TENET テネット

2020-09-30 18:53:12 | Movie
やはり、タイムパラドックスものは難しい。
過去を変えているのか、いないのかが、本作はとてもわかりにくい。本作のコンセプトではあくまでも時間軸を逆行するだけで変えられないはずだが、実際には変えている。そうすると、未来人云々はどうでもいいことになってしまう。
シナリオを複雑にしすぎて、いろいろ破綻しているように感じた。

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究

2020-09-24 18:12:54 | Book
内容以前に文章が酷い、酷すぎる。同じ論旨をくどくどと繰り返し、結論がなかなか出ない、わざわざ難しい言葉を使う、突然専門用語が出てくるなど、皮肉にも本書そのものが、「失敗の本質」を具現化している。

本書で述べる日本軍の問題点は、
・意思決定の曖昧さ(目標の曖昧さ、責任の曖昧さ、言葉の曖昧さを含む)
・極度の精神主義・楽観主義による、敵戦力の過小評価と兵站の欠如
・過去の成功体験に固執しイノベーションの否定(大艦巨砲主義と航空戦力の過小評価、戦車などの火器兵器を軽視した白兵銃剣主義など)
である。

そして、なぜこのような問題が起きたかを、
・兵学校の教育プロセス
・軍の人事評価
・陸海軍が持っている組織文化
に原因を求めている。

たったこれだけのことを、なぜ論旨を明確に述べることができないのか。

本書は、まるで理解できないのは読者が悪いとでも言うべく、理解されようとする意思が皆無であり、コミュニケーションの本質に欠けている。それが、日本軍の失敗の本質だけでなく、日本のエリート層が持つ独善的エリート思考(わかる奴だけわかればいい)の特徴であり、旧日本軍及び現在の日本の官僚組織や、企業の本社部門が抱える問題点であろう。

欧米のCEOのプレゼン(伝説的なジョブスのプレゼン)に代表されるコミュニケーション能力との雲泥の差には、絶望しか感じない。

軍隊を含めた組織の優劣を決める最大のポイントは「コミュニケーション」であり、均質文化で育つ日本人にとって最も苦手とする課題なのであろう。

 
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モーパッサン短編集

2020-09-18 12:05:24 | Book
面白い話がいくつかあるが、さすがに現代の小説のレベルと比べてしまうと、古さは否めない。昔の特撮やアニメを見ているような感覚であろうか。

童話のシンデレラが、人手を経ることで、もともとは貧しい家の少女が王子に見初められるだけの話から、かぼちゃの馬車やガラスの靴などが後に加わって面白くなったように、モーパッサンの作品もエッセンスを取り出してリメイクすればずっと面白くなるのだろう。

神話や昔話が、今で言う著作権フリーで、無数の人手が加わることで完成度の高い物語となったのに対し、近代文学は著作権が守られることで、作家という職業が成り立つことと引き換えに、後世の作家が先人の作品に手を加えることが出来なくなることで、失ったものもあるのだろう。


 
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白銀の墟 玄の月

2020-09-14 18:43:07 | Book
これだけの情報量の作品を書きあげた著者の力量には感服するが、残念ながら物語そのものの面白さはどこかに消えてしまい、読むのがとにかく苦痛だった。

十二国記の初期の作品はストーリーの展開がとても面白く、次には何が起こるのだろう、次の展開はどうなるのだろうと読むのが本当に楽しみだった。

しかし、本作は、驍宗の行方や、ラストの展開が多分そうなのだろうと読んでいる途中で思ったとおりの展開で全く驚きがない。そして、そこに至るまでがひたすら長い。やたらたくさんの登場人物が次から次へと出てくるが、設定集を読まされているようでひたすら苦痛。そして、無駄に長いにもかかわらずラストが中途半端に終わり、伏線が回収出来ずと、なんでこんな構成にしたのか疑問が残る。

ひとえにこれは、著者が大作家になってしまい、編集がダメ出しをできなくなったことに原因があるのではないか。

文章を徹底的に削って、1から3巻をまとめた上巻で驍宗の消息に決着をつけ、4巻を加筆修正の上で下巻とし、上下2巻の作品とすれば戴国の完結編として気持ちよく読むことができたと思う。

可愛さ余って憎さ百倍という諺があるが、期待値が大きかった分、落胆もまた大きかった。

 
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2分の1の魔法

2020-09-14 16:28:58 | Movie
安心のピクサー。うざい兄貴と弱気の弟の冒険物語。

ピクサー史に残る名作とは思わないが、このクオリティのものを毎年作り続ける力量には脱帽する。いちおう、主人公は弟の魔法使いだが、自分よりも才能のある弟を持ってしまった出来の悪い兄の物語としてみると、なかなか切ないストーリーだなとも思った。

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三体

2020-09-08 11:49:08 | Book
普通に面白いが、ヒューゴー賞受賞というほどではないと感じた。

すでにネタバレが多数投稿されているが、ファーストコンタクトものとして見た場合、ロゼッタストーンにあたるものが存在しないにも関わらず、相互コミュニケーションできてしまうあたりで、これはハードSFではなく、あくまでもスター・ウォーズ的なエンタメSFであり、エンタメSFとして読むと、はたして絶賛するほど面白いだろうかという疑問がある。

投稿サイトの素人作品のレベルと比べて秀でているとは思えず、ある程度の水準の作品の中から、著名な賞を受賞したり、爆発的にヒットするか否かは、本当に運次第なのだなということが良く分かる。

 
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脂肪の塊/ロンドリ姉妹

2020-09-02 14:28:35 | Book
表題作の『脂肪の塊』は初めて読んだが評判通りの面白さ。
しかし、邦題は良くない。娼婦の渾名なのだから、直訳でなく意訳をすべきだろう。原題がフランス人にとって、悪意のある言葉なのか、おデブちゃんぐらいの意味なのか、それによって印象は随分と異なる。この邦題では、侮蔑の塊の意味しか含まれないだろう。

その他の短編は、正直面白くない。


 
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