八王子スキー連盟さんが主催されている丸山貴雄デモの講演会に、今年も参加させて頂きました。昨年参加させて頂いたときにも大変勉強になったので、今年も楽しみにやってきました。
昨年との違いと言えば、丸山デモが4連覇を逃して準優勝で終わったシーズンであったこと、そしてSAJ教程の方向性が大きく変わったことが大きく異なっています。それを踏まえて、丸山デモがどう前年と話を変えてくるかに注目しました。
丸山デモの話を要約します。
1. 勝つためのメンタル力
目標設定 - 短期ではなく長期目標を設定することが望ましい。成績目標(相手に勝つ)は力みを産む→熟達目標(自分に勝つ)を設定
メンタル力 - 身体を鍛える時間は限られているが、メンタル力を鍛える時間は365日。
今後の展望 - マイナス要素(意識、考え)を消すこと。淡々とプロセスをこなすことが大事。
2. 最近のスキー技術とマテリアルの進化
技術が変わってしまったと思わないで欲しい。
スキー技術は進化するが不変であり積み重ねてゆくものである。
日本特有の指導プログラムだったものを、世界と共通化した(←教程の変更について)
← 特にRが大きいスキー板が主流になることへ日本も対応する必要性
ハイブリッドスキーイング=重力を利用(相対的水平面が傾いている)
←→ 新しい指導法では雪面抵抗を利用(斜面に対して体軸が傾いている)
3. 今後のテーマへの展望
リバウンドの活用(板のたわみを次の推進力に活かす)
アンダークロス技術 (リバウンドを利用して頭を支点としたクロスオーバー)
4.3つの運動要素
前後運動 - 外足を後ろから前へ動かすこと
傾き - 外足と内足の上下差。ペダルを踏むように同調して動く
5.丸山デモが考える「技術(指導)の展開案」
外スキーへの加圧 - 二軸運動を理解する(特に内足のたたみと外旋の重要性をたびたび強調)
谷側へ移動する ー 低いポジション、前後動(かかとを意識する)
昨年の講演に比べると、SAJ教程の変更によって制約が外れたためか(^^;)、より外足主導の観点に踏み込んだ表現が多かったです。そしてその内容も、体幹を使うこと、板のたわみを活かすこと、外足を動かすこと、前後動を使うことなど、スキーの性能と身体能力を効率よく活かす滑りに特化した説明になっていたと思います。
(机に座って熱心に体の使い方を説明する丸山デモ)
いちいち納得できる話ばかりでした。昨年は教程に遠慮していたためか、奥歯にものが挟まったような感じで話をされていましたが、今年は丸山選手の考えている本音の技術がストレートに伝わってきました。
そして彼の技術論は僕が目指しているものと本質的に同じであり、自分の方向性が間違っていないことを改めて確認できたことも嬉しかったです。
そしてもう一つ重要な技術要素について説明がありました。それは上体と下肢の運動を連動させて板を走らせるテクニックです。それは昨シーズンから僕が「胴体主導」と呼んでいるものであり、それは彼(に限らずめっちゃ上手いスキーヤー)の強さと安定感の秘訣になっていると常々思っている点です。
この点に関してはまたおいおい解説してゆきたいと思います。