
出演者: ・ウサギのミミ ・キツネのコン太 ・タヌキのポン吉
ミミ :ねぇ~。ポン吉さん。あまり元気がないわね。今度の日曜日にタヌキ村でお祭り が
あるんでしょう。もっと楽しそうな顔してるかと思った。
私、お祭りに行ってもいい?
コン太:僕も、僕も。行ってもいい?
ポン吉:うん。お祭りは誰が来てもいいからおいで。
いろんなお店やお神輿などが出るから楽しいよ。
ミミ :でもポン吉さんは楽しそうじゃないわ。どうしたの?
コン太:本当に嬉しそうな顔をしていないね。心配な事でもあるのかい?
ポン吉:実はお祭りの時に、舞台の上で腹つづみ踊りを踊るんだけど、
失敗しないか心配でしょうがないんだ。
夢の中でも失敗して長老に叱られているんだよ。
ミミ :お稽古はしっかりとやっているんでしょう?
ポン吉:それは毎日長老に教えてもらっているから、稽古では失敗しないけど、
心配なんだ。とっても心配なんだ。
コン太:わかった。ポン吉は自信がないんだ。
ポン吉:違うぞ!稽古では失敗しないから、上手くやる自信はあるんだ。
だけど心配なんだ。こんな時はどうしたらいいのかな。
コン太:きっと、大勢の前に立つことに自信がないんじゃないかな。
ミミ :そうよ。
長老の前だけで、お稽古しているから皆の前で上手くできるか心配なのよ。
ポン吉:どうしたら、自信をもって皆の前に立てるのかな。
ミミ、コン太:最初は僕たち、(私たち)の前で練習してみたらどうかな。
コン太:ハッハッハ。二人で同じことを考えたね。
ポン吉:ありがとう。
今から二人の前で踊ってみるね。でも太鼓の音がないからやりにくいな。
ミミ :ここに太い竹や細い竹の筒があるから、これを束ねて、この木の棒でたたくと
いい音が出るわ。太鼓とは音が違うけどリズムは出せそうよ。
コン太:僕がたたいてあげるよ。太鼓は得意なんだ。
テンテンツクツク、テンテンツクツク・・・・ これでいいかい?
ポン吉:違う。違う。テレツクテンテン、テレツクテンテン・・・・・だよ。
コン太:わかった。それじゃ始めるぞ。ここに線を引くからそちら側が舞台だよ。
ポン吉の腹つづみ踊りの始まり~、始まり~。
ポン吉:よ~し。やるぞ。二人でよく見てね。
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こうしてポン吉はミミとコン太の前でタヌキの腹つづみ踊りをおどり始めました。
テレツクテンテン、テレツクテンテン、テレツク、テレツク、テン、テン、テン・・・
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ミミ :ハッ、ハッハ。おもしろい。ポン吉さんの踊りは最高ね。
もう私、笑いすぎてお腹が痛くなったわ。
コン太:僕もだよ。竹をたたきながら、笑いをこらえるのが大変だった。
ポン吉:本当かい。僕の踊りは笑ってもらうことが大切なんだ。少し自信がついたぞ。
でも二人だけじゃ心配だな。もっと大勢の仲間の前では大丈夫かな。
コン太:お客さんがいっぱいいればいいんだな。
う~ん、そうだ。この間、学校でみんなが作ったカカシがあるじゃないか。
ミミ :わかった。カカシをお客さんにするのね。とってもいい考えだわ。
これから学校にいって、カカシをもってきてここに立てましょう。
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それから、三人は学校に行って、カカシをいっぱい借りてきました。三人のいる小さな
広場はカカシでいっぱいになり、本当のお客さんがいっぱい入っているようでした。
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ポン吉:わ~!大勢のお客さんができた。でも変な顔のお客さんばかりだな。
だけど、大勢いるから本当のお祭りの舞台みたいだ。がんばるぞ!
ミミ :ここで発表すればぜったい自信がつくと思うな。
コン太:さ~あ、始めるぞ。
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テレツクテンテン、テレツクテンテン、テレツク、テレツク、テン、テン、テン・・・
ポン吉は一生懸命タヌキの腹つづみ踊りをおどりました。
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ミミ :さっきよりもっとおもしろかった。お腹が痛いわ。
コン太:僕も面白かった。風が吹いてカカシの服と服がぶつかって音がするから、
まるで会場のお客さんがみんなで拍手しているみたいだね。
ポン吉:僕も同じように感じたよ。自信がついた。もう大丈夫だよ。二人のお陰だ。
ありがとう。
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テレツクテンテン、テレツクテンテン、テレツク、テレツク、テン、テン、テン・・・
お祭りの日は、タヌキ村の鎮守の森からは、楽しそうな音楽と話し声が夜遅くまで続いたそうです。