上野編、第2弾。今日はM子さんと トプカプ宮殿至宝展 へ。
オスマン帝国のトルコ、アジア・ヨーロッパ・アフリカの東西そしてシルクロードの交差点ともいえる地域。トプカプ宮殿は、スルタン(王)が居住した私的空間と国政の場を兼ね備えた施設で、莫大な富を示すことで他国を威服させるべく、生活すべてが豪華な装飾に囲まれていたらしい。また世界中の美女が集まったハレムでは、優美な宮廷文化が生まれ、女性たちはスルタンの寵愛を競ったとのこと。 「すごい、素晴らしい!」 で見始めた展覧会は、会場が進むにつれて「綺麗、うっとり!」、そして「1週間でいいからハレムに住みたい」。
金、ルビー、エメラルド、ダイアモンド、水晶の豪華絢爛な誂え品ばかり。260カラットのサファイアはまるでタイルのように大きい。贅沢は言わない、この端っこのかけらでもいいの・・・。今日私のしているダイアの指輪なんて問題にならない大きさ(小ささ?)。現実とかけ離れた世界にうっとり。生まれたときから宝石だらけの揺り籠で寝ていた王子様はどんな方?
こんな展覧会は親しい女友達と行くに限る。外はこの夏いちばんの暑さ、その暑さも吹っ飛ぶ、気分はセレブな私たち。帰り道は優雅に白いレースの日傘をさしながら、話題は今日の夕食のおかず。
オスマン帝国のトルコ、アジア・ヨーロッパ・アフリカの東西そしてシルクロードの交差点ともいえる地域。トプカプ宮殿は、スルタン(王)が居住した私的空間と国政の場を兼ね備えた施設で、莫大な富を示すことで他国を威服させるべく、生活すべてが豪華な装飾に囲まれていたらしい。また世界中の美女が集まったハレムでは、優美な宮廷文化が生まれ、女性たちはスルタンの寵愛を競ったとのこと。 「すごい、素晴らしい!」 で見始めた展覧会は、会場が進むにつれて「綺麗、うっとり!」、そして「1週間でいいからハレムに住みたい」。
金、ルビー、エメラルド、ダイアモンド、水晶の豪華絢爛な誂え品ばかり。260カラットのサファイアはまるでタイルのように大きい。贅沢は言わない、この端っこのかけらでもいいの・・・。今日私のしているダイアの指輪なんて問題にならない大きさ(小ささ?)。現実とかけ離れた世界にうっとり。生まれたときから宝石だらけの揺り籠で寝ていた王子様はどんな方?
こんな展覧会は親しい女友達と行くに限る。外はこの夏いちばんの暑さ、その暑さも吹っ飛ぶ、気分はセレブな私たち。帰り道は優雅に白いレースの日傘をさしながら、話題は今日の夕食のおかず。
しばらく前から背中の痛みに悩まされていた。背部だけではなく胸部も痛いので、もしかしたら内蔵系の悪い病気? と心配になり総合病院を受診。胸の痛みが強調されてしまったのか、<循環器>(心臓)に回された。ドクターと話をしているうちに、心臓は絶対ありえないことを確信。
結局背中の痛みは、筋肉疲労のようなもの。胸もその影響で痛くなっていることがわかった。リハビリテーション科にいるので、PT(理学療法士)たちが対応してくれたが、近所の接骨院に通うことにした。「骨盤がずれているので、足の長さが違います。バランスの悪さが痛みにでている」とショッキングな宣告。そういえば息子を出産するにあたり、<陣痛=腰痛>のドクター発言、「骨盤のずれでしょうね。年齢を重ねたら身体にでますよ」を思い出した。
週2回のマッサージと電気治療で痛みはだいぶ緩和されたが、時々ツーンと痛くなる。自分の身体を楽器に歌っていた声楽、ピアニストとは違うピアノの弾き方を強いられる音楽療法士、座った姿勢で上半身を使うカンテレ(カンテレ奏者エヴァ・アルクラは万年肩こりとか)、私の仕事の大きな三要素がすべて関係している痛みだから弱音ははけない。暑くなりクーラーを入れてからの症状、<冷えは大敵>で背中にタオルを入れたり、冷えたら暑い屋外で体温を戻す。電車も弱冷房(すいててラッキー)、夜はぬるめのお風呂にゆっくりつかる・・・など昨夏までは考えられなかった身体をいたわる生活。そして何より仕事場の本格的なマッサージチェアと、自宅には通販で見つけたマッサージ座椅子、ゆらゆらボーッと気持ちいい。
原因がわからなかった夏の初めは、痛みとの闘い。動けなくて、はじめて体調不良を理由に仕事を休んだ日もあったが、対処法がわかってきたので騙し騙しの毎日。でもそれも治療のおかげで騙しの日が少なくなり、かたまっていた筋肉も少しずつほぐれてきたらしい。外の暑さとクーラーとの駆け引きの中で仕事する、これも音楽療法士の職業病。
結局背中の痛みは、筋肉疲労のようなもの。胸もその影響で痛くなっていることがわかった。リハビリテーション科にいるので、PT(理学療法士)たちが対応してくれたが、近所の接骨院に通うことにした。「骨盤がずれているので、足の長さが違います。バランスの悪さが痛みにでている」とショッキングな宣告。そういえば息子を出産するにあたり、<陣痛=腰痛>のドクター発言、「骨盤のずれでしょうね。年齢を重ねたら身体にでますよ」を思い出した。
週2回のマッサージと電気治療で痛みはだいぶ緩和されたが、時々ツーンと痛くなる。自分の身体を楽器に歌っていた声楽、ピアニストとは違うピアノの弾き方を強いられる音楽療法士、座った姿勢で上半身を使うカンテレ(カンテレ奏者エヴァ・アルクラは万年肩こりとか)、私の仕事の大きな三要素がすべて関係している痛みだから弱音ははけない。暑くなりクーラーを入れてからの症状、<冷えは大敵>で背中にタオルを入れたり、冷えたら暑い屋外で体温を戻す。電車も弱冷房(すいててラッキー)、夜はぬるめのお風呂にゆっくりつかる・・・など昨夏までは考えられなかった身体をいたわる生活。そして何より仕事場の本格的なマッサージチェアと、自宅には通販で見つけたマッサージ座椅子、ゆらゆらボーッと気持ちいい。
原因がわからなかった夏の初めは、痛みとの闘い。動けなくて、はじめて体調不良を理由に仕事を休んだ日もあったが、対処法がわかってきたので騙し騙しの毎日。でもそれも治療のおかげで騙しの日が少なくなり、かたまっていた筋肉も少しずつほぐれてきたらしい。外の暑さとクーラーとの駆け引きの中で仕事する、これも音楽療法士の職業病。
休日は、「ふだん忙しくできないことにたっぷり時間をかける」にしている。
先週金曜日は上野へ。今上野ではみたい展覧会が目白押し。とても1日では見られないから、2~3回に分けることにした。まず1回目のテーマは「和風」。金曜日は夜8時まであいているところが多いので、昼食を食べてゆっくり出かける。
まず東京芸大美術館で 金刀比羅宮書院の美
これがいちばん行きたかった展覧会。西洋絵画展が多い中で、「これぞ日本絵画」というものをみたいとずっと思っていた。丸山応挙の<とら>、伊藤若沖の<花>、岸岱の<白鷺>、どの襖絵も圧巻!
そのまま地下展示室に移動、 歌川広重《名所江戸百景》のすべて
120枚の浮世絵、ひとつひとつをゆっくり見る。江戸の情緒が伝わってくる。
そしてもうひとつ。国立博物館で 京都五山 禅の文化展
午前中、美容室で『家庭画報』を読んでいたら、脳科学者・茂木健一郎が禅僧と対談していた。禅って何? と最近興味がわいていたので、行ってみようかなと立ち寄る。禅を知るきっかけになるかとちょっと期待したが、そうでもなかった。
上野で4時間、日本の美をたっぷり堪能した贅沢な休日。
先週金曜日は上野へ。今上野ではみたい展覧会が目白押し。とても1日では見られないから、2~3回に分けることにした。まず1回目のテーマは「和風」。金曜日は夜8時まであいているところが多いので、昼食を食べてゆっくり出かける。
まず東京芸大美術館で 金刀比羅宮書院の美
これがいちばん行きたかった展覧会。西洋絵画展が多い中で、「これぞ日本絵画」というものをみたいとずっと思っていた。丸山応挙の<とら>、伊藤若沖の<花>、岸岱の<白鷺>、どの襖絵も圧巻!
そのまま地下展示室に移動、 歌川広重《名所江戸百景》のすべて
120枚の浮世絵、ひとつひとつをゆっくり見る。江戸の情緒が伝わってくる。
そしてもうひとつ。国立博物館で 京都五山 禅の文化展
午前中、美容室で『家庭画報』を読んでいたら、脳科学者・茂木健一郎が禅僧と対談していた。禅って何? と最近興味がわいていたので、行ってみようかなと立ち寄る。禅を知るきっかけになるかとちょっと期待したが、そうでもなかった。
上野で4時間、日本の美をたっぷり堪能した贅沢な休日。
秋のフィンランド行き、やっと具体的な日程(仕事の調整)が決まったので、フィンランド航空に電話した。「その日は成田便はキャンセル待ちもお受けできません」 ガーン! うそでしょ?「関空ならおとりできます」に一瞬ひるんだ。2回続けて関空から飛んでいるが、「もう絶対関空経由で行きたくない」と前回(昨年)思った。でも優先順位は何? 出発日を早めてみるがそれも満席、キャンセル待ち不可。とにかく「フィンランドに行きたい」から、出発はどこでもいい。しぶしぶ「それでお願いします」
10日間の予定が、結婚式のご招待を受け1週間になる。関空に降りれば10日も不可能ではないが、帰りは絶対成田。リムジンでまっすぐ帰れるので、これ以上の不便はしたくない。だいたい帰りはフィンランドからの荷物がいっぱいだから、それをひきずって国内線+電車乗り換えはできない。
とりあえず飛行機はとれた。宿泊はフィンランド人宅をあちこち泊まり歩くので、飛行機さえ何とかなればもう安心。早速、友人や家族にメールする。「Tervetuloa!」 今年でフィンランドと出会って30年、フィンランド行きは留学も入れたら、多分20回くらい・・・。秋が楽しみ!
10日間の予定が、結婚式のご招待を受け1週間になる。関空に降りれば10日も不可能ではないが、帰りは絶対成田。リムジンでまっすぐ帰れるので、これ以上の不便はしたくない。だいたい帰りはフィンランドからの荷物がいっぱいだから、それをひきずって国内線+電車乗り換えはできない。
とりあえず飛行機はとれた。宿泊はフィンランド人宅をあちこち泊まり歩くので、飛行機さえ何とかなればもう安心。早速、友人や家族にメールする。「Tervetuloa!」 今年でフィンランドと出会って30年、フィンランド行きは留学も入れたら、多分20回くらい・・・。秋が楽しみ!
友人M家のまな娘・チコちゃんは72歳。
チコちゃんは犬、M家の家族となってもう12年。 わんちゃんおせち はお正月に紹介したが、今日はバースデーケーキ。毎年のお誕生日はYママが焼いている(「わんちゃん・おやつの本」があるというから驚き!)が、今年は古希を記念して、専門家に注文したとのこと。
スポンジをかぼちゃのクリームで飾ってある、美味しそうなケーキ!
<♪Happy Birthday Dear CHIKO-chan>
チコちゃんは犬、M家の家族となってもう12年。 わんちゃんおせち はお正月に紹介したが、今日はバースデーケーキ。毎年のお誕生日はYママが焼いている(「わんちゃん・おやつの本」があるというから驚き!)が、今年は古希を記念して、専門家に注文したとのこと。
スポンジをかぼちゃのクリームで飾ってある、美味しそうなケーキ!
<♪Happy Birthday Dear CHIKO-chan>
今日は8月9日、長崎原爆の日。
今週の音楽療法では、<長崎の鐘> を歌っている。宗教・政治・思想は音楽療法セッションに持ち込まないことにしているが、8月は違う。社会派の私が前面にでて、反戦を声高に語る。誕生日が3日の私は、3の倍数で重なっていく6日・広島原爆の日、9日・長崎原爆の日、15日・敗戦の日(私たちは学校でそう教えられた、終戦の日)に運命的なものを感じている。
入所・一般棟でのセッション。原爆の話をし、最近読んで感動した漫画 『夕凪の街・桜の国』 のこと、はじめて広島の原爆資料館を見学した高校生の頃の衝撃や、長崎の教会に残されていた首の飛ばされたマリア像のこと、とんでもない「原爆投下はしょうがない」発言のこと・・・、平和を願う気持ちを率直に語った。そして最後に <長崎の鐘>。
セッションが終了しゆっくり片付けていたら、Aさんが「先生、今日はありがとうございました」と声かけてくださった。「実は長崎で被爆しているんです。こんなふうに若い世代が覚えてくださり、僕は嬉しい。やはり語り継がなければいけない、平和を伝えなければいけないと思いました。今日ほど <長崎の鐘> に感動したことはありません」。Sさんは法律が専門の大学教授だった方、音楽大好きと聴いていたが、常に後列で淡々と出席されていた。そのSさんが「悲惨な現実です。原爆投下は大変なこと。僕ら学生は工場で働かされて原爆にあった。先生、今度ゆっくり話をしたい」と熱っぽく話された。「是非お願いします!」と私は頭を下げた。
そして午後のセッションでもう一人、「先生、私は広島で被爆したの。原爆手帳を持っているのよ」。そして「私は先生よりずっと年上で先も見えているけど、私より長生きしそうな先生は <長崎の鐘> を歌い続けてネ」とBさん。「しっかり了解。歌い続けるワ」と二人で手を合わせた。
最近は私よりもっともっと若い世代が、原爆を伝えようと活動している。広島・長崎だけではなく全国的に広がっているという。日本が戦争反対であることは、今回の自民党敗北選挙でも明らかになったはず。人の命が失われる戦いの多い世の中、平和を見つめて生きたいと思う。
今年の8月9日は、今までにない経験をした日だった。
今週の音楽療法では、<長崎の鐘> を歌っている。宗教・政治・思想は音楽療法セッションに持ち込まないことにしているが、8月は違う。社会派の私が前面にでて、反戦を声高に語る。誕生日が3日の私は、3の倍数で重なっていく6日・広島原爆の日、9日・長崎原爆の日、15日・敗戦の日(私たちは学校でそう教えられた、終戦の日)に運命的なものを感じている。
入所・一般棟でのセッション。原爆の話をし、最近読んで感動した漫画 『夕凪の街・桜の国』 のこと、はじめて広島の原爆資料館を見学した高校生の頃の衝撃や、長崎の教会に残されていた首の飛ばされたマリア像のこと、とんでもない「原爆投下はしょうがない」発言のこと・・・、平和を願う気持ちを率直に語った。そして最後に <長崎の鐘>。
セッションが終了しゆっくり片付けていたら、Aさんが「先生、今日はありがとうございました」と声かけてくださった。「実は長崎で被爆しているんです。こんなふうに若い世代が覚えてくださり、僕は嬉しい。やはり語り継がなければいけない、平和を伝えなければいけないと思いました。今日ほど <長崎の鐘> に感動したことはありません」。Sさんは法律が専門の大学教授だった方、音楽大好きと聴いていたが、常に後列で淡々と出席されていた。そのSさんが「悲惨な現実です。原爆投下は大変なこと。僕ら学生は工場で働かされて原爆にあった。先生、今度ゆっくり話をしたい」と熱っぽく話された。「是非お願いします!」と私は頭を下げた。
そして午後のセッションでもう一人、「先生、私は広島で被爆したの。原爆手帳を持っているのよ」。そして「私は先生よりずっと年上で先も見えているけど、私より長生きしそうな先生は <長崎の鐘> を歌い続けてネ」とBさん。「しっかり了解。歌い続けるワ」と二人で手を合わせた。
最近は私よりもっともっと若い世代が、原爆を伝えようと活動している。広島・長崎だけではなく全国的に広がっているという。日本が戦争反対であることは、今回の自民党敗北選挙でも明らかになったはず。人の命が失われる戦いの多い世の中、平和を見つめて生きたいと思う。
今年の8月9日は、今までにない経験をした日だった。
先日、神楽坂のカフェでお食事会があり、面白いメニューに魅かれてでかけた。食事メニューの一品は <朗読>、向田邦子の作品をいくつか紹介。ディナー料金だけで、朗読は無料で聴けるという魅力的な会だった。
向田邦子は半年前までほとんど食わず嫌いに近く、読んでいなかった。「絶対面白いよ」と薦められ、<薦められれば、とりあえず断らずに読むことにしている私>は、1冊手にする。そしてあっという間に「ホントに面白い!」。すっかりはまっていたところに、このお食事会のお誘い。ふたつ返事でその日のうちに参加申し込みした。ご一緒したY子ちゃんは向田ファンだから「行く行く。それにしても読んでいないなんて信じがたい」と。M子さんは「私も食わず嫌い。だから行ってみる」。会場では三人三様にお食事と朗読を味わった。
朗読は女優の松永り香さんと山本瑞己さん。
それぞれの個性を生かした読みと声の演技、そして掛け合いも。ちょうど読み始めた本の未読エッセイがあり、引き込まれるように面白かった。遅かったにもかかわらず、帰宅して早速読んでみる。声の現実と私の想像の世界が折り重なって、いつもとは違う読後感。こんな本の読み方もいいなあと思った。
ご当地ワイン、ちょっと甘めの白
向田邦子は半年前までほとんど食わず嫌いに近く、読んでいなかった。「絶対面白いよ」と薦められ、<薦められれば、とりあえず断らずに読むことにしている私>は、1冊手にする。そしてあっという間に「ホントに面白い!」。すっかりはまっていたところに、このお食事会のお誘い。ふたつ返事でその日のうちに参加申し込みした。ご一緒したY子ちゃんは向田ファンだから「行く行く。それにしても読んでいないなんて信じがたい」と。M子さんは「私も食わず嫌い。だから行ってみる」。会場では三人三様にお食事と朗読を味わった。
朗読は女優の松永り香さんと山本瑞己さん。
それぞれの個性を生かした読みと声の演技、そして掛け合いも。ちょうど読み始めた本の未読エッセイがあり、引き込まれるように面白かった。遅かったにもかかわらず、帰宅して早速読んでみる。声の現実と私の想像の世界が折り重なって、いつもとは違う読後感。こんな本の読み方もいいなあと思った。
ご当地ワイン、ちょっと甘めの白
作詞家・阿久悠氏の訃報を聞いたのは先週、仕事帰り。「阿久悠が亡くなった。ひとつの時代の終わりかな」に私は「フーン・・・」と言いながらピザを食べていた。実は阿久悠という作詞家をそんなに意識していなかったので、こんなつれない返事。それに対して「阿久悠はすごい。男なら阿久悠、女なら・・・」と続いたが、隣の席でも「阿久悠が亡くなった」と会話している。そんなにすごい人だったんだ! とピザを美味しいと思いながらはじめて認識。
翌日の音楽療法では、ほとんど受け売りで「作詞家の阿久悠さんが・・・」と始める。平均年齢80歳以上の施設では「まだ若いのにね・・・」。デイケア(通所)では朝の歌、今月の歌に続けて、 <津軽海峡・冬景色> を歌う。冬は身も心もますます寒くなるような歌だが、真夏のいちばん暑い季節に歌うと雰囲気が違う。
それから阿久悠の世界を調べ始めた。かつてクラシック専門の私には知らなすぎる世界。楽譜をコピーし歌ってみる。もちろん音符どおりには歌えるが、何か足りない。結局またカラオケで練習、私は楽譜を追う。楽譜では歌えても、どんな歌いまわしなのか1回は聴いてみないとわからない。いつものように喉が痛くなるほど歌ってもらって、「ありがとう」
そして今日、朝から大小個別訓練・セッションがたくさんある火曜日は《阿久悠・オンパレード》、カラオケ効果抜群で、何曲も歌う。これも「阿久悠だったのね」とつなぎながら、この作詞家の偉大さを実感。ジャンルにこだわらない音楽性と、言葉の豊富さに脱帽しながら、『追悼・阿久悠さん』 の音楽療法の一日だった。
翌日の音楽療法では、ほとんど受け売りで「作詞家の阿久悠さんが・・・」と始める。平均年齢80歳以上の施設では「まだ若いのにね・・・」。デイケア(通所)では朝の歌、今月の歌に続けて、 <津軽海峡・冬景色> を歌う。冬は身も心もますます寒くなるような歌だが、真夏のいちばん暑い季節に歌うと雰囲気が違う。
それから阿久悠の世界を調べ始めた。かつてクラシック専門の私には知らなすぎる世界。楽譜をコピーし歌ってみる。もちろん音符どおりには歌えるが、何か足りない。結局またカラオケで練習、私は楽譜を追う。楽譜では歌えても、どんな歌いまわしなのか1回は聴いてみないとわからない。いつものように喉が痛くなるほど歌ってもらって、「ありがとう」
そして今日、朝から大小個別訓練・セッションがたくさんある火曜日は《阿久悠・オンパレード》、カラオケ効果抜群で、何曲も歌う。これも「阿久悠だったのね」とつなぎながら、この作詞家の偉大さを実感。ジャンルにこだわらない音楽性と、言葉の豊富さに脱帽しながら、『追悼・阿久悠さん』 の音楽療法の一日だった。
老健・デイケア(通所リハ)に週2回通っていた Aさん が、有料老人ホームに入所することになった。決まったのが2週間前、私たちが知ったのが1週間前で、本当にびっくり。いつもすてきな笑顔で人気者のAさん、細身の身体で一生懸命車椅子を自操、リハビリに音楽療法にゲームに・・・何でも積極的に参加され、笑顔でその場を盛り上げてくださった。
いちばんつらかったのはAさんご本人。まさか家庭を離れて施設入所とは考えていなかったようで、私たちは最後の最後まで「さようなら」を言えなかった。最後の<歌の会>では、「ここで覚えたいちばん好きな歌の『一杯のコーヒーから』を歌いたい」とリクエストされた。ピアノを弾きながら、Aさんは私を見守り育ててくださった方であることを実感。帰りの送迎車にそっと駆け寄り、「お元気で!」と歌詞入りメッセージカードをわたした。「先生と出会えて楽しかったよ!」「ありがとう」
今までたくさんのお年寄りとお別れをしてきた。その中でも忘れられない人が何人かいる。「また来週!」と元気よくお見送りした Bさん、翌日急逝。「若いの、頑張れよ」と冗談交じりに応援してくださった方、音響関係の仕事をしていたので、音楽にはうるさかった。研究者の Cさん は、歌の歴史を調べて「まあ、ちょっと読んでみて」とさりげなくメモをくださった方。「またね」とお見送りして、やはりそれが最後だった。
Aさん、Bさん、Cさんと親しかった Dさん が「皆いなくなっちゃったね。淋しいね」とポツリ。「何言ってんの、Dさん。まだまだ~!」といつものようにスタッフに元気にかわされ(励まされ)、皆でAさんの車に手を振った。
いちばんつらかったのはAさんご本人。まさか家庭を離れて施設入所とは考えていなかったようで、私たちは最後の最後まで「さようなら」を言えなかった。最後の<歌の会>では、「ここで覚えたいちばん好きな歌の『一杯のコーヒーから』を歌いたい」とリクエストされた。ピアノを弾きながら、Aさんは私を見守り育ててくださった方であることを実感。帰りの送迎車にそっと駆け寄り、「お元気で!」と歌詞入りメッセージカードをわたした。「先生と出会えて楽しかったよ!」「ありがとう」
今までたくさんのお年寄りとお別れをしてきた。その中でも忘れられない人が何人かいる。「また来週!」と元気よくお見送りした Bさん、翌日急逝。「若いの、頑張れよ」と冗談交じりに応援してくださった方、音響関係の仕事をしていたので、音楽にはうるさかった。研究者の Cさん は、歌の歴史を調べて「まあ、ちょっと読んでみて」とさりげなくメモをくださった方。「またね」とお見送りして、やはりそれが最後だった。
Aさん、Bさん、Cさんと親しかった Dさん が「皆いなくなっちゃったね。淋しいね」とポツリ。「何言ってんの、Dさん。まだまだ~!」といつものようにスタッフに元気にかわされ(励まされ)、皆でAさんの車に手を振った。
♪Happy Birthday to You・・・ Happy Birthday Dear せんせ~い ・・・
と誰かの「サンハイ」の合図で歌が始まった。ウルウルしている私。
そしてお花のプレゼントもいただいた。
「向日葵すきでしょ!」とデイケアのスタッフから。
「いつもケーキと音楽をありがとう」と認知症グループホームから。
移動の車では運転手さんが「先生、お誕生日なんだってね。でも女性っておめでとうって言ってもいいのか、どうか・・・」と気にしてくれる。「ありがとう! 私はすごく嬉しい」
お花のほかに、プレゼントもたくさんいただいた。
赤ワイン、シャンパン、珍しいチーズ、お手製の写真いりメッセージカード、本、アクセサリー、クッキー、フィンランドカラーのスカート(Kさんのはいていたスカートを無理やりいただいた!)、フィンランドのジャム、チョコレート、♪ケータイストラップ、詩、バッグ、グラス・・・。夜景レストランで前夜祭。そしてたくさんのメール。朝一番の電話は両親から、家族は恒例の焼肉で。ありがとう
幸せなお誕生日、新しい1年のはじまりの日。
と誰かの「サンハイ」の合図で歌が始まった。ウルウルしている私。
そしてお花のプレゼントもいただいた。
「向日葵すきでしょ!」とデイケアのスタッフから。
「いつもケーキと音楽をありがとう」と認知症グループホームから。
移動の車では運転手さんが「先生、お誕生日なんだってね。でも女性っておめでとうって言ってもいいのか、どうか・・・」と気にしてくれる。「ありがとう! 私はすごく嬉しい」
お花のほかに、プレゼントもたくさんいただいた。
赤ワイン、シャンパン、珍しいチーズ、お手製の写真いりメッセージカード、本、アクセサリー、クッキー、フィンランドカラーのスカート(Kさんのはいていたスカートを無理やりいただいた!)、フィンランドのジャム、チョコレート、♪ケータイストラップ、詩、バッグ、グラス・・・。夜景レストランで前夜祭。そしてたくさんのメール。朝一番の電話は両親から、家族は恒例の焼肉で。ありがとう
幸せなお誕生日、新しい1年のはじまりの日。
『宮城まり子が選ぶ 吉行淳之介短編集』
初めて吉行淳之介を読んだのは高校1年生、文学青年の従兄に薦められたリストに入っていた。それから吉行文学にはまり、当時手に入る本は全部読んだ。そしてその後も死ぬまで読み続けた、数少ない作家の一人。先週近所の書店の片隅でひっそり孤独にしていた本、<宮城まり子選>に思わず手がでた。
宮城まり子の序文、これがいい。
「ただ、愛しているから、ただ、愛の表現がこれ。この御本、誰が、なんてったって、これ、あなたへの愛のかたまり。」「十三年、たったから、なお愛しています。」いいなァ、こんなふうに言ってみたい、言われてみたい。吉行淳之介も宮城まり子を前提に読むと、とても艶っぽい。ホントに愛がたくさん詰まった、愛のかたまりの本!
初めて吉行淳之介を読んだのは高校1年生、文学青年の従兄に薦められたリストに入っていた。それから吉行文学にはまり、当時手に入る本は全部読んだ。そしてその後も死ぬまで読み続けた、数少ない作家の一人。先週近所の書店の片隅でひっそり孤独にしていた本、<宮城まり子選>に思わず手がでた。
宮城まり子の序文、これがいい。
「ただ、愛しているから、ただ、愛の表現がこれ。この御本、誰が、なんてったって、これ、あなたへの愛のかたまり。」「十三年、たったから、なお愛しています。」いいなァ、こんなふうに言ってみたい、言われてみたい。吉行淳之介も宮城まり子を前提に読むと、とても艶っぽい。ホントに愛がたくさん詰まった、愛のかたまりの本!