この一滑は絶対無二の一滑なり

シーズン終了。それにしても雪不足で大変なシーズンでしたね!

スキー指導員検定会@朝里川 サポート記

2013-02-26 21:06:19 | 指導員検定・研修

先週末に朝里川温泉スキー場で行われたスキー指導員検定会を見てきましたので報告します。朝里川スキー場は2度目の訪問。前回は小樽観光も兼ねてのフリースキーでしたが、今回は正指導員検定を受験するクラブ員のサポート役としてやってきました。

到着した日の北海道は大雪。羽田発の飛行機が旭川に変更になるか、または羽田に引き返すかもしれないと脅されてのスタートです。無事に新千歳空港に着いたものの、そこからの小樽行きエアポート列車が大幅な遅延と運休。やっと来た小樽行きは途中の手稲駅で折り返し運転で降ろされてしまい、これは小樽までたどり着けないか?という不安が一瞬頭をよぎりました(汗)。なんとか乗り込んだ各駅列車でやっとこさ小樽に着くことが出来ました。今冬の北海道の大雪は歴史的レベルだそうです。


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(大雪のなか凍えて列車を待つ手稲駅)


ホテルで着替えてゲレンデに出たのが午後1時。その日は受験生の種目練習とビデオ撮りを一通りすることができました。波乱のスタートとなりましたが滑れただけラッキーだったと思います。

二日目の朝に開会式がありました。スノーボード指導員検定会と同時開催であるところが面白いです。登山一成SAJ教育本部長の挨拶では、スキー指導員検定会が初めて開催されたのはなんと昭和14年であり、途中戦争で中断があったものの今シーズンで66年目を数える検定制度であることが紹介されました。へ~、指導員検定ってこんなに歴史のあるものとは知りませんでした。


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(開会式会場にて) 


さて午前中は検定バーンにて最終仕上げのビデオ撮り。時折雪がちらつくもののコンディション良し。午後1時からいよいよ検定実技開始。この日はA単位制動要素(イエローBコース下部)、C単位フリー滑走(イエローAコース半分)、B単位小回り(レッドAコース半分)の順で回りました。各バーンは綺麗に圧雪されており、非常に滑りやすかったです。

三日目も時折雪が降るものの演技の間は日差しが差す好条件。C単位不整地(グリーンAコース)、B単位大回り(レッドAコース全面)、A単位推進要素(イエローBコース下部)の順番で回りました。グリーンコースは朝一に全受験者によるデラ掛けが入りましたのでとても滑りやすい条件でした。

この日で実技検定は終了。晩はチームで小樽市街に繰り出して夕食。美味しい料理とお酒をたらふく頂きました(笑)。


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(検定が終了して滑ったブルーコースからみた小樽市街と日本海)


最終日は9時から閉会式。講評のあとはドキドキの合格発表。A級検定員、スノーボード指導員、そしてスキー指導員の合格者が一人ずつ呼ばれて、壇上で合格認定証を受け取ります。我らが受験生は無事合格! 全種目とも運動要素をしっかり表現してノーミスの完璧な演技でしたので安全圏だとは思っていましたが、結果を知るまではやはり超緊張しました。知り合いの受験生2名も合格して、皆で喜び合いました。また尾瀬岩鞍会場で受験していたクラブ員仲間も正指導員2名、A級検定員1名が全員合格しました。本当におめでとうございます!

最後に朝里川会場の合格率データを掲載します。「自然で楽」なる教程も2年目になって受験生の理解が進んだためかA単位は合格率が高いですね。反面、B単位大回りの合格率が低いのが気になります。やはり上手いだけではダメで「自然で楽」なる運動要素が求められたためと思われます。準指導員検定(およびB級検定)でも同様の傾向になる可能性があるので要チェックですね。

スキー指導員検定会朝里川会場 合格率データ
理論 86.0%
A制動 89.4%
A推進 88.0%
B小回り 87.5%
B大回り 79.4%
C不整地 90.6%
Cフリー 89.1%

合格者 106名/158名中
合格率 67.1% (参考: 尾瀬岩鞍会場 66%)


第2回スキーマスターズ技術選@軽井沢

2013-02-18 21:06:35 | スキー技術選

先週末は軽井沢プリンススキー場で行われたスキーマスターズ技術選に参加してきました。昨シーズンは正指導員検定会直前だったので、検定会向きの滑りを壊さないようにこの大会ではあまりがっつり滑らないようにしたのですが、今シーズンは心置きなく自分の滑りを出すことができます。

軽井沢のバーンは硬くて締まっているのですが、なぜかスピードが乗りません。人工雪の雪質せいか?と思っていたのですが、数日前に降雪があり、それを圧雪したバーンでもやはり板が走りません。浅間山から吹き下ろす逆風のせいもあるかもしれませんが、軽井沢のバーンのスピードの乗らなさ加減は本当に不可解です。

さて大会当日は風も弱まり、綺麗に圧雪されたバーンが用意されました。文字通り言い訳の出来ない絶好のコンディションです(笑)。



(完璧に整地された大会バーン)


1種目目 小回り
今シーズンから取り組んでいる新型小回りで挑戦です。しかし練習段階からどうも乗れてない感じがしていました。上体と下肢の運動がうまくマッチングできなかったことがまず原因の一つ目。二つ目は、新型小回りは板をたわませることで加速してゆくタイプですが、軽井沢の斜面では板を踏むと逆に失速。三つ目の原因は両脚の同調ができず見栄えが悪し。得点は250点といまいち。

2種目目 大回り
こちらも今シーズンから取り組んでいる改良型大回りでチャレンジ。上体をしっかり運動することで板にスピードを乗せることで失速を防ぐ作戦。他の選手よりも大きな弧を描いて滑りましたが、むしろ動きすぎと判定された模様。得点は246点と全く評価されず。ビデオを観ると切替時の運動精度が改善の余地ありでした。

3種目目 フリー滑走
大回りのビデオを見て自分でも動きすぎだと感じたので、今度は少し上体の動きを抑えめにして滑ってみましたが、得点は250点と平凡。

総合成績 クラス10位/全体40位
滑りは着実に進化しているのですが、都マスターズ選でなかなか成果が出ません。滑りの方向性は間違っていないと思うのですが、まだまだ完成度が低く、運動の精度をもっと上げないといけないと実感します。また現在開発中の自分の滑りは板の性能を引き出すダイナミックな滑りなのに対して、マスターズ選の観点はエレガンス。特に軽井沢のような緩斜面では自分の長所が活きないと思います。マスターズ選にアジャストしたエレガントなタイプの滑りを開発する必要性を感じました。

そんなことを感じながら、どうにかして軽井沢の走らないバーンをエレガントに攻略できないかな~と思って他の上手い選手の滑りを見ていたらちょっとひらめきました。大会終了後にそれを試してみたのが下の滑りです。



減速要素の少ないエレガントな滑りですね~(笑)。新型小回りがハイスピード対応のターボ車だとすれば、この滑りは走る性能を活かしながらも消費エネルギーの少ないエコ車とでも呼びましょうか(笑)。見ていた仲間からも「それを本番で出せば良かったのに」と高評価をもらいました(^^;)。

成績はいまいちの軽井沢大会でしたが、来シーズンに向けて明るい材料を見つけて終わることができました。


今シーズンの指導員検定の傾向と対策

2013-02-04 22:16:41 | 指導員検定・研修

先週末は指導員検定受験生のサポート役として、東京都連の第2回養成講習会(養講)の会場である菅平高原に行ってきました。1月に行われた第1回の養講に引き続いての同行です。2回目の養講になると講師たるブロック技術員の間の着眼点もぶれが少なくなり、何を表現するべきか/何をやったらいけないのかが明確になってきます。

自然で楽なスキー(ハイブリッドスキーイング)の教程も今シーズンで2年目となりました。A単位として取り入れられた「谷回りの連続」の制動要素と推進要素の表現内容もかなり明確になってきた感じです。求められる要素は昨シーズンとほとんど同じですが、今シーズンはB単位とC単位にも自然で楽な要素が求められるようになったようです。以下、僕なりの理解をまとめます。

A単位(谷回り連続・制動要素)
両脚の長さが等しいニュートラルポジション→内股関節の屈曲→内スキーのダダ漏れ(谷方向への横ずれ)→山回りで外スキーのズレ(外脚従動)→内股関節を伸展して両脚の長さを揃えて明確なニュートラルを表現、という一連の運動連鎖をプルークスタンスにて明確に表現します。昨シーズンとほぼ同じ運動を行えばよいと思います。

これに加えて、準指班ではスタートの仕方、後ろ寄り(踵)荷重、などが注意点として強調されていました。準指検定は東京都連の検定員で行われるので、これらの注意点は必ず守る必要があります。

A単位(谷回り連続・推進要素)
両脚の長さが等しいニュートラルポジション→内股関節の屈曲→ダダ漏れは不要ですぐにターンに入ってよい→滑走性の良い外スキー→内股関節を伸展して両脚の長さが等しい腰高のニュートラル、という一連の運動連鎖をプルークスタンスにて表現します。昨シーズンと異なり、内股関節の屈曲のあとは長い谷回りを表現する必要はなくなり、すぐにターンに入っても良いようです。

準指班ではスタートの仕方、ワイドスタンスをキープ、前寄り(つま先)荷重、フィニッシュを山回りで終わらせること、などが注意点として強調されていました。

B単位(整地大回り)
昨シーズンからB単位でも「自然で楽」な運動要素を見るという話でしたが、相変わらず「うまけりゃ合格」だった印象がありました。しかし今シーズンは本気で自然で楽なる運動要素を見るということになった模様です。従って求められる運動要素を明確に表現して滑る必要があると思います。イメージとしてはA単位の推進種目をパラレルスタンスで行うという感じで滑れば良いと思います。

ポイントは(1)内股関節の屈曲からターンが始まること、(2)腰高のニュートラルゾーンを通過すること、の2点だと思います。上手さを見せようとして角から角へ切り替えたり、低いポジションでの切替は行わない方が無難の様子です。

B単位(整地小回り)
大回りと同様に、自然で楽な運動要素を見せる必要があります。(1)内股関節の屈曲からターンを始動させ、(2)外スキーで斜面をしっかり削って外脚従動を表現する、の2点が求められていると思います。イメージとしてはA単位の制動種目をパラレルスタンスでリズム良く行うという感じで滑れば良いと思います。

C単位(フリー滑走)
B単位大回り種目と同じ自然で楽な運動要素を見せながら、途中でリズム変化を明確に入れれば良いと思います。

C単位(不整地小回り)
コブ斜面の場合は相変わらず「うまけりゃ受かる」です(^^;)。ズレズレではなくある程度のターン弧を描きながら一定のリズムで落ちてこないとマルが出にくいと思います。ただの荒れた斜面の場合はB単位小回り種目の要領で、内股関節の屈曲で落下を誘発→外スキー従動という運動要素でリズム良く滑ればよいと思います。

D単位(理論)
理論学習のポイントは去年の受験記にまとめてありますのでご参照ください。

自然で楽な運動要素を全ての単位で見るというのが今シーズンの検定ポイント。「BC単位はうまけりゃ受かる」と言われ、スキーヤーとして技能やポテンシャルの高さによって合否が左右しがちだったこれまでと異なり、自然で楽なる運動要素を明確に表現出来れば多少シルエットが悪くても合格点が出る可能性が高くなったと思います。やるべきことを明確に演技すればよくなった分、むしろ対策は立てやすくなったのではないでしょうか。