Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

音楽療法士のひとりごと-感動のとき

2007-01-20 22:38:59 | 音楽療法
Aさんは60代の女性、病気の後遺症による麻痺と失語症があり、リハビリ目的で老健(介護老人保健施設)一般棟に入所している。週3回ある音楽プログラムのうち、<音楽レクレーション>や<歌の会>にはでてくるが、<集団音楽療法セッション>は拒否が続く。でも私に対する拒否ではないらしいからアプローチは続ける、「無理しない、無理強いしない、あせらない、相手を尊重する」が私のすべての基本。音楽でない時間でも会ったら必ず声をかける、手をふる、にこっと笑うを半年続けた。「待ってるわ」の気持ちをこめて。

今週のセッションでのこと。後ろの柱の影に車椅子のAさんの姿が見える。一生懸命に音楽体操をしている。「動きにくい側もちょっとだけ頑張ってみましょうか」と言った私の指示に、麻痺の手を動かそうとしている。Aさんと目があった、「ヤッター!」

口をあけて声を出していること間違いなし、『冬の星座』を歌っている。結局1時間セッションの最後まで参加。片付けが終わってフロアに戻った私に、最初に声をかけてくれたのがAさん、彼女が唯一もつ「このこの」表現で私に話しかけてきた。「Aさん、私嬉しかったわ」と言ったら、顔と身体いっぱいの笑みでしっかり私の手を握り頷いている。

いちばん嬉しい瞬間、
音楽と人にかかわる仕事の最高に感動するとき。
これがあるからやめられない、
私は音楽療法士。