まろの陽だまりブログ

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芥川賞がつまらない!

2017年02月17日 | 日記

コンビニで「文藝春秋」を買った。
表紙に描かれた真紅のバラの鮮やかさに惹かれて
思わず手に取ってしまったのだが・・・
もちろん目的は「芥川賞受賞作」の発表である。



確か前回の芥川賞受賞作「コンビニ人間」も
バイトの帰り道、コンビニの店頭で買い求めたような気がする。
著者の村田紗耶香さんは作家デビューを果たしながら
今も週に三回、実際にコンビニでアルバイトを続けているという
とてもユニークな方で作品も斬新で面白かった。
作品の主人公・古倉恵子も著者の分身とも言える存在で
大学卒業後も正規の就職はせず
18年間にもわたってコンビニ勤めを続ける風変りな女性の話だった。
そんな彼女の私生活やコンビニの風俗、人間関係などが
イキイキと描かれていてとても好感を持った。

今回の受賞作となった山下澄人氏の「しんせかい」は
脚本家・倉本聰氏が主宰する
北海道の演劇塾「富良野塾」が舞台と聞いて
かなり期待して読んだのだが・・・



結論から言えば、大いに期待外れであった。
俳優志望の主人公スミトが「しんせかい」である演劇塾に飛び込み
仲間との共同生活を通して成長して行く・・・
という話ではあるのだが
どこがいいのか、なにが魅力的なのかサッパリわからなかった。
当然あるはずの演劇仲間との対立や共感も
肝心の内的葛藤すらもないインパクに欠ける作品だった。
北海道の大自然の中に放り込まれた若者が
何に感動し、どんなことに悩みながら自己を獲得していくのか。
それは青春小説の普遍のテーマだと思うのだが
そうした「とっかかり」が何一つなく
しまいには戸惑いを通り越して腹が立って来てしまった。
ネタバレ覚悟で言えば
なんとも「つまらない」小説であった。
後で聞くところでは審査員である作家の村上龍氏も
まったく同じ感想だったと言う。

これは余談なのだが・・・
以前、私の事務所にも富良野塾出身のT君という若者がいた。
正確にはもう若者という年齢ではなかったが
お世話になったテレビ局の重役に頼まれて弟子に採用した。
この彼が何とも茫洋とした性格で
決して悪い人間ではないのだが捉えどころのない
心に響かないタイプの人間だった。
たまりかねて「お前は倉本さんに何を習って来たんだ!」と
思わず声を荒げたこともあった。
この小説を読みながらT君とオーバーラップものがあった。
つまらない人間と言ったら言い過ぎで
彼の良さを見抜けなかったのは自分自身のせいかも知れない。


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