GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

A/H1N1インフルエンザ

2009-07-04 23:50:52 | 社会
南部を中心に6月下旬から新型インフルエンザの感染者数が急増し、130名を超えたとのことです。5月に日本に帰った時にマスクを3箱買って持ち帰ったものの自分の風邪が治ってからは使わず仕舞い。たぶん感染者が増えたからと言って連日厚生大臣がTVに登場するようなこともなく大騒ぎにならないからってことでもありそうです。べトナムでも日本で市販されてるような使い捨てマスクは販売されていました。しかし先日航空機を利用した際も空港の国内線では職員も含めマスク姿は皆無でした。

感染症のリスクは新型インフルエンザに限ったものでもなく、相変わらずデング熱患者が増大しています。今年半年で患者数2万5千770名(前年比25.9%増)死者26名に達しています。「基本的に制圧された」と語られる鳥インフルエンザも6月下旬になっても北部Quang Ninh省で数千羽の感染が報告されています。

2000年~2007年のデング熱患者は急増して80年代の4倍になり、さらに毎年増え続けています。気候変動や都市化に伴う劣悪な環境等が原因として指摘されています。80年代と比べると今は蚊取り線香や殺虫剤の販売量も桁違いに増えていますが、デング熱対策にはなっていない様子。

蚊が媒介するデング熱やマラリヤの他にも熱帯気候は疾病のリスクが多いようで、歴史上の度重なる中国の侵略が成功しなかった理由の一つがこの熱帯病だったかも知れません。ナポレオンとヒットラーの侵攻を阻んだロシアの冬と同様に。

コレラや食中毒の記事も依然として多く、これ等伝統的な熱帯病や淡水魚の調理加熱不足による寄生虫やらフグの食中毒に加えて、最近は工場排水等の水源汚染による少数民族居住区での食中毒も報じられてます。ガンに効くとのことでヒキガエルを生で食べて死亡したニュースと共に道で拾った中国製のお菓子を食べて集団食中毒等々近代的知識の欠如によるものから近代化の歪みがもたらすものまで幅広く。

何度か病院に行きましたが、常に外来は超満員。医療体制の不足は今も続くようでホーチミン市に接するメコンデルタのロンアン省では薬剤師(大卒)の数が人口1万人当たり0.1人で全国平均の1.5人を大きく下回る現状だとか。因みに日本の平均は1万人当たり20人を超えています。疾病のバリエーションの豊富さとは対照的な医療体制の貧困を物語るように感じます。




エルニーニョ

2009-07-04 02:08:31 | 天気
ベトナムに来てから「El Nino」という単語を何度も見聞きしましたが、先月の新聞にも今年はエルニーニョ現象発生の可能性が高いとの記事がありました。気象現象がもたらす農業への影響や自然災害が与える打撃が日本と比べれば遥かに多くの人々の生活を脅かすものであるだけに、「傘の心配」よりも異常気象への関心のほうが高いものがあります。

エルニーニョは、貿易風が弱まりペルー沖の海水面温度が上昇して気圧が変化し、世界各地に異常気象をもたらすとのことのようです。異常気象が大雨洪水であったり旱魃だったりするわけですが、日本では概ねエルニーニョの時は冷夏暖冬の傾向があるようです。1993年の日本での稲作の不作・コメ不足、タイ米を急遽輸入して不味い不味いと大騒ぎだったのもエルニーニョの年でした。

既に今年は中国東北部での旱魃による小麦の被害、ペルーの旱魃による大豆・小麦生産の減少が伝えられ、またインドでは雨期入りが遅れて旱魃被害が心配されています。金融危機による世界不況に豚インフルエンザ、更に異常気象の追い討ちを掛けられては堪ったものではありません。穀物価格は昨年の高騰後、下がったとは言え依然として高水準にあり、とりわけ大豆粕は昨年と変わらぬ高さです。などと思いながら日本の気象庁のサイトを開くと「世界の天候」に週や月単位の異常気象分布図が載っていました。

6月下旬のハノイの暑さや昨年のベトナムの雨の多さを確認して納得。日本の気象庁はてっきり日本の天候しか対象としてないと思っていただけに少々嬉しくなりました。昨年は雨が多かったせいで北部の大豆栽培が打撃を受け、元々生産量は多くないのですが、その上に対前年比41%減少して73,800トンの収穫しかありませんでした。大豆の9割以上を輸入している日本ですら23万トンほどの生産量です。