Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

武満徹を聴く

2007-01-30 22:34:37 | 音楽
『風穴をあける』(谷川俊太郎)を読んでいたら、後半は武満徹のことが書いてあった。ちょうどCDを聴いていたので、このタイミングにびっくり。

<ノヴェンバー・ステップス><鳥は星形の庭におりる>を聴いたのはもうずいぶん前、演奏会場に作曲家ご本人の姿があったころ。音大でいわゆる正統派クラシックを学んだ身には、この音楽が強烈だった。「近代フランス音楽と古い日本の音感がまざったような、複雑そうでシンプル、でも難解」がそのときの第一印象。この音作りはどこにあるのかと興味があり、演奏会にでかけたり本を読んだ。でもやっぱりバッハやモーツアルト、オペラにどっぷり漬かって演奏している私には、もうひとつわからない世界だった。そしてそのまま・・・

お正月休みにCD整理をしていたら武満がでてきた。一生懸命聴いていた頃はLPだったからこれはいつ買ったのか、でも開封してあるから聴いたはずと思いながらかけてみる。楽曲分析も和声進行もすっかり昔のできごとになった今、「なんていいの!」 スーッと入ってくる心地よさ、美しい。ドビューッシーやメシアンを感じるけれどそれだけではない、やはり日本の音感。繊細、自由自在、官能的、光と影、宇宙的・・・色々な形容詞が浮かぶ。私の中から「難解」という印象はなくなっていた。

本を読みながらの帰り道、谷川俊太郎が愛聴版というCD<波の盆>を購入。翌日は<ピアノ作品集>を聴く、演奏はフランスの香りがする藤井一興。透き通る繊細な音で始まる、うっとり。

このCDが終わったとたんに隣の部屋から、ベートーヴェンの交響曲が聴こえてきた。違いすぎる! 縦に聴こえる古典派、それも好き。でも武満の横へ横へと静かに織りなす音楽は新しい発見だった。