ベリィ・タルト

2019-08-28 11:41:51 | Book
元ヤクザの芸能事務所社長関永の前に、野良猫のような魅力を持った少女リンが現れる。リンに魅力を感じた関永は、アイドルして売り出すが、ライバルの大手芸能事務所が邪魔をする。

新人のアイドルが事務所の専務の愛人になるとか、芸能界の都市伝説を詰め込んでいるが、正直、あまり面白くなかった。AKBや欅坂のメンバーの方が、本小説に出てくるリンよりも、何倍も努力しているだろうと思う。容姿や身体能力、想像力などに天賦の才に恵まれた人たちが、幼少の頃から死ぬほどの努力をして競い合っている世界で、愛人になったぐらいで売れるほど、エンタメの世界は甘くないと思う。

ベリィ・タルト (文春文庫)
ヒキタ クニオ
文藝春秋
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緑衣のメトセラ

2019-08-27 11:53:11 | Book
癌による死亡率が高いと噂の高級老人ホーム「メトセラ」。フリーライターの小暮アキは、隣接する不破病院で働く、幼馴染の千足が不審な死を迎えたことから、その謎を探るために、ボランティアスタッフとして潜入する。
そこでアキが見たのは、人類の未来を変える「実験」だった。

人工的に作られた「バイオニック・リーフ」を物語に絡めるなど、テーマは面白いのだが、物語をほっぽり投げるような終盤に疑問を感じる。

他の作品もそうだったが、この作家は、プロットや終着点をきちんと作らずに、物語を書き始めて、流れに任せるタイプなのだろうか。

途中で連載を打ち切られた漫画作品を読んだような印象だった。

緑衣のメトセラ
緑衣のメトセラ
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福田 和代
集英社
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ブラックナイト

2019-08-23 17:18:16 | Book
経営不振に陥った住宅建築メーカーを立て直すため、左遷せれていた元役員が社長として呼び戻される。経営不振の影には、乗っ取りを図る黒幕がいた。

上司に楯突いて飛ばされた曲者社員たちが、一人、また、一人と集まって、会社を立て直していく過程が面白い!

社長秘書が一番主役に違いポジジョンにいるが、群像劇として描かれているため、社長のキャラが薄いのが玉に瑕。ここまで凄腕の人間が、いくら、創業者と気が合わないからといって飛ばされるのが不自然なので、社長の過去のエピソードがあれば、もっと、感情移入できたのではないかと思う。

ドラマ向きの話なので、ぜひ、肉付けして、映像化して欲しい。

ブラックナイト (光文社文庫)
建倉 圭介
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梟の一族

2019-08-21 01:56:31 | Book
常人を超える運動神経を持ち睡眠を必要としない梟の一族。
忍者の末裔と言われる梟が住む里が襲撃され、史奈以外の里のものがさらわれる。
ただ一人残った史奈は、里の住民を取り戻すため、梟の力を使い戦いを挑む。

現代の忍者ものとしての設定は面白いのだが、いかんせん、ストーリーが全然面白くない。常人を超える力を持っているという設定が生かされず、アクションシーンがほとんどない。里を襲った集団も正体がわかる中盤以降緊張感がなくなり、結局、梟の隠された歴史も明かされず、終盤はグダグダになる。

もともと連載だったようで、設定と出だしだけ作って書き始め、ストーリーを収束することができなかったのだろう。設定だけ残して、ゼロベースでリブートすれば、面白くできそうではある。

梟の一族 (集英社文芸単行本)
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こどもの城殺人事件

2019-08-19 21:42:52 | Book
こどもの城跡地で、名門学校の男子高校生が柳刃包丁で刺され死亡する。
同じく、柳刃包丁で殺されたヤクザの死体が発見される。はたして、この事件のつながりは?

最初にプロットを考えたあとに、ストーリーを肉付けしたのだろうなという作品だった。ミステリーとしては、後出しジャンケン的な謎解きのため、どのように楽しむべき作品なのか、位置づけが良くわからなかった。

こどもの城殺人事件 (角川文庫)
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西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

2019-08-16 16:46:58 | Book
個々の国民の利益と国益は両立できるのか。

戦前の日本では、国体護持のため、一億総玉砕しろと言われていた。国民がみな死んでも守る国益とは何なのか。
現在のヨーロッパでは、国益を維持するために大量の移民を迎え、元から住んでいた住民の生活が破壊されている。にもかかわらず、国益を守るためには移民が必要であるという。ここで言う国益とはなにか。

人間の細胞は日々入れ替わっている。個々の細胞が死ぬことにより、人の体は健康に保たれている。つまり、全体の利益のために個が犠牲になっている。

現在の歪んだ世界情勢は、間違いなく西洋が作り出したもので、移民により西洋が今までとは違った形の社会になれば、西洋だけでなく世界そのものも、また、形が変わるだろう。それが、今よりよくなるのか、それとも、悪くなるか、それはわからない。

従来は、西洋の国家体制、文化モデルが、最も優れたものとして誰も疑わなかったわけだが、中国やインド、中東の台頭によって、多元的になるのは間違いない。

皆が絶賛するシンガポールも独裁国家なわけで、(一見)人に優しい独裁国家が、今後の主流になるのかもしれない。

また、なんだかんだで、根幹にある人口減少の問題が移民政策の一番の要因なわけで、ヨーロッパではそれを移民によって保管したため経済成長が続いたが、それを放置した日本は経済成長が完全にストップしているので、移民政策を変えられる(=制限する)かどうかは、これから日本経済がどうなるか次第なのではないかと思った。

日本が少子化にもかかわらず経済がクラッシュすることなく社会が維持できれば、他の国も真似できるだろうし、どこかの時点で破綻すれば、出生率が上がらない限り、やはり、移民に頼るしか他に選択肢がない、ということになるだろう。


本作は、内容は興味深いのだが、文章が冗長で同じことを何度も繰り返し書いたり、自己陶酔の文学的表現など、とにかく読みにくかった。ここらへんが、いかにも、西洋人が書いた文章という感じだった。


西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム
東洋経済新報社 (2018-12-14)
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シグマフォースシリーズ12 スミソニアンの王冠

2019-08-11 10:05:37 | Book
ハワイで古代より蘇ったスズメバチに襲われたグレイとセイチャン。体内に卵を産み付けられたセイチャンを救うため、スミソニアンの創設者ジェームズ・スミソンの謎を探り、大日本帝国の再興を狙う伊藤隆志に立ち向かう。

ストーリー的には今一つだが、太古のスズメバチの習性(あくまでも作者の想像)が面白い。


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2019-08-07 13:02:21 | Movie
「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれたディック・チェイニーを描いた作品。自伝ではない。
まさに、政治家の中の政治家という感じで、自ら及びアメリカ国家の利権獲得に尋常でない欲望を見せる。一方で、結局、この人は何がしたかったのか、という素朴な疑問がある。
権力欲の強い人は生まれつき強いのだろうから、理由も何もなく本能に従って生きていただけなのかもしれない。
相続税を死亡税と呼ぶことで、下層階級の大衆に金持ちが得をする相続税の廃止を支持させるなど、メディアの使い方が非常にたくみなところは、非正規社員の若者に、派遣の自由化を支持させることに成功した小泉政権と同じで、参考となる。
国民がいかにバカかということを理解している人が、政治家として成功するのだろう。
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