多数決を疑う――社会的選択理論とは何か

2016-07-31 15:23:31 | Book
多数決で決まったから、自分たちで選んだのだから…、と言われると、一見正論で反論しにくいが、学術的な観点から、いかに多数決という意思決定の仕組みに問題があるかが良く分かった。
多数の意見と正しい意見の違いは目から鱗。陪審評決のように、有罪か無罪か判断は、独立した意思決定を持つ人を増やせば増やすほど、正しい結論に導かれるということを数学的に証明し、一方で、多数決での意思決定は選択肢の数によって、本来選ばれるべき結果とは必ずしも一致しない事、場合によっては、最も好まざる選択肢が選ばれることを数学的に証明する。
実社会で最も影響を与える多数決である選挙の仕組みには非常に問題があり、逆に、政治家が選挙で勝つためには、単に政策を考えるだけでなく、選挙戦術は工夫し甲斐があるということでもある。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)
多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)坂井 豊貴

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墓標なき街

2016-07-27 10:40:37 | Book
百舌シリーズ第7弾。
過去の作品に比べると面白くない。物語が全体的に冗長でテンポが悪い。
首筋にアイスピックを刺して殺す、死んだはずの百舌の手口を真似た殺人が起こるというネタはいつものことだが、新百舌の正体がわかるところで続編に続くという構成になっており、全体を半分に圧縮して、きちんと新百舌との決着をつけて一冊とするべきだろう。

墓標なき街
墓標なき街逢坂 剛

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チンギスの陵墓

2016-07-27 10:24:06 | Book
シグマフォース シリーズ 第8弾。

今作は、未だ発掘されていないアッティラとチンギスハンの陵墓と、宇宙のダークエネルギーを合わせたストーリーとなっている。墓のありかを巡る謎解きは面白いが、ダークエネルギー関連のネタは面白くない。いつもながら、なんだかよくわからないまま、最後に世界の危機が救われるが、本作は、わけわからない感が更に増している。

また、前作で、宿敵のギルドが壊滅してしまったため、宝を巡る敵との攻防は魅力に欠ける。そして、いつの間にか、レギュラーメンバーになった、元ギルドのセイチャンがほぼ主役をはっており、作者のセイチャン押しが鮮明となった。

シグマフォース シリーズ8 チンギスの陵墓 上 (竹書房文庫)
シグマフォース シリーズ8 チンギスの陵墓 上 (竹書房文庫)ジェームズ・ロリンズ 桑田 健

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帰ってきたヒトラー

2016-07-15 09:40:06 | Movie
自殺したヒトラーが、何故か現代によみがえる。周りの人々は、ヒトラーそっくりの芸人だと思い込み、TVに出したところ人気爆発。政治ネタのコメディアンとして成功しながら、人々の心をじわじわとつかみ、いつの間にか全体主義の足音が聞こえてくるという、ブラックコメディ。

今までのヒトラー像は「変人かつ極悪人」という描かれ方が多かったが、本作では「変人かつ魅力的、ただし時折残虐さの片鱗をみせる」という描かれ方をしている。
ヒトラーの悪逆行為は、ヒトラー台頭時にはわからなかったのだから、このような描き方をすることで、戦前のドイツ人の感覚を再現するという発想は非常に斬新である。
本作のヒトラーの変人ぶりは、観ているだけで面白いが、いざ演説となると、間のとり方も巧みで迫力満点、難民問題のように皆がタブー視して本音を言えない事柄でも、どうどうと言いたいことをウィットを交えながら鋭く追及し、非常に魅力的である。
残虐性を時折見せることで危うさを醸し出しているが、ちょっとぐらいであれば、許容してしまうのも仕方ないだろうと思わせる。
ヒトラーの「政治家にとって人に話を聞いてもらうことが重要で、そのためにはコメディアンになることは全く問題ない」というセリフは鋭い。民主党の岡田代表の演説などとても聞くに堪えず、安倍総理のユーモアたっぷりで説得力のある巧みな話術の足元にも及ばない。野党は聴衆の心を掴むにはどう話せば良いか、真剣に考えるべきである。

現代によみがえったヒトラーの説得力のある右寄りの発言を終始流しことで、逆に危険性を訴えるという点で、非常によくできた映画である。
こういう映画を作って上映できるという点で、戦後ドイツの懐の深さを感じる。日本で、東条英機や昭和天皇をネタに、こういう映画は作れないだろう。
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インデペンデンス・デイ: リサージェンス

2016-07-15 09:26:52 | Movie
バカバカしいことを情熱をこめてやるエメリッヒのスタイルは好きなのだが、本作では今までの情熱が感じられなかった。
もしかしたら2Dで観たのが失敗で、3Dや4DXで観たら、楽しめたのかもしれない。

エイリアンが襲ってきて、反撃するが失敗し、どん底から再反撃して万々歳という、流れは前作と同じなのだが、本作では前作で襲ってきたエイリアンのテクノロジーを使って地球側が武装するという設定のため、エイリアン側との戦力差がいまいちで、悲壮感がないため、ラストのカタストロフィ感にかける。

しかし、本作に限らず、スターシップトルーパーなり、エンダーのゲームなり、地球人類と異なる発展を遂げたエイリアンは、どれも昆虫型で一匹の女王蜂が全体を支配していて、最終的に不利な状況で、主人公が全体を統制している女王蜂的存在をやっつけると、他の敵は全て戦闘不能で一発逆転というスタイルは、さすがに飽きる。

日本の漫画やゲームなどによくある、敵の四天王的存在を、味方が一人ひとり犠牲になりながら倒し、主人公とラスボスの決戦というパターンの方が、面白さがあるのだが。
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2016-07-07 16:55:57 | Book
アイスランドを舞台にした北欧ミステリー、エーレンデュルシリーズ第三弾。
前2作よりも面白い。この人の作品は一作ごとに面白くなっていく。
ホテルの地下室で発見されたサンタクロースに扮したドアマンの死体。怪しいホテル関係者、クリスマス休暇のために訪れた外国人客、冷淡な遺族。
難点は相変わらず翻訳の言葉遣いに微妙に違和感があることだが、謎解きの面白さとアイスランド特有の暗くどんよりした空気感が伝わってくる。

声アーナルデュル・インドリダソン 柳沢 由実子

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碓氷優佳シリーズ

2016-07-05 13:54:58 | Book
扉は閉ざされたままで探偵デビューした碓氷優佳のシリーズ作品。

今一つ一作目で乗れず、とりあえず続編を読んでみたが、やはり、この作家の世界観というか、ミステリーとしての構成には違和感がある。舞台設定自体は面白いのだが、謎解きの段階で、無理やり感と、ご都合主義的な論理展開が鼻につき、爽快感がない。

面白いと感じる人には面白いのだろうから、結局のところ、波長が合わないということだろう。

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