謎の独立国家ソマリランド

崩壊国家として知られるソマリアに、ソマリランドと呼ばれる地域（住民は独立国を主張）が存在するという、目からうろこのドキュメント。
普通の人の行かない場所にわざわざ行って、コミュニティに溶け込み、本にするという著者の行動力は素晴らしい。先進国とは全く違った国の形から、まさに国家が形作られる過程を見るようで、非常に面白かった。
ジャンルは違うが福祉の世界をドキュメントした渡辺一史や、この本の著者の高野秀行等、優れたドキュメント作家が、日本にも結構いるんだと感じた。もし彼らが、取材に失敗したり、書いた本が売れなかったりしたら、ただの社会からのはみ出し者とされてしまうのだろうが、彼らのような存在により、知らない世界への扉が開かれて行くのだろう。こういった作品を読むことで、少しでも彼らの手助けになれば、幸いである。

謎の独立国家ソマリランド
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死者の代弁者

エンダーのゲームの続編。バガーとの戦いの3000年後の世界での、人類と新たなる異星人とのコンタクトを描く。
エンダーのゲームでの、エンダーの成長とバガーとの戦いとはうって変わって、異星人により人類が生きたまま解剖され殺されるという事件を通し、全く進化の発展の異なる知的生物とのコミュニケーションという壮大かつ前作とは全く違ったSFでありながら、まぎれもなく前作の続編になっている傑作。

死者の代弁者〈上〉
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キャプテン・アメリカ／ウィンター・ソルジャー

いまいち盛り上がらなかった一作目や、アベンジャーズでの空気のような存在感から一転して、マーベル・ヒーローの映画の中で、アイアンマン３と肩を並べるトップクラスの面白さだった。
味方のヒーローが、キャプテンアメリカ、ブラックウィドウ、ファルコンと、身体能力を活かしたアクションシーンがかっこ良く、ストーリーも骨太で非常に見応えがあった。
恒例の続編を期待させる終わり方もセンスが良く、次回作を期待させる。

みなさん、さようなら

ある事件をきっかけに、小学校卒業後団地から一歩も外に出れなくなった男。
団地の中だけで、勉強、恋愛、就職とエピソードが綴られ、最後にある事件をきっかけに、張られた伏線を回収するエンディングにきれいに収束するストーリーが見事。
主演の濱田岳を始め、波留や倉科カナ、永山絢斗等、若手がうまく演じている。

横道世之介

人のいい大学生「横道世之介」の日常生活を、いい加減な同級生や、お金持ちのお嬢様、ゲイの同級生、不思議な隣人等、各人との交流で描く青春ムービー。
この手のジャンルは苦手なため、つまらなくはないが特別面白いとも感じなかった。

吸血鬼ハンター／アナザー 貴族グレイランサー

バンパイヤハンターDの数千年前、貴族が世界を支配していた時代を舞台に、型破りな貴族グレイランサーと、地球外生命体、人間との三つ巴の戦いを描く。
既にDシリーズがつまらなくなっており、神祖やDよりもキャラが劣る登場人物を出したところで、面白くなるはずもない。今更風呂敷を広げるよりも、貼りまくった伏線を回収したほうが良いのではないか。

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サイレントウォー

インファナル・アフェアのスタッフ作成、アンディ・ラウ主演のスパイ映画。
第二次大戦後の国共内戦時の中国を舞台に、盲目だが聴覚が異常に優れたピアノ調律師が、正体不明の国民党のスパイ「重慶」を捉えるための、暗号傍受の助っ人として雇われ、正体を追い詰めて行く。
聴覚に優れていると何故暗号の傍受に役に立つのかわからず、ストーリーが全体的に良くわからなかった。
映像は美しく雰囲気は良いので、字幕では情報量が落ちているのではないかと思われる。

ファイ 悪魔に育てられた少年

子供の頃に誘拐され、犯人一味に育てられた少年。銃、格闘、運転技術等を仕込まれ、ある日、無理やり、人を撃たされ初めて人を殺してしまう。しかし、自分が誘拐された子供で、育ての親達が残虐な強盗一味だとわかり、怒りの復讐を始める。
すさまじいストーリーに、鬼気迫る戦闘描写、狂気にとりつかれた登場人物を演じる役者達の迫真の演技と、韓国のバイオレンス映画のレベルは、他の国に比べ、頭ひとつ抜けている。

白ゆき姫殺人事件

美人OLが殺され、関係者の証言により、地味な同僚が殺人犯とみなされる。ネットやワイドショーにより、容疑者へのバッシングがエスカレートするが…。
それなりに面白いが、映画でなくテレビの２時間ドラマでもいいのではないか。
井上真央が地味なOL役で、演技は良いと思うが、元の顔立ちが良いため、引き立て役に見えなかったり、ワイドショーやネットの書き込みがステレオタイプ過ぎて、ネットやTVの怖さが伝わってこなかった。

黒い海岸の女王<新訂版コナン全集1>

ヒロイックファンタジーの原点といわれるハワードのコナンをやっと読むことができた。
シュワルツネッガー主演映画により、マッチョな怪力男が暴れまわるイメージがあったが、原作を読むと、まさに古代世界を舞台にした剣と魔法のファンタジーで、グイン・サーガ等後世の作品に与えた影響は計り知れない。
このような作品が1930年代に書かれていたというのは脅威でしかない。翻訳の旨さもあってか、今読んでも、全く古くささを感じず、著者がまさに天才だったことがわかる。

黒い海岸の女王<新訂版コナン全集1> (創元推理文庫)
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