2019年)・・・桁が違います。 

2.国内のかぼちゃ生産量ランキング

  1位が北海道92,300t(49.5%)2位鹿児島7,500t(4.0%)3位長野6,520t(3.5%)・茨城6,510t(3.5%)

  です。(2020年)・・・桁が違うけど茨城県も頑張っています。

 

<かぼちゃの豆知識>

1.交雑かぼちゃはどんなかぼちゃになるのか?:

   カボチャの果実は偽果といって、食べているのは子房をとり巻く花床の肥大した部分です。ですから、

   栽培したかぼちゃが、近くにある異品種のかぼちゃとの間で交雑が起こったとしても大丈夫です。カ

   ボチャの実は付いた花粉の影響を受けません。同じ種内のカボチャならどの品種の花粉が付いたとし

   ても、実るカボチャは変わらず一定です。交雑が困るのは種を次世代用として使えないということで

   す。交雑したかどうかは見た目ではわかりませんから、農家さんは種を毎年、種専門の業者さんから

   購入して栽培をスタートしています。

2.美味しいかぼちゃの選び方:

   かぼちゃの食べごろは、ヘタを見れば分かります。ヘタが完全に枯れて周りが軽く凹んでいれば、完熟

   の証です。また、皮が硬くずっしりと重みのあるものが良いかぼちゃです。半分に切られているものな

   らば、種が大きくふっくらしていて実の部分が厚く濃い黄色のものが完熟した美味しいかぼちゃです。

3.かぼちゃの栄養素:

   かぼちゃは、多くの栄養成分を含む「緑黄色野菜」です。かぼちゃには、皮膚や粘膜などの抵抗力を強

   め、風邪を予防するβ-カロテンが多く含まれています。また、細胞の老化やガンの予防で注目されてい

   るビタミンEとビタミンC・ビタミンB群・食物繊維などが、バランスよく含まれています。かぼちゃの場

   合、これらの成分がでんぷん質に保護されているため、熱を加えても壊れにくいというのが特徴です。

   加熱によって栄養素に変化が起こる食材も多い中、かぼちゃは様々な調理方法で楽しめる食材です。

4.保存方法:

   かぼちゃは皮が分厚いため、長期保存に適した野菜のひとつです。まるごとであれば、3ヶ月程度保存が

   可能です。まるごと保存するには、新聞紙で包み、風通しのよい冷暗所に置きます。切った場合は、種や

   ワタの部分から傷みはじめるため、まずはこれらを取り除きます。切った断面が空気に触れないよう、ラ

   ップでぴったりと包み、野菜室で保存すると、1週間程度は保存できます。

5.かぼちゃを安全に切る技:

   まずは、包丁の刃先を使ってヘタの周りに円を描くように切れ目を入れ、ヘタをくり抜くようにして取り

   除きます。次に、ヘタを取り除いた部分に包丁を入れて手前側半分を切っていく。切れたらかぼちゃを逆

   にして、反対側も切っていくと、かぼちゃが安定して比較的切りやすいです。

6.煮崩れを防ぐ方法:

   えびすかぼちゃは煮崩れしやすいので、弱火でじっくり煮ると表面のデンプン質が固まって煮崩れしにくく

   なり、さらに旨み成分がゆっくり生成されるので、美味しさアップです。砂糖は柔らかくする効果があり、

   カボチャが煮崩れしやすくなるので、実を締めて崩れにくくする効果がある「みりん」で煮るのがおススメ

   です。煮崩れの原因はカボチャのカットされた表面のデンプンが熱せられることで、柔らかくなるからです。

   あらかじめ水に30分程度つけておくと、デンプンが流れるので、煮崩れしにくくなります。栄養分が流れま

   すが、つけておいた水をそのまま使えば大丈夫です。

 

<茨城県の地区ブランドかぼちゃ>

茨城県では古河市/稲敷市/八千代町/那珂市/石岡市/笠間市/つくば市/筑西市/鉾田市/結城市のかぼちゃが市場で高い

評価を得ている逸品です。

1.ブランド力ナンバーワンの「江戸崎かぼちゃ」

  「江戸崎かぼちゃ」は西洋かぼちゃで、品種はえびすかぼちゃです。平成27年に「夕張メロン」、「神戸ビーフ」

  などとともに農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の第1号に登録された本県を代表する野菜です。最大の特

  徴は、一般的なカボチャより長く畑で育てて完熟させていることです。通常は着果から約45日で収穫しますが、江

  戸崎かぼちゃは10日ほど長い約55日後に収穫します。農家の方は「完熟採りですから、花が咲いた後45日目あたり

  から、実に栄養がどんどん持っていかれるのでかぼちゃの木がかなり疲れてくるんです。有機質肥料を使用してい

  る畑の木は根張り(ねばり)がいいので、疲れた状態でもそこからもうひと頑張りしてくれる。有機質肥料を使用して

  いない畑の木は弱りやすく、最後のひと頑張りがききにくいんです。」これが江戸崎かぼちゃがおいしい秘密です。

  元々は収穫時期が過ぎてしまったカボチャを出荷したところ「おいしい」と好評だったことが着想の原点だそうで

  す。現在は、稲敷市の江戸崎地区や牛久市で24人が栽培しています。江戸崎かぼちゃは収穫後も手間がかかりま

  す。水洗いをして乾かし、傷や重さ、形状などからA~C、規格外にランク分けして箱詰めしますし、出荷前には

  専門の検査員が部会内全ての品質検査を行っています。この検査はわずかな傷でランクが下がるほど、1箱1箱厳

  しく検査しています。専門検査員と役員が二重にチェックしており、過剰ともいえる検査体制だからこそ、長年に

  わたって江戸崎かぼちゃのブラントを守ることができているのです。

2.一つる一果、完熟採りの「那珂かぼちゃ」

  JA常陸那珂地区かぼちゃ生産部会(部員数17名)は、茨城県内でも有数のカボチャ産地のひとつで、30年以上前か

  ら栽培が行われています。那珂かぼちゃの栽培は、一般的な多収栽培方法とは異なり、つるを一本仕立てにし、一個

  のみ着果させる「一つる一果の完熟どり」で行われます。この栽培法は収量が少ない反面、一つの実に養分が集中す

  るため、大きくて高品質なカボチャが栽培でき、これが那珂かぼちゃの美味しさの秘訣となっています。那珂かぼち

  ゃも、完熟させてから収穫するためおいしさがギュッとつまっています。少しの塩と砂糖で煮つければ本来のおいし

  さがわかります。出荷時にも厳しい検査が行われ、合格品には金色のシールが那珂市ブランド「那珂かぼちゃ」の証

  として貼られます。色艶に優れた外見に加え、中身は栗のようなホックリとした食感と完熟した強い甘みが特徴的で、

  県内を中心に高値で取引されており、贈答品としても人気があります。さらに那珂市の特産認証品指定も受けており、

  名実ともに那珂市を代表する農産物の一つです。そして、近年はかぼちゃ焼酎などの6次産業化への取り組みや、消

  費拡大に向けたイベントも強化しており、産地の維持発展に向けて精力的に活動しています。

3.受け継がれる100年の歴史「総和みやこかぼちゃ」

  茨城県古河市総和地区のかぼちゃ栽培の歴史はなんと100年近くにのぼります。この地域は稲、大豆、粟の産地とし

  て栄えましたが、後に農閑期対策としてかぼちゃの栽培が始まりました。当時は、「えびすかぼちゃ」を主流に複数

  の品種を栽培していましたが、昭和58年にさらなる食味の良さを求めて「みやこかぼちゃ」に特化した部会が設立さ

  れました。昭和63年には茨城県の青果物銘柄産地に指定、他の産地に栽培方法を指導するなど、県内を代表する産地

  の一つになりました。「総和みやこかぼちゃ」は、繊維が少ない粉質の鮮やかな黄色い肉質のかぼちゃでほくほくと

  した栗のような甘みが特徴です。今日でもそのブランド力は衰えることなく、市場の信頼の厚さはもちろんのこと全

  国に多くのリピーターがおります。部会では味の向上と品質の統一を図るためにJA茨城むつみが指定した有機質肥料

  セットの使用を勧めていますが、独自に土壌改良研究に取り組んでいる意欲的な部員が多くいます。通常は収穫後10

  日~2週間ほど風通しの良い場所に置き、追熟させてから出荷しますが総和みやこかぼちゃは、畑で完熟してから収穫

  するので果肉の色が濃く、実がぎっしりと詰まっていて甘さが強いと評判です。量販店の試食販売でも、余分な味付

  けはせずお客様に素材そのままの味を味わってもらっているそうです。金色のシールが光る甘くてほくほくな総和み

  やこかぼちゃをぜひご賞味ください。

4.ピンクオレンジ色が特徴の「里川かぼちゃ」

  里川カボチャは、常陸太田市の里見地区の里川町で栽培されているピンクオレンジ色が特徴の日本かぼちゃです。標

  高600~800mの高地という環境が生みだす寒暖の差により、非常に甘味のある、舌触りのなめらかなかぼちゃです。

  昔から「里川の土手かぼちゃ」として地域で作られてきましたが、長い歴史の中で様々な品種のかぼちゃと交雑して

  原種が失われつつあったため、平成21年度から里川かぼちゃ研究会(22名)を中心に、里川かぼちゃの品種の復活と

  固定化に取り組んでいます。定植は4~6月、収穫は9~11月下旬頃までです。県内のかぼちゃ産地よりも栽培時期が

  遅く、また里川地域でしか良い食味のかぼちゃが栽培できないため、貴重な存在です。里川かぼちゃは、常陸太田市

  内にある道の駅等の直売所の他、茨城県民の日に県内のイオン店舗で販売されています。また、常陸太田市の認証特

  産品に認定され、常陸太田市のホームページでも購入することができます。購入の際には、料理のレシピが記載され

  ているパンフレットを付ける等、消費者が購入しやすいよう工夫をしています。その他、地元の醸造元で焼酎を作っ

  たり、パウダーに加工したりと、より多くの消費者に里川かぼちゃを知ってもらうため、様々な形での販売を展開し

  ています。

5.甘味が強い早生品種「味平かぼちゃ」

  八郷地区を中心に栽培しているのは「味平(あじへい)」と呼ばれる品種で、昔から一般に親しまれてきた表面の溝

  が浅い粉質の西洋かぼちゃです。班員28名と共に年間約2万5千ケースのかぼちゃを関東の市場へ出荷しています。果

  肉は濃いオレンジ色をしており、特筆すべきはその甘さ。糖度は17度近くになることもあります。一般的なりんごの

  糖度は13度程度なので、どれくらい甘いかが想像できるでしょう。加熱すると栗のような芳醇な香りと上品な甘さが

  楽しめると人気があります。先輩農家から受け継がれてきた「やさとの味」を大切にしながらも常にいいものは柔軟

  に取り入れ吟味を重ねる。そんな自由な発想が、さらなる高品質の「やさとの味」を生み出すことにつながるのでし

  ょう。やさとのかぼちゃは、7月中旬が出荷開始です。お箸でほろほろとほぐれる王道の煮物からポタージュや夏野菜

  のお味噌汁など、食卓を彩る旨味たっぷりのかぼちゃを皆さんもたくさん味わってくださいね。

6.期間限定の日立市特産品「茂宮(もみや)かぼちゃ」

  茂宮かぼちゃは、日立市南部の茂宮地区の特産品です。西洋カボチャの「錦芳香」という品種で、20軒余りの農家

  が栽培しています。甘みが強く、栗のようなホクホクとした食感が特徴です。低農薬栽培とミツバチ交配などで丁寧

  に育てられており、6月下旬から7月下旬にかけてしか収穫できない日立市の特産品です。春先の天候が出来栄えを

  左右するそうです。茂宮かぼちゃのおいしさを最大限楽しむには、早めに食べることと、水と味付けは少なめで煮る

  ことです。栄養と旨みをたっぷりと蓄えていますが、そのぶん、長期保存には向きませんので、おおよそ2週間以内

  には食べきるようにしてください。「茂宮かぼちゃ」は日立市大和田町にある、JA常陸の直売所「旬味満菜館」、

  JA常陸みなみ直売所で販売されるほか、水戸市の市場に出荷されるということです。

 

紹介してきたように茨城県のかぼちゃは完熟出荷が多いです。このため、北海道産と比べると値段が高いです。でも、

それだけの価値があります。

 

かぼちゃの旬の時期は9月~12月です。この時期に是非、茨城県のブランドかぼちゃをご賞味あれ!

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