こんなにすばらしい展覧会は久しぶり。フィンランドということで贔屓目もあるが、逆に厳しい目も持ち合わせている、フィンランドとのお付き合い35年の私。
青森県立美術館を皮切りに1年かけて全国巡回する「フィンランドのくらしとデザイン」展覧会のオープニングセレモニーに出席した感想、いろいろ(開会前日は写真を撮ってもいいというので、撮りまくり!)。
この展覧会に関わったはじまりはカンテレ。私のカンテレが展示されている。製作者のユッシは、留学時に語学研修で滞在した高校で同じクラス。代々のカンテレ製作者の家系のユッシは数年前に、国民的民族叙事詩『カレワラ』にでてくる原型のカンテレをプレゼントしてくれた。馬の尻尾の毛から作られた弦と木製ペグのカンテレ、ワイナモイネンの奏でる音色はこの世のすべてを酔わせるほどの音楽だった。
カンテレを展示するにあたり、企画の方々はクラスの発表会や体験にもいらしてくださった。
そのお隣に並ぶ、やはり『カレワラ』にでてくる楽器・トゥオヒトルヴィ。白樺の木の皮で作られている。コルネットの原型のひとつといわれている楽器。
最初のコーナーは、『カレワラ』に関する資料がたくさん。そしてガレン=カレラの作品がこんなに日本に来るなんてすごい! 絵画はフィンランドでも有名なものが、門外不出と思われたものまで展示されている。
マリメッコのお部屋。天井から下がったステキな洋服たち。そういえば展覧会の企画に関わった方々もそれぞれのマリメッコで、個性を演出していた。
デザインは器、家具が人気。ひと昔前のアラビア社の食器は、あたたかさが感じられる。どこの家庭にもあるさりげない食器たち。最近はデザインと機能性を求める傾向にあるが、ちょっと前まではスローライフのフィンランド。
そのほかにはムーミンの原画や様々な工芸品、工業製品もある。
レセプションでは、青森あげての北欧イベントが紹介された。協賛のお店から「フィンランドのお味」。美味しそう。あっという間になくなってしまった。
翌日は街中で発見。
そして食べる!
太古の神話の世界から現在進行形まで丁寧に紹介されているフィンランド。研究資料が少ない中でとても苦労されたと伺っている。5年の歳月をかけての展覧会の内容はブラボー! エクセレント! わたし的には、今まで何十回とみていた絵画はフィンランド語と英語、それがはじめて日本語で体験できた。フィンランドを手に取るように体験できる展覧会。日本語と英語で書かれた図録は、展示品の図録にとどまらずフィンランドを扱ったまさに事典。フィンランド関係者には手元におきたい宝物のひとつ。
それはそれは新しい発見の展覧会。何度も足を運びたくなる。フィンランドを身近に感じたいときはここに行こう、そんな展覧会だった。青森はちょっと遠いけど、次の宇都宮(6月~)は東京から気軽に行かれるところ。フィンランド族仲間では、もう合言葉「宇都宮」になっている。
青森→宇都宮→静岡→長崎→神戸の順で、来年3月までの巡回展。是非おでかけください。