この一滑は絶対無二の一滑なり

シーズン終了。それにしても雪不足で大変なシーズンでしたね!

山足・谷足という考え方

2011-01-18 21:03:58 | スキーの話題一般

少し考えがまとまってきましたので、久しぶりにスキー技術の話をしたいと思います。まずは従来から使われてきた用語から復習しましょう。 下の図は2本のスキーが描くターン弧だと思ってください。

外足・内足 (図1)
ターン弧の外側(内側)にある足を外側(内足)と呼びます。外側と内足は切り替え時に入れ替わることになります。

山回り・谷回り (図2)
ターン弧の中心方向が山側(谷側)方向に向いているとき、山回り(谷回り)と呼びます。四分の一回転毎に山回りと谷回りが入れ替わります。



SAJのスキー教程では数年前から「内足主導」が習得すべき技術目標として強調されました。山回りで外スキーへの角付けを緩め、重心を谷側に移動させる切り替え動作を経て、次の谷回りでの内足スキーの角付けを入れ替えたり回旋を引き出したりする技術です。

しかし、同じ足でありながら切り替えにおいて呼び名が外足から内足へと入れ替わるために、この内足主導という技術は指導の現場で混乱と理解不足を招いてきたと思います。切り替えを主導(リード)する足に着目するのであれば、むしろ図3のように山足と谷足という用語を使う方がより適切ではないでしょうか。

山足・谷足 (図3)
斜面フォールラインに対して山側(谷側)にある足を山足(谷足)と呼ぶ。

この用語を使うと、いわゆる内足主導とは「谷足荷重切り替え」に他ならないことが分かります。すなわち、切り替えで谷側に重心を移動させて谷足に荷重を移しながら谷スキーのインサイド・エッジからアウトサイド・エッジへと角付けを入れ替える技術です。

最近新たにスキー教程に導入された「自然で楽なスキー」、別名「谷回りターン」と呼ばれるものも、内股関節の屈曲や内スキーを切り替え時にフラットに踏むことなどのエッジング方法に違いこそあれ、本質的には谷足荷重切り替えの一種だと思います。したがって「谷回りターン」や「内足主導」ではなく「谷足ターン」あるいは「谷足主導」と呼んだ方が誤解が少ないと思います。

スキー教程に出てくる「パラレルターンは谷回りの連続である」などという、本来の図2の定義からは全く意味不明な概念も、「谷足ターンの連続である」と読み替えれば理解できなくもありません。

以上のように、山足・谷足という用語を用いることによって、これまで混乱を招いてきた技術要素がかなり分かりやすく整理されると思います。

そして谷足主導があるなら、もう一方には山足主導(山足荷重切り替え)という技術が当然あるわけです。この二つの技術の特徴については、いずれまた詳しく解説したいと思っています。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (えび2)
2011-01-19 10:19:51
谷足山足理論。なるほどです。
これだと説明しやすいですね。
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解り易いですね (はらポン)
2011-01-26 08:53:43
毎年言い方が変わる表現は(まるで言葉遊び)、共感を得づらいので、スマシカオさんの山足・谷足って不変的で解り易くて良いと思います。

すばらしい!
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Unknown (スマシカオ)
2011-01-27 23:52:51
えび2さん、はらポンさん
コメントありがとうございました。

とりあえず好評のようでよかったです(笑)。

指導者たるものは、言葉遊びにならないように時代を通じて変わらない技術について語りながら、かつ一つの技術に肩入れしすぎないように、どちらの技術についても理解していなければならないというのが、僕の考えです。

もし僕に技術理解の誤解があったら、遠慮なくご指摘ください。独りよがりにならないように努めて行くつもりです。よろしくお願いします。
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