黄色い部屋の謎

2021-07-20 01:30:27 | Book
密室トリックの古典的名作ということで読んでみたが、自分には合わなかった。
登場人物の行動が意味不明で、トリックありきで人物造形をしている。そして、後出しじゃんけんで追加情報がどんどん出る。
ここらへんは、本作だけでなくミステリーあるあるではあるが、良質なミステリーはこれらを不自然に感じさせないようにうまくストーリーが作られているが、本作は肝心のストーリーがつまらないため、トリックの不自然さを感じてしまう。
ただし、本作の書かれた年代を考慮すると、発表当時にリアルタイムで読んだ人にとっては史上初の本格的な密室トリックということで、相当なインパクトがあっただろう。黒澤作品やトールキンが切り開いたメソッドが、そのクオリティの高さゆえに広く使われた結果、オリジナルの作品自体が陳腐化してしまうのと同じく。
そう考えると、クリスティの一連の作品の多くが現代でも面白く読めることはまさに奇跡で、クリスティの凄さが改めてよくわかる。

 
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