ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

仲良し3人組とフクロウ博士

2013-08-05 08:44:43 | 日記




仲良し3人組が大急ぎで長老の家に向かっています。長老からの呼び出しは珍しいの

で、どんな用事なのか、興味津々です。


ミミ :何の用かしら!ポン吉さん、聞いている?

ポン吉:いや、聞いていないんだ。「すぐに来なさい」とだけ言われたよ。

コン太:着いてからのお楽しみってことじゃないのかな?

ミミ :さあ、着いたわ。長老、こんにちは!みんな揃って来ましたよ。ご用は何で

     すか?

長老 :おう、待っていたぞ。ワシの大切な友人が久し振りに訪ねてきたから、君た

     ちに紹介しようと思ってな。それでは早速、紹介しよう。

     フクロウ博士、こちらにどうぞ。


 杉の木に止まっていたフクロウがス~ッと飛んできて、長老がいつも座っている丸太

の上に止まりました。頭には四角い帽子をかぶり、メガネをかけて、いかにも物知り博

士といった出で立ちです。


博士 :こんにちは。君たち3人組のことは長老から聞いているよ。君たちの友情の絆は

     とても強いんだってね。すばらしいことだ。

ポン吉:ひゃ~、びっくり!何で、何で、鳥さんなのに僕たちの言葉が話せるの?

コン太:鳥さんたちの話は長老からいっぱい聞いたけど、言葉を話せる鳥がいるなんて

     ことは全く教えてもらってないよ。

長老 :驚いたようだな。以前、君たちは「川の中にカッパがいるのに長老にはなぜ見

     えないの?」とか「雪ダルマが喋った」とか、ワシにはよく理解できない話

     をしていただろ。そこで、今日はワシがみんなを驚かす番じゃ。

     ワシは動物村のことは何でも知っているが、それ以外の世界のことは彼から

     聞いて勉強しているんじゃよ。

博士 :君たちが生まれるずっと前に、私は大怪我をして長老に助けてもらい、しばら

     くの間、この村に滞在したことがあるんだよ。その時に長老から動物村の言

     葉を教えてもらったんだ。それ以来、人間や鳥たちの世界のことを長老に伝

     えるために、時々ここへ来ているというわけさ。

ミミ :はじめまして、私はミミ。鳥さんとお話をするのは初めてだからドキドキして

     ます。

長老 :ミミは相変わらず礼儀正しいな。君たちのカッパの話は今でも信じられんが、

     ここには本人が目の前にいるから疑う余地はないだろ。みんなが知りたいこと

     を聞いてごらん。何でも答えてくれるぞ。

ミミ :何から聞こうかな?そうだ、鳥さんたちも私たちのようにお話ができるのですか?

博士 :できるよ。ただし、鳥の仲間同士だけにしか通じないけどね。

ポン吉:じゃ~、僕も聞くよ!鳥さんたちはいつもどこで暮らしているの?

博士 :この動物村の近くで1年中過ごす仲間もいるが、暖かい所でしか暮らせない鳥

     や寒い所でしか暮らせない鳥は、季節ごとに自分たちにぴったりの場所に

     移動しながら暮らしているんだよ。

ポン吉:鳥さんは自由に空を飛べるから羨ましいね。僕たちも空を飛べるかな?

博士 :それは無理だね。見てごらん、こういう翼がないと飛べないのさ。元はといえ

     ば、この翼は君たちの手にあたる部分だよ。手が空を飛べる翼に変化したんだ。

ミミ :え~っ、本当ですか?信じられない!

コン太:ところで「水の精」っていると思う?どんなものにでも姿を変えられるんだよ。

博士 :そのことは長老からも聞かれたんだけど、噂を耳にしたことはある。

     でも、実際に会ったことがないから、何とも言えないな。だけど、「花の精」

     なら本当にいるよ。私は実際に会ったからね。花が咲いている短い期間の早

     朝だけに現れるんだ。

ミミ :どんな姿なのかしら?私たちも会うことができますか?

博士 :とても小さくて、人間の子供のような姿をしているんだ。運がよければ会えるよ。

ミミ :本当ですか!会えるといいな。

博士 :ここから北の方角に、ネモフィラという青色の小さな花が丘を埋め尽くして咲

     いている場所があるんだ。近くには海があり、天気が良い日は青い空、青い

     ネモフィラの花そして青い海がひとつになって、爽やかなブルーの世界にな

     るんだ。このネモフィラの花の周りでも「花の精」たちが歌ったり、楽器を

     奏でたりしていたよ。

コン太:この村でも花はいっぱい咲くけど、花には全然興味が無いな。

ポン吉:この村に咲く花にも「花の精」は、ちゃんといるの?

博士 :ハッハッハ、もちろんいるさ。出会ったら、あまりの可愛らしさに、花のこと

     がきっと好きになると思うよ。会えるのは早朝だけだよ。それと、花が満開

     になる時期じゃないとダメだからね。

ミミ :ア~、早く「花の精」たちに会ってみたいな~。


 仲良し3人組はこのあと、フクロウ博士から動物村の外の世界について、いっぱい話

を聞きました。ミミは「花の精」のことで頭がいっぱいです。ポン吉とコン太も今まで

見向きもしなかった花に興味がわいてきました。フクロウ博士のお話はどれもこれも

3人組の好奇心をとても刺激したようです。いつの間にか、太陽は西に沈みかけていま

す。3人組は慌てて、長老とフクロウ博士にお別れの挨拶をして、家路に着きました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする