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読書と旅行と柴犬のブログ
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ヤプログから引っ越してきました。

「塞王の楯 さいおうのたて」今村 翔吾 (著)  第166回直木賞候補作

2021-12-25 18:56:03 | 読書の時間
「塞王の楯 さいおうのたて」今村 翔吾 (著)  第166回直木賞候補作
集英社 (2021/10/26)
単行本 ‏ : ‎ 560ページ

あらすじHPより
「どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!」

直木賞候補が発表されたので
まずはこの作品から、
本が届いて560ページの重量感に
圧倒される。

そして読み始めていくと
もたついたところが無いので
どんどん読んでいける
これって実はすごいことだ。

舞台は信長が越前・一乗谷城を攻め
秀吉、家康と
歴史に詳しくなくてもなんとなく
分かる戦国時代の末期、
主人公が城の石垣を作る職人という
面白い視点が良かった。

城の内と外で城壁を挟んで
同じ時代の同じ思いを持ちながら
敵・味方となった職人たちの
視線がぶつかる様子が
リアルに感じた、心熱くなるシーンだった。

分厚い本をカバンに入れて
地下鉄やモスの店内で読んだ、
この重さが嬉しかった。

「夜が明ける」西加奈子 (著)

2021-12-13 08:41:16 | 読書の時間
「夜が明ける」西加奈子  (著)
新潮社 (2021/10/20)
単行本 ‏ : ‎ 416ページ

@あらすじ@(HPより)
主人公は「俺」です。 
彼に名前はついていません。
誰でも、 それこそ女性でも、 
「俺」のような状況に陥ることがある、
ここには「この小説はあなたの物語なんだよ」
という西さんのメッセージが込められています。
(HPより)

傑作「サラバ!」からもう7年も
経つのか、
ということは、ここ7年ベスト作品は
また更新されていない、
それほど、心を揺さぶられた「サラバ!」
ということで、充分期待して読んだ。

主人公二人が特異な存在で
とても普遍的な何かを伝えて
いるようには感じられなかった。

物語は読みごたえがあって
どんどんページをめくっていく
とても楽しい読書の時間
だけど、共感や新しい発見だったり
考えさせられるようなものを
見つけ出せなかった。

仕事で追いつめられる様子は
胸が痛いけれど
自分たちはもう、そんなものに
がんじがらめに縛られるべきじゃないと
知っている。
もう一人の主人公の方が
身近に感じられない分
小説的なこちらの感じ取る余白の
ようなものを見つけたが
でもなんか違う、
その何かこそが小説の醍醐味、
でも楽しくはなかったな。

何もかもがハッピーエンドを
望んではいないが
できたらどこかにそれぞれの
ぼんやりでもいいから
明るい光を見たい。

自分の欲求の方向が
この小説とは合わなかった。

それにしても400ページを
全く冗長には感じさせない
すごいストーリーテラーなのは確か。
自作に期待!

「高瀬庄左衛門御留書」砂原 浩太朗 (著)傑作!

2021-12-11 11:24:51 | 読書の時間
「高瀬庄左衛門御留書」砂原 浩太朗  (著)
出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2021/1/20)
338ページ

◎第165回直木賞候補作◎
◎「本の雑誌」2021年上半期ベスト10で第1位!!◎
@あらすじ@(HPより)
美しく生きるとは、
誇りを持ち続けるとは何かを問う、
正統派時代小説。
神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。
50歳を前にして妻を亡くし、
さらに息子をも事故で失い、
ただ倹しく老いてゆく身。
残された嫁の志穂とともに、
手慰みに絵を描きながら、
寂寥と悔恨の中に生きていた。
しかしゆっくりと確実に、
藩の政争の嵐が庄左衛門を襲う。(HPより)

最近、時代劇って見ないなと
思いながら、主人公の住む屋敷を
想像しながら読んだ。
「爪に火をともす」って言葉を
思い浮かべたり、
静かな日常を描いているのに
周囲のあれこれを自然と想像し、
目の前に情景が幾度も現れた。

登場人物たちの目配せや
息遣いまでも感じられ、
なんか、新鮮な読書体験だった。

いつの世も、生きていくということ
他者と関わること
ものの見方はさまざまであること
登場人物の心情は細かく書かれず、
その分、行間まで濃密に感じる。

この作者の作品を初めて読んだが
次が待ち遠しいね。

「自転しながら公転する」山本 文緒 (著)

2021-12-10 13:41:38 | 読書の時間
「自転しながら公転する」山本 文緒  (著)
出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2020/9/28)
単行本 ‏ : ‎ 480ページ

@あらすじ@(HPより)
東京で働いていた32歳の都は、
親の看病のために実家に戻り、
近所のモールで働き始めるが…。
恋愛、家族の世話、
そのうえ仕事もがんばるなんて、
そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、
7年ぶりの傑作小説。(HPより)

プロローグとエピローグは
単行本化にあたって追加されたと
本の最後にあったが、
プロローグが
あったからこそ、
読んでいる間に自分なりのストーリー
展開をしていて、見事に裏切られた。
すごく心地いい読書体験だった。
ラストの一行にたどり着いたとき
作者はこの一行を書きたかったのだなぁと

主人公はどちらかというと
小説の主人公にはなりにくい感じ、
でもそれが等身大ってことか。

「自転しながら公転する」
読みながら何度も意識した。
作者が亡くなったことを新聞で知り
読み始めた作品だった。
こうして作品は残り、
また誰かが、手に取って読み始める。