仲良し3人組が大急ぎで長老の家に向かっています。長老からの呼び出しは珍しいの
で、どんな用事なのか、興味津々です。
ミミ :何の用かしら!ポン吉さん、聞いている?
ポン吉:いや、聞いていないんだ。「すぐに来なさい」とだけ言われたよ。
コン太:着いてからのお楽しみってことじゃないのかな?
ミミ :さあ、着いたわ。長老、こんにちは!みんな揃って来ましたよ。ご用は何で
すか?
長老 :おう、待っていたぞ。ワシの大切な友人が久し振りに訪ねてきたから、君た
ちに紹介しようと思ってな。それでは早速、紹介しよう。
フクロウ博士、こちらにどうぞ。
杉の木に止まっていたフクロウがス~ッと飛んできて、長老がいつも座っている丸太
の上に止まりました。頭には四角い帽子をかぶり、メガネをかけて、いかにも物知り博
士といった出で立ちです。
博士 :こんにちは。君たち3人組のことは長老から聞いているよ。君たちの友情の絆は
とても強いんだってね。すばらしいことだ。
ポン吉:ひゃ~、びっくり!何で、何で、鳥さんなのに僕たちの言葉が話せるの?
コン太:鳥さんたちの話は長老からいっぱい聞いたけど、言葉を話せる鳥がいるなんて
ことは全く教えてもらってないよ。
長老 :驚いたようだな。以前、君たちは「川の中にカッパがいるのに長老にはなぜ見
えないの?」とか「雪ダルマが喋った」とか、ワシにはよく理解できない話
をしていただろ。そこで、今日はワシがみんなを驚かす番じゃ。
ワシは動物村のことは何でも知っているが、それ以外の世界のことは彼から
聞いて勉強しているんじゃよ。
博士 :君たちが生まれるずっと前に、私は大怪我をして長老に助けてもらい、しばら
くの間、この村に滞在したことがあるんだよ。その時に長老から動物村の言
葉を教えてもらったんだ。それ以来、人間や鳥たちの世界のことを長老に伝
えるために、時々ここへ来ているというわけさ。
ミミ :はじめまして、私はミミ。鳥さんとお話をするのは初めてだからドキドキして
ます。
長老 :ミミは相変わらず礼儀正しいな。君たちのカッパの話は今でも信じられんが、
ここには本人が目の前にいるから疑う余地はないだろ。みんなが知りたいこと
を聞いてごらん。何でも答えてくれるぞ。
ミミ :何から聞こうかな?そうだ、鳥さんたちも私たちのようにお話ができるのですか?
博士 :できるよ。ただし、鳥の仲間同士だけにしか通じないけどね。
ポン吉:じゃ~、僕も聞くよ!鳥さんたちはいつもどこで暮らしているの?
博士 :この動物村の近くで1年中過ごす仲間もいるが、暖かい所でしか暮らせない鳥
や寒い所でしか暮らせない鳥は、季節ごとに自分たちにぴったりの場所に
移動しながら暮らしているんだよ。
ポン吉:鳥さんは自由に空を飛べるから羨ましいね。僕たちも空を飛べるかな?
博士 :それは無理だね。見てごらん、こういう翼がないと飛べないのさ。元はといえ
ば、この翼は君たちの手にあたる部分だよ。手が空を飛べる翼に変化したんだ。
ミミ :え~っ、本当ですか?信じられない!
コン太:ところで「水の精」っていると思う?どんなものにでも姿を変えられるんだよ。
博士 :そのことは長老からも聞かれたんだけど、噂を耳にしたことはある。
でも、実際に会ったことがないから、何とも言えないな。だけど、「花の精」
なら本当にいるよ。私は実際に会ったからね。花が咲いている短い期間の早
朝だけに現れるんだ。
ミミ :どんな姿なのかしら?私たちも会うことができますか?
博士 :とても小さくて、人間の子供のような姿をしているんだ。運がよければ会えるよ。
ミミ :本当ですか!会えるといいな。
博士 :ここから北の方角に、ネモフィラという青色の小さな花が丘を埋め尽くして咲
いている場所があるんだ。近くには海があり、天気が良い日は青い空、青い
ネモフィラの花そして青い海がひとつになって、爽やかなブルーの世界にな
るんだ。このネモフィラの花の周りでも「花の精」たちが歌ったり、楽器を
奏でたりしていたよ。
コン太:この村でも花はいっぱい咲くけど、花には全然興味が無いな。
ポン吉:この村に咲く花にも「花の精」は、ちゃんといるの?
博士 :ハッハッハ、もちろんいるさ。出会ったら、あまりの可愛らしさに、花のこと
がきっと好きになると思うよ。会えるのは早朝だけだよ。それと、花が満開
になる時期じゃないとダメだからね。
ミミ :ア~、早く「花の精」たちに会ってみたいな~。
仲良し3人組はこのあと、フクロウ博士から動物村の外の世界について、いっぱい話
を聞きました。ミミは「花の精」のことで頭がいっぱいです。ポン吉とコン太も今まで
見向きもしなかった花に興味がわいてきました。フクロウ博士のお話はどれもこれも
3人組の好奇心をとても刺激したようです。いつの間にか、太陽は西に沈みかけていま
す。3人組は慌てて、長老とフクロウ博士にお別れの挨拶をして、家路に着きました。
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