市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

あのテロップは脅迫なの

2010-11-05 | メディア批判
 とうとう液晶テレビを4日夜に購入した。20年ぶりにテレビが新しくなる。いつからか、テレビ画面の上下がカットされて、その黒い帯状の暗部に来年7月まででアナログ放送は中止になるというテロップが流されていくのだ。それが、映画などの放映のシーンなどに現れる。ただでさへ20インチ台のブラウン管テレビは、いらいらさせられて見る気分が疎外されるのだ。とくに会話翻訳の文字などぼけて読むこともできなくなる。そして、映画の内容よりも、アナログは使えません、中止になります、画面の右上のアナログという文字があるテレビはデジタル映像は受信できませんと、つぎからつぎへと、映画が終了するまで流れつつけるのである。これは広報のつもりなのだろうか。親切のつもりなのだろうか。そうではあるまい。たんに強制である。NHKさんよ、あんたは、ほんと成功したよ、遂に液晶テレビ、LEDライトの明るい未来志向型の42インチを買いました。

 これで古いブラウン管テレビからおさらばできて、利用の仕方によっては、かなりおもしろくなりそうな気配を感じ出した。一方的受像から、積極的介入がテレビ放映にできそうになってきたからである。ところで、今朝も「てっぱん」を視聴したのだが、今朝は3人キャスターがかならず、またミーハー話をアサイチ冒頭に交わすはずだと思ったら、そうだった。いわく、これねえ、最終回ではぼくな泣きますねえきっと泣きますよというのであった。たしかにうるうるのシーンは今週にはいって多い。父と娘、家族と孤独、思いやりの相互交換、ここからの勇気と希望へと、話は展開していく。もちろん真実感があるので、じゅわーっと涙がわいてしまうのだ。詐欺師の話には真実感が溢れているが、全体は嘘であるという現実を忘れるのである。テレビドラマを消費させるというシステムにいつまで抵抗できるのであろうか。キャスターたちのほうが、正しいのではなかろうか、変なのはぼくかもしれない。

-ンの「知識資本主義」という世界経済の0年代前半の分析を扱った本を読んでいた。この本は、まるで近所のおっさんが、悲憤慷慨し、自分たちの溜まり場で、政治がなっとらん、どいつもこいつもアホたればかりだと、机をたたいてぶちまけるような表現で溢れているのだ。ガルプレイスにしろ、昨年度のノーベル経済学賞のグーグルマンにしろ、大衆向けのくだけた経済書を書いているが、くだけてもなお論理性はそうかみくだけるものではない。しかし、しかしサローは一味違っている。彼は曰く、どんな先進国家も資本主義経済であるかぎり、絶頂とどん底を繰り返してきたし、未来もそうだというのだ。なぜなら、人は、欲(金)と楽観主義と、群集心理に囚われているからだというのだ。とくにこの楽観主義というのが、おもしろい。これは困難において、未来を明るくみるという楽観主義でなく、バブルのときに、株はいつまでも上がり続けると信じこんでいる楽観主義というのだ。別の言葉でいいかえれば脳天気ということであろうか。外は土砂降りでも、台風が上陸しかけようが、毎日、毎日、雨づづきであろうが、頭の中はいつも晴しかない。つまり脳天気である人ばかりであるのだよと言い切っているのである。


 てっぱんを視聴したあとの「アサイチ」の一部は、まちがいなく楽観主義つまり脳天気である。この脳天気のトーンを維持するため、その晴れ間を出現させるためにキャスター三人は仕事をしなければならないのではないかと、ぼくはそう思えだしている。これは消費資本主義に生きて、モノを売るときに避けられられない態度であろう。朝からうっとうしいかぎりの話を真実としてぶちまけるよりも明るい話がはるかに有効ではあろう。真実に目をつぶり、消費への勧誘に自己の意識を「消費」しまくるという生業の日々が課せられていそうである。それは誰にでも降りかかる。しかし、明るい話でも脳天気ではいけない。明るくて、脳天気で無い見本は、実はテレビ番組にかなりころがっている。たとえば、綾小路君麿の漫談にもである。くだけろ、しかし真実であれかし。レスター・サローの経済書にもそれがある。3人のキャスターは、放映後に控え室でどんな表情や姿態になっているのだろうか、一度見てみたい。女子アナは、控え室では灰色のつかれ切った表情をしているのだと、知人のアナウンサーが教えてくれたことがあったし・・。ほんとにキャスターの姿を見てみたいものだ。

 
 

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