椿散って・・・

ミモザの花盛りに春の到来を思いつつ
公園のツバキ園を覗いてみると
椿の花はいつの間にかもう散りはじめていました。
咲く花あり、散る花もあり・・・
ふと思い出したのはあの名画の屏風絵でした。

山種美術館の至宝「名樹散椿」です。
昭和初期の日本画家・速水御舟による渾身の屏風絵です。
あざやかな金地を背景にした二曲一双の屏風で
様式美の極致とも言うべき写実です。
確か京都の地蔵院の椿の古木を描いたものですが
京都の学生時代に一度だけこの椿を見に行ったことがあって
私にはとりわけ思い出深い名画なんです。
速水御舟は４０歳の若さで夭折した天才画家で
この絵は日本画で初めて重要文化財にも指定されました。
年がら年中ウサギ小屋暮らしで
屏風を飾るような家に住んだことはありませんが
こんな絵が家に一枚あったら
さぞかし我が人生も豊かならんと思ってしまいます。
ミモザも咲いて椿は散って
いよいよ桜の咲く季節だなあと思います。

ミモザの春

仕事帰りの地下鉄の中で
思い立って最寄り駅の手前で降りることにしました。
運動不足解消に一駅歩くといいですよ。
かかりつけの医者にいつもそう言われていたのを
急に思い出したからです。

普段は見慣れない住宅街の歩道を
子供のようにキョロキョロしながら歩いていると
庭先に見えて来たのがほとんどテンコ盛り状態の巨大な花の森。
なんとも目に鮮やかな黄色でもう満開の風情です。
こりゃまたスゴイ眺めだなあ・・・

感心しながら必死で花の名前を思い出していると
これが「ミモザ」だとやっと気づきました。
そうそう、ミモザ、ミモザ、別名が確かアカシアでした。
春の花とは知っていましたが
まだ寒い日も多いのにもうこんなに満開とは・・・
なにやら嬉しくて思わずスキップしてしまいました。

いきなり運動不足解消とは行きませんが
先生の言う通り一駅歩くというのも悪くないなァと
まろの「寄り道散歩」気分でした。