わたしは、ダニエル・ブレイク

2017-04-27 10:21:13 | Movie
イギリスの福祉制度の矛盾を描いた作品。
言いたいことはわかるのだが、いまひとつ釈然としない。
お役所仕事のたらいまわしや、IT化によるデジタルデバイドの問題はわかるのだが、周りの反対を押し切ってシングルマザーとなるヒロインや、隣人に助けを求めない主人公など、自ら不幸に向かって突き進んでいるとしか思えない。
結局のところ、高福祉政策を進めれば進めるほど、お役所仕事や制度の矛盾は絶対量として増えるわけで、それを効率化しようとIT化すると更に問題が増えるという悪循環に陥っている。
理想としては、福祉政策に頼らなくとも、それなりに余裕のある生活ができる仕事がたくさんあるという状況が自由経済の下で実現することなのだろうが、そんなことはあり得るのだろうか。
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イップ・マン 継承

2017-04-27 10:02:55 | Movie
同門同士の戦いという、北斗の拳や修羅の門のような少年漫画的なシチュエーションなのだが、いまいち燃えない。アクションシーンは、歴代のカンフー映画の中でも図抜けてすごいのだが、ストーリーが追い付いていない。
中盤のイップマン対タイソンが余計で2時間弱で、タイソンとマックス・チャンと戦わせるのは無理がある。詠春拳対ボクシングは前作で行われているので、タイソンまわりの話をカットして、もう一人の伝承者であるマックス・チャンの話を掘り下げた方が、ラストバトルが盛り上がったと思う。
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新世界より

2017-04-25 17:50:30 | Book
貴志祐介はデビュー直後に「黒い家」「天使の囀り」と読んで、あまり面白くなかったためその後は読んでいなかった。
たまたま、図書館で「新世界より」を借りて読んだところ、これは日本のSF史に残る作品だと感じるほど面白かった。
一見、日本の古い農村社会じみた社会の正体が明かされる上巻、平和な世界が壊れていく中巻、怒涛のクライマックスの下巻と、張られた伏線を回収する後日談が、巧みなストーリー描写でSFらしい哲学的テーマを交えながら語られていく。
ネビュラ賞やヒューゴー賞受賞作品と同等のレベルで、海外でも十分通じる。

新世界より(上) (講談社文庫)
新世界より(上) (講談社文庫)貴志 祐介

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グレートウォール

2017-04-20 18:59:44 | Movie
監督チャン・イーモウ、主演マット・デイモン、アンディ・ラウ、制作費1億5000万ドルと、無駄に豪華な万里の長城を舞台に怪獣と戦うB級映画。
例えるならば、大金持ちが、トリュフやキャビア等の豪華食材を使って、お好み焼きを作ったような感じで、うまいんだかまずいんだかわからない。
チャン・イーモウらしい美しい映像のシーンがありながら、突っ込みどころ満載の展開で、無数の怪物相手を退治する良くあるパターンのまんねりラストバトルと、制作陣はいったい何を考えてこの映画を企画したのだろうか。
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本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業

2017-04-19 11:37:03 | Gourmet
本能寺の変については、秀吉黒幕説や朝廷黒幕説などいろいろあるが、光秀の子孫が一次資料を徹底的に読み込み、運や一時の感情等を排除し、それぞれの武将が自分達に一族の利益を最大化するために徹底的に考え抜きベストの選択肢をしたと仮定して、真相に迫っていく。
最後に明かされる著者の仮説は筋が通っていて、いかにもあり得そうだと思えるのだが、世の中なんて、偶然や、その場の勢いで決まることも結構あるのではないかと思うと、たまたま隙のあった信長を、後のことを考えずに、その場の勢いで光秀が殺してしまったと考える方が素直なのではないだろうか。

「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業
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LION/ライオン 〜25年目のただいま〜

2017-04-15 17:24:57 | Movie
カルカッタで迷子になった子供がオーストラリアドル人の里子となる。
大人になりGoogle Earchを使って、自分の生まれ育った街を発見する実話を基にした作品。
いろいろな偶然が重なりあって、奇跡的に自分のルーツを見つけ出す。
ラストのエンドロールで本当に見つかって良かったと感じた。
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出生地

2017-04-12 13:57:34 | Book
在米コリアン三世の作家が、1980年代の日本を舞台に、日本人とアメリカ人ハーフの女性の失踪事件を描くミステリー。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞を受賞。
外国人が見た日本というと、トンデモ系になりがちだが、外からだとこう見えるのかという自然な描写になっており、自分探しの物語としてはなかなか面白いが、ミステリーとしては弱い。

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未来を花束にして

2017-04-12 13:52:06 | Movie
イギリスでの女性参政権運動をテーマにした作品。
何十年交渉しても不公平が是正されず、結局、実力行使でやっと進むというのが、なんだかんだ言っても現実なのだろう。
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ガラスのなかの少女

2017-04-10 11:42:40 | Movie
同名の日本映画とは無関係。
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作ということで読んだが、ミステリーとしての謎解き要素はなく、大恐慌時代のアメリカ社会の描写と、その後のナチス台頭を予感させるアメリカ社会で行われていた優生学を背景に少年の成長物語が、ジュブナイル系の小説としてよくできている。

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