べ~ビ~の種は、ミルネのお腹の中ではじけた。
はじけたところが温かく感じた。
その温かさに気持を向ける度に、温かさが増し、範囲も広がっていった。
まるで育てているような・・・そうか、これがべ~ビ~。
「ふ~ん、変なの。赤ん坊じゃないんだ。ま、いいか」
何日かして、その日も、いつものようにべ~ビ~に気持を与えようとしたけれど、
温かさ消えていた。
途端に、ムニュと圧力のようなものが動いた。
気持を向けるとまた動いた。
それから、初めて聞く軽やかな鈴にも似た小さな音が聞こえ始めた。
ムニュはその音で踊りながらミルネの体中を動くのだった。
「ふ~ん、こういう子供さんになったのね。音はパパさんの歌ってわけね」
ミルネの分身のようでもあるけれど肉体はもっていない、
空気よりも微細で透明な感じ。
だけど濃厚で、形は自由に変化し、圧力だけで感じる存在だった。
ミルバと名付けた。
ミルバは踊りながらミルネの身体の中で日ごとにどこまでも大きくなっていくようだった。
意識までもミルバに占領されていくようで、
ミルネは少し不安になってはいたけれど、
不思議なことに、圧力の分身を感じたときから、
これまで味わったことのない深い安心感が芽生えていて、
その安心感はミルバの成長とともに更に深くなり、
不安を飲み込んでくれた。
ついにミルバはミルネの皮膚を通り抜け出て、
ミルネを覆い尽くした。
ミルネには、自分の意識とミルバの意識が融合したのか入れ替わったのかさえわからなくなった。
そして、存在感と安心感で満ち足りた。
「不思議ね。自分とは?」
そんなもの本当はないのだよと、いつか兄が言っていたっけ。
兄も母になっていたのかもしれない。
しかし、ミルバが透明なため、外見はミルネのままだった。
どうでもよいことだった。
何年か、何十年かわからないけど、
ミルネ(ミルバ)は歳とり、実りの日が来た。
踊りながら宇宙に還っていくのだと知っていた。
「そして宇宙が播く種になるのだわ!」
それから、気がついた。
あの老人に出会うまでは、
この時を恐れ、ふてくされて生きていたことに。
老人の歌が聞こえた。
男も女も母になる
大地と同じく母なる
父は宇宙
『ベ~ビ~の種』を撒くのが常
あの星でもこの星でも
望むものに播いていく
ベ~ビ~は母に育てられ子供になる
子供は父の歌で実る、母のさやで
おわりです。
はじけたところが温かく感じた。
その温かさに気持を向ける度に、温かさが増し、範囲も広がっていった。
まるで育てているような・・・そうか、これがべ~ビ~。
「ふ~ん、変なの。赤ん坊じゃないんだ。ま、いいか」
何日かして、その日も、いつものようにべ~ビ~に気持を与えようとしたけれど、
温かさ消えていた。
途端に、ムニュと圧力のようなものが動いた。
気持を向けるとまた動いた。
それから、初めて聞く軽やかな鈴にも似た小さな音が聞こえ始めた。
ムニュはその音で踊りながらミルネの体中を動くのだった。
「ふ~ん、こういう子供さんになったのね。音はパパさんの歌ってわけね」
ミルネの分身のようでもあるけれど肉体はもっていない、
空気よりも微細で透明な感じ。
だけど濃厚で、形は自由に変化し、圧力だけで感じる存在だった。
ミルバと名付けた。
ミルバは踊りながらミルネの身体の中で日ごとにどこまでも大きくなっていくようだった。
意識までもミルバに占領されていくようで、
ミルネは少し不安になってはいたけれど、
不思議なことに、圧力の分身を感じたときから、
これまで味わったことのない深い安心感が芽生えていて、
その安心感はミルバの成長とともに更に深くなり、
不安を飲み込んでくれた。
ついにミルバはミルネの皮膚を通り抜け出て、
ミルネを覆い尽くした。
ミルネには、自分の意識とミルバの意識が融合したのか入れ替わったのかさえわからなくなった。
そして、存在感と安心感で満ち足りた。
「不思議ね。自分とは?」
そんなもの本当はないのだよと、いつか兄が言っていたっけ。
兄も母になっていたのかもしれない。
しかし、ミルバが透明なため、外見はミルネのままだった。
どうでもよいことだった。
何年か、何十年かわからないけど、
ミルネ(ミルバ)は歳とり、実りの日が来た。
踊りながら宇宙に還っていくのだと知っていた。
「そして宇宙が播く種になるのだわ!」
それから、気がついた。
あの老人に出会うまでは、
この時を恐れ、ふてくされて生きていたことに。
老人の歌が聞こえた。
男も女も母になる
大地と同じく母なる
父は宇宙
『ベ~ビ~の種』を撒くのが常
あの星でもこの星でも
望むものに播いていく
ベ~ビ~は母に育てられ子供になる
子供は父の歌で実る、母のさやで
おわりです。